上司に休暇をもらって田舎に帰った。
病状を聞いたら素人の俺でももう治らないと分かった。
医者をやっている知り合いに相談したら、都会の大きな病院だったら何とかなるかもと言われた。
入院していたのは田舎の病院だが設備はよくて、何よりお袋の姉伯母もいるし、妹もいるからお袋は離れたくないと言った。
親父も反対したので無理強いはしなかった。
有給休暇をもらっては田舎に帰っていた。
翌年の夏、もう駄目だと聞いて田舎に帰った。
たまたま親父が仕事で居ない時、医者にあと一週間もちませんと言われた。
両親は喧嘩はしていたが、お互い子供なので普段は仲が良かったんだ。子供の俺から見たらDQNのバカップルだったが。
そしてお袋が死んだ。妹は結婚相手がいたんだが遅かった。
葬式も終わらせ、初七日が終わって俺はまた社畜に戻った。
親父は古かった墓を建てなおすと言っていた。
がっくりとはしていたが、甘えん坊の親父にしてはきちんとしていたから、心配していなかった。
まあ、この分だと大丈夫かと思っていたんだ。
上司に怒鳴られる生活に戻って二週間後、毎日のことでフラフラになって深夜アパートに帰ったら、田舎から電話があった。
弟で「親父が倒れた」と。
何かの冗談かと思ったが、電話は病院からで、看護師に病状を尋ねたら「すぐ来てください」とと言われた。
翌朝一番の電車に乗り、田舎に帰った。
本当になんの冗談かと思っていた。
病院に着いたら、もう親父の意識はなかった。元々高血圧だったので頭の血管がボン!
そしてそれから数日後親父は死んだ。
今度は俺が喪主だよ。一か月に二回の葬式は嫌なもんだ。
実はお袋がガンで入院していたころ、上司と外出したら、「おい、そこの神社でお参りをしよう。お袋のためだ」と言ってくれたんだ。
それでお参りしておみくじを引いたら…「大凶」だった。
俺より上司が慌てて、「もう一回引け」と。もう一回引いてみたら、どんな確立だよ。
また「大凶」。上司と2人で黙り込んじゃった。
>>26 確率の間違いな。おっさんだから物忘れがひどいんだ。
親父が死んだあと、色々な手続きで親父の退職金と両親の生命保険でまとまった金が貰えることになった。
この辺のゴタゴタは色々あったんだが、とりあえず兄弟と話をして、伯父に金を返すことになった。
残りは平等に分けた。
伯父と伯母には「両親の命の金だから」と言って無理やり受け取ってもらった。
これで俺は少しだけ心が楽になった。
問題は祖母さんだった。
俺は遥か離れた本社にいる。弟も遠い。妹は結婚する。
祖母さんはもう80代。一人暮らししていて何かあったら長男の俺はすぐには戻れない。
でも仕事は楽しい。社畜だもんな。でも長男だし…悩んだ。