死なせてしまった女に贖罪をさせてくれ
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204 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 04:57:15.13ID:COd6JsKY.net
Kがいなければ。
俺がKであったなら。
KがKじゃなければ。
205 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 04:58:56.30ID:COd6JsKY.net
いろんな思いが交錯して、頭がかなり混乱した。
取り出そうと手を伸ばせば伸ばすほど、答えは奥に入り込んで行ってしまう、そんなもどかしさを感じた。
206 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 04:59:29.62ID:COd6JsKY.net
考えれば考えるほど酒を飲みたくなったし、飲めば飲むほど考えは混乱した。
気が付けば、部屋のベッドに吐いて眠っていた。
どうやって帰ったのかは覚えていない。
207 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 05:00:07.13ID:COd6JsKY.net
あかねからのメールがやってきたのは数日あとだった。
銀行名と口座番号と氏名、それから、よろしくお願いしますの文字。
最後にまたいつもの文句が添えられていた。
208 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 05:00:55.21ID:COd6JsKY.net
「K君には絶対に言わんといてな」
209 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 05:01:38.36ID:COd6JsKY.net
俺は3万円振り込んだあと、かすかな違和感を覚えた。
違和感というより、小さな怒りの炎のようなものかもしれないし、嫉妬の炎かも知れない。
Kがいなければ。
俺がKであったなら。
KがKじゃなければ。
205 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 04:58:56.30ID:COd6JsKY.net
いろんな思いが交錯して、頭がかなり混乱した。
取り出そうと手を伸ばせば伸ばすほど、答えは奥に入り込んで行ってしまう、そんなもどかしさを感じた。
206 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 04:59:29.62ID:COd6JsKY.net
考えれば考えるほど酒を飲みたくなったし、飲めば飲むほど考えは混乱した。
気が付けば、部屋のベッドに吐いて眠っていた。
どうやって帰ったのかは覚えていない。
207 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 05:00:07.13ID:COd6JsKY.net
あかねからのメールがやってきたのは数日あとだった。
銀行名と口座番号と氏名、それから、よろしくお願いしますの文字。
最後にまたいつもの文句が添えられていた。
208 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 05:00:55.21ID:COd6JsKY.net
「K君には絶対に言わんといてな」
209 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 05:01:38.36ID:COd6JsKY.net
俺は3万円振り込んだあと、かすかな違和感を覚えた。
違和感というより、小さな怒りの炎のようなものかもしれないし、嫉妬の炎かも知れない。
210 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 05:02:18.19ID:COd6JsKY.net
いつも、Kだ。
そもそも、俺がいちいちKに報告するとでも考えているのだろうか。
だいたい、Kには絶対に知られたくなくて おれには知られても一向に構わないというのだろうか。
211 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 05:02:52.07ID:COd6JsKY.net
なぜ、毎回、あかねは念を押すのだろうか。
本当はKに話して欲しいのではないか。
だから こうやって連絡してきたのではないか。
あかねのことだ。心配して電話してきたKの声が聞ければそれで幸せなのだろう。
212 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 05:03:30.61ID:COd6JsKY.net
投げやりに俺はそう思った。
無論、あかねの人生の転落は俺にもKにも責任はない。
ただ、無関係ではないはずだ。
一方の俺は あかねの転落話に心を傷め、一方のKは何も知らないで のほほんと生きている。
そのくせに、あかねの中で いつも特別なのが気に入らなかった。
213 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 05:04:03.39ID:COd6JsKY.net
俺はKに電話をした。
214 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 05:04:50.79ID:COd6JsKY.net
数日後、あかねから罵詈雑言の電話がかかってきた。
ほとんどが内容を聞きとれないものだったが、その怒気だけは伝わってきた。
俺の話など挟む余地なく、一方的にまくしあげて、電話を切られた。
215 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 05:05:41.82ID:COd6JsKY.net
Kがあかねに電話したようだ。
わかってはいた。そう仕向けたのだから。
間を置いてきちんと説明しようと思った。
Kには内緒にして欲しい、その言葉に少し傷ついていることを。
もちろんKには あかねの混みいったことは話していないし、声を聞く機会も作ってやりたかった、と。
216 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 05:06:28.63ID:COd6JsKY.net
あかねからメールが来た。
「お金はありがとうございました。もう二度と連絡はしません。」
「さよなら」
217 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 05:07:07.82ID:COd6JsKY.net
俺は すぐあかねに電話をしてみた。繋がらなかった。
メールを送っても未配信になった。
あかねとの繋がりは、俺の過ちで完全に切れた。
218 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 05:07:45.84ID:COd6JsKY.net
あかねの負った傷の深さを俺は見誤っていた。
219 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 05:08:16.67ID:COd6JsKY.net
Kから あかねの訃報の電話があったのは その一週間後だった。
死因は分からないとのことだった。
Kの彼女からの情報で直接聞いたわけではない。
通夜も行わず、親族だけの密葬になるそうだ。
けれども俺には、思うところはあった。
220 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 05:08:46.84ID:COd6JsKY.net
自殺ではないだろうか。
221 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 05:09:27.07ID:COd6JsKY.net
それを確認する手段は俺にはなかった。
いや、正確に言えば確認しようとしなかった。
卑怯な事だけれども、仮に自殺であったなら それに関与したという事実を認めたくなかった。
俺は意図的に自殺という言葉を避けた。
224 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 05:10:47.38ID:COd6JsKY.net
自分自身に言い訳をした。
事故かも知れない。病死かも知れない。
譲って、自殺であったとしても、将来を悲観してのことかもしれない。
225 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 05:11:48.55ID:COd6JsKY.net
俺がKに話したのは あかねの近況だった。
いま、あかねは どこどこにいて、子供がひとりいて、残念だけど離婚してしまったみたいで、(ここは嘘をついた)
226 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 05:13:29.51ID:COd6JsKY.net
Kのことも懐かしがっていたぜ、また、ヒマをみて連絡してやれよ、そんな内容だった。
227 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 05:14:13.44ID:COd6JsKY.net
でも、あかねからしてみれば俺がKに話した事実は変わらないし、どこまで話したか、というサジ加減など分かりもしない。
Kがさわりのない事を話したとしても、気を使われているとあかねが考えれば同じことだ。
228 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 05:14:48.22ID:COd6JsKY.net
あかねは何故死んだのだろう。
おそらくは自殺だったのだろう。
自殺だったとして、その目的は俺への復讐なのだろうか。
俺があかねを死なせたのだろうか。
229 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 05:15:22.87ID:COd6JsKY.net
大学生だったころ、法学の講義冒頭で、教授が話していた事を、ふいに思い出した。
230 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 05:16:18.45ID:COd6JsKY.net
「罪には3つの種類がある。ひとつは、法律を守らなかった罪。これは、これから、われわれが学ぶ学問であるが、その大小、損失具合で相応の罰が与えられる。
231 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 05:16:54.78ID:COd6JsKY.net
もうひとつは、宗教における罪。教義に於いて、あるいは神によって、これもまた、量刑をへて、罰せられる。
232 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 05:17:27.72ID:COd6JsKY.net
最後に、道徳的な罪。
実はこれが一番厄介だ。確実に存在するにもかかわらず、その基準は おのおのまちまちである。そして罰も与えられない」
>>次のページへ続く
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