戦い
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しかし美鈴は他の男も見ていた。人の心までは縛れない。
美鈴の心までは どうする事も俺には出来ない。
それでも我慢出来ないんだ。
それともう1つ。下品な話だが、美鈴のあそこは俺だけの物だった。そこに他の男が入った。
美鈴の絶頂を迎える時の顔や声は、俺にしか見せないはずだった。それをあの男にも見られた。
女のお前に理解出来るかは分からんが、その事もどうしようも無く辛い。
ただの独占欲かも知れないが、気が狂いそうなほど辛い。
お前に分からなくても、あの男は その辛さを知っているはずだ。知っていながら自分の事しか考えずに俺を傷つけた。
俺にあと少しの勇気があれば、今の生活を捨てられる勇気があれば、包丁で刺していただろう。
プラットホームで俺の前に立っていたら、電車が来る寸前に背中を押すと思う。
お前に俺の気持ちが分かるか?」
「ごめんなさい。ごめんなさい。そんなに苦しめてごめんなさい。
取り返しの付かない事をしてしまいました。許して下さい。
あなたが言ったように、もう一生楽しい事が無くてもいい。
許して下さい。お願い。お願いします。」
「お前が あの男を忘れられないのと同じで、何を言われても、何回謝られても今は許せない。許せる時が来るのかどうかも分からない。
1つ言える事は、あの男だけは一生許さん。許す気もない。これから一生復讐を考えながら生きて行くと思う。きっと復讐の機会を伺いながら生きて行くだろう。
野田が先生に罪を被せたのも、復讐の1つだと思う。もしもの時の為に復讐と保身の一石二鳥を早くから考えていたに違いない。
あの男が今も先生を許せないのと同じで、俺もこれからずっと復讐を考えながら生きて行く。
俺だって そんな人生は送りたくない。そんな人生は嫌だ。
でも 誰がそうさせた?誰が悪い?俺か?俺がお前達の関係を認めて、笑っていれば良かったのか?
俺だってこんな人生・・・・・・・・
・・・・・・もういい、服を着ろ。」
「あなたの これからの人生を駄目にしてしまった。こんなにも苦しめてしまった。
私はどうしたらいいの?どうしたらあなたの心を楽に出来るの?
一生復讐を考えて生きるなんて、そんなあなたにしてしまった私は、どうやって生きていけばいいの?
ごめんなさい。許して下さい。
忘れます。彼の事は忘れます。あなただけを見て生きて行きます。
だから許して。許して。」
「簡単に忘れると言うが、それなら どうしてもっと早く忘れなかった?
忘れようとしても忘れられなかったのだろ?
今はそう言うだけで、簡単に忘れる事は出来無いだろ?
それと同じだ。俺にどの様な復讐が出来るのかも分からん。
ただ、今の俺の正直な気持ちだ。」
寝室に戻り、今後の事をずっと考えていました。
その時 携帯が鳴り、見ると私の会社からでした。
「ここ何年か一度も有給を取っていなかったので、日曜まで休みを貰っていたが、明日どうしても出社して欲しいと頼まれたから、俺は今夜の新幹線で戻る。
美鈴も仕事を辞めさせて連れて行くつもりだったが、ここに残って会社に行け。
情けない話だが、子供を2人共 私大に入れてアパート暮らしをさせる事が出来たのも、お前の収入もあったからだ。
今の会社を辞めて違う仕事を探しても、今の収入は無理だろう。
でも、それだけでは無い。
一緒に暮らしても俺は お前を24時間監視する事は出来ないから、会おうと思えば会える。
結局、お前の気持ちが変わらなければ同じだ。
身体の関係は勿論だが、心の繋がりが無くならなければ同じだ。
昔の歌にもあったが 逢えなくなって尚更募る恋心という事もある。
毎日仕事で顔を合わせて、それでも何の感情も無くなれば本物だと思う。
お前とあの男が毎日顔を合わせる事は正直辛い。しかし、自分でも甘いと思うが、お前の気持ちが変わる事を信じようと思った。
今の気持ちに切りを付ける為なら あいつと2人で話をしてもいい。
ただ甘い言葉や、身体の関係は許さん。そうは言っても隠れてホテルに行く事は出来るがな。
でも、もうこれ以上 俺の人生を辛い物にしないでくれ。またそうなった時は、今度は復讐だけの人生になってしまう。他には何も無くなってしまう。
結局、物理的に引き離す事は出来ても、美鈴の気持ちが俺だけに無いと、この問題は 俺の中で解決しない。
悔しいが美鈴の心までは どうにもならない。美鈴に任せるしかない。」
「もう二度と裏切りません。また信じてくれるあなたを裏切る事はしません。
ごめんなさい。ごめんなさい。
必ず、あなただけを見られる様になります。私も昔の様にあなただけを見ていたい。
ごめんなさい。ごめんなさい。」
--------------------
5月31日(土)
昨夜から妻が来ています。先週も金曜の夜に来ました。
妻からの申し出で、今までとは逆に、たまに私が帰り、後は、金曜の仕事が終わり次第妻が来るようです。
俺だってこんな人生・・・・・・・・
・・・・・・もういい、服を着ろ。」
「あなたの これからの人生を駄目にしてしまった。こんなにも苦しめてしまった。
私はどうしたらいいの?どうしたらあなたの心を楽に出来るの?
