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数年前、自殺しようとしてた俺が未だに生きてる話
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386 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/14(月) 04:11:11.08 ID:R20nqEHV.net
そうするうちに、3/27が過ぎて、学校は とうとう春休みに入ってしまった。
「新学期を待った方がいいわ」
レイはそう言った。
「そうする」
俺は素直にそう言った。
けど、内心は、春休み中でもチャンスがあったら逃す手はないと思っていた。
これは俺の戦いだ。
387 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/14(月) 04:19:10.55 ID:R20nqEHV.net
実はこの頃、俺は、例の自転車に乗ったAをどうするかについて、一つの答えを出していた。
自転車を転ばせる。
俺の以前の考えは、実は正解に近かった。
俺の計画は、Aが自転車から降りている状態ならば、成立する。
ということはつまり、Aから自転車を奪えばいいのだ。
388 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/14(月) 04:24:35.70 ID:R20nqEHV.net
けど、奪うとは言っても、事前に盗んだりはできない。
なぜなら、自転車がなければ、Aが車で送り迎えされることもあり得る。
そんなことになったら、ナイフで刺すどころじゃない。計画自体がおじゃんになる。
それならどうするか。
そこで俺が考えたのは、塾に止めてある状態のAの自転車を、パンクさせるという手段だった。
そうするうちに、3/27が過ぎて、学校は とうとう春休みに入ってしまった。
「新学期を待った方がいいわ」
レイはそう言った。
「そうする」
俺は素直にそう言った。
けど、内心は、春休み中でもチャンスがあったら逃す手はないと思っていた。
これは俺の戦いだ。
387 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/14(月) 04:19:10.55 ID:R20nqEHV.net
実はこの頃、俺は、例の自転車に乗ったAをどうするかについて、一つの答えを出していた。
自転車を転ばせる。
俺の以前の考えは、実は正解に近かった。
俺の計画は、Aが自転車から降りている状態ならば、成立する。
ということはつまり、Aから自転車を奪えばいいのだ。
388 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/14(月) 04:24:35.70 ID:R20nqEHV.net
けど、奪うとは言っても、事前に盗んだりはできない。
なぜなら、自転車がなければ、Aが車で送り迎えされることもあり得る。
そんなことになったら、ナイフで刺すどころじゃない。計画自体がおじゃんになる。
それならどうするか。
そこで俺が考えたのは、塾に止めてある状態のAの自転車を、パンクさせるという手段だった。
389 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/14(月) 04:37:08.98 ID:R20nqEHV.net
自転車をパンクさせてしまえば、Aは夜道を歩かざるを得なくなる。
そうなったら、こっちのものだ。
俺は そう考えた。
もちろん、Aが家に電話して迎えに来てもらう、という選択肢もあり得る。
けど、その可能性は少ないだろう、俺はそう判断したのだ。
なぜなら、夜道を心配するような家族なら、そもそも最初からAを自転車で通わせたりしないだろう。
大体、ゆっくり歩いても塾からAの家までは三十分ほどで、迎えに来るような距離でもない。
それに、どのみちパンクした自転車は持って帰らなければならないのだ。
スポーツタイプの高そうなものだし、放置も考えにくいだろう。
390 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/14(月) 04:45:43.77 ID:R20nqEHV.net
これは、俺が毎日観察を積み重ねた結果の答えだった。
けど、俺はこの方法だけに固執するつもりはなかった。
肉体的にも、精神的にも、俺は強くなっていた。
だからもし、Aが親に迎えを頼むことになっても、それは それでいい。
俺は そう思っていた。
自転車がパンクするなんて よくあることだ。Aは特別警戒心も抱かないだろう。
それなら、チャンスはまだ いくらでもある。俺はいつか、そのチャンスをものにできる。そう考えていたんだ。
