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死なせてしまった女に贖罪をさせてくれ
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213 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 05:04:03.39ID:COd6JsKY.net
俺はKに電話をした。
214 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 05:04:50.79ID:COd6JsKY.net
数日後、あかねから罵詈雑言の電話がかかってきた。
ほとんどが内容を聞きとれないものだったが、その怒気だけは伝わってきた。
俺の話など挟む余地なく、一方的にまくしあげて、電話を切られた。
215 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 05:05:41.82ID:COd6JsKY.net
Kがあかねに電話したようだ。
わかってはいた。そう仕向けたのだから。
間を置いてきちんと説明しようと思った。
Kには内緒にして欲しい、その言葉に少し傷ついていることを。
もちろんKには あかねの混みいったことは話していないし、声を聞く機会も作ってやりたかった、と。
216 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 05:06:28.63ID:COd6JsKY.net
あかねからメールが来た。
「お金はありがとうございました。もう二度と連絡はしません。」
「さよなら」
217 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 05:07:07.82ID:COd6JsKY.net
俺は すぐあかねに電話をしてみた。繋がらなかった。
メールを送っても未配信になった。
あかねとの繋がりは、俺の過ちで完全に切れた。
218 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 05:07:45.84ID:COd6JsKY.net
あかねの負った傷の深さを俺は見誤っていた。
俺はKに電話をした。
214 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 05:04:50.79ID:COd6JsKY.net
数日後、あかねから罵詈雑言の電話がかかってきた。
ほとんどが内容を聞きとれないものだったが、その怒気だけは伝わってきた。
俺の話など挟む余地なく、一方的にまくしあげて、電話を切られた。
215 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 05:05:41.82ID:COd6JsKY.net
Kがあかねに電話したようだ。
わかってはいた。そう仕向けたのだから。
間を置いてきちんと説明しようと思った。
Kには内緒にして欲しい、その言葉に少し傷ついていることを。
もちろんKには あかねの混みいったことは話していないし、声を聞く機会も作ってやりたかった、と。
216 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 05:06:28.63ID:COd6JsKY.net
あかねからメールが来た。
「お金はありがとうございました。もう二度と連絡はしません。」
「さよなら」
217 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 05:07:07.82ID:COd6JsKY.net
俺は すぐあかねに電話をしてみた。繋がらなかった。
メールを送っても未配信になった。
あかねとの繋がりは、俺の過ちで完全に切れた。
218 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 05:07:45.84ID:COd6JsKY.net
あかねの負った傷の深さを俺は見誤っていた。
219 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 05:08:16.67ID:COd6JsKY.net
Kから あかねの訃報の電話があったのは その一週間後だった。
死因は分からないとのことだった。
Kの彼女からの情報で直接聞いたわけではない。
通夜も行わず、親族だけの密葬になるそうだ。
けれども俺には、思うところはあった。
220 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 05:08:46.84ID:COd6JsKY.net
自殺ではないだろうか。
221 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 05:09:27.07ID:COd6JsKY.net
それを確認する手段は俺にはなかった。
いや、正確に言えば確認しようとしなかった。
卑怯な事だけれども、仮に自殺であったなら それに関与したという事実を認めたくなかった。
俺は意図的に自殺という言葉を避けた。
224 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 05:10:47.38ID:COd6JsKY.net
自分自身に言い訳をした。
事故かも知れない。病死かも知れない。
譲って、自殺であったとしても、将来を悲観してのことかもしれない。
225 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 05:11:48.55ID:COd6JsKY.net
俺がKに話したのは あかねの近況だった。
いま、あかねは どこどこにいて、子供がひとりいて、残念だけど離婚してしまったみたいで、(ここは嘘をついた)
226 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 05:13:29.51ID:COd6JsKY.net
Kのことも懐かしがっていたぜ、また、ヒマをみて連絡してやれよ、そんな内容だった。
227 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 05:14:13.44ID:COd6JsKY.net
でも、あかねからしてみれば俺がKに話した事実は変わらないし、どこまで話したか、というサジ加減など分かりもしない。
Kがさわりのない事を話したとしても、気を使われているとあかねが考えれば同じことだ。
228 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 05:14:48.22ID:COd6JsKY.net
あかねは何故死んだのだろう。
おそらくは自殺だったのだろう。
自殺だったとして、その目的は俺への復讐なのだろうか。
俺があかねを死なせたのだろうか。
229 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 05:15:22.87ID:COd6JsKY.net
大学生だったころ、法学の講義冒頭で、教授が話していた事を、ふいに思い出した。
230 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 05:16:18.45ID:COd6JsKY.net
「罪には3つの種類がある。ひとつは、法律を守らなかった罪。これは、これから、われわれが学ぶ学問であるが、その大小、損失具合で相応の罰が与えられる。
231 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 05:16:54.78ID:COd6JsKY.net
もうひとつは、宗教における罪。教義に於いて、あるいは神によって、これもまた、量刑をへて、罰せられる。
232 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 05:17:27.72ID:COd6JsKY.net
最後に、道徳的な罪。
実はこれが一番厄介だ。確実に存在するにもかかわらず、その基準は おのおのまちまちである。そして罰も与えられない」
234 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 05:18:13.85ID:COd6JsKY.net
罪に対して与えられるのが罰。
罰とは救済なのではないか、と俺は考えた。
犯した罪に対して罰という目に見える苦痛を与えて、それを受け入れることで罪の意識を消してくれる。
だから、罰とは、「与えられる」ものなのだ。
235 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 05:20:25.25ID:COd6JsKY.net
罪そのものは消えなくても、「罪の意識」からの救済はある。
それならば、俺の犯した罪に、一体誰が罰を与えてくれるのだろう。
236 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 05:21:01.07ID:COd6JsKY.net
あかねを不幸にさせた男の名簿の最後に、俺の名前が書き加えられる。
そして、その名簿から俺の名前を消すチャンスは永遠に損なわれた。
無論、更新される事もない。一番最後なのだ。
237 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 05:23:30.81ID:COd6JsKY.net
俺は間違っていた。
俺は嫉妬して頭がおかしくなっていたのだ。
君を傷つけることで、俺のことを分かって欲しかった。
それがどれだけ残酷なことか、俺はきちんと理解していなかった。
ごめんなさい。本当に申し訳なかった。
だから、どうか、俺に罰を与えて欲しい。
239 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 05:24:15.74ID:COd6JsKY.net
いまでも心の中で何度も悔いている。
241 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 05:24:57.37ID:+im1HRAX.net
>>239
だから悔いても死人には何のメリットもないんだよ
253 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 05:32:08.22ID:COd6JsKY.net
>>241
死人にはね。
242 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 05:25:02.24ID:COd6JsKY.net
あかねが亡くなってから、1年と少したった頃、高校の同窓会があった。
高校3年生の時の同窓会なので、あかねと関わりがある会ではないのだが、Kも行くとのことで、俺も参加することにした。
244 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 05:26:05.55ID:COd6JsKY.net
ひとつだけ、聞きたいことがあったからだ。
245 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 05:26:59.96ID:COd6JsKY.net
懐かしい顔が並び、みんな酒が進んでいた。
おう、どうした?おい、老けたな、いま、何やってんの、結婚は?仕事は?
247 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 05:27:34.97ID:COd6JsKY.net
席のあちらこちらで そんな内容の言葉が飛び交っていた。
遅れてKがやってきて、一通りのやり取りの後、Kは俺のところへやって来た。
Kと他愛の無い話しをして酒を酌み交わした。
あかねの話は出て来なかった。
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