一生復讐を考えて生きるなんて、そんなあなたにしてしまった私は、どうやって生きていけばいいの?
ごめんなさい。許して下さい。
忘れます。彼の事は忘れます。あなただけを見て生きて行きます。
だから許して。許して。」
「簡単に忘れると言うが、それなら どうしてもっと早く忘れなかった?
忘れようとしても忘れられなかったのだろ?
今はそう言うだけで、簡単に忘れる事は出来無いだろ?
それと同じだ。俺にどの様な復讐が出来るのかも分からん。
ただ、今の俺の正直な気持ちだ。」
寝室に戻り、今後の事をずっと考えていました。
その時 携帯が鳴り、見ると私の会社からでした。
「ここ何年か一度も有給を取っていなかったので、日曜まで休みを貰っていたが、明日どうしても出社して欲しいと頼まれたから、俺は今夜の新幹線で戻る。
美鈴も仕事を辞めさせて連れて行くつもりだったが、ここに残って会社に行け。
情けない話だが、子供を2人共 私大に入れてアパート暮らしをさせる事が出来たのも、お前の収入もあったからだ。
今の会社を辞めて違う仕事を探しても、今の収入は無理だろう。
でも、それだけでは無い。
一緒に暮らしても俺は お前を24時間監視する事は出来ないから、会おうと思えば会える。
結局、お前の気持ちが変わらなければ同じだ。
身体の関係は勿論だが、心の繋がりが無くならなければ同じだ。
昔の歌にもあったが 逢えなくなって尚更募る恋心という事もある。
毎日仕事で顔を合わせて、それでも何の感情も無くなれば本物だと思う。
お前とあの男が毎日顔を合わせる事は正直辛い。しかし、自分でも甘いと思うが、お前の気持ちが変わる事を信じようと思った。
今の気持ちに切りを付ける為なら あいつと2人で話をしてもいい。
ただ甘い言葉や、身体の関係は許さん。そうは言っても隠れてホテルに行く事は出来るがな。
でも、もうこれ以上 俺の人生を辛い物にしないでくれ。またそうなった時は、今度は復讐だけの人生になってしまう。他には何も無くなってしまう。
結局、物理的に引き離す事は出来ても、美鈴の気持ちが俺だけに無いと、この問題は 俺の中で解決しない。
悔しいが美鈴の心までは どうにもならない。美鈴に任せるしかない。」
「もう二度と裏切りません。また信じてくれるあなたを裏切る事はしません。
ごめんなさい。ごめんなさい。
必ず、あなただけを見られる様になります。私も昔の様にあなただけを見ていたい。
ごめんなさい。ごめんなさい。」
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5月31日(土)
昨夜から妻が来ています。先週も金曜の夜に来ました。
妻からの申し出で、今までとは逆に、たまに私が帰り、後は、金曜の仕事が終わり次第妻が来るようです。
あの時は、偉そうに言ったのですが、妻を残して来た事で毎日夜になると妻を疑い、2人が仲良くベッドで話をしている光景が浮かび、辛い日々を過ごしていました。
妻に色々と聞きたいのですが、話せば おそらく嫌味を言ってしまうので、妻とは必要最小限の会話しかしません。
その事で、妻も笑顔を見せずに、暗い表情で何か考え込む事が多く、更に その事で私は、あの男の事を考えているのでは無いかと勘ぐり、悪循環から抜け出せません。
以前は、綺麗な花を見掛けただけでも、笑いながら2時間も その事で話が出来たのですが、そのような日々は、もう来ないのでは無いかと思ってしまいます。
