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死の淵から
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私が夫を一晩に何回も求めたのは、このときが後にも先に最後でした。

この時、夫の何回目かの射精を体の奥に感じたとき、私はとうとう今まで味わったことの無い、快感を味わい、頭の中が真っ白になり気絶してしまったのです。

気がついたときは まだ夫と繋がったままでした。

私はキスをしようとし、夫の顔を見て、ふとわれに返ったのです。

夫は苦しそうにそして、それを出来るだけ悟られないように、優しく私に笑いかけてくれていました。


私は呼吸の合間に見える夫の苦悶の表情を見て、夫が私の求めに応じることが体の負担になると言うことを、改めて思い知るのです。

私は、あの時初めて、連続で絶頂に達し続けることで、今まで感じたことの無いような、快感を得られる自分の体のことを知りました。

あの時の幸福感と一体感は、何物にも変えがたいものです。

しかし、同時にそれは夫の命を削ることになり、私は それからと言うもの、自分の体の欲求と夫を失う恐怖感の中でジレンマに陥り、結果、自分自身で夫との行為を抑制してしまうようになるのです。

しかし、一度火がついた体は容易に私を解放してくれません。

私は自分が行為に没頭すると夫を壊すほどの性欲を持っていることを恨めしく思いました。

そして夫との行為では、必ず夫が一回行けば、終わるようにコントロールするようになってしまったのです。

それは、夫のことを心配してのことではあるのですが、何よりそれ以上続けてしまうと自分自身もう我慢が出来なくなってしまうからなのでした。

夫がいなくなることは、私にとって死よりも耐え難いことなのです。

ましてやコントロールしだしてから夫は私を満足させるべく、前戯に時間をかけるようになり、こんな淫らな私を夫なりに愛してくれようとする心を感じ、ますます夫の体を第一に考えるようになりました。

そして、それは同時にあの時感じたような幸福感を捨て去ることを意味していました。



店長の家に着く頃、私は店長や男たちの行為を思い出していました。

男たちの行為はもちろん、店長であっても、あの時の夫との行為を上回るものではないということに思い至り、自分自身を納得させていました。

しかし、今思い返してみると、それは一時とは言え、体の満足を求めてしまった自分への言い訳なのかも知れません。


店長の家の呼び鈴を押す前、私は玄関口で帰るつもりでした。
それは夫を裏切ることを自分自身が耐えられなかったこともありますが、何より例え無理やりされてしまっても、最後には屈服してしまうのではないかと、自分自身怯えていたのかも知れません。

玄関に入ると店長はいきなり私に抱きつき、「会いたかった・・」と私に言いました。

私はいきなりのことに戸惑いながら、店長の胸を押し「このようなことは、やめてください・・・私はもう前のようなことは、夫を裏切ることはしたくないのです。」と言いました。


店長は、私から離れると俯き「すまない・・・」と消え入るような声で言い続けて、

「あのときから俺は桂木さんのことを愛してしまった・・・

貴女がご主人のことを愛していることは分かっている。

しかし、例えしばらくの間だけでもいい・・・

私のことも愛してくれないだろうか、俺はもう、この気持ちを抑えることは出来ないんだ」


私は店長のこの告白を聞き動揺してしまいました。

店長はなおも私を抱きしめようとし、私は必死に抵抗しました。

しかし、男の力にかなう筈も無く、とうとうキスをされると、私は店長の腕のなかで崩れ落ちてしまいました。

店長は私を抱きかかえるとそのまま寝室へと私を連れて行き、またキスをして私のブラウスを脱がし始めまたのです。


私は我に返り必死に抵抗しました。

しかし、いつに無く強引に店長は私を押さえつけとうとう下着姿にされてしまいました。

店長は服を剥ぎ取ると、隣の部屋に投げ込みました。

私は声を上げて止めてくださいと懇願するのですが、店長は「愛しているんだ・・・諒子さん」と私の名前を呼び、下着越しに愛撫を始めるのです。

私はまたあの時の恐怖が蘇り、子供のように泣きながら、

「やめて〜お願いします、お願いします・・・」

店長に懇願していました。


しかし、店長は愛撫をさらに強くしていき、私の体は徐々に反応してしまうのです。

私はこのような状況でも反応してしまう自分の体を呪い、そして最後にはまた求めてしまうかも知れない恐怖感から、嗚咽を漏らし無様に泣いてしまいました。

しばらくして、店長が私の中に入り、店長が何度目かの射精をした時、私は またしても絶頂を感じてしまいました。

そして、私が達したことが店長に分かると店長は、夫以外の物で絶頂を感じた私をことさら強調し私の心砕いていくのです。

私は夫との記憶にすがって、あの時の行為のことを思い出していました。

何度も何度も店長に貫かれ、いったん達してしまうと、何度でも達してしまう自分の体のことを呪いながら、それでも私は忘れることの出来ない幸せを思い涙を流すのです。

店長が最後の精を私の中に放出し終わり、私は絶望感を感じていました。

また感じてしまった、また達してしまった。

決して求めてはいないのに必死に堪えているのに最後には負けてしまう。

もう夫には戻れない私は体の欲求に負けてしまった。

夫を裏切ってしまったとの思いが心を支配していました。


シャワーを浴びながらひとしきり泣き、そして浴室からでると、店長が私を抱きしめました。

私は始めて この男に嫌悪感を抱き、振り払うと店長の頬を打ちました。

店長のこのときの顔は忘れられません、不敵であり、厭らしく そして私を馬鹿にしたような下劣な笑いです。

そしてこの男は私に

「さっきまで俺の物を咥えて喜んでた割には ずいぶんだな。何も知らないのは亭主ばかりなりか・・・」

というとビデオのリモコンを持ち再生ボタンを押しました。

そこには、最初に店長と交わった時の光景が映し出されていたのです。


私は何故このような物が映されているのかしばらく理解できないでいました。

店長は不適に私を見て、何も言わず少しずつ音量を上げて行きました。

私は呆然とし、そして、この事態を徐々に理解して行くのです。
声も出ず信じられない思いで店長を見ました。

店長はこちらを見ることなく、じっとビデオを見ています。

私は帰ることも出来ずただただ何が起こっているのか、それすらはっきり分からないまま崩れ落ちてしまいました。


店長はビデオを消すと何も言わず一枚の写真を私に渡しました。

それは店長との行為を写した写真でした。

店長はそのまま不適な笑みをたたえたまま、私を玄関口まで連れて行き、「それでは、さようなら・・・」とだけ言って扉を閉めました。


私はいったい何が起こったのか、そして店長の目的は何なのか、店長はいつあのような写真を撮っていたのか?何も分かりませんでした。

青ざめた顔で車に乗り、ハンドルに顔をうずめ考えていると底知れぬ恐怖に襲われるのです。

何とか家に帰り着き夫が帰ってくるまでの間私は枕に顔を埋め震えていました。

あの時、自分の弱さゆえ店長を求めてしまったこと、助けて欲しい人に助けを求めなかった愚かさ、そして、最早夫に助けを求めることは出来ない絶望、何にもまして底知れぬ不気味さを持つあの男、私に待っているのは いったい何なのでしょう。


これから起こることを思うと不安に駆られ、夜も寝られなくなり、そして私は家族の頼ることも出来ないのです。

あのときから1週間店長は私に一切接触しませんでした。

しかし写真だけは毎日送られてきます。

時には郵便で時には社内メールで、とうとう家の新聞の中に挟んであることもありました。

まるでじわじわ痛めつけるように私を追い詰めて行くのです。


このままではいつか家族にばれてしまうその恐怖感で気が狂いそうでした。

これは罰なのだ。あの時店長に助けてもらいたいと思い、店長に抱かれた私に対する罰なのだ。

そして何回考えてもこの地獄の終わりは夫との破局なのです。

どんどん具体的に夫との離別を考え始めました。

必死にいい材料はないかと考え抜きました。

たった一回の過ちであれば、夫は許してくれるのではないか?とも考えました。

しかし、このようなことを夫に言って夫の体は大丈夫なのだろうか?


悲嘆にくれる夫を想像し、私はどうしようもない悲しみに襲われ、そして店長の家に行った時、

私は夫のことを愛してる、と誰よりも一番と自分に言い訳しながら、店長との行為を心の奥底で期待していたのではないか、

夫が一番であることは間違いないということを自分で確かめて、いやそれによって自分自身の罪悪感を軽くしたかったのかも知れません。

私は、私は・・・・

自分の心と向き合い私は自分の心が分からなくなってきます。

しかし私は確かにあの時、夫を確実に裏切っていました。


そして、とうとう私は自ら店長の家に行ってしまうのです。

最早、あのようにじりじり追い詰められてこれ以上びくびくしながら生活など出来ません。

私がおかしくなってしまうか夫にばれるか、どっちが先かという状況です。


そして店長は自ら来た私を無言で迎え入れました。

私は結局、ほとんど脅しに近い状況でまた店長を受け入れざるを得なかった。

ひとしきり自分の欲望を満たした店長は私に、

「今日から毎週日曜の午後と木曜日にここに来るように、嫌なら来なくていい、あくまで君の自由だ」

--------------------

その日から、私の地獄日々が始まりました。

しばらく店長は、私をただの欲望の処理道具のように扱いました。

店長は行為に及ぶまでは怖いくらい無言で私は常に何をされるのか、びくびくしながら待っていなくてはなりませんでした。

この頃の私の心はぐちゃぐちゃでした。

普段どおりの夫の態度にすら、影で涙を流すことも珍しくなく、情緒不安定の私の態度にも困惑しながら気遣ってくれます。


>>次のページへ続く
 
カテゴリー:読み物  |  タグ:浮気・不倫, 寝取られ, SM_調教,
 


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