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記憶を消せる女の子の話
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26 :名無しさん@おーぷん :2017/02/24(金)21:29:34 ID:F5o(主)
あの子はいじめられることなく平穏に学校生活を送っているようだった。

友達に囲まれていて、私と居たときよりか楽しそうだ。

それだけが、私の救いになった。





27 :名無しさん@おーぷん :2017/02/24(金)21:32:00 ID:F5o(主)
私のことを覚えているのは担任の先生だけだった。

クラスの全員が私のことを忘れている事態に困惑しながらも、せめて私の話相手になろうとしてくれた。

気を遣って話しかけてくれる先生は優しい。

だから私は先生の記憶の中の私を消した。

こういうのって、いたたまれなくなる。





28 :名無しさん@おーぷん :2017/02/24(金)21:34:31 ID:F5o(主)
小学生のときの私は、このように記憶を消す範囲をコントロールすることができなかった。

しかし、時間が経つにつれて記憶を消すことにこなれていった。

中学生くらいから、私は他人の記憶に存在する私をどこまで残しておいて、どこから消すかを思い通りに選択できるようになったのだ。

ある一点の私に関する記憶は残して、他の私に関する記憶は消すという事も出来る。

現在、私がよくしている遅刻のもみ消しはまさにそれだ。





29 :名無しさん@おーぷん :2017/02/24(金)21:36:04 ID:F5o(主)
小学生時代は「いないもの」だったが、記憶を消す技術が上達して中学生時代では「名前だけの存在」に昇格した。







30 :名無しさん@おーぷん :2017/02/24(金)21:37:35 ID:F5o(主)
中学生になるのだから、一からやり直すのも悪くない。

普通に友達をつくって、普通に学校行事に参加して、普通に恋をしてみたい。

と思ったが、それはやめた。





31 :名無しさん@おーぷん :2017/02/24(金)21:43:30 ID:F5o(主)
私に友達をつくる資格はないし、友達と一緒に笑顔で行事に参加するのも似合わないし、ましてや恋なんて手が届かない。

なにかに積極的になろうとするたびに、小学生の時のトラウマを思い出して足踏みしてしまう。

仲良くなっても、いつか忘れられてしまうかもしれない。





32 :名無しさん@おーぷん :2017/02/24(金)21:47:44 ID:F5o(主)
だから結局、中学時代は「名前だけの存在」になった。

入学式後の自己紹介の記憶だけをクラスの皆に残した。





33 :名無しさん@おーぷん :2017/02/24(金)21:54:21 ID:F5o(主)
入学式当日、クラス発表の掲示板が込み合っているせいで自分は何組なのか見ることができず、どうしようかどうしようかと慌てている私に

「クラス、見てきてやろうか? 名前だけ教えてくれれば見てくるぞ」

と優しく声を掛けてくれた男子も、やっとのことで自分の教室に辿り着いたときに話しかけてくれた隣の席の女の子も、私と関わったその出来事を覚えていない。





34 :名無しさん@おーぷん :2017/02/24(金)22:07:52 ID:F5o(主)
仲良くなりたいと思う、優しそうな人との関わりもすべて消した。

寂しさより怖さが勝った。

大切なものができると、それを失ったとき、大切さの度合い分悲しくなるのは、皆も知っている通り。

失ったとしても、とても楽しかったのなら良かったんじゃない? というのは強い人の言葉だ。

そもそも私は楽しさより、寂しさと悲しさと仲良しなのだ。楽しさとか嬉しさの価値をよく知らない。

知っても、どうせ悲しくなるだけだ。





35 :名無しさん@おーぷん :2017/02/24(金)22:14:52 ID:F5o(主)
かくして、中学の人たちが持っている私に関する記憶は均一化された。

それでも、「いないもの」だった小学生のときより遥かに気が楽だった。

あのとき、名前すら忘れ去られていた私は修学旅行の班決めで余っているにも関わらずに名前が挙がらなかった。

ぼっちの人でも、嫌われている人でも名前が挙がるというのに。





36 :名無しさん@おーぷん :2017/02/24(金)22:21:23 ID:F5o(主)
そういう事故も多くあった。私は存在が空気のくせに、面倒事には存在感を醸し出し始める悪影響を及ぼす空気だった。

せめて、そういう面倒ごとを起こさない良い空気になってやろうとして、自己紹介の記憶だけを残しておいた。

だから、小学生の時のようなことがないので「名前だけの存在」であっても、気が楽なのだ。







37 :名無しさん@おーぷん :2017/02/24(金)22:29:41 ID:F5o(主)
そうして、学校では誰とも話さない日が何年も続いた。

家に行っても浮かない顔をしている母親と無表情に会話をするだけだった。

友達がいない娘と話して、楽しそうな方がおかしいのだ。母には悪いことをしたなと思う。

父は単身赴任をしているらしく、会った覚えはない。

それでも、私は父をいい人だと確信している。なにもない私が持っている、唯一の自信だ。





38 :名無しさん@おーぷん :2017/02/24(金)22:37:10 ID:F5o(主)
友達がいない人間は何をして過ごすか。おおよそ、本と音楽と友達になるしかないだろう。

今では彼らと親友くらいにはなれたかな?

それともう一つ、私は青空を見上げるのを趣味にした。

小学生の時、泣いて見上げた空に浮かんでいた太陽を囲う虹色の輪――ハロ現象というらしい。

それをもう一目見たいと思ったのだ。





39 :名無しさん@おーぷん :2017/02/24(金)22:46:43 ID:F5o(主)
私は恋するようにあの現象に惹かれていた。

もう一度見たい、その思いだけが私が生きる理由。今も、それは変わっていない。

時間が有り余っているのは悲しいことだが、ハロ現象に恋をしている私にとっては嬉しいことだった。





40 :名無しさん@おーぷん :2017/02/24(金)22:51:42 ID:F5o(主)
恋をしたことはないけれど、たぶんこういうことだと思ってる。

いつも疲れた表情を浮かべている母親と一緒にいるのも億劫だったから、私はたいていの時間を図書館とあの河川敷で過ごした。

青空を見ながら聴くバラードは本当に落ち着く。

私は行きの電車で聴きたくなる曲より、帰りの電車で聴きたくなる曲が好きだった。





42 :名無しさん@おーぷん :2017/02/24(金)23:04:36 ID:F5o(主)
死んじゃってもいいんじゃないかな、という思いは相当な頻度でやってきた。

人生の一番難しいところは、なにがあっても簡単には死ねないこと、だと思うが、私は簡単に死ねる。

私に関する記憶を全て消しさえすれば、誰も私の死に心を痛めない。

人が死ぬのを躊躇している理由は、様々な思い出に自分をがんじがらめに縛り付けられているからだ。

自分の生に価値があると思えてしまうほどの思い出がその人にはあって、もし死んだら悲しむ人もいる。

ああ、羨ましいな、と思う。





44 :名無しさん@おーぷん :2017/02/24(金)23:10:30 ID:F5o(主)
私にもそんな人がいてくれたらいいのにな。

ひょっとして父は、もし私が死んだら悲しんでくれるのかな?

そんな淡い期待を抱いて、今も私は生きている。

でも母は、友達がいないかわいそうな娘、から解放されて元気になるのかもしれない。

そう思うと複雑だった。





45 :名無しさん@おーぷん :2017/02/24(金)23:16:28 ID:F5o(主)
惰性で生きていて、ずっと決まりきったことをしていると頭はおかしくなってしまう。

私もその例に漏れず、高校一年生のときにがたが来てしまった。






>>次のページへ続く
 
カテゴリー:読み物  |  タグ:青春,
 


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