姉と結婚した
嫁さんとの出会いまでほとんど記憶がないので伝聞も合わせて。
俺両親、母親の不貞で俺が年少の時に離婚。
親権母親で養育費月8万貰ってたらしい。
母親は実家を勘当され、見知らぬ田舎のボロアパートへ。
繁華街の風呂で稼ぎつつ、最低限の学費以外ナイナイして稼ぎと合わせて男漁り。
田舎だから母親がそんなんだって一瞬で伝わり。
俺は都会からやってきた部外者っていうのもありいじめの対象だったらしい。
教師もグルだったらしい。
まあ、私服学校で一年通して二枚の色あせてぼろぼろのシャツを延々着まわしてたらいじめられるわな。
我が家に掛布団などなく、部屋の真ん中に敷布団がぽつんとあるだけ。
それも母親の行為用で、家に男を連れ込むとき、俺は押し入れに入れられていた。
押し入れの中は比較的あったかかったので寝るのも押し入れの中に座ってだった。
おぼろげに覚えているのは小学3年の冬、例年以上に冷え込むといわれていたらしい日。
比較的早い時間に帰ってきた母親。
あったかそうなコート着こんでべろんべろんに酔っぱらってた。
玄関で倒れこんでそのまま寝た。
あまりにも寒かったから、俺はあったかそうな母親のコートを脱がせてくるまってた。
ドキツイ香水の匂いが嫌だったけど寒いのよりはよかった。
あったかくなって眠気のままに落ちて、翌朝。
目が覚めた俺は焦ってた。
酔っぱらって帰ってきた翌日の母親は機嫌が悪い。
その上コートを無理やり脱がせてたから怒られると思ってランドセル引っ掴んだ。
玄関に行くと母親まだ横になってた。
起きたら絶対に怒られると思って急いで逃げた。
学校は面白くもなんともなく、給食だけが目当てだった。
朝のことを思うと怖くて家に戻れず、風がしのげそうな橋の下で過ごした。
いつ連れ戻されるのか怯えながら、家出したまま学校に通った。
数日後、学校に俺を引き取るために父親が来た。
母親はタヒんでいた。死因は凍死。
俺がコートをはぎ取ったあの日がそうだった。
母親の男の一人が遊びに来て発見。
絶叫して逃げたので近隣住人が何事かとKに通報。
父親に伝達され、引き取りに来たらしい。
父親は離婚して1年後再婚していたが、再婚3年後に事故で再婚相手を失い、再婚相手の連れ子(女性、俺の5コ上)と暮らしていた。
この血のつながらない姉が、嫁さんだった。
父親の家で過ごす日々は何もかもが新鮮だった。
朝も夜もご飯が食べられる。
暖かい風呂に入れる。
長袖長ズボンの温かさを知った。
掛布団の存在を初めて知った。
一方で嫁さんは5コ下の弟の今までの暮らしに衝撃を受けていた。
何を言ってもしてもほとんど無反応。笑わないし泣かないし、何を考えているのかわからない。
朝と夜のご飯を出すと「……?食べても、いいの?」と疑問形。
箸の持ち方もおかしい。
沸かした風呂に入ったはずの弟が全然あったまってない。
洗面器に水をため、その水だけで髪を洗い体も洗っていた。
しかも全部ただの石鹸で。
寝巻を渡すと「こんな、袖の長い服、あるんだ」。
布団を敷いておいたのに翌朝見ると使った形跡がなくパッと見どこにもいない。
父親とあわてて探すと押し入れの隅でちっさくなって寝ていた。
なぜか「この子は私が育て上げる!」と意気込む嫁さん(14)。
思い返せば、そうでもしないと自分の居場所がないように思えたとのこと。
再婚して家族になっただけの自分と、離れていたとはいえ父親と血がつながっている弟。
親類縁者のいない嫁さんにとっては家族はもうこの二人しかいなかったから、らしい。
嫁さんのおかげでまともになりつつあった俺。
嫁さんは高校生になった時くらいに
「このまま弟の世話してたら青春とかできないよね」と思ったらしく
「じゃあ、このまま弟を自分の理想の男に育ててしまおう」という斜め上の結論に。
俺が大学に入ってもメールやら電話やらでいろいろ教育され、社会人になって1年くらいした時に親父が急逝。
49日が過ぎたころにファミレスで今後のことを話し合い。
俺「ねーちん、俺のことは大丈夫だからそろそろ結婚相手探しなよ、いい人いないの?」
といったところ
嫁「もう私の家族はあんたしか残ってないのに離れるのは嫌」
俺「いや、姉弟だからねーちんが結婚しても離れるわけじゃ」
嫁「あーもうこのにぶちん!」
俺「!?」
がしっと顔掴まれてむちゅう、と奪われましたよ。
大きな声出してたせいで注目されてて衆人環視の中であっついベーゼ。
おおーwとかきゃーwとか声がしてたけど俺の頭の中真っ白。
嫁「わかった?」
俺「……」
嫁「おい」
俺「ひゃい!」
嫁「どうするの?」
俺「ねーちん俺をもらってください」
嫁「乙女か!」
的なやりとりがあり、今では尻に敷かれつつ2児のパパを頑張っていたりする。
大体そんな感じっすわ
今夜は盛大にもげろ
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