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悪戯
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俺が悪かった。つい付き合っていた時の奈美のような感覚で甘えてしまった。

今は人妻だったんだ。大丈夫だから、この事は忘れて欲しい。

今後も良き相談相手として付き合って欲しいから。

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この日から私は、妻を疑い始めていました。

妻は昔から出来る限り仕事を家には持ち込まない主義で、テストの採点や作文の添削なども学校でしてくるので遅くなる日があります。

しかし、その様な日があると、私は彼と会っているのではないかと不安で仕方ありません。

「どうしてセックス出来なくなったのかな?」

「分からない。ただ・・・・・」

「ただ?」

「怒らないで聞いてくれる?私ばかりが幸せで良いのかと思う事はある。

正直に言うと、恥ずかしいけれどセックスが凄く気持ち良くなってきていたの。

あなたに抱いてもらっている時は凄く幸せ。でも私ばかりが・・・・・・・」


「それは彼と比べてと言う意味?」

「ごめんなさい」

妻が彼とメールを続け、その上 会っている様な事でもあれば、時が解決してくれるどころか時が経てば経つほど、彼に対する同情の気持ちは どんどん大きくなっていくようで不安でした。

その同情が いつ愛情に変わるかもしれません。嫌いで別れた訳では無い事が、私に重く圧し掛かります。

普通なら彼とのメールをやめさせ、彼と会っていないか問い詰めるでしょう。

しかし、私のしてきた事を考えれば今は妻を信用して、妻自らがやめてくれるのを待つしかありません。

そうは言っても私は妻の携帯が気になって仕方ないのですが、脱衣場にまで持っていってしまうので見るチャンスはなく、仮に眠っている間に見れたとしても、おそらくロックが掛かっているでしょう。

何より またそのような事をすれば、今度見付かったら夫婦が終わってしまう可能性もあります。

「明日はそのまま学校に残って、父母会の新聞作りに参加するので遅くなります」

「確か奈美の担当では無かったよな」

「ええ。担当の先生が休んでいるので、代わりに参加するだけなので何も分からないのですが、一応学校関係者もいないといけないので。

出来るだけ早く帰ろうと思うけれど、初めてでどのぐらい掛かるか分からないので、遅くなったらごめんなさい」


特にこのような今までに無い理由で帰りが遅くなる時は、尚更不安が大きくなって、私は終に重い腰を上げます。

それは勿論 妻の裏切りを期待している訳ではなく、逆に何事もあって欲しくないのですが、一度調べれば自分に納得出切るのです。



最初は学校の近くで妻を見張ろうと思いましたが、万が一嘘を吐いていて彼に会いに行った場合、妻を尾行しなければなりません。

素人の私が その様な器用な真似が出切るはずも無く、妻を信用している振りをしていただけに尾行しているのが見付かれば、妻が嘘をついていた事よりも私が妻を信用していなかった事の方が悪く思われそうです。

それで私は二度しか顔を合わせていない、それも短時間しか会っていない彼を見張る事にして岩本クリニックに向かいました。

私は前回と同じ様な時間に会社を出ましたが、今回は捜さなくても良い分早く着き、まだ駐車場には数台の車が止まっています。

私は多少でもこの辺りの地形を頭に入れておこうと走り回り、時間を潰して戻ると最後の患者が出て行くところでした。

そして、30分もすると事務の人なのか若いが女性が数人出て行って、その後すぐに電気が消されて中は真っ暗になります。

私は駐車場から視線を外さずに、注意深く彼が出て来るのを待ちましたが、私に前回ほどの緊張感はありません。

なぜなら妻を疑いながらも、妻に限って その様な事はしないだろうと言う想いが強かったからです。

それは前回妻が確実に裏切っていたと思っていたところ、私を懲らしめたくて そのような素振りを見せていただけで、実際は関係を持っていなかった事も妻を信用する一つの大きな要因でした。

妻は私の事を好きだと言いました。

やはり彼とはメールだけで、二人で会っている事などあるはずがありません。

しかし、そのような期待は15分もすると脆くも崩れ去ります。

万が一会うとすれば、何処かで待ち合わせると思ったのですが、あの日と同じ様に妻の車が駐車場に入って行ったのです。

それも前回と違い、私の車が何処かに止まっていないか調べているかのように、用心深く辺りを一周してから入って行った事で不安は大きくなります。

私は出入り口と駐車場が見えるギリギリの位置の、結構離れた所に車を止めていたので見付かりませんでしたが、その代わりに妻が中に入っていくのを止める事も出来ず、駐車場に着いた時には妻の姿はありません。