--------------------
6月1日(日)
野田とは、月初めの日曜に、慰謝料を持って来させる約束をしていたので、初めての慰謝料を、約束どおり午前中に持って来ました。
殴る約束をしていたのですが、妻に その様な姿をもう見せたく無いので、それはしないつもりでした。
しかし、野田の謝る姿を見せるために妻を玄関に呼び、野田が入ってきて顔を見ると怒りが込み上げ、鳩尾を思い切り殴ってしまいました。
その瞬間、野田ではなく妻が声を上げ、野田は殴られた所を押えて屈み込みましたが、妻が どう思ったかは気になっても、野田に対しての罪悪感はありません。
無いどころか、まだ殴り足りない自分を怖く感じました。
野田は、玄関の土間で土下座して謝り、お金を手渡すと足早に帰って行きました。
妻を見ると、野田に対する同情からか、こんな私にしてしまった罪悪感からかは分かりませんが、涙を流しています。
涙の訳を聞きたいのですが、怖くて聞けません。
妻に対しても、当然まだ怒りがあるのに、妻に悪く思われなかったか気にしている、情けない私がいます。
顔を見れば殴ってしまうので妻を気にして、来月から振込みにさせようかと考えてしまう、情けない私がいます。
--------------------
6月27日(金)
仕事が終わると、新幹線に飛び乗り、久し振りに我が家に帰って来ました。
妻は、あれから毎週来てくれていたのですが、やはり妻も私も必要最小限の会話しか出来ずにいました。
今日着いてからも、挨拶を交わした程度で、私は、お風呂に入ってから、寝室でテレビをぼんやりと見ていたのですが、しばらくすると、風呂上りの妻が私のベッドの足元に座り、深刻そうな顔で話し出しました。
「今日仕事が終わってから、あれから初めて課長と2人で話をしました。ごめんなさい。」
「お前の気持ちに切りを付けるためなら話してもいいと言ったが、どこでどの様な話をした?」
「喫茶店では あなたに悪いと思ったので、駅のベンチで10分ほど話しました。本当です。」
「いや、疑ってはいない。2人で話をしても隠しておけば、俺には分からない事だから。それを話してくれると言う事は、正直に話しているのだと思う。」
「ありがとう。あれから毎晩1人で色々考えました。そして分かった事は、仕事が出来る課長に対しての憧れと、同情から付き合っていたのだと分かりました。
課長は女子社員に人気があります。課長に憧れている若い女子社員も多いです。
そんな課長にとって私は特別な人間であり、課長を救えるのは私しかいないという優越感もありました。やはり愛情では無いと知りました。
愛しているのはあなた1人だと言う事も再確認出来ました。愛している人に、なんて酷い事をしてしまったのだと悔やみました。
会社で毎日顔を合わせても、お互いに変な意識があったので、それが嫌で、もう課長と2人で会っても大丈夫だと思った私は、この事を打ち明けて気持ちを切り替えようと思いました。
課長は、分かってくれたのですが、その時に課長から、あの後、奥様は子供を連れて実家に帰り、ずっと話し合いを続けてきたけれど、離婚する事になったと聞かされました。
来週離婚届けを出すそうです。
それを聞き・・・・・・・私・・・・・・・。」
「美鈴、どうした?また可哀想になって付き合いたくなったか?
