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三十路の喪女に彼氏ができたときのお話
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211 :1@\(^o^)/:2017/01/03(火) 21:43:03.66 ID:LZSY7jKs.net
「どうかな、だめかな?」


「だめだよ、当たり前でしょ」


「また即答かい。なんでだめなの?」


「なんでって、そりゃ…俺たち、一度別れてるんだよ?しかも原因のほとんどが俺でさ。俺、こんな人間なんだぞ?だめに決まってるだろ」


「こんな人間って、どんな人間さ?」


「最悪の人間だろ、喪子や他の人のことも散々傷つけて…カウンセリングなんか受けてるし、まともじゃないし……」


「M君!そろそろいい加減にしてもらおうか!」


「……はい?」



212 :1@\(^o^)/:2017/01/03(火) 21:43:34.73 ID:LZSY7jKs.net
「M君は私を傷つけてなんかないよ。

あのことで一番私を傷つけたのは、私自身だったからね。

確かに、M君がきっかけで いっぱい泣いたさ。だけどそれは、自分でも気づいてなかった私の存在をM君が気づかせてくれたからなんだよ。

正直それって、M君よりもずっと強烈で、どデカイ存在だったんだよね。


M君が自己卑下するのは勝手だよ。それは好きにしていいさ。

だけど、M君の中に"俺が傷つけた女一覧"みたいにして私が残るのは、絶対にイヤだ!!

私が聞きたいのは、そういうのじゃないんだよ。こうだからダメとかなんとか、そんな言い訳、私にはどーでもいいの。

M君が本当はどうしたいのか、私はそれが聞きたいだけなの!

なんで今!なんのために!君は私に電話してきてるんだ!

この後におよんで理屈で取り繕って、カッコつけてんじゃねーよカッコ悪い!

だけど!私はそんなカッコ悪いM君のことも大好きなんだよっ!!!」




213 :1@\(^o^)/:2017/01/03(火) 21:43:59.18 ID:LZSY7jKs.net
はっはーまた言ってやったぜ こんちくしょおーっ!!

だけど このときの私には確信があったんだ。

M君が言いたいのは、絶対にそんなことじゃない!

あのカラオケボックスのときだってそうだし、きっと それだけじゃなくて

私たちがすごしてきた毎日に、彼が言わないままにしてしまった沢山の言葉があるんだ。


そんなM君がどういうわけか、わざわざ電話までかけてきた。

その勇気は、絶対に私がすくい上げて、受け止めなくちゃならない。

またもや黙り込んでしまったM君に、私は尋ねた。



214 :1@\(^o^)/:2017/01/03(火) 21:44:26.63 ID:LZSY7jKs.net
「ねえ、そもそもだよ?どうして私にカウンセリング受けてるって伝えたいと思ったの?」


「謝りたかったから」

「なにを?どうして?」


「色々迷惑かけたし、ちゃんと報告しておいたほうがいいかなって…………………

ごめん違う。声聞きたかっただけ」


最後の一言は、早口でボソっと、吐き捨てるようでした。

だけどそれ聞いた瞬間、私は「うあああ!」みたいな声あげて泣きだしてしまった。

ほんと、それはそれは ものすごく突然の涙腺大爆発で自分でもわけわからないまま、携帯握りしめてわんわん泣いた。



215 :1@\(^o^)/:2017/01/03(火) 21:44:59.51 ID:LZSY7jKs.net
「えっ、ごめん、どうした、ごめん」

うろたえたM君の「ごめん」攻撃。本当によく謝る人だ。


「………聞きたかった〜〜〜」

「え?え?なに?」


「私もM君の声、聞きたかった〜〜〜」

「ああ、そっか………いままでごめんな」


いやあ〜、文章にすると異様にこっぱずかしいね!

まあ、心の声なんて言っちゃうと、なんだかクサすぎちゃうけど。

でもこのとき、たったこれだけの会話だったのに ちゃんとそれ以上の気持ちが伝わった、という満ち足りた感覚があった。

たぶん、私たちがお互いに本音をぶつけた初めての瞬間だったんだと思う。

言葉は少なくても、いまだに心に残っている思い出深い会話だ。



217 :1@\(^o^)/:2017/01/03(火) 21:45:27.32 ID:LZSY7jKs.net
私の涙は、わりとすぐ気が済んで引っ込んだ。


「あ〜、声聞けたから、今度はM君の顔が見たくなった〜。

ねえ、これからそっち行ってもいい?」


「それはだめ」

「…なんでまた即答なんだよー。まさか、いま君んちの前なんだ、とか?」


「え?………あー、気が利きませんで」


「じゃあ、今の全部ドッキリ?」

「…だとしたら、仕掛けられたのは俺だろ」


「だったらなんでよ?」

「話の展開が急すぎるんだよ…どの面下げて会えばいいのか、わからない」


………なんだよ!そんなことかよ!!

「そんなの、M君の面ならなんでもいいよ!」




218 :1@\(^o^)/:2017/01/03(火) 21:46:02.50 ID:LZSY7jKs.net
てなことで、無理矢理押しきってM君のアパートへ向かったわけですけども。

道すがら、顔合わせたら一発目に何て言おう?と悩んで

やっぱり普通に、久しぶり〜とかにしよう!と思ってたのに。

アパートに着いて、出迎えてくれたM君の顔見た瞬間、思わず言ってしまった。

「……痩せた?」

「貧相ですいませんね… だからまだ会いたくなかったんだよ…」


もともと瘦せ型のM君が、一層ゲッソリとやつれていた。



219 :1@\(^o^)/:2017/01/03(火) 21:46:24.84 ID:LZSY7jKs.net
いろんな思いがこみ上げてきて、そのままじっと見つめていたら

「はい、照れる照れる」とギュッとハグしてくれた。

やったー、M君だー! ちょっと骨当たるけどー!

なんて思ってたら、いきなりM君が「ぶふっ」と噴いた。

「………いま、笑った?」

「いえ、笑ってません」


「いま笑ったよね?なんで笑った?」

「いや…本当にスルメ食ってたんだな、と思って…」


なんで私たちには、こうも色気ってもんがないのかね…。



221 :1@\(^o^)/:2017/01/03(火) 21:47:28.65 ID:LZSY7jKs.net
それからは たくさん話し合って

最終的に、私はM君がかかってるカウンセラーさんのお世話になることにした。共依存の問題は、そのまんまあるわけだし。

カウンセリング受けることには、全く抵抗がなかったわけじゃあないんだけども なんだろうなあ、仕事しながら健康診断受ける、みたいなもんでさ。

まあ、私たちを見守ってくれる誰かがいたっていーんじゃないの?と、私は軽く考えた。



222 :1@\(^o^)/:2017/01/03(火) 21:47:59.41 ID:LZSY7jKs.net
でもM君は、私がカウンセリングを受けることについては、かなり難色を示した。

理由は、彼はカウンセリングを受けても、楽になったわけではなかったから。

むしろカウンセリングによって、それまで目を背けてきたものにも向き合わなければならなくなって ものすごいストレスに晒される羽目になっていた。

それが彼の激ヤセの理由。

それってカウンセリング受け始めた人には よくあることらしいけど M君は実にM君らしく、そこをこじらせて劇症化させていて 自分と付き合うために、私にこんな苦しい思いをさせてはいけない、と思ったそうだ。

どういうわけか彼は、誰もが自分と同じようになるわけじゃない、とは気づいてなかった。




>>次のページへ続く
 
カテゴリー:男女・恋愛  |  タグ:純愛, 相手の過去, メンタル, メンタル,
 


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