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突然の海外赴任
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私は、稲垣の困る額が良かったのですが、あまり拘っても変に思われるので、結局1千万という事になりました。
この額ではあまり困らないとも思いましたが、最初からお金が欲しいわけでは無くて、稲垣を出し抜く事が出来れば、私の心も少しは癒されるのです。
私の考えている事は違法な事だと分かっています。
しかし、不倫と同じで発覚しなければ、なんら違法行為にはなりません。
これは妻に踏み絵をさせる意味も有り、妻さえ本当の事を言わなければ、ばれる可能性も無いと思うのですが、もしも妻が私を裏切り、犯罪者になった時は妻と稲垣に対して、本当の犯罪を起こしてしまうかも知れません。
私の口座に300万振り込まれた夜、妻に通帳を見せ、
「これを見てみろ。俺がこれだけ苦しんでいるのに、稲垣は300万振り込んで終わりにするそうだ。たったの300万だぞ。これならやった者勝ちだ。」
「ごめんなさい。」
「ごめんなさいだ?おまえは気楽でいいな。
まあ俺も考え方を変えれば、俺が遠くにいて使えない間の女房の穴を、300万で貸したと思えば得をしたのかも知れない。
もう おまえの穴は使う気にならないから、次の男を見つけて もう少し稼がせてくれ。返事は?」
勿論、私にその様な気持ちは無いのですが、流石に妻も こればかりは『はい』とは言えない様です。
「俺の苦しさが分かるか?違法行為をしたくせに今は法に守られている奴には、何も出来ない俺の辛さが分かるか?」
「私が悪いのです。ごめんなさい。」
「私が悪い?まだ奴を庇っているのか?」
「違います。そうでは有りません。」
いよいよ私の計画を妻に話す時が来ました。
「それなら俺の気持ちを少しでも楽にしてくれないか?俺の復讐を手伝ってくれないか?」
「復讐?」
「余計な事は聞かなくてもいい。おまえが言えるのは、はいと言うのか、いいえと言ってここを出て行くかだ。」
「はい・・・・お手伝い・・します。」
私が計画を話すと、妻の顔色が変わりました。
「そうだ。俺がしようとしている事は、完全な美人局だ。
智子さえ裏切らなければ、絶対にばれない犯罪だ。俺だって犯罪などしたくはない。
誰が俺に この様な事をしなければならない様にした?」
「・・・・・私です。」
早速 稲垣に電話をかけるように言うと、妻は電話の前までは行ったのですが、受話器を取ろうとはしません。
「俺のやろうとしている事はそんなに酷い事か?
長年俺を騙し続けていた事よりも酷い事か?
旦那が遠い国で、家族の為に一生懸命働いている間、他の男に抱かれて涎を垂らし、腰を振っていた事よりも酷い事か?」
妻は、ようやく私の指示通りに電話しましたが、話し方が余りにもぎこちなく、その上 途中で泣き出したので、ばれないか心配しましたが、それが返って稲垣の心を揺さぶったようです。
「奴を騙すのが泣くほど辛いか?俺を騙し、裏切る事は平気で出来たのに。」
「違います。」
「まあいい。それより奴は何と言っていた?」
「そんなに辛ければ離婚して、私の所に来いと言われました。」
「それが嬉しくて、嬉し泣きだったのか。」
「違います。あなたに、この様な事までさせてしまう事が辛かったのです。」
「本当か?それよりも金曜日はどうなった?」
「会う約束をしました。ただ、あなたに言われた様に彼のアパートでは無くて、ホテルのロビーで会う事になってしまいました。」
稲垣は、私を警戒しているのでしょうが、まさか妻が この様な事をするとは、微塵も思っていないはずです。
妻に無理やりさせている私でさえ、私の好きだった妻は、決してこの様な事は出来ない女だったと思っているのですから。
--------------------
稲垣の仕事の都合で、夜の8時に待ち合わせているのですが、まずはホテルか その近くで食事をするにしても、アパートで会うのとは違い、
その後の行動が読めない為に私が見失った時の事も考えて、どこかに移動する時は、その都度トイレからでも連絡を入れるように言って有りました。
2人で会わないという約束だったので、本来ならロビーに2人でいる所に乗り込めば充分なのですが、2人だけになった時に乗り込んだ方が、より効果が有ると思ったのです。
稲垣は警戒して、最初は辺りに気を配るだろうと思い、妻よりも少し遅れてホテルに行き、その後2人を尾行する計画だったので、
今日は定時に退社するはずが、この様な時に限って余分な仕事が入り、退社出来たのが8時になってしまいました。
しかし、少しはロビーで話をするだろうし、その後は食事に行くと思っていたので 安心していたところ、会社を出るとすぐに携帯が鳴り。
「彼に、このホテルに部屋をとっておいたので、今から そちらで話そうと言われましたが、私はどうしたら良いですか?」
平日でないと、出張に行っていて私が不在だと騙し難い事や、翌日が休みで金曜日の方が開放的になれる事などを考えて この日にしたのですが、それが裏目に出てしまい、計画を断念する事も考えました。
「それなら俺の気持ちを少しでも楽にしてくれないか?俺の復讐を手伝ってくれないか?」
「復讐?」
「余計な事は聞かなくてもいい。おまえが言えるのは、はいと言うのか、いいえと言ってここを出て行くかだ。」
「はい・・・・お手伝い・・します。」
私が計画を話すと、妻の顔色が変わりました。
「そうだ。俺がしようとしている事は、完全な美人局だ。
智子さえ裏切らなければ、絶対にばれない犯罪だ。俺だって犯罪などしたくはない。
誰が俺に この様な事をしなければならない様にした?」
「・・・・・私です。」
早速 稲垣に電話をかけるように言うと、妻は電話の前までは行ったのですが、受話器を取ろうとはしません。
「俺のやろうとしている事はそんなに酷い事か?