自分も離婚して責任を取り、あいつと一緒になって助けてあげたいと思ったのか?」
「違います。課長と付き合う事は、もう絶対にありません。あなたと別れたくありません。
ただ、同罪の私だけ・・・・・このままでいいのかと・・・・。
課長の奥様は、私に対して、慰謝料も請求して来ませんでした。
私はこのままで・・・・・・課長だけ・・・・・・・・・・・・。」
>>次のページへ続く
妻に色々と聞きたいのですが、話せば おそらく嫌味を言ってしまうので、妻とは必要最小限の会話しかしません。
その事で、妻も笑顔を見せずに、暗い表情で何か考え込む事が多く、更に その事で私は、あの男の事を考えているのでは無いかと勘ぐり、悪循環から抜け出せません。
以前は、綺麗な花を見掛けただけでも、笑いながら2時間も その事で話が出来たのですが、そのような日々は、もう来ないのでは無いかと思ってしまいます。
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6月1日(日)
野田とは、月初めの日曜に、慰謝料を持って来させる約束をしていたので、初めての慰謝料を、約束どおり午前中に持って来ました。
殴る約束をしていたのですが、妻に その様な姿をもう見せたく無いので、それはしないつもりでした。
しかし、野田の謝る姿を見せるために妻を玄関に呼び、野田が入ってきて顔を見ると怒りが込み上げ、鳩尾を思い切り殴ってしまいました。
その瞬間、野田ではなく妻が声を上げ、野田は殴られた所を押えて屈み込みましたが、妻が どう思ったかは気になっても、野田に対しての罪悪感はありません。
無いどころか、まだ殴り足りない自分を怖く感じました。
野田は、玄関の土間で土下座して謝り、お金を手渡すと足早に帰って行きました。
妻を見ると、野田に対する同情からか、こんな私にしてしまった罪悪感からかは分かりませんが、涙を流しています。
涙の訳を聞きたいのですが、怖くて聞けません。
妻に対しても、当然まだ怒りがあるのに、妻に悪く思われなかったか気にしている、情けない私がいます。
顔を見れば殴ってしまうので妻を気にして、来月から振込みにさせようかと考えてしまう、情けない私がいます。
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6月27日(金)
仕事が終わると、新幹線に飛び乗り、久し振りに我が家に帰って来ました。
妻は、あれから毎週来てくれていたのですが、やはり妻も私も必要最小限の会話しか出来ずにいました。
今日着いてからも、挨拶を交わした程度で、私は、お風呂に入ってから、寝室でテレビをぼんやりと見ていたのですが、しばらくすると、風呂上りの妻が私のベッドの足元に座り、深刻そうな顔で話し出しました。
「今日仕事が終わってから、あれから初めて課長と2人で話をしました。ごめんなさい。」
「お前の気持ちに切りを付けるためなら話してもいいと言ったが、どこでどの様な話をした?」
「喫茶店では あなたに悪いと思ったので、駅のベンチで10分ほど話しました。本当です。」
「いや、疑ってはいない。2人で話をしても隠しておけば、俺には分からない事だから。それを話してくれると言う事は、正直に話しているのだと思う。」
「ありがとう。あれから毎晩1人で色々考えました。そして分かった事は、仕事が出来る課長に対しての憧れと、同情から付き合っていたのだと分かりました。
課長は女子社員に人気があります。課長に憧れている若い女子社員も多いです。
そんな課長にとって私は特別な人間であり、課長を救えるのは私しかいないという優越感もありました。やはり愛情では無いと知りました。
愛しているのはあなた1人だと言う事も再確認出来ました。愛している人に、なんて酷い事をしてしまったのだと悔やみました。
会社で毎日顔を合わせても、お互いに変な意識があったので、それが嫌で、もう課長と2人で会っても大丈夫だと思った私は、この事を打ち明けて気持ちを切り替えようと思いました。
課長は、分かってくれたのですが、その時に課長から、あの後、奥様は子供を連れて実家に帰り、ずっと話し合いを続けてきたけれど、離婚する事になったと聞かされました。
来週離婚届けを出すそうです。
それを聞き・・・・・・・私・・・・・・・。」
「美鈴、どうした?また可哀想になって付き合いたくなったか?
自分も離婚して責任を取り、あいつと一緒になって助けてあげたいと思ったのか?」
「違います。課長と付き合う事は、もう絶対にありません。あなたと別れたくありません。
ただ、同罪の私だけ・・・・・このままでいいのかと・・・・。
課長の奥様は、私に対して、慰謝料も請求して来ませんでした。
私はこのままで・・・・・・課長だけ・・・・・・・・・・・・。」
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