誤解の代償
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私に責任が全く無かったとは言いません。自分では気が付かなかっただけで、何かは有るのでしょう。
また、やはり夫婦と言えども、離れて暮らす事に問題が有ったのかも知れません。でも単身赴任をしている家庭が、全てこんな問題を抱えているのか?そんな事は有りません。
では、妻には責任が無いのでしょうか?
『なぜ』こんな事に、それが妻の『本性』だったのか?何時まで『戦い』を続け無ければならないのか?
何とか心を平静に保とうと思うのですが、表現のしようの無い感情に苛まれ、叫び出しそうになってしまいます。
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午後9時位に又 携帯が鳴り、妻からかと思い着信者を見てみると、彼女からでした。
「私です。今日はどうしました?
ご自宅に電話を入れたら、奥様がまだ帰って来ていないと心配しておられました。
何処に居らしゃるのですか?
少しお話し出来ませんか?
私少し酔ってしまって・・申し訳有りません。
もし良かったら これから御会い出来ませんか?」
「今何処?これから行っても良いよ。」
彼女との待ち合わせ場所に行くと、確かに酔っている様です。
「来てくれて嬉しいです。次長は何を飲みます?」
私はビールを頼み、暫らく他愛の無い話をしていましたが、彼女がさり気なく聞いて来ました。
「奥さんとの間で、何か有ったんじゃ無いですか?
今日は取引先との事で お聞きしたい事が有って、携帯に連絡したのですが、出られ無かったので、ご自宅に電話を入れさせて頂きました。」
私が妻からだと思って出なかった着信に、彼女からのものも有った様です。
「次長は帰っておられませんし、奥様の様子が何か尋常じゃ無いと言うのか・・・、良くは分かりませんが、何か普通では無い感じがして。」
「何でも無いんだけど、長く夫婦をしていれば、それなりに色々有ってね。まあそれ程の事でも無いよ。」
私は何とか気持ちを悟られ無い様に、気を使いながら答えました。
「本当にそうでしょうか?一寸私気になる事が有って・・・」
「気になる事って?何か何時もと違う様な事をしていたかな?僕なりに普通にしていたと思うけど。」
「やっぱり何か有ったのですね。普通にしていなんて言い方、おかしいじゃ有りませんか。私酔ってるから言いますけど、奥様は浮気しているんじゃ有りませんか?」
余りに突然の言葉に、言葉が出ません。
「実は、次長が単身赴任している時に、一度ご自宅に伺った事が有るんです。
確か、近くに行く用事が有るので、奥様に伝える事か何か用事は有りませんかと、電話を差し上げたと思います。
その時は、何も無いと言われましたが、奥様はどんな方だろうと好奇心から御邪魔してしまいました。
その時、奥様は、慌てて服を着てきた様な感じで、髪も乱れていて・・・。
それに玄関には、男物の靴が有ったので、次長が帰っていらしゃるのかと思いました。
そう聞くと、奥様少し動揺された様な感じがしました。確証は有りませんが女の勘で、ぴんと来るものが有りました。
次の日に出張で次長の所へ行ったのですが、その事は言えませんでした。
だって証拠も、何も有りませんし、そんな事は言い辛くて。
だから私、一寸した悪戯をしたんです。
次の日に奥様がいらっしゃるのは知っていましたから、次長の部屋に行って、女の痕跡を残しました。
料理をしない男の人が、余り必要としない物を残したり、ブラシに私の髪の毛を付けたり、それとシーツの目立たない所に、口紅を付けておきました。
私なりの奥様への警告のつもりでした。」
私は唖然とするしか有りません。
「何故そんな事を?どうして・・・・」
「私にも分かりません。・・いや分かっているけど言えません。」