長年俺を騙し続けていた事よりも酷い事か?
旦那が遠い国で、家族の為に一生懸命働いている間、他の男に抱かれて涎を垂らし、腰を振っていた事よりも酷い事か?」
妻は、ようやく私の指示通りに電話しましたが、話し方が余りにもぎこちなく、その上 途中で泣き出したので、ばれないか心配しましたが、それが返って稲垣の心を揺さぶったようです。
「奴を騙すのが泣くほど辛いか?俺を騙し、裏切る事は平気で出来たのに。」
「違います。」
「まあいい。それより奴は何と言っていた?」
「そんなに辛ければ離婚して、私の所に来いと言われました。」
「それが嬉しくて、嬉し泣きだったのか。」
「違います。あなたに、この様な事までさせてしまう事が辛かったのです。」
「本当か?それよりも金曜日はどうなった?」
「会う約束をしました。ただ、あなたに言われた様に彼のアパートでは無くて、ホテルのロビーで会う事になってしまいました。」
稲垣は、私を警戒しているのでしょうが、まさか妻が この様な事をするとは、微塵も思っていないはずです。
妻に無理やりさせている私でさえ、私の好きだった妻は、決してこの様な事は出来ない女だったと思っているのですから。
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稲垣の仕事の都合で、夜の8時に待ち合わせているのですが、まずはホテルか その近くで食事をするにしても、アパートで会うのとは違い、
その後の行動が読めない為に私が見失った時の事も考えて、どこかに移動する時は、その都度トイレからでも連絡を入れるように言って有りました。
2人で会わないという約束だったので、本来ならロビーに2人でいる所に乗り込めば充分なのですが、2人だけになった時に乗り込んだ方が、より効果が有ると思ったのです。
稲垣は警戒して、最初は辺りに気を配るだろうと思い、妻よりも少し遅れてホテルに行き、その後2人を尾行する計画だったので、
今日は定時に退社するはずが、この様な時に限って余分な仕事が入り、退社出来たのが8時になってしまいました。
しかし、少しはロビーで話をするだろうし、その後は食事に行くと思っていたので 安心していたところ、会社を出るとすぐに携帯が鳴り。
「彼に、このホテルに部屋をとっておいたので、今から そちらで話そうと言われましたが、私はどうしたら良いですか?」
平日でないと、出張に行っていて私が不在だと騙し難い事や、翌日が休みで金曜日の方が開放的になれる事などを考えて この日にしたのですが、それが裏目に出てしまい、計画を断念する事も考えました。
しかし、妻から悩みを聞いて欲しいと言っておいて、ここで不自然に妻が帰ると言い出しては、稲垣は警戒して、もうチャンスは無くなるかも知れません。
「奴の言う通りにしろ。但し、奴が迫ってきても上手く逃げて、絶対に身体に触れさせるなよ。」
私はホテルに急いだのですが、早く着けたとしても3、40分はかかってしまいます。
ホテルに行く間、私の脳裏には、稲垣が妻をベッドに押し倒している姿が浮かびます。
妻に嫌悪感を持っていて、私は触る事すら出来なくなっていましたが、それでも稲垣に触れられる事は許せません。
稲垣だけで無く、もう二度と私以外の男に触れられるのは嫌なのです。
計画では常に私が近くに居て、2人だけになれる場所に入ったら すぐに妻に電話をかけ、2人で出て来るように言って、稲垣に事実をつきつける予定だったのですが、これでは私が到着するまで、何か有っても止める事が出来ません。
悪く考えると、稲垣に抱き締められてキスをされ、今の辛い立場が嫌で また稲垣に寝返り、この計画を話してしまっているかも知れません。
気は焦るのですが、それとは逆に、タクシーに乗ったのが裏目に出て、工事渋滞などで1時間も掛かってしまい、ホテルに着いて すぐに妻の携帯に電話をかけたのですが、妻が出る事は有りませんでした。
フロントに稲垣の部屋を尋ねたのですが、教えてもらえる訳も無く、気が付くと私は家路に着いていました。
実家に預けていて娘もいない真っ暗な部屋の中で、何も考えられずに座っていましたが、何も考えてはいないはずなのに、何故か涙だけが溢れて止まりません。
少しして、人の気配を感じて そちらを見ると、暗がりの中に妻が立っていました。
「あなた・・・・私・・・・・・・。」
「帰って来たのか?泊まってくれば良かったのに。俺が抱いてやれない分、奴に朝まで可愛がってもらえば良かったのに。」
私に有るのは絶望感だけで 不思議と怒りは無く、力無い小さな声で話していたと思います。
「ごめんなさい。私、抵抗しました。必死に抵抗しました。でも・・・・・。」
「いや、別にいい。これは俺が仕組んだ事だ。それより気持ち良かったか?気を遣らせてもらえたか?」
「いいえ、最後まではされていません。あなたからの電話でひるんだ時に、このままでは、ばれてしまうと言って逃げてきました。本当です。」
「それなら、どこまでされた?キスは?」
「・・・・・・。」
「裸にされたのか?乳首を吸われたか?」
「・・・・・・・・。」
「最後までいかなくても、指ぐらいは入れられたとか?」
「・・・・・・・・・。」
「全然感じなかったのか?下着を見せてみろ。」
「・・・・・・それは・・・・・・。」
私からの電話で稲垣がひるんだのではなくて、妻が我に帰ったのかも知れないと思いました。
「でも、もう彼に気持ちは有りません。
彼に抱きつかれた時 嫌だと思った。
あなたを もう裏切りたくなかった。
ずっと抵抗していたけれど、身体が・・・・・身体が・・・・・・・。」
妻の話が本当だとすると、あと10分私の電話が遅れていたら、最後まで行ってしまい、そうなると今日、妻が帰って来る事も無かったかも知れません。
「今回の計画を奴に話したのか?」
>>次のページへ続く
「奴の言う通りにしろ。但し、奴が迫ってきても上手く逃げて、絶対に身体に触れさせるなよ。」
私はホテルに急いだのですが、早く着けたとしても3、40分はかかってしまいます。
ホテルに行く間、私の脳裏には、稲垣が妻をベッドに押し倒している姿が浮かびます。
妻に嫌悪感を持っていて、私は触る事すら出来なくなっていましたが、それでも稲垣に触れられる事は許せません。
稲垣だけで無く、もう二度と私以外の男に触れられるのは嫌なのです。
計画では常に私が近くに居て、2人だけになれる場所に入ったら すぐに妻に電話をかけ、2人で出て来るように言って、稲垣に事実をつきつける予定だったのですが、これでは私が到着するまで、何か有っても止める事が出来ません。
悪く考えると、稲垣に抱き締められてキスをされ、今の辛い立場が嫌で また稲垣に寝返り、この計画を話してしまっているかも知れません。
気は焦るのですが、それとは逆に、タクシーに乗ったのが裏目に出て、工事渋滞などで1時間も掛かってしまい、ホテルに着いて すぐに妻の携帯に電話をかけたのですが、妻が出る事は有りませんでした。
フロントに稲垣の部屋を尋ねたのですが、教えてもらえる訳も無く、気が付くと私は家路に着いていました。
実家に預けていて娘もいない真っ暗な部屋の中で、何も考えられずに座っていましたが、何も考えてはいないはずなのに、何故か涙だけが溢れて止まりません。
少しして、人の気配を感じて そちらを見ると、暗がりの中に妻が立っていました。
「あなた・・・・私・・・・・・・。」
「帰って来たのか?泊まってくれば良かったのに。俺が抱いてやれない分、奴に朝まで可愛がってもらえば良かったのに。」
私に有るのは絶望感だけで 不思議と怒りは無く、力無い小さな声で話していたと思います。
「ごめんなさい。私、抵抗しました。必死に抵抗しました。でも・・・・・。」
「いや、別にいい。これは俺が仕組んだ事だ。それより気持ち良かったか?気を遣らせてもらえたか?」
「いいえ、最後まではされていません。あなたからの電話でひるんだ時に、このままでは、ばれてしまうと言って逃げてきました。本当です。」
「それなら、どこまでされた?キスは?」
「・・・・・・。」
「裸にされたのか?乳首を吸われたか?」
「・・・・・・・・。」
「最後までいかなくても、指ぐらいは入れられたとか?」
「・・・・・・・・・。」
「全然感じなかったのか?下着を見せてみろ。」
「・・・・・・それは・・・・・・。」
私からの電話で稲垣がひるんだのではなくて、妻が我に帰ったのかも知れないと思いました。
「でも、もう彼に気持ちは有りません。
彼に抱きつかれた時 嫌だと思った。
あなたを もう裏切りたくなかった。
ずっと抵抗していたけれど、身体が・・・・・身体が・・・・・・・。」
妻の話が本当だとすると、あと10分私の電話が遅れていたら、最後まで行ってしまい、そうなると今日、妻が帰って来る事も無かったかも知れません。
「今回の計画を奴に話したのか?」
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