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数年前、自殺しようとしてた俺が未だに生きてる話
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149 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/07(月) 05:00:07.23 ID:muQilJab.net
「俺が、自分のことを大切に思ってる?」

意味がわからずに、俺は聞き返した。

だって、俺はたった三日前、自殺しようとした人間だ。この世から自分を抹消しようとした人間だ。それが、自分を大切に思ってるって?

本当に意味がわからない。



150 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/07(月) 05:06:15.81 ID:muQilJab.net
「あなたは脆い」

レイは言った。

「それは、あなたが脆くありたいと思っているから」「そのほうが格好がいいと思っているから」


「そんなこと・・・・・・」


「あなたは傷つきやすい」

俺を無視してレイは続けた。

「それはあなたが敏感でありたいと思っているから」「それが自分の特性で才能だと思っているから」



151 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/07(月) 05:11:59.30 ID:muQilJab.net
「そんな、才能なんて・・・・・・」

否定しながら、俺は思い当たる節を感じていた。

他人の心が読める俺。そうして読めてしまうからこそ、敏感で傷つきやすい俺。

悪意の中を他人が平気で生きていられるのは、俺のように鋭敏ではなく、鈍感だからだ。

俺はそう感じていた。



152 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/07(月) 05:14:56.87 ID:muQilJab.net
「けど、それが俺だよ」

確かめるように、俺は言った。

生まれつき鈍感で身勝手な奴らがいるように、俺は生まれつき鋭敏で繊細なんだ。

そういうこともあるだろ?

足が速いとか、遅いとか、そういうような、生まれ持っての違いってのは。




153 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/07(月) 05:24:48.30 ID:muQilJab.net
「違う」

「そんなのは ただの恥ずかしい妄想よ」

「あなたがそう信じ込んでいるだけ」

「人間なんて、みんなそう変わらない」

「あなたも普通の人間の一人」


「普通の人間って・・・・・・」

俺は少し傷ついた。そして、傷ついたと感じた自分が嫌だと思った。けど、嫌だと思った自分も嫌に感じて・・・・・

それはつまり、俺は自分が特別な人間だと思いたがってるって証拠だった。



154 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/07(月) 05:30:01.15 ID:muQilJab.net
「でも、でも、俺は生きる価値があるって」

情けないかもしれないけど、俺は確認するようにそう言った。

それは俺が特別である証拠に思えた。

〈あなたには生きる価値がある〉

そういってくれたレイは、少なくともそう思ってくれてるはずだ。

そして、レイは俺の思った通りに答えてくれた。

「ええ」
「そう言ったわ」

けど、それからこう続けた。

「でも、それはあなたがほかの人間と比べて特別だ、という意味じゃない」



155 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/07(月) 05:41:34.74 ID:muQilJab.net
じわり、苦いものが胸に広がった。

俺は特別じゃない。

そう言われたことは、俺にとって「死ね」と言われたのと同じだった。

〈現実〉を考えれば、俺がレイにとって特別じゃないだなんて、当たり前のことだろう。

俺はたった数日前に出会った、しかも顔も見えないチャット相手なんだから。

けど、俺の関心がほぼ100%レイにあるというのに、レイはそうじゃないってことが、俺には我慢できなかった。

ほんと どうしようもないな、俺。



156 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/07(月) 05:53:19.50 ID:muQilJab.net
「じゃ、君が言う〈生きる価値がある〉って、人間全員のことなのか?」

むっとした俺は言った。

「人類愛的な、っていうかさあ」

女子に「好き」って言われて舞い上がってたら、「あ、異性としてじゃなくて人間性が」とか言われた気分だった。

いや、全然好きとか言われてないだろ、昔の俺よ。。。。。。



158 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/07(月) 06:10:04.34 ID:muQilJab.net
「生きる価値のない人間なんていない」

「前にも言ったはずよ」

「だから、俺にも価値がある?」

「そう」

「だから、自殺はいけない?」

「正しくない選択だと思うわ」

「じゃあさ、正しい選択って何だよ」

「正しい選択をするには、あなたの〈答え〉が」

「違う。俺じゃなくて、君の思う正しい選択って?」

ふてくされ気味の俺は、レイを遮って聞いた。俺がレイの「特別」じゃないなら、焦らされるのは面倒だった。

それに、そんなことを聞いても、どうせレイは答えてくれないと思った。

けど、それは違った。



159 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/07(月) 06:19:59.37 ID:muQilJab.net
「言ったでしょう、命は平等よ」

