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変わり果ててしまった妻
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それは何かと言うと、葬儀や法事の時に身に着ける黒い下着以外は、白か淡い色しか持っていなかった妻からは考えられないような、赤や紫などの原色の派手な下着を見付けてしまったのだ。
妻が遅いのは誰かと会って相談しているか、誰かに付き合ってもらって憂さを晴らしているのだろうとは思っていたが、どんなに遅く帰っても妻の性格からして、このような関係になる男がいるなどとは夢にも思わなかった。
鈍感だと言われるかも知れないが、一緒にいる相手は女性だと勝手に思い込んでいた。
しかし、そう考えると最近化粧も派手になったように思え、考えれば考えるほど妻に そのような関係の男がいる事を認めざるを得なくなってしまう。
妻は私の知らない男と抱き合って、熱いキスを交わしている。あのような派手な下着姿で、男を興奮させている。
男の下で、私以外には見せた事の無い苦痛にも似た表情を見せ、私以外には聞かせた事の無い恥ずかしい声を上げている。
苦しくなった私は携帯に電話を入れたが、やはり電源は切られていた。
「誰と何処にいた!」
「あなたには関係ないでしょ!私に干渉しないでと言ったはずよ!」
私は初めて女性に手を上げた。それも愛しているはずの妻に。
「もう離婚よ!」
妻は一晩泣き続け、この日を境に子供達の手前一緒だった寝室も別になる。
--------------------
木下恵理、36歳。
3年前に離婚していて、今は中学生の娘と二人暮らし。
昼間は町工場で事務をしながら、夜は小料理屋でアルバイト。
私は報告書に書かれていたアパートに行ってみようと思ったが、一緒に暮らしている彼女の娘の事が気になって、アルバイト先の小料理屋に行ってみる。
その小料理屋は我が家から意外と近くにあり、歩いても15分ほどの距離なのだが、小さな店なので今まで気が付かなかった。
彼女は私を見るなり驚いた顔をして俯いてしまう。
「恵理ちゃん何しているの。お客様におしぼりを」
涼しそうな目をした色っぽい女将に言われ、ようやく顔を上げた彼女はおしぼりを広げて渡してくれたが、私とは目を合わさずに手も震えていた。
私は彼女と話すチャンスを待っていたが、色っぽい女将と美人の彼女を目当てに来る客で、絶えず満席で隣にも客がいるので話せない。
仕方なくこの日は諦めようと外に出ると、彼女は私を送る振りをして出て来た。
「ごめんなさい」
「聞きたい事があるから、そこのファミレスで待っています」
「私は何も・・・・・」
「それならアパートに行きます」
「来ないで。娘がいるから・・・・・・」
彼女は30分ほど経ってから来たが、何を質問しても「私は何も知りません」と言って涙ぐむ。
「私にも娘が二人います。このままだと家庭は壊れてしまって、家族ばらばらに」
彼女は顔を上げると、縋る様な目で私を見た。
「娘の日記を見てしまったの・・・・・・娘は勉強が好きで・・・・・特に英語が好きで・・・・・・中学を出たら留学したいって・・・・・
でもお金が無いのは知っているから・・・・生活の為に昼も夜も働いている私には・・・絶対に言えないと書いてあって・・・・」
私の脳裏に母と娘が手を取り合って、必死に暮らしている姿が浮かんだ。
しかし私にも大事な娘がいる。
「自分の娘の幸せのために、私の娘達を犠牲にするのか!」
彼女は人目も憚らずに泣き崩れる。
「せめて誰に頼まれたのかだけでも教えてくれ」
彼女は散々迷った末、小さな声で言った。
「青山さん・・・・・・これ以上は許して下さい」
妻の身近にいる人間で、青山という名の、他人の娘の留学を援助できるだけの自由になるお金を持っている男。
私にはそれだけで十分だった。
--------------------
家に帰ると11時を過ぎていたが、妻はまだ帰っていない。
今日も青山に抱かれているのか。
相手が分かると私の怒りは更に増し、嫉妬で狂いそうになる。
どうしてこんな事に。
帰って来た妻は、何も言わずにバスルームに向かう。
私が後を追って入っていくと、既に夫婦では無いと言わんばかりに、妻はタオルで前を隠して身体を硬くした。
「どういうつもり!早く出て行って!」
「洗ってやる!俺が洗ってやる!」
私は嫌がる妻の腕を痕が残るほど強く掴み、身体が赤くなるほど強く擦った。
「やめて!私に触らないで!」
私の目から涙が毀れたが、妻もまた涙を流していた。
--------------------
妻は今の会社に5年前から勤め出したが、娘がまだ小学生だった事から最初は4時までのパートだった。
しかし、下の娘が中学に上がった2年前、運良く正社員として採用してもらう。
「恵理ちゃん何しているの。お客様におしぼりを」
涼しそうな目をした色っぽい女将に言われ、ようやく顔を上げた彼女はおしぼりを広げて渡してくれたが、私とは目を合わさずに手も震えていた。
私は彼女と話すチャンスを待っていたが、色っぽい女将と美人の彼女を目当てに来る客で、絶えず満席で隣にも客がいるので話せない。
仕方なくこの日は諦めようと外に出ると、彼女は私を送る振りをして出て来た。
「ごめんなさい」
「聞きたい事があるから、そこのファミレスで待っています」
「私は何も・・・・・」
「それならアパートに行きます」
「来ないで。娘がいるから・・・・・・」
