戦い
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「恥ずかしかったんです。あんな物で感じる私を見られるのが恥ずかしくて、知らぬ内に声を出さない様に我慢してしまいました。」
「あいつには全て曝け出せるのに、俺には出来ないと言うことか?」
「ごめんなさい。良く分かりません。何故か恥ずかしくて。ごめんなさい。」
よく、浮気相手には、妻に出来ない行為も出来ると聞きますが、私には気を許せず、野田には許していたと言われている様で良い気はしませんでした。
「手を少し縛っただけで急に変わったが、縛られると感じるのか?」
「・・・・・恥ずかしいから・・・・・嫌です・・・・・でも・・・・・なぜか・・・・・・・。」
「あいつには、もっと色んな格好に縛られたり、もっと色々な事もされたんだろ?」
妻は小さく頷きました。
「スキンを付けるに慣れていたが、あいつにさせられていたのか?美鈴が上の時、腰の使い方が以前と違っていたが、あいつに教えられたのか?」
また妻は腕の中で小さく頷きました。
ただの不倫では無く、妻が野田に色々教え込まれ、今までと違う快感を覚えてしまった事を目の当たりにして、野田に対して発覚当初以上の怒りが戻って来ました。
私が どうして妻と1つになる事が出来たのか何も知らない妻は、これで私とやり直せる望みが出来たと思ったのか、まだ意識が朦朧としていて今の状況が分からないのか、
その後、ローソクを使ったり鞭などで叩かれたりする様な、過激な行為は されなかった事や、後ろへ指は入れられた事はあっても 野田の物は受け入れていない事など、私が知りたかった疑問に、素直に答えました。
「あいつは無言で そんな行為をしていたのか?」
「・・・・・いいえ・・・・・・・・・・。」
「色々言ってきて、美鈴にも恥ずかしい事を言わせるのか?何を言わされた?」
妻は、最初頷いただけで、流石に内容までは話しませんでした。
朝食を終えた時、あの仲居さんが近くに来て、小さな声で。
「旦那様・・・・・・とお呼びしていいのかな?昨夜はどうでした?」
「ああ。そう呼んでいいぞ。本当は俺が亭主なんだ。」
「えっ・・・・・・・・・・・・。」
その後、仲居のおばさんは私を避け、何も話し掛けて来ませんでした。
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9月1日(月)
昨夜の内に最終の新幹線で戻り、今日は転勤前の引継ぎなどで、大忙しだった為に流石に疲れました。体力の衰えを痛感し、旅行に出かけた時期が悪かったと反省しています。
私は、お湯に浸かるのが好きなのですが シャワーで済ませ、缶ビールを飲んでいると電話が鳴ったので、野田からだと思いました。
それと言うのも、野田に対して、旅行に行くほど夫婦仲は回復していると思わせたかったのと、私が戻ってくる事を話せる切欠になればと思い、昨日の帰りに みんなで分けられるお土産を買って、妻に持たせたからです。
その様な訳で、野田がまだ妻の事が好きなら、たとえ相手が亭主とはいえ、身体の関係を持たれるのは悔しいと思い、電話をして来る様な気がしていましたが、受話器を取ると やはり思ったとおり野田の声が聞こえました。
「私の教えた通り旅館に行って来たそうだな。
美鈴さんがみんなに渡していたお菓子を、私も1つ頂いたよ。
それに本社に帰れるそうで良かったな。
私達が行った温泉に行って来たらしいが、どこの旅館に泊まった?
浴衣はいいだろ?気分が変わって夫婦関係も持てたようだな。
美鈴さんが先週より明るくなった様な気がしたから、私にはすぐに分かった。」
野田はまだ諦めておらず、妻を毎日の様に観察していたのでしょう。
「それと、もう1つ忠告しておいてやるが、関係を持てたぐらいで安心するな。
美鈴さんは私との事を思い出していたのかも知れないぞ。まだ忘れられるはずが無い。
どの様な事かは聞いているだろ?美鈴さんに色々してもらったか?」
野田は、自分がそうだった様に、私も妻と関係がもてる筈が無いと高を括っていたのでしょう。いつもより強い口調から、悔しさが伝わって来ます。
野田が妻を自分の物にしたいが為に、私に対抗心を持つのは分かります。しかし、以前から、妻への思いより、私に対する対抗心の方が、強いように感じていました。
「妻は、改めて俺しか駄目だと分かったそうだ。同情だけで、他には何も無かった事が分かったそうだ。
妻の浮気相手が、女に同情される様な、俺より劣った情けない男で良かったよ。
それより、お前の方は どうなんだ?別れた奥さんと少しは上手く行く様になったのか?
