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結婚することになった俺に過去を懺悔させて欲しい
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80 :名無しさん@おーぷん :2014/09/27(土)22:42:52 ID:1MhngTxMx
>>77
なんかぞくっときた

そうか…14年前にはすでにヤンデレは完成していたのか


79 :名無しさん@おーぷん :2014/09/27(土)22:42:50 ID:EzsAMoi0p
なんか怖くなってきたアアア


81 :◆D1IdoXvPnU :2014/09/27(土)22:43:10 ID:TNYut6qL3
何度も電話をかけた。その度に虚しく留守番センターの案内が流れる。

居ても立っても居られなくなった俺は、学校を早退した。そして、近くの公園で、必死に携帯と格闘した。

役立たずの、携帯電話。

俺と彼女を、つなげてくれ。

早く。

早く…リーナと…。

なぜか、涙があふれ出していた。

携帯を握りしめ、うずくまる。

少しずつ、後悔の念が生まれてきていた。

あんなことを、なぜ言ってしまったのだろうと。



その時。

役立たずの携帯電話が静かに、はっきりと着信を告げた。




83 :フライ・ド・かぼちゃ◆FryYNdEELg :2014/09/27(土)22:45:06 ID:3Iry6AOv4
やべぇ

ぞわっとするお


85 :◆D1IdoXvPnU :2014/09/27(土)22:46:00 ID:xo5xTYWyH
俺はチャットルームでは月と名乗っていた。


チャットでは、お月さんや、月君、げっちゃんと呼ぶ者もいた。

げっちゃんとは、get chanceにかけて仲間の一人が勝手に呼びめた。

そんなお月さんは、リーナと言う少女と出会った。



87 :◆D1IdoXvPnU :2014/09/27(土)22:55:03 ID:TNYut6qL3
ある日のチャットルーム。

今日はみんな思いのほか早く落ちてしまった。俺とリーナだけが、チャットルームに残っていた。

他愛もない話をした後、彼女がつぶやくように言った。

「私、HN変えたいな」

リーナはそのまま、彼女の名前がりなだった事に由来するHNだ。

チャットルームに来た日は、何も考えずにつけてしまったらしい。

新しいHNを二人は考えた。よく俺たちはハンゲームというサイトのゲームで遊んでいて、俺HNをすごく気に入ってくれていたから(ここでは書けないけど)

俺は彼女にとっておきの名前をプレゼントした。

「じゃあ、俺のHNからひとつ、りなのからひとつとって羽優はどう?」

彼女はとてもその名前を気に入ってくれた。

「すごく、かわいい感じ!」

リーナは次の日からチャットルームで羽優と名乗るようになった。



88 :名無しさん@おーぷん :2014/09/27(土)22:55:26 ID:rp0n1rK0A
突然話変わった?


89 :◆D1IdoXvPnU :2014/09/27(土)22:57:09 ID:TNYut6qL3
チャットルームの仲間たちは、俺とリーナの関係を知っていた。リーナが口を滑らせてしまっただけなのだが。だけど、みんな祝福してくれた。

しかし突然HNが変わった彼女に、みんなが問いかけると、彼女はこう言うのだった。

「お月さまにもらった名前だから」

とてもとても、嬉しそうに。

そして、幸せそうに。


それからは電話でもリーナではなく、「羽優」と呼ぶようにした。

とても可愛い名前。

彼女に、ぴったりだと思った。

羽優は、後の電話で、自分の子供が女の子だったら「羽優」とつけてあげたいと言っていた。

大切な大切な、名前だから。と。

それを聞いた俺も、なんだか嬉しくて、幸せな気持ちになった。




90 :◆D1IdoXvPnU :2014/09/27(土)22:57:59 ID:xo5xTYWyH
静かに震える携帯電話。

二人で買ったおそろいのストラップのキャラクターが悲しく微笑む。


画面には大きく「りな(羽優)」の文字が表示された。俺が連絡を取ろうとしていたのに、なぜか怖かった。携帯電話の通話ボタンを押すことが、怖かった。

だが、今つながらなければ。

俺が助けてあげなければ。

俺は通話ボタンを押した。



91 :◆D1IdoXvPnU :2014/09/27(土)22:59:01 ID:TNYut6qL3
「りな!連絡とれなくて心配したんだよ!!」

みっともない、涙声。

だけど、なりふり構ってられなかった。

しかし、電話口から聞こえるのは、うるさい風の音だった。

「りな…?何か言ってよ…」

声が震えている。

携帯電話を握りしめる手は、汗でぐっしょり濡れいていた。

「…なさい」

彼女の声が聞こえた。

だけど、遠く遠くから響いてきたような声だった。

「何かあったの?俺が話聞くから!」

必死だった。

「月君…」

いつもなら俺を名前を呼んでくれる彼女が、チャットでの呼び方で俺を呼んだ。



94 :◆D1IdoXvPnU :2014/09/27(土)23:03:24 ID:TNYut6qL3
「私もう、駄目かも」

「そんなことない!俺と一緒に大学行くんだろ!?もう少し頑張れば、一緒にいられるようになるじゃないか!」

今思えば、この言葉が彼女を最後の最後、追い詰めてしまったのかもしれない。俺の勝手な勝手な、願望だったのかもしれない。

彼女にとって、りなにとって、その言葉はもはや…

「私ね、すごく頑張ったんだよ」

涙声。

「でも、月君と一緒の大学には行けない。リストカットも、お薬もやめられない。私は、月君に相応しい人間じゃなかったね」

最後に ははっ、と自虐的に彼女は笑った。

「そんなことない!俺は、俺はどんなときだってりなと一緒にいるって約束したじゃないか!」

まるで、B級映画のセリフみたいだ。

でも、そこは映画の世界じゃない。

残酷な残酷な、現実。

「いいの、もう。今まですごく楽しかったから。月君と出会えて本当にうれしかったから。」

お別れの言葉のようだった。



96 :◆D1IdoXvPnU :2014/09/27(土)23:05:46 ID:TNYut6qL3
「月君、本当に頑張ってくれたよね。無理ばっかりして」

「無理なんて一度もしたことなんてない…。」

必死に必死に抗った。

「俺を名前で呼んでよ。俺は月じゃない、月君なんて、突き放されたような呼び方は嫌だ…」

「ううん、もう月君で良いの。私、もう良いから」

何が、良いのだろうか。問いかけようとしたその時、羽優は、りなは最後の言葉を口にした。

「今まで本当にありがとう。さようなら」

「嫌だ!!!!!」

その叫びは彼女に、りなに届いたのだろうか。突然、電話口の風の音が ものすごく大きな音に変わった。まるで、突風にでも煽られたような。渦巻く風の音。

俺は叫ぼうとした。何があったのか知りたかった。いや、知ろうとする必要はなかったのかもしれない。

残酷な神様は、俺に、終焉を、伝えた。

がしゃ

言葉で表現できないような、ものすごい音が電話口から響き、そして…。

「うわああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!」

おそろいのストラップが、悲しく、哀しく微笑んでいた。




>>次のページへ続く
 
カテゴリー:泣ける話  |  タグ:純愛,
 


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