レイは言った。

「あなたも、いじめっ子も、あなたを見捨てた友達も」

「みんなそれぞれ、一つの命がある」

「一回きりの人生」

「一度きりのゲームオーバー」

「誰も蘇ることはできない」

「不死身でもいられない」

「その命をどう使うのか、制限されることはない」

「戦争の最中でもない、少なくともこの日本においては」



160 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/07(月) 06:32:31.67 ID:muQilJab.net
「あなたはあなたの〈現実〉の範囲で、何でもできる」

「現にあなたはいま、ある選択をしている」

「いじめっ子から逃げるため、学校に行かないという選択」

「そして、それは引きこもりという現状につながった」

「でも、あなたは初めから一生引きこもる覚悟があったわけじゃない」

「それはとりあえずの、一時避難だったはず」

「けれど、あなたも うすうす気づいているはず」

「一度引きこもると、もう元には戻れない」

「その部屋は呪いがかかったようにあなたを閉じ込める」

「あなたは自分が望んでも、そこからでることができなくなる」




162 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/07(月) 14:03:00.39 ID:muQilJab.net
「呪いを破るためには、相応の代償が必要となる」

「けど、呪いが強まれば強まるほど、その代償は大きくなる」

「だから、いまのうちに、払うべき」

レイは息継ぎをするように黙ってから、言った。

「あなたをいじめた人間の命をもって」



163 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/07(月) 14:13:25.76 ID:muQilJab.net
これは何かの冗談だろうか。

そう思って、俺は現れた文字列を何度か読み返した。

慌てて読んだ俺が、文字の意味を飛ばしてるだけで、よく読めば全然別の意味だったなんてことはよくある。(俺だけ?)

それに、レイの言い回しは なんとなく難しげなことがよくある。だから、馬鹿な俺はそれを理解できずに・・・・・・

けど、どう考えてみても、それは文字通りの意味に思えた。



164 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/07(月) 14:18:06.97 ID:muQilJab.net
「えっと」「どういう意味?」

そうする以外、どうしたらいいのかわからず、俺は聞き返した。

そうして打ち込まれた二行は、レイの言葉に比べるとものすごく間抜けだったが、それはこの際、仕方なかった。

「わかるはずよ」

しかし、レイはあっさりと言い切った。

「あなたの問題を解決するには、その根本を断つ必要があるわ」

その根本を断つって、それってやっぱり・・・・・・



165 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/07(月) 14:29:53.64 ID:muQilJab.net
「簡単なことよ」

「あなたの命は一つ。彼らの命も一つずつ」

「あなたを自殺に追い込み、先に命を奪おうとしたのは、彼ら」

「ゲームはもう始まっている」

「でも、でもさ・・・・・・」

俺は反論を試みた。けど、何にも言葉は出てこなかった。

それどころか、俺は・・・・・・認めたくないけれど、認めちゃいけないんだけど、レイの言葉は俺の心に突き刺さっていた。

それを見透かしたようにレイは言った。

「あなたはこの問題を解決する必要がある」

「あなたの命を守るために」

「呪いがこれ以上強まる前に」



166 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/07(月) 14:38:56.60 ID:muQilJab.net
なぜ、このときレイの言葉は、あんなにも強く俺の心をとらえたんだろう。

いまでも俺はそう考えることがある。

初めてレイと話したとき、レイはそのときも俺にそんなことを言ったはずだ。

いじめっ子たちが消えることが正しい、そんなことを、犯罪めいた言い方で。

そして、俺はそれに反発したはずだった。

だって常識的に考えて、そんなの普通じゃない。俺と、いじめっ子、どちらが消えるのが正しいか、なんて。

〈生きる価値のない人間なんていない〉

そう言ったのは、レイだったはずなのに。



167 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/07(月) 14:47:37.76 ID:muQilJab.net
そうだ、〈生きる価値のない人間なんていない〉んじゃなかったか?

そのときの俺も、レイの矛盾に気がついた。

ただ、それはいまの俺のように「だからそんなことしちゃだめだ」って思考には続かず、単純な疑問として思い浮かべただけだった。

「でも、あいつらにも生きる価値があるんだろ?」

俺は聞いた。

「そうね」

すると、こともなげにレイは答えた。


「その質問には こう答えるわ」

「あなたは船上にいて、いまにも溺れそうな二人を見下ろしている」

「一人は見知らぬ人。そして、もう一人は・・・・・・そうね、私」

「あなたの手には浮き輪が一つ」

「さあ、どちらを助ける?」






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