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妻が隠れて喫煙するようになった理由
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家に着くと、二階の寝室の灯りが点いていました。
私は浴室に直接行き、シャワーを浴びてから二階に上がりました。
子供部屋を覗くと、二人の子供はすやすや寝息を立てながら眠っていました。
子供達の顔を見た時、私の気持ちの中に言い様の無い罪悪感が襲い、心の中で謝罪しながら子供部屋のドアを閉めました。
寝室に入ると、タバコの匂いがしました。
ガラムの匂いです、もう火は消されていましたが、ついさっきまで吸っていたのでしょう、部屋には独特の匂いが充満していました。
妻の顔を見ると、酒を飲んだようで赤ら顔で目が据わっています。
無言の私に妻が話しかけます。
妻「お帰りなさい、遅かったですね。」
私「あぁ。」
妻「お姉ちゃんが、パパはって言うから、仕事と言っておきました。」
私「そうか。」
妻「それと、私達が離婚するのか聞かれました。」
私「何て言った。」
妻「心配ないと言っておきました。」
私「そうか、それでお姉ちゃんは何て言ってた。」
妻「何も言ってませんが、安心したようです。」
私「大分飲んでるのか。」
妻「・・・はい。」
妻は、そう言うと大粒の涙を流しながら俯いていました。
私「何を泣いている。」
妻「・・・私・・・」
私「何だ。」
妻「私、貴方に離婚されたら、あの子達に何て言ったらいいか。」
私「それは、あんな事をする前に、考えるべきことだろう。今更言う事では無いだろう」
妻「貴方お願いです、離婚だけは許して下さい。あの子達の父親でいて下さい。」
私「まだ、離婚するかどうかは決めていない、俺だってあの子達は可愛い。」
妻「じゃ、このままでいて下さい。」
私「それは解らない。俺達は、前のような夫婦には戻れない。」
妻「私の事は、前のようには思って貰えないのは解ります、あの子達の為にこまま・・・」
私「そこまで言うのなら、何であの時思いとどまらなかった。自分の肉欲の為に家族を顧みないで、都合の良い事を言うな。」
妻「本当に、御免なさい。二度としませんから、お願いします。 貴方が何をしようと、文句は言いません。だから、お願いします。このまま、あの子達のパパでいて下さい。」
妻は何か感じ始めていたのでしょう、私がこの家を出て行くことに異常に神経を過敏にしている様子でした。
私は妻の涙を見ながら、由香里の涙との違いを考えていました。
由香里の涙は、高まっていく思い中で私を独占したいと言う想いから来るものだとすれば、妻の涙は何なのか?子供に対する反省の念?それ以外は妻の保身としか私には思えませんでした。
-------------------------
相変わらず私の帰宅時間は深夜が多く、家に居るのは寝るときだけ。
そんな生活が続き、妻は完全にアルコール依存症に成ってしまったようです。
私が帰ると、妻の体から発せられる独特のアルコールの匂いとタバコの匂いとが相まってむせかえる様な空気が、寝室中に充満している事もしばしばでした。
そんなある日、由香里のアパートから自宅に戻り何時ものようにシャワーを浴びて寝室に入ると、部屋の様子が違いました、
ベッドの位置は変わっていませんが、備品の位置やカーテンまで変えてありました。
アルコールの匂いもタバコの匂いもしません。
妻「お帰りなさい。」
私「あぁ。」
妻「カーテン古いから取り替えました。」
私「あっそ。」
妻「気に入らなかったら、前に戻します。」
私「どうでも良いよ。」
私の反応の無さに、妻は落胆の色を隠せませんでした。今の私にしてみれば、この部屋は寝るだけの場所に過ぎなくなっていました。
妻「貴方・・・」
私「何だ。」
妻「1つ聞きたいことがあります、怒らないで聞いてください。」
私「だから何だ。」
妻「貴方・・・付き合っている人が居るんじゃ・・・」
そう質問されたとき、不思議と冷静な私が居ました。いや早く妻に気付いて貰いたかったのかもしれません。
かと言って、事後の対策が有った訳でもないのですが。
私「だとしたら。」
妻「・・・」
私「居たとしたら何だというんだ。」
妻「居るんですね。」
私「あぁ。」
妻「何時から出すか。」
私「何時からって、何故だ。それを聞いてどうする。」
妻「別にどうと言う訳では・・・」
私「もしかして、俺が前からお前を裏切って、浮気でもしていたと思ったのか。」
妻「そんなことは言ってませんよ。」
私「残念だか、私が彼女と付き合い始めたのは、お前の不貞に気付いてからだよ。」
妻「そうですか・・・」