391 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/14(月) 04:54:39.70 ID:R20nqEHV.net
「タイヤをパンクさせたことはあるの?」
計画を伝えると、レイはいつものように冷静にそう聞いた。
「いや、ないよ」
俺は答えた。
「でも、練習するつもり」
当てはある。自分の自転車だ。
もうずっと使ってないから空気が抜けているかもしれないが、練習くらいにはなるだろう。
「練習?」
レイが言った。
珍しく動揺したような雰囲気に、俺は笑った。
「大丈夫だよ、家の自転車だから」
それから、少し考えて付け足した。
「計画の前に捕まるような真似はしないって」
自転車のパンクでも、何件も続けば警察が調べるかもしれない。
レイはそれを気にしてるんだろう。
392 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/14(月) 04:59:12.51 ID:R20nqEHV.net
「そう」「それならいいけど」
レイに冷静さが戻った。
信用されてないな、そう思って俺は頬を膨らました。
そりゃ、レイは頭がいいけど、俺だって考えてるんだぜ、そう思った。
「それからさ」
俺は続けた。
「そろそろナイフを手にいれとこうと思うんだけど」
「どこで買えばいいと思う?」
「ホームセンターとかだと、足がつくかな?」
足がつく。
どうかツッコミは許して欲しい。ちょっと言ってみたかっただけだ。
393 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/14(月) 05:09:07.13 ID:R20nqEHV.net
「それはないと思うけど」
レイは即座に否定した。
「夜中にでも買いに行かない限り」
「そうかな?中学生が包丁買うとか、怪しまれない?」
「親に頼まれた、とか言った方がいいかな」
「何も言わなくても大丈夫だと思う」
「そんなことくらいじゃ、誰も怪しまない」
「それより、時間」
「昼間にあなたは買い物に行けるの?」
「それは・・・・・・」
俺は もったいぶってから言った。
「やるよ。だって、そうしなきゃ、目的は達成できないわけだし」
いままでのあなたじゃないみたいね、冷ややかながらも、レイなりの褒め言葉を俺は期待した。
394 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/14(月) 05:27:13.80 ID:R20nqEHV.net
「そう」
しかし、期待とは裏腹に、レイは気落ちしたように言った。
「なんだよ」
期待した分、俺は少し落胆して言い返した。
俺がつまずいていれば、根気よく諭してくるくせに、いざ俺が快調に進んだら落ち込むなんて、そんなことあるか?
「そりゃ、昼間買い物に行くなんて、簡単じゃないよ。夜中とは比べものにならないほど他人がいるし、知り合いに会うかもしれないし」
なんでちょっと「頑張ってる俺」を主張してんだ?
そう思いながら、俺は続けた。
「けど、行動しなきゃ。そうだろ?目的のためには、考えてるだけじゃダメだ。君がそう教えてくれたんだろ?」
395 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/14(月) 05:31:17.69 ID:R20nqEHV.net
「そう」「そうよ」
レイは答えた。けど、やっぱ どこかいつもと違う。
「どうしたんだ? もしかして、なんか調子でも悪r」
そこまで打ち込みかけたとき、画面がばっとスクロールした。
「ごめんなさい」「今日はこれで落ちる」「ナイフを手に入れたら教えて」「それじゃ」
396 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/14(月) 05:43:33.78 ID:R20nqEHV.net
急ぐようにそう言うと、レイは消えた。
あとに残された俺は、あっけにとられて動かなくなった画面を見つめた。
一体どうしたっていうんだ??
俺、何か悪いこと言ったか??
ログを読み返して考えても、答えは出なかった。
というか、これまで俺がレイに吐いた暴言の数々を思えば、あれ以上のもんなんか滅多に出るはずがない。
「どうしたんだ?もしかして、なんか調子でも悪」
画面の下には、エンターキーが押されないままの俺の台詞が並んでいる。
もしかして、〈現実〉のレイに本当になにかがあったのか?
俺は久しぶりに心臓が嫌な音を立てるのを聞いた。
それから、俺が自分以外の人間の心配を・・・・・・
つまり、レイの心配なんかしたのは初めてじゃないか?
そう思った。
>>次のページへ続く
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