ここは二階と三階が住居になっているようで、玄関は別に有りましたがチャイムを鳴らす勇気は無く、自動ドアの前に立っても電源が切られていて開かないので裏に回りました。

すると そこは隣の家と隣接していて、窓からこちらを見ている人影が見えたので、泥棒と勘違いされないように わざと堂々とした態度で目の前のドアノブを掴むと、幸運にもそこには鍵が掛かっていずに開いてくれました。

中に入ると洗濯機が置いてあり、次のドアを開けるとそこは廊下で、両側にはレントゲン室や検査室、治療室や診察室と札が掛かっています。

「もう少し早く動かしてくれ」

妻達はこの階にはいないと思って普通に歩いていましたが、微かに男の声が聞こえたので忍び足になって近付くと、その声は診察室の方から聞こえてきます。

私は様子を探ろうと、診察室の隣の治療室と書かれた部屋に入りましたが、中は各部屋を自由に行き来出来るように奥で繋がっていて、そこはカーテンで仕切られていただけなので会話がはっきりと聞こえるようになりました。

「どお?」

今度は女性の声が聞こえ、それは正しく妻の声です。

「もう少しだから、昔のように言って欲しい。この前も言ってくれたように」


「分かったわ。・・・・・・・・・こうすると気持ちいいでしょ?もう出してもいいのよ。沢山出していいのよ」


私は思わずカーテンを少し開け、顔だけを半分出して覗き込むと、診察台には膝までスラックスとパンツを下げられた彼が寝かされていて、妻は上半身ブラジャーだけの格好で横に置かれた椅子に座っています。

そして妻は両手で硬く上を向いた彼のペニスを包むように掴んでいて、仕切に上下に動かしています。

彼は彼でブラジャーが押し上げられている為に露になっている、少し垂れた妻の白い乳房を右手を伸ばして揉みしだいていました。

「気持ちいい?」

「凄く気持ちいい。もう出そうだ」


「出して。私の手に沢山出して」

妻がペニスに顔を近付けたので、口に含んでしまうのかと思った瞬間、唾液を搾り出して上から垂らし、手の動きを早くしたのでグチュグチュという音が響き渡っていました。

「凄くいい・・・・気持ちいい・・・・・出る・・出る」

「出して。出していいのよ」


彼の精液は40歳を過ぎているとは思えないほど勢いよく飛び散り、一部が妻の顔にもかかってしまいました。

「もっと出して。全部出して」

妻は そう言いながら手の動きを遅くして、全て搾り出すかのように指まで動かしています。

私は見てはいけないものを見てしまったようで、顔を引っ込めると立っていられずに椅子に座り込んでしまいました。

「奈美となら最後まで出来そうな気がする。一度上手くいけば、他の女性とも出来るかも知れない」

「それは出来ないの。分かって」

私はよく聞こえるように通路の方向に身を乗り出すと、椅子がその方向に少し動いてしまいました。

「誰だ!」

それまでは彼は目を閉じて快感に身を委ね、妻は彼のペニスに集中していたために私の気配に気付かなかった二人も、興奮が醒めてくると椅子が少し動いた音に気付いたようです。

「俺だ」

私は二人を見る勇気が無く、その場から返事をしました。

「あなた?うそ。あなたがいるの?」

「ああ。俺だ」


「いつ来たの?いつからいるの?」

「今来たところだ。そちらに行ってもいいか」

私は妻のあのような行為を止められず、何も言えなかった事で今来たばかりのような振りをしました。

「来ないで。少し待って」

二人は慌てて服を着ているのか、生地の擦れる音がします。

「服を着ているのか?それだけで十分だ。何をしていたのか想像がつく。このままもう会わずに別れよう。長い間世話になった」

「待って。すぐにそちらに行くから待って」

私は妻が服装を整えている間に、岩本クリニックをあとにしました。

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独りでいると泣いてしまいそうで、家に帰ると息子を連れ出して食事に行きましたが、当然私に食欲などありません。

結局 箸もつけられず、食欲のない私とは違って私の注文した物まで食べる育ち盛りの息子を見ながら、どうして あのような行動をとったのか考えていました。



あのような行為をどうして止めなかったのか。いくら手だけだと言っても 自分の妻が他の男のペニスを扱いていて、乳房まで露にされて揉まれているのに、黙ってさせている夫などいないと思います。