彼女は30分ほど経ってから来たが、何を質問しても「私は何も知りません」と言って涙ぐむ。
「私にも娘が二人います。このままだと家庭は壊れてしまって、家族ばらばらに」
彼女は顔を上げると、縋る様な目で私を見た。
「娘の日記を見てしまったの・・・・・・娘は勉強が好きで・・・・・特に英語が好きで・・・・・・中学を出たら留学したいって・・・・・
でもお金が無いのは知っているから・・・・生活の為に昼も夜も働いている私には・・・絶対に言えないと書いてあって・・・・」
私の脳裏に母と娘が手を取り合って、必死に暮らしている姿が浮かんだ。
しかし私にも大事な娘がいる。
「自分の娘の幸せのために、私の娘達を犠牲にするのか!」
彼女は人目も憚らずに泣き崩れる。
「せめて誰に頼まれたのかだけでも教えてくれ」
彼女は散々迷った末、小さな声で言った。
「青山さん・・・・・・これ以上は許して下さい」
妻の身近にいる人間で、青山という名の、他人の娘の留学を援助できるだけの自由になるお金を持っている男。
私にはそれだけで十分だった。
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家に帰ると11時を過ぎていたが、妻はまだ帰っていない。
今日も青山に抱かれているのか。
相手が分かると私の怒りは更に増し、嫉妬で狂いそうになる。
どうしてこんな事に。
帰って来た妻は、何も言わずにバスルームに向かう。
私が後を追って入っていくと、既に夫婦では無いと言わんばかりに、妻はタオルで前を隠して身体を硬くした。
「どういうつもり!早く出て行って!」
「洗ってやる!俺が洗ってやる!」
私は嫌がる妻の腕を痕が残るほど強く掴み、身体が赤くなるほど強く擦った。
「やめて!私に触らないで!」
私の目から涙が毀れたが、妻もまた涙を流していた。
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妻は今の会社に5年前から勤め出したが、娘がまだ小学生だった事から最初は4時までのパートだった。
しかし、下の娘が中学に上がった2年前、運良く正社員として採用してもらう。
私は今まで、それは妻の真面目な勤務態度が認められたからだと喜んでいたが、今回の事で少し違うのではないかと思えてきた。
妻は社長の青山に気に入られて、正社員になれたのではないかと。
私は直接会った事はないが、青山の事は妻の話によく出ていた。
時々仕入先などに付き合わされている事も知っている。
パートを合わせても社員20人ほどの小さな会社で、いくら仕事だと言っても社長が連れ回すのはおかしいと思った事もあり、二人の仲を嫉妬した事もあったが、今までの妻は何でも私に話してくれて、仕事以外の付き合いは無い事が分かっていた。
仮に青山に誘われたとしても、妻に限って誘いに乗ることなど無いと確信していた。
何より妻は私を愛してくれていて、私を裏切る事などあり得ないと思っていたが、その妻が私を裏切って青山に抱かれている。
いったい何があったのだ。
私は青山との関係を問い質したかったが、今の妻が素直に認める事は考えられず、下手をすれば逆に私の女性関係を責められて、罵倒し合って更に関係が拗れるだけだろう。
言い逃れ出来ない証拠を得たいと思った私は、あえて封筒に書かれていた、私を調べた興信所に行ってみた。
--------------------
「誰に依頼されて調べたかは言えません」
「言えないと言う事は、頼みに来たのは妻ではないのですね?青山という男ではありませんか?」
見たところ50歳前後の、ここの所長だと名乗る男は困った顔をした。
「ご主人を調べた経緯は話せませんが、仕事ですから奥様の調査は させて頂きます」
調査費用の事もあり、毎日のように会っているので、3日も調べてもらえば十分だと思って依頼すると、やはり妻は青山と二人だけで会っていた。
最初の日は帰って来たのが午前様だったので、青山と会っているのは分かっていたが、報告書を見るとやはり青山と会って食事をして、その後ラブホテルに行っている。
次の日は早く帰っていて何事も無く、最後の日も早く帰ってきて夕食の支度をしていたので安心していたが、この日の妻は午前中に会社を出て仕入先に出向き、昼に青山と落ち合って食事をした後、有ろう事か昼間から郊外のラブホテルに入っている。
それも4時間も。
「これはどうなっているのですか?」
所長は不思議そうな顔をする。
「何がです?」
「本当は話せないのですが、青山さんは奥様の従兄だと言って依頼に来られました。
ご主人が浮気している様なので、従妹が可哀想で仕方ないと言って。
しかし その青山さんと奥様が・・・・・・」
私は事の経緯を、最初から全て話した。
「ご主人と木下さんが浮気?私どもの報告書は見られました?」
「いや。写真だけで、報告書は持っていなかった」
「ゴミ置き場で会われた時も、他人行儀だったと聞いています。
出張の時も、ロービーでの会話から偶然会ったのは明らかでしたし、居酒屋から帰られてから彼女の部屋におられたのは15分ほどだったので、今回の調査では不貞行為は確認出来なかったと書きました」
青山は妻に写真だけを渡し、いかにも私が浮気しているかのように説明したのだろう。
「今夜この証拠を突きつけて、妻を問い質してみます」
しかし、所長は腕を組んで頭を傾げる。
「それはどうですかね。奥様は完全にご主人を疑っておられる。
あなたも浮気しているのに、私も浮気して何が悪いと開き直る確率が高いのでは?
