2番目の男の思わぬ逆襲
2年ほど前の話、30歳になったオサーンの告白を聞いてくれ
自分自身の整理の為に投下する
文章の変でも怒んないでね。結末納得いかなくても怒らないでね。
俺(R)と彼女(T)との出会いは大学時代のことでした。
大学2年の時に知り合い意気投合し、なんでも話せるよき友人から愛する恋人になるまで それほど時間はかからなかった。
大学卒業後お互い地元の会社に就職し しばらく親元にいましたが、お互い将来結婚を考えていたので俺は家を出て一人暮らしをはじめ彼女とは半同棲状態でした。
「お互いを大事に出来る関係でいよう」
お互いそう言いながら、結婚に向けて努力する日々は非常に充実したものでした。
彼女も仕事(営業)に慣れてきたころ、彼女は失敗を犯してしまいました。
俺も心配で色々アドバイスをしましたが、違う会社であるため なかなか気の利いたアドバイスも出来ず 苦しむ彼女の為に慰めてあげることしか出来なかった。
彼女の失敗は それほどたいしたものではなかったのですが その挽回を一生懸命している彼女を見て俺は改めて彼女との結婚を真剣に考えていました。
上司のフォローのおかげもあって彼女のトラブルは無事解決し 彼女は上司の仕事振りに憧れを抱いていたようでした。
「Sさん(上司)は仕事も出来て、人間的にも素晴らしい 会社辞めようかと思ったけど、Sさんが引き止めてくれたから 残ることにした」
彼女から具体的にSのことを聞いたのは、このときが初めてでした。
彼女との生活も2年を過ぎようとしている時
お互いの両親のプレッシャーもあり、俺からプロポーズし具体的に結婚へ向けて準備が始まりました。
時折 彼女はSさんの仕事振りを褒め、「Sさんがいなければ自分の今はなかった」と言うようになって俺は なんとなく不快感を感じながらも、そんなことで目くじら立てるような人間だと彼女に思われるの嫌なので「そうだね」と同意しながら話を聞いていました。
そのころ俺も会社の新規プロジェクト要員として抜擢され 忙しいながらも充実した日々を送り、本格的に彼女と同棲し始めた。
残業も超過気味の状態でしたが、彼女との結婚資金のこともあり「取り合えず1年程頑張れば余裕が出来るから、そのころ結婚しよう」と彼女に告げました。
そのときの彼女は嬉しい様な悲しいような複雑な表情を浮かべ「無理しないでRくんのペースで頑張って」と励ましてくれた。
このとき俺は純粋に彼女の優しさに少し感動し「絶対に成功させて見せる」と息巻いていました。
プロジェクトも佳境に入り始めると遠方への出張も多くなり1ヶ月の内1週間ほど家を空ける日々が3ヶ月ほど続いていた。
「私のことは心配しないでいっといで」
笑いながらいつも送り出してくれた彼女に少し罪悪感を感じつつ、「もう少しだから待ってて必ず幸せにする」と心の中で固く決心していました。
金曜から日曜までの出張予定だった時、会社で急な訃報が入り午後からの予定だった出張を取りやめ 午後6時頃喪服を取りに自宅へと帰ってきましたが、アパートの駐車場に見慣れない車が止まっていました。
「彼女の友達かな?」と思い取り合えず空いているスペースへ車を止め 部屋を見上げた時 部屋には電気がついていて彼女と もう一人の影がぼんやりカーテン越しに見えました。
「今日は えらく早い帰りだな」と思いつつ急いで階段を上っているとき、なんとなく違和感を感じました。
なんか嫌な予感がしたアパートの2階にたどり着いたとき 違和感の理由が分かった。
車だ、彼女の友人で黒のBMWに乗ってる奴なんか聞いたことない、すぐに車に引き返し車の中を覗いてみた 明らかに男物スーツの上着と、鞄その他の痕跡で男の車だとすぐに分かった。
すぐに引き返し玄関まで来たとき、新聞受けに耳を押し付け中の様子を伺った。
明らかに男の声がする、しばらく立ち尽くしたまま呆然としてたが 気を取り直しもう一度耳を押し付けた。
扉の開く音と、寝室の扉につけてある鈴の音が聞こえた。
心臓は ばくばくして、今にも はちきれそうだった
頭の中に「なぜだ」という疑問と、「間違いかも」という気持ちが錯綜していた。
取り合えず心を落ち着け そっと家へと入った。
「気づかれないか?」と どきどきしたが気づかれることもなく家へと入れた。
忍び足で寝室の前まで来ると中から声が聞こえていた、それほど防音性に優れていない扉から漏れ出す声に、心が締め付けられるように苦しくなってきたが、頭の中には「真相」を突き止めることしかなかった。
ゆっくり近づいてそっと耳を当てた。
男の声が聞こえる
「婚約者がいるのに こんなことしてていいのか?悪い奴だな」
と笑いながら言っている男の声
「彼のことを言うのは よして下さい!本当に愛しているのはSさんだけ 彼とは結婚するだけよ、最近忙しくてセックスもしていないもの 誘われてもSさんの為に断るから安心して」
少し怒り気味で彼女が言った
「断るなよ, 怪しまれるじゃないか、俺は お前の心があれば それでいいんだよ
俺は お前のすべてを幸せにはしてやれない、
君も幸せになって欲しい,
だから彼とも上手くやって欲しいんだ」
「そんな事いわないで、分かっているのでも今は私だけを愛して欲しい・・・」
お互いの愛のささやきが耳に入ってくる。
立っているのがやっとだった.
なんとなく もたれ掛かって最後に彼女の声が聞こえた
「仕事も男としての魅力もあなたの方が上、愛してるのはあなた
彼は2番目よ、お願い愛してるといって」
彼女が切なそうに言っているのが聞こえた
俺は気づかれないように出ていった、
ふと喪服のことを思い出し実家に帰り喪服をきて通夜にでた、
故人を偲んで泣いている人もいた
俺は全然面識がない人の通夜で、一人さめざめ泣いていた。
俺は彼女との結婚を取りやめなかった、
2番目の意地を見せてやりたかった。
ほとんど家にも帰らず、取り付かれたように仕事をした。
彼女からの電話には常に出ていた「心配ない」「もう少しだ」と自分でも驚くほど冷静に彼女に対応していた。
無事プロジェクトは成功し 最後の頑張りが認められ 俺は新工場の そこそこ重要なポストにつくようになった。
その年 彼女と無事結婚した
新婚旅行にも行かず仕事に打ち込んだ。
彼女は寂しそうに「あなたの為だもの、私は我慢するわ。落ち着いたら旅行しましょうね」と明るく振舞っていた。
彼女は仕事を辞めて専業主婦になった、