しかし私は黙って見ていた。

妻に引け目のある私は自分が優位に立つために、妻のあのような行為を許したのか。

私の卑劣な行為を帳消しにする為に、手を使うぐらいは我慢したのか。

それもあったかも知れませんが、私は妻が あのような事をする女だとは認めたく無かったような気がします。妻が私を裏切っている事を認めたくなかった。

あそこで騒いでしまえば、現実の問題となって私に圧し掛かってきます。私さえ見て見ぬ振りをすれば、妻と今までの関係でいられる。

あの様な行為を私の中で無かった事になど出来るはずもないのに、あの時はそう思ってしまったのです。

あのまま見付からなければ、黙って帰って行ったでしょう。


しかし見付かってしまいました。それならば見付かった時点で、どうして怒りを露にしなかったのか。

妻と別れる気も無いのに、あそこで怒らずに静かに別れを切り出したのは、あのような場面でも ずる賢く計算が働いたのです。

あの場合 闇雲に怒るよりも冷静を装って別れを切り出した方が、妻のショックはより大きいと咄嗟に感じたのです。


おそらく妻は今頃 家に戻っていて、私の携帯に電話を掛け続けているでしょう。

しかし私の携帯は電源が切ってあります。

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「話しておきたい事があるから、少しだけ付き合ってくれるか?」

私は川沿いの堤防に車を止め、私のしてきた事を息子に話そうと思いました。

これは誰かに聞いて欲しかったのもありますが、これからの修羅場を考えると、私の情けない部分が他から息子に聞こえるのを避けたかったからかも知れません。

自から話しておいた方が、他から聞こえるよりは多少は男らしく感じてくれるかも知れない。

「敦は好きな子がいるか?」

「そんなのいないよ」


「そうか。お父さんは お母さんにとんでもない事をしてしまった。卑怯な手を使って、お母さんの過去を知ろうとしたんだ」

流石に性的な興奮を得たくて始めた事の副産物だとは言えませんでしたが、妻を裏切った事だけは正直に話しました。

「駄目なお父さんだろ?嫌な男だろ?」

すると いつまでも子供だと思っていた息子から、意外な答えが返ってきます。

「でも好きだから知りたかったんだろ?お母さんが好きだから、お母さんの全てを知りたかったんだろ?」

私は まだ中学生の息子の言葉に驚きました。

「さては好きな子がいるな?」

「僕が勝手に好きなだけだ」

今まで父親として完璧な人間を装っていた私が、弱く駄目なところも全て晒したからか、息子も心を開いて片思いの同級生の事を話してくれました。


「お父さんがお母さんに辛い思いをさせたから、お母さんに少し仕返しをされた。それでお父さんは怒ってしまった。

どのような仕返しをされたかは聞かずに、家に帰ったら お母さんは泣いているだろうから、自分の部屋へ行ってくれるか?」


当然 息子も私達の関係がギクシャクしている事に気付いていて、詳しくは聞けなくても少し聞けた事で安心したようでした。


「分かったから夫婦で何とかしろよ。僕まで巻き込まないでくれよ」

「生意気な事を言うな。・・・・・・時間は掛かるかも知れないが、何とかするから暫らく我慢してくれ」

家に帰ると やはり妻は泣いていて、息子は約束通りすぐに部屋に行ってくれました。

「敦に聞こえるから俺達の部屋に行って話そう」


まだ妻が彼のペニスを向かい入れていない事で、ここでやめてくれれば妻を許そうと思って息子に話しました。

しかし泣いている妻の手を見ていると、彼のペニスを握っていた時の動きを思い出します。

乳房を揉まれながらペニスに唾液を垂らし、唇を噛みながら快感と戦っている妖艶な顔を思い出します。

すると裸で抱き合って彼にされているよりも、あのような行為をしている方が厭らしい女に思えてきました。

彼の性欲を処理するための、彼専用の風俗嬢のように感じてしまいます。


「ごめんなさい。私・・・・・・」

「別れよう。その方がお互いの為だ。奈美は俺が許せない。俺も今回の事は一生許せないと思う」

「私は・・あなたの事は・・・・」

「許したと言うのか?それなら何故 俺を拒む。なぜ俺を拒んでおいて、彼にはあんな風俗嬢のような事を」

「風俗嬢?・・・酷い」

「何が酷い。何をしていたか言ってみろ。言えないなら俺が言ってやろうか。


俺は見付かる15分も前からいたんだぞ。それに隣の部屋で聞いていただけじゃない。

彼の大きくなったチンチンに、今にも口に入れてしまいそうなほど顔を近付けて、あんなに夢中になっていては、俺がずっと覗いていたのを知らなくても無理は無い」


「えっ!自分の妻があんな事をしていたのに、覗いていただけで何も言わなかったの!どうして私を止めなかったの!」


これは妻の言う通りです。私も止めなかった事を後悔しています。

妻は あのような行為を見られていた事がショックで、淫らな自分を隠そうと急に防衛本能が働いてしまったのか、少し気が立ってきたようでした。


「離婚も仕方ないかも」

「やっと本音が出たな。最初から俺と別れて、彼と一緒になりたかったのだろ」





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