自分の証拠を突きつけられて逃げ場を失い、どうにも引き返せなくなって、このまま離婚を主張する事も考えられます。
最悪、家を出て、男の所に行かれる事も」
>>次のページへ続く
妻は社長の青山に気に入られて、正社員になれたのではないかと。
私は直接会った事はないが、青山の事は妻の話によく出ていた。
時々仕入先などに付き合わされている事も知っている。
パートを合わせても社員20人ほどの小さな会社で、いくら仕事だと言っても社長が連れ回すのはおかしいと思った事もあり、二人の仲を嫉妬した事もあったが、今までの妻は何でも私に話してくれて、仕事以外の付き合いは無い事が分かっていた。
仮に青山に誘われたとしても、妻に限って誘いに乗ることなど無いと確信していた。
何より妻は私を愛してくれていて、私を裏切る事などあり得ないと思っていたが、その妻が私を裏切って青山に抱かれている。
いったい何があったのだ。
私は青山との関係を問い質したかったが、今の妻が素直に認める事は考えられず、下手をすれば逆に私の女性関係を責められて、罵倒し合って更に関係が拗れるだけだろう。
言い逃れ出来ない証拠を得たいと思った私は、あえて封筒に書かれていた、私を調べた興信所に行ってみた。
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「誰に依頼されて調べたかは言えません」
「言えないと言う事は、頼みに来たのは妻ではないのですね?青山という男ではありませんか?」
見たところ50歳前後の、ここの所長だと名乗る男は困った顔をした。
「ご主人を調べた経緯は話せませんが、仕事ですから奥様の調査は させて頂きます」
調査費用の事もあり、毎日のように会っているので、3日も調べてもらえば十分だと思って依頼すると、やはり妻は青山と二人だけで会っていた。
最初の日は帰って来たのが午前様だったので、青山と会っているのは分かっていたが、報告書を見るとやはり青山と会って食事をして、その後ラブホテルに行っている。
次の日は早く帰っていて何事も無く、最後の日も早く帰ってきて夕食の支度をしていたので安心していたが、この日の妻は午前中に会社を出て仕入先に出向き、昼に青山と落ち合って食事をした後、有ろう事か昼間から郊外のラブホテルに入っている。
それも4時間も。
「これはどうなっているのですか?」
所長は不思議そうな顔をする。
「何がです?」
「本当は話せないのですが、青山さんは奥様の従兄だと言って依頼に来られました。
ご主人が浮気している様なので、従妹が可哀想で仕方ないと言って。
しかし その青山さんと奥様が・・・・・・」
私は事の経緯を、最初から全て話した。
「ご主人と木下さんが浮気?私どもの報告書は見られました?」
「いや。写真だけで、報告書は持っていなかった」
「ゴミ置き場で会われた時も、他人行儀だったと聞いています。
出張の時も、ロービーでの会話から偶然会ったのは明らかでしたし、居酒屋から帰られてから彼女の部屋におられたのは15分ほどだったので、今回の調査では不貞行為は確認出来なかったと書きました」
青山は妻に写真だけを渡し、いかにも私が浮気しているかのように説明したのだろう。
「今夜この証拠を突きつけて、妻を問い質してみます」
しかし、所長は腕を組んで頭を傾げる。
「それはどうですかね。奥様は完全にご主人を疑っておられる。
あなたも浮気しているのに、私も浮気して何が悪いと開き直る確率が高いのでは?
自分の証拠を突きつけられて逃げ場を失い、どうにも引き返せなくなって、このまま離婚を主張する事も考えられます。
最悪、家を出て、男の所に行かれる事も」
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