嫁はその言葉信じて韓国に帰っていった。
ワイは嫁のためにも絶対にアメリカの会計事務所に就職したる、もうプロヒモニートのあの頃のワイとは違うんや!って燃えてたわ。
実際のとこ、アメリカには日本みたな新卒カードはない。
せやから、大学卒業間近になってもみんなのんびりしてて、就職が決まってるのは全体の3割とかその程度や。
ワイはというと、卒業したら学生ビザが切れるからアメリカから放り出されて就職活動のチャンスすらなくなってまう訳や。
正直焦っとった。
そんな中、一つの会計事務所がぜひ直接面接をしたい、と言うてきてくれたねん。
ただ遠い。。。
車でその事務所まで往復12時間かかるから、まる2日授業を休んで面接にいかなあかん。
ひいてはワイの最終成績スコアに響く可能性がある。。。
ワイは迷ったけど、その事務所の面接を受けることにした。
正直面接の結果は散々やった。
まともに答えられた会計関連の質問は半分ほどやったにも関わらず、後日、内定通知が送られてきた。
これは。。。
もしかしてあの塾のときと同じで単純に人が足りないケースなんやないやろうか。
いずれにしてもワイにそんなに選択肢は残されてなかった。
日本に帰るか、この事務所を選ぶか。
ワイは覚悟を決めて、この会計事務所に就職することにした。
塾を辞めてプロヒモニートになってから約5年ぶりの就職や。
結果から言えばワイの予想は半分はずれで半分あたりやった。
人は足りない。特にめんどくさい日本人の客を対応する日本人の従業員の数が足りない。
ただその原因の一端は、使えないと分かるとガンガンクビを切る社風にあった訳や。
実はこれは別にこの事務所に限ったことやないんや。
アメリカの会計事務所での1年目の従業員の離職率は約6割。
この中で自主退社とクビは半々、ってとこや。
日本と違って、従業員と会社はほぼ対等な契約関係にあって、事前通達さえすればクビをきるのも辞めるのも自由、ってことになる。
この事務所のちょっとあかんとこは、日本人にもそれを例外なく適用してもてるところや。
そもそもアメリカにおる会計学を専攻した日本人の母集団が少ないのに、アメリカ人と同じように「クビをきってもまたすぐ採用できる」と思ってたらろくに募集も来えへん結果になってたわけや
実際、ワイと同期で入った新入社員は7人。そのうち4人が3か月で全員クビきられとった。
法律的には日本人だろうとアメリカ人だろうと対等に評価して対等にクビをきらなあかん訳で、仕方ないんやけど現場からしたら慢性的な日本人不足になる訳や
残念ながらワイには人並み外れた才能はない。
この状況で嫁にアメリカ来てくれ、なんて言える訳もない。
その上、当時25歳の女性上司にワイはイビラれとった。
もしかしたら若い女性上司にイビられるのは人によってはご褒美なんかもしれへん。
でも、明らかに作業量を増やす目的で訂正に訂正を要求され、ゴミを見る目で見つめられると、快感を覚える前に心が病む方が早いのは明らかやった。
そこでワイはアプローチを変えた。
このイガグリのようなオーラを出している25歳上司に気に入られることはあきらめて、母性本能を出している年上の女性。。。
運よく同じ部署に5歳ほど年上のベテラン女性がいたので、彼女に取り入ることにした。