私「帳消しにでもなると思ったか。」
妻「そんなこと、思ってません。ただ貴方が、このまま帰ってこないような・・・」
私「そう成るかも知れないな。」
妻「それだけは、勘弁してください。お願いします。この通りです。」
床に頭を付けて謝る妻に対して、冷たい眼差しで見つめる私が居ました、他人がそこに居れば非道な男に見えたかもしれません。
でも私は、それだけ妻に対しての私の信頼を踏み付けにされた気持ちを表さずには居られませんでした。
由香里との事を名前は出さないにしても妻に告げたのは、最近の由香里の態度がそれを望んでいるようにも思えたからです。
妻「その人の事どう思っているんですか。」
私「どうって・・・好きだよ。」
妻は、這いつくばって私の足元に来ると、パジャマの裾を掴むと、首を横に振るばかりで何も声にならない様子でした。
その時の妻の心の中に去来する物は何だったのでしょう。
この状況になって、初めて自分の犯した事の重大さに気付いたかのように、その夜妻が私のそばから離れることはありませんでした。
-------------------------
翌朝、目が覚めると妻がベッドの脇で寝込んでいました。
時計を見ると8時を過ぎていました。
慌てて起きて身支度をする私に気付いた妻が、また私に縋ります。
私「いい加減に離してくれ。」
妻「嫌、貴方帰ってこなくなる。」
私「会社にも行けないだろ。行かなきゃ、飯も食えないぞ。」
妻「その人の所に行くんでしょ。」
私「仮に、そうだったとしても、お前に俺を止める権利は無いだろ。お前が、栗本と乳繰り合っていた日、俺がどんな気持ちでいたか、お前に解るか。」
そう言い放つと、妻はやっと私を自由にしてくれました。
そうはいったものの、焦点の定まらない虚ろな目をした妻が、気に掛かった私は、出社後、直ぐに得意先周りに出かけるということで、外出し妻の会社の前を車で通りました。
カウンターの向こうに妻の姿が見えたとき一瞬ホッとしました。
>>次のページへ続く
私「だとしたら。」
妻「・・・」
私「居たとしたら何だというんだ。」
妻「居るんですね。」
私「あぁ。」
妻「何時から出すか。」
私「何時からって、何故だ。それを聞いてどうする。」
妻「別にどうと言う訳では・・・」
私「もしかして、俺が前からお前を裏切って、浮気でもしていたと思ったのか。」
妻「そんなことは言ってませんよ。」
私「残念だか、私が彼女と付き合い始めたのは、お前の不貞に気付いてからだよ。」
妻「そうですか・・・」
私「帳消しにでもなると思ったか。」
妻「そんなこと、思ってません。ただ貴方が、このまま帰ってこないような・・・」
私「そう成るかも知れないな。」
妻「それだけは、勘弁してください。お願いします。この通りです。」
床に頭を付けて謝る妻に対して、冷たい眼差しで見つめる私が居ました、他人がそこに居れば非道な男に見えたかもしれません。
でも私は、それだけ妻に対しての私の信頼を踏み付けにされた気持ちを表さずには居られませんでした。
由香里との事を名前は出さないにしても妻に告げたのは、最近の由香里の態度がそれを望んでいるようにも思えたからです。
妻「その人の事どう思っているんですか。」
私「どうって・・・好きだよ。」
妻は、這いつくばって私の足元に来ると、パジャマの裾を掴むと、首を横に振るばかりで何も声にならない様子でした。
その時の妻の心の中に去来する物は何だったのでしょう。
この状況になって、初めて自分の犯した事の重大さに気付いたかのように、その夜妻が私のそばから離れることはありませんでした。
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翌朝、目が覚めると妻がベッドの脇で寝込んでいました。
時計を見ると8時を過ぎていました。
慌てて起きて身支度をする私に気付いた妻が、また私に縋ります。
私「いい加減に離してくれ。」
妻「嫌、貴方帰ってこなくなる。」
私「会社にも行けないだろ。行かなきゃ、飯も食えないぞ。」
妻「その人の所に行くんでしょ。」
私「仮に、そうだったとしても、お前に俺を止める権利は無いだろ。お前が、栗本と乳繰り合っていた日、俺がどんな気持ちでいたか、お前に解るか。」
そう言い放つと、妻はやっと私を自由にしてくれました。
そうはいったものの、焦点の定まらない虚ろな目をした妻が、気に掛かった私は、出社後、直ぐに得意先周りに出かけるということで、外出し妻の会社の前を車で通りました。
カウンターの向こうに妻の姿が見えたとき一瞬ホッとしました。
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