あの奥さんの調子だと駄目だろうとは思うが、まだ未練が有るのだろ?」
「未練なんて全く無い。私から離婚を望んだのだ、それとこの間、美代子と、さも何か有った様な口振りだったが、何もなかったようだな?」
野田は、離婚した現実に慣れて来たのか、妻と言わず名前で言うようになっていました。
名前を聞いた事は有ったのですが、気にもしていなかった為に忘れていて、この時 美代子という名前だった事を思い出しました。
「美代子が そう言っていたのか?済まん、呼び捨てにしてしまった。あっ、いいのか。お前とはもう関係が無いのだったな。」
「・・・・・・・・・・・何も聞かないが、長年連れ添った私には、顔を見ただけで分かる。」
「不倫されていても、すぐ分からなかったのに?まあ、その事に関しては俺も人の事は言えないが。
そう思いたいのなら、それでいいじゃないか。
どちらにしても、別れたお前には もう関係の無い事だ。」
「私には、関係ないが、そんな事をして私達みたいにならない様に、あんた達の事を思って言っただけだ。
一緒に住む様になったからと言って、油断していると知らないぞ。
あんたと身体の関係が戻った事で、逆に私との事を思い出さなければいいが。」
電話をしている時は、意地になってしまいますが、本当に幼稚な言い合いです。野田と私は似ているのかも知れません。
この様な事をわざわざ電話して来て、警戒心を持たれるのは得策とは思えません。それでも何か言わなければ気が済まないのでしょう。
そう思っていても、野田の最後に言った言葉は、やはり気になります。
野田に対する好きという感情は、もう無いと信じたいのですが、仮に愛情が完全に無くなっていても、野田との快楽を思い出し、危ない橋を渡ってまで、人生を掛けてまで、また関係を持ってしまうという事が、実際に有るのでしょうか。
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9月5日(金)
月曜日から本社勤務になるので、明日引越しをする為に、毎晩少しずつでも大事な物を整理しようと思っていましたが、
あれから妻達のしていた事が気になり、帰るとパソコンの前に座り詰めで、不倫の事やSMの事ばかり調べていて何も出来ませんでした。
業者の方が全てしてくれるので、何もしなくても良いと言われたのですが、やはり大事な物だけは自分で梱包しようと、最後の挨拶を午前中で済ませ、昼には退社させてもらったお蔭で、夕方には大事な物の整理も終わり、缶ビールを横に置きながら、またパソコンに向かってしまいました。
全て本当なのかは分かりませんが、その様なページには、愛情に関係無く、その様な行為を楽しんでいる方が沢山おられ、不安は増すばかりです。
写真が有るページでは、そこに写っている女の人が妻に見え、悔しさと寂しさを覚えますが、美代子さんもこの様な事をされていたかと思うと、興奮も有って複雑な心境です。
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9月6日(土)
流石に業者の方は、手早く、午後4時には全て家の中に納まりました。
少しの間離れていただけで、それも時々帰っていたのに、今日からここで生活するかと思うと何か新鮮な感じがします。
一週間ぶりに会った妻は、先週私と1つになれた為か、以前ほどでは無いのですが 明るくなっていました。
明るい妻を望んでいたはずなのに、まだ妻を許す事が出来ない私は、明るくされたら、されたで、もうこれで今回の事は終わったと思っていないかと、良い気持ちはしませんでした。
私は、自分でも どうしたいのか分かりません。
夜になり、妻は、私のベッドに入って来て抱き付いてきました。
もう二度と妻を他の男に行かせたく無いので毎晩でも抱きたいのですが、やはり旅先と違い、現実に裏切られた事を思うと抱く気になれません。
美代子さんを思い出してするという、あの時に使った手もする気になれず、引越しの疲れを理由に断りました。
妻の行為は、ただの性欲からかも知れませんが、私との絆を深めたいと思ってしているとすれば、このままでは駄目だと思い直し、寂しそうな顔で自分のベッドに戻ろうとしている妻を、引き寄せてキスしてから、
「美鈴、俺の今の気持ちを正直に話すから、お前も話して欲しい。
俺は、まだ美鈴の事を許してはいない。勿論 許すように努力しているし、元の夫婦に戻りたいと思っている。
でも、まだ お前と野田の事を思い出して身の置き場が無くなる時が有る。悔しくて眠れない時も有る。
先週は旅先と言う事もあって、お前を抱く事が出来たが、現実に戻ると、やはりお前があいつに抱かれている姿が浮かんでしまう。
あいつに縛られて喜んでいるお前の顔が浮かんでしまう。
俺もお前を抱きたい。抱いてお前の温もりを感じたい。
でも駄目なんだ。
お前はどうだ?俺が抱いてやれないと我慢出来ないか?また他の男に走りそうになるのか?野田との関係が戻りそうになるのか?」
今の気持ちを正直に話そうと思いましたが、他の女の人を思い浮かべてしていた事は話せませんでした。
「ごめんなさい。ごめんなさい。
あなたを裏切る事はもうしません。それだけは何があってもしません。
・・・・・・・ただ・・・・・・・淫乱な女だと思われるかも知れないけど、気持ち良くなりたい時があります。
・・・・・・・正直な気持ちです。ごめんなさい。」
「そうか。お前はくだらない事と思うかもしれないが、凄く気になっていた事がある。美鈴にとって答え難い事だと思うが、どうしても知りたい。」
「・・・・・・・・・何ですか?」
>>次のページへ続く
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