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「機械と少年」
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476 : ◆Z3ayXtoR4DEE :2013/12/17(火) 23:58:54.98 ID:r3kwDr98P
長い夢を見ていた・・・
今まで会った人が浮かんでは消えていく
今まで見てきた景色が次々に移り変わっていく・・・

勇「リート・・・」

その途中で目が覚めた

勇「・・・」

薄暗い建物だ
もっと周りを良くみようとして首を動かすと身体中に激痛が走る

勇「ぐっ・・・」

どうやら民家のようだ
薄暗い部屋には日常品や家具が置かれている
俺はその中でベッドに寝かされていた

勇「助かったのか・・・」

一体どんな奇跡が起きてあの崖から落ちて助かったのか・・・
ガチャ・・・
入り口のドアがあく

「おや、目覚めたかい?」

入ってきたのは老婆だ
ここの家主だろうか?



477 : ◆Z3ayXtoR4DEE :2013/12/18(水) 00:05:38.57 ID:r3kwDr98P
勇「俺はっ・・・・!」

激痛が走るが状況を確認しなくては・・・

老婆「あんま動きなさんな。あんたかなり重症でやっと落ち着いたところなんだよ」

勇「・・・助けて頂いたみたいですね」

老婆「助けたのはうちの孫じゃ」

勇「孫・・・?」

老婆「おーい。カイ!あんたのお客さん目覚めたぞー!」

カイ「マジで!?」

部屋に飛び込んで来たのは俺より幾つか年下くらいの少年だ

カイ「いやぁ、あんた死にかけながら川を流れてたんだぜ?」

川・・・?

俺はそんなことになっていたのか・・・

カイ「なんかヤバそうだったからとにかく医者呼んでさ、
   そしたら骨も内臓もボロボロだって言うから。マジで感謝してよね!」

勇「ああ、ありがとう・・・」

カイ「あんた名前は?軍人だろ?」

勇「勇だ・・・。」

カイ「勇かぁ。俺はカイだ。よろしくな!」

勇「ああ・・・」



478 : ◆Z3ayXtoR4DEE :2013/12/18(水) 00:12:15.13 ID:8RefaJ9+P
老婆「あたしゃちょっと夕飯の支度して来るからちゃんと状況を説明してあげるんだよ」

カイ「あいよ!」

老婆が部屋を出て行く

カイ「今のがナカサ婆ちゃん。今は俺と婆ちゃんと姉ちゃんの3人で暮らしてる」

勇「・・・そうか」

カイ「この辺りで戦闘でもあったの?一人で居るなんて軍人が珍しいからさ」

一人・・・ではなかった

勇「・・・まぁそんなところだ」

カイ「なんかずっと『いーと』が何とかって魘されてたけど?」

勇「いーと・・・?」

少し考えて・・・

勇「ああ、気にしないでくれ・・・」

カイ「そうか。わかった」


それから他愛のない会話が続き・・・


カイ「うちは父さんも母さんも兄ちゃんも姉ちゃんもみんな軍人なんだ」

勇「そうなのか」

カイ「俺だけ生まれつき身体が弱くてね。入隊試験で落とされちゃってさ」

勇「・・・・」

カイ「姉ちゃんは今軍医やってるんだ。
   兄ちゃんはなんとヴィント乗りなんだぜ!
   バスカールっていう基地に居るんだけど・・・知らない?」



479 : ◆Z3ayXtoR4DEE :2013/12/18(水) 00:20:05.01 ID:8RefaJ9+P
勇「すまない、俺は随分僻地の基地にいるからあまり他の基地には詳しくないんだ」

カイ「そっか」

勇「・・・あ、でも俺もヴィント乗りだ・・・ったんだ」

残念ながらヴィントは破壊されてしまっているので過去形だが

カイ「マジで!?軍用ヴィントってどんくらい馬力あんの!?」

それからヴィントについての話や家族の話をしていると・・・

「ただいまー」

おくから女の声がした

カイ「あ、姉ちゃんだ・・・」

勇「・・・軍医のか」

カイが部屋を出て行きしばらくすると

「ばっかじゃないの!?なんでそんな厄介な拾い物するのよ!!」

カイ「だって死にかけてたんだぜ!?」

「そんな死に損ないそこで死のうが戦線に戻ろうが一緒よ!」

カイ「でもヴィント乗りの凄い奴なんだって!」

「ヴィントに乗ってるからって強いわけじゃないの!」

勇「うっ・・・」

なんか違う痛みが走った



480 : ◆Z3ayXtoR4DEE :2013/12/18(水) 00:24:49.85 ID:8RefaJ9+P
「とにかく治ったら追い出すからね!」

カイ「うぅ・・・」

「いいね!?」

カイ「分かったよ・・・」

ガタガタ

カイ「ちょっ!?何すんの!?」

「そんなどこの馬の骨かも分からない男と一緒の屋根の下で
 寝れるわけないじゃない!ちゃんとドアを封印しとくのよ!」

カイ「姉ちゃん!それはやりすぎだって!」

ドアがガタガタ震えている

勇(俺・・・ここに居ていいのだろうか・・・?)

まぁ動けないのでそれ以外無いのだが
ガチャ!
ドアが勢いよく開き女がそこに仁王立ちしている

姉「あんた!いい?この部屋から出たら死刑n・・・」

いきなり光が差し込んだので眩しい・・・

姉「・・・」

カイ「姉ちゃん?どうした?」

視力が回復しまともに前が見えるようになる



481 : ◆Z3ayXtoR4DEE :2013/12/18(水) 00:29:21.11 ID:8RefaJ9+P
姉「・・・マジで?」

その顔は驚き一色に染まっていた
おそらく俺も同じ顔をしていた

勇「・・・!?」

姉「・・・勇・・・さん?」

カイ「あれ?姉ちゃん知り合い?」

勇「・・・ニカ?」

ニカ「勇さぁん!!!」

ニカが飛びかかってくる

勇「やめっ・・・!!」

直後、ニカが俺に抱きつき俺の脳内は激痛の電気信号に満たされる

ニカ「うそっ!本当に勇さんだ!!」

勇「ぎゃぁぁぁぁぁ!!!」

カイ「ね、姉ちゃん!!!勇死んじゃう!!」

ニカ「え?ああそっか、ごめん!」

勇「・・・」

そこから先の記憶がない
恐らく激痛で気を失ったのだろう
再び目が覚めた時に見たのは平謝りするニカの姿だった





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