私の目をしっかりと見つめる彼女と、この日を境に距離が接近して行きました。
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ホテルに戻ると、もう午前1時を過ぎていました。
ベッドに入っても、妻の事や彼女の事が頭に浮かび、なかなか眠れずにいると、携帯に妻からの着信が有りましたが、出るつもりは有りませんでした。
ホテルのベッドは寝辛く熟睡が出来ずに辛い朝でしたが、出社すると休んだ分だけの仕事に追われ、気が付くと もう終業時間になっていました。
まだ仕事が残っていましたが、身体が辛く早めに退社する事にして、帰り仕度をしていると、彼女から前夜の事を気にしているような事を言って来ました。
「酔いすぎてしまって、妙な事を言ったかもしれません。申し訳有りませんでした。あれから ご自宅に帰られたのですか?」
「いやホテルに泊まったよ。今日は帰ろうと思っているけどね。」
何か言いたそうな彼女を、お茶にでも誘おうかと思いましたが、その日は家に帰って、妻と話しをしょうと決めていました。
当分の間 帰らずにいようと思っていましたが、何か逃げている様な感じがして、腹立たしくなっていたのと、頻繁に掛かる妻からの電話に、閉口してしまいました。
いざ帰路に着くと、何を話すべきか何も考えていなかった事が気になります。
『なる様にしかならないさ。俺の気持ちは決まっているんだ。』
玄関の前に立つと、あの日の事を思い出し、やり切れない気持ちになってしまいましたが、そんな事を考えている時では無いと自分に言い聞かせます。
ドアを開けると、妻が飛び出して来ました。
「貴方何処へ行っていたの!何回も携帯に電話したのに出てくれないし。心配したんだから。」
この女は、何を心配したのでしょうか?何故こんなに平然として居られるのか、不思議で仕方が有りません。
「何処に行ってい様と、心配する事は無い。別に疚しい事も無いしな。
お前は何をしていた?また男のマンションに行ってたのか?あそこは交通の便の良い所では無いから、通うのも大変だろう。
この前、お前の車が停まっていたが、路上駐車は止めた方が良いぞ。」
妻の表情が、明かに変わりました。
「余り、俺を舐めるなよ。
まあ、全ては終った事だ。好きにすれば良いさ。
お前は離婚届けに、サインさえしてくれれば良いんだ。もうしてくれているだろう?」
「・・・・いいえ、していません。する気持ちは有りません。」
「お前、何を考えているんだ?勝手な事ばかり言ってると思わないか?好き放題しておいて、自分の思い通りになるなんて、都合の良い事を考えるべきでは無いな。その位は分かるよな?」
「こんな所で話していてもしょうが無いわ。中に入ってよ。」
私がリビングに入って行くと、妻が玄関のドアに鍵を掛ける音が聞こえました。
ソファーに座ると、妻はビールとつまみを用意して来ましたが、私は手を付けませんでした。
キッチンでまだ何かしている様子です。
「何をしているんだ?俺はお前と話しにに来たんだ。飯を食う為に来たんじゃないぞ。」
妻は手を止め、向かいのソファー腰を落としました。
「分かったわ。じゃあ、貴方のしてきた事は何なの?ここ何年か、私を女として見てくれたかしら?私は貴方にとって何なのかしら?」
「何を言いたい?自分のした事を正等化しようとでも思ったか?余り都合の良い事は言うなよ。」
妻の思ってもいなかった反撃が、何を意味するのか分かりませんでした。
「私が貴方を裏切った事を、許してとは言わないわ。でもね、私も女なの。貴方には分からないかも知れないけれど、私は本当に寂しかったのよ・・・」
そう言うと激しく泣き出し、話をするどころでは無くなりましたが、
「泣けば良いと思っても駄目だ。そんな事で済まされる事では無い。
お前が前に言っていた事は全て嘘だ。それに女だからって何だと言うんだ。
俺に何を求める?あの男とお前は まだ続いているのだろう?
俺に求めて得られ無いものが あいつに有るのなら、あいつの所に行けば良い。離婚するそうだからな。
お前も離婚届にサインして自由になれば好きに出来るだろう。」
「・・・あの人とは、もう何も有りません。」
「俺に嘘を言って、あいつのマンションに行っておいて、そんな事信じられると思うか?都合の良い事ばかり言うなよ。」
「あの時は、本当に何も無かったの。信じてもらえないだろうけど、何も無かった。」
「それでは お前が言っていた、浮気の理由が出鱈目だったのは何だ?
奥さんが言っていたが、あいつが別居する原因はお前だったそうだな。
よくもそんな酷い事を。お前とあいつの絆を感じるよ。その絆をもっと強くする方が良いんじゃ無いのか?
色々大変な事も有るだろうが、その方が楽だと思うけどな。」
「・・・そんな事無いわ。そんな事・・・」
より激しく泣き出し、私はこれ以上の話は無理だと思い、ただ天井を見詰める事しか出来ませんでした。
>>次のページへ続く
「何処に行ってい様と、心配する事は無い。別に疚しい事も無いしな。
お前は何をしていた?また男のマンションに行ってたのか?あそこは交通の便の良い所では無いから、通うのも大変だろう。
この前、お前の車が停まっていたが、路上駐車は止めた方が良いぞ。」
妻の表情が、明かに変わりました。
「余り、俺を舐めるなよ。
まあ、全ては終った事だ。好きにすれば良いさ。
お前は離婚届けに、サインさえしてくれれば良いんだ。もうしてくれているだろう?」
「・・・・いいえ、していません。する気持ちは有りません。」
「お前、何を考えているんだ?勝手な事ばかり言ってると思わないか?好き放題しておいて、自分の思い通りになるなんて、都合の良い事を考えるべきでは無いな。その位は分かるよな?」
「こんな所で話していてもしょうが無いわ。中に入ってよ。」
私がリビングに入って行くと、妻が玄関のドアに鍵を掛ける音が聞こえました。
ソファーに座ると、妻はビールとつまみを用意して来ましたが、私は手を付けませんでした。
キッチンでまだ何かしている様子です。
「何をしているんだ?俺はお前と話しにに来たんだ。飯を食う為に来たんじゃないぞ。」
妻は手を止め、向かいのソファー腰を落としました。
「分かったわ。じゃあ、貴方のしてきた事は何なの?ここ何年か、私を女として見てくれたかしら?私は貴方にとって何なのかしら?」
「何を言いたい?自分のした事を正等化しようとでも思ったか?余り都合の良い事は言うなよ。」
妻の思ってもいなかった反撃が、何を意味するのか分かりませんでした。
「私が貴方を裏切った事を、許してとは言わないわ。でもね、私も女なの。貴方には分からないかも知れないけれど、私は本当に寂しかったのよ・・・」
そう言うと激しく泣き出し、話をするどころでは無くなりましたが、
「泣けば良いと思っても駄目だ。そんな事で済まされる事では無い。
お前が前に言っていた事は全て嘘だ。それに女だからって何だと言うんだ。
俺に何を求める?あの男とお前は まだ続いているのだろう?
俺に求めて得られ無いものが あいつに有るのなら、あいつの所に行けば良い。離婚するそうだからな。
お前も離婚届にサインして自由になれば好きに出来るだろう。」
「・・・あの人とは、もう何も有りません。」
「俺に嘘を言って、あいつのマンションに行っておいて、そんな事信じられると思うか?都合の良い事ばかり言うなよ。」
「あの時は、本当に何も無かったの。信じてもらえないだろうけど、何も無かった。」
「それでは お前が言っていた、浮気の理由が出鱈目だったのは何だ?
奥さんが言っていたが、あいつが別居する原因はお前だったそうだな。
よくもそんな酷い事を。お前とあいつの絆を感じるよ。その絆をもっと強くする方が良いんじゃ無いのか?
色々大変な事も有るだろうが、その方が楽だと思うけどな。」
「・・・そんな事無いわ。そんな事・・・」
より激しく泣き出し、私はこれ以上の話は無理だと思い、ただ天井を見詰める事しか出来ませんでした。
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