罰ゲームで女の子が急接近してくるようになった
うっはwwwwwwwついに俺もリア充の仲間入りwwwwwwwwwww
みんなごめんねwwwwww勝ち組になっちまったwwwwwwwww
という風に思っていた。その子がビッチだと知っていなかったら。
IT土方で汗水垂らして働き、彼女のいない寂しい日々。
月一回に行く風俗だけが楽しみに毎日頑張っていた。
いつか俺も彼女をゲットするぞ! と思っていたが、いわゆるブサメンの俺に彼女が出来るはずもない。
合コンへ行っても全戦全敗。紹介してもらってもごめんなさい。
恋する気持ちも忘れてしまっていた。
夢は叶えるものではなく、見るものだと諦めていた。それが現実だと思っていた。
が、ある日から部署で一番可愛い千葉さんがやけに俺に寄ってくるようになった。
他の部署の子たちは仕事の会話しかしてくれないが、千葉さんだけは違った。
天使のような微笑みで俺に話しかけてくれる。
仕事以外にも昨日のテレビの話などを向こうからしてくれる。
やばい。恋してしまう。何年ぶりかにそんな気持ちになり始めていた。
ある日、汗だるまの俺にささやかだがボディタッチまでしてくれた。
「やだー>>1さんたらっw」といって、肩をポンッと叩いてくれた。
これで完全に落ちた。
いつも千葉さんを目で追うようになった。
付き合えるなんて思わない。ただ見ているだけでそれで良い。
つまらなかった日々が輝いていたきた。仕事に行くのが楽しくなった。
その夜、一本の電話がかかってきた。
同僚の小野ちんからだった。小野ちんは同期で会社で唯一の友達。
「あれ、小野ちん。どうしたの?なんかあった?」
「いや、ちょっと話したいことがあってさ」
どことなくトーンが低かった。仕事でトラブったかなってその時は思った。
「明日会社で話してくれればよかったのに。なにかあった?」
「いや、会社ではちょっと話しにくくてさ」
その数分後、俺は天国から地獄へと叩き落とされた。
「お前さ、最近千葉さんと仲良いよな?」
「えっ!? そ、そうかなぁ〜普通じゃない」
内心ドキドキだった。周囲からそう見られているのがなんか嬉しかった。