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戦い
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「離婚だけは許して下さい。家政婦でもいい。ここにいたいです。

あなたが好きです。お願いします。離婚だけは・・・・・・。

彼とは別れます。忘れるように努力します。」


「忘れるように努力する?何だそれは。もういい。」


「ごめんなさい。あなたに悪いと思いながらも、正直に話しました。もう二人では絶対に会いません。ごめんなさい。ごめんなさい。」


「お前は、あいつのどこに惹かれた?セックスか?あいつは上手いのか?」


「違います。

最初、昨年の忘年会が終わってから、聞いて欲しい事があると言われて、二人で喫茶店に行きました。

彼は奥様が浮気してから奥様を許せない事、それでも まだ愛していて別れる事が出来ない事を打ち明けてくれました。

彼は、仕事も出来、人望もあって 強い人間だと思っていました。決して人前では弱みをみせませんでした。

その彼が私の前では涙まで流し、気がおかしく成ってしまいそうだから 助けてくれとまで言いました。

その後、何度か仕事が終わってから、悩みを聞いてあげる様になり、次第に関係も持つようになってしまいました。

彼には 以前から憧れの感情は持っていました。でも、それは、愛情とは違い、仕事が出来る強い男への憧れでした。

でも 私だけに弱みを見せてくれる彼を助けてあげたい、心がいっぱいになった時は、少しでも楽にしてあげたいと思って会っている内に・・・・・・・・・・・・。ごめんなさい。」


「それが愛情だろ?愛してしまったのだろ?そうでないと俺を裏切ってまで旅行に行くか?」


「いいえ、愛しているのは あなた1人です。旅行に誘われてから、あなたに優しくされて、自分が嫌で仕方がありませんでした。

もう この様な関係は止めなければと思いながらも、会いたい誘惑に勝てず、あなたに申し訳ないと思いながらも・・・・・・・・。」


妻の言う意味が私には理解出来ません。二人の男を好きになったと思い。
「会いたいという事は好きという事だろ。俺との関係は そのままで 恋人にも会いたい。それが許せると思うか?

あいつを助けるために 俺をあいつと同じ目に合わせたと言う事は、俺より好きなんだろ?

あいつとはセックスをして、俺には させなかったと言う事は、そういう事だろ?」


「ごめんなさい。ごめんなさい。

彼を嫌いではありません。いえ、好きです。

でも愛情とは違います。愛しているのはあなただけです。

あなたを拒んだのも罪悪感からです。

彼に抱かれた身体であなたに抱かれる事は、あなたに悪くて出来ませんでした。

あなたに誘われる度に罪悪感で おかしく成りそうでした。

ごめんなさい。ごめんなさい。」



「お前の話は、到底理解できん。

あいつに抱かれる時に罪悪感を持つのが普通だろ。

言い訳しても、結局は、あいつに抱かれたかっただけだろ?

このまま安定した生活を送りたいが、好きな人に抱かれたい。

好きな人に抱かれた身体を、好きでも無い俺に触られたくない。

そうだろ?そんなに俺を苦しめて楽しいか?面白いか?

離婚しても お前とあいつだけは、絶対に幸せにはしない。幸せになりそうな時は、あいつを殺してでも お前を後悔させてやる。絶対に許さん。」


「そんな事言わないで。ごめんなさい。殺すなんて、そんな怖い事言わないで。離婚なんて言わないで。ごめんなさい。ごめんなさい。」


その後、泣き続けていた妻は、簡単な夕食を作りましたが、自分は食べませんでした。

二人を別れさせる事は出来ても、気持ちまでは縛れない事に苛立ちます。

話を聞けば 余計辛くなっても、妻と話していないと 本当におかしく成ってしまいそうで、少し落ち着いた妻に。

「あいつは離婚して、お前と一緒になるつもりだったのか?」


「それはありません。私の事を好きだと言ってくれましたが、彼も愛しているのは奥様だと思います。

最近になって“妻に裏切られ悩んだが、俺も他に好きな人が出来た事で、妻との関係も良くなってきた。”と言っていましたから。」


「俺をこんな目に合わせて、自分は楽になったのか?そんな事は許さない。ぶち壊してやる。」


「お願いですから止めて下さい。私はどの様な罰も受けます。一生懸命償います。ですから、お願いします。お願いします。」


まだ野田を庇う妻に怒りが増し。

「お前、あいつの事を知っているのか?

今度の事も お前と先生に罪を被せて、自分だけ助かろうとしていた卑怯な奴だぞ。

そんな奴と俺を比較されるだけでも頭にくる。」


「知っていました。先生をまだ憎んでいて、許せず利用した事も、自分は逃げようとした事も。

そこが彼の弱さです。卑怯だと分かっていても・・・・・・・・。」


妻は、何か熱病にでも罹っているような状態で、私は理解に苦しみました。


「下種な質問をするが、お前は抱かれて感じたのか?あいつの物を咥えたのか?何度も絶頂の声を上げたのか?

手首が赤くなっていたが、縛られるような行為もしていたのか?それも感じたのか?

俺にばれなければ、まだ二人で会っていたと思うか?」


大粒の涙を流しながら全てに頷く、妻を見て、無意識に右手を振り上げてしまいましたが、殴られる覚悟で目を閉じた妻を殴る事は出来ずに 手を下ろすと。
「ごめんなさい。あなたをこんなに苦しめて。許して下さい。私は殺されても文句言えません。

私が一緒にいると、あなたを苦しめてしまう。あなたが楽なら離婚してもいいと今思いました。

離婚されても、殺されても仕方が無い人間です。ごめんなさい。ごめんなさい。」


離婚や死ぬ覚悟までした妻を、どうしたら良いのか分からず途方に暮れました。

--------------------

5月21日(水)

あれから妻と言葉を交わす事はありませんでしたが、昼に野田から電話で、午後6時に来たいと連絡があり、妻に。

「色々考えたが、離婚はしない事にした。」


「ありがとう。ごめんなさい。もうしません。」


「勘違いするな。お前を許した訳では無い。離婚してお前が幸せになる事が許せないだけだ。

離婚すれば大手を振ってあいつと楽しむつもりだろ?

一生手元に置いて償わせてやる。一生苦しめて後悔させてやる。もう妻とは思わない。」


「それでもいいです。あなたが少しでも楽になれるなら、どの様な事をされてもいいです。あなたが側にいる事を許してくれれば、私は側にいたいです。」


野田は時間通りに来て、部屋に通すとすぐに土下座して謝っています。


「どうするか考えて来たか?俺も考えたがお前から話せ。」


「もう二度と二人で会わない事と、仕事以外は連絡しない事を約束します。

誓約書も書きます。それと慰謝料として、前回お支払いしたのと合わせて百五十万お支払いします。

これでどうかお許しを頂きたいのですが。」


「25回したとして6万か。おい美鈴、お前を1回6万で買ってくれたぞ。」


「そういう意味では・・・・・・。すみません。」


「それはいいが、前回?あれは先生が、もう妻には会わないと言って払った分だ。

誓約書もある。何か勘違いをしていないか?

まさか自分の不倫を人に身代わりさせる様な、汚い人間はいないだろ?

それとも、好きだと言いながら好きな人を放り出して、自分だけ助かろうとしたのか?」


「すみません。そのとおりです。卑怯な人間なのです。」


「まあいい。どちらにしても そんな条件では納得出来ない。お前は何歳だ?それと奥さんの歳も教えろ。」


「私は49歳で妻は40歳です。それよりどうすれば許して頂けるのでしょう。」


「俺の条件か?それは奥さんだ。お前は、奥さんに浮気されて苦しんだ。でも妻を抱いて苦しみが減った。

そうだな?俺は今お前と同じ心境だ。とても苦しい。

そうかと言って、お前の様に他人の家庭を壊してまで楽になりたいとは思わない。

また美鈴のように誰にでもすぐに股を開く女はそうはいない。

でも俺も浮気をして楽になりたい。

意味が分かるだろ?金はいらない。百五十万円分、お前の奥さんを買ってやる。

ただ顔と身体を見るまでは、25回になるのか100回になるのかは決められない。

今すぐにここに呼べ。それ以外の条件は飲めない。」


勿論、私にその様な気はありません。

ただ、妻からまだ奥さんを愛していると聞いて、野田が嫌がる事を言いたかっただけです。


>>次のページへ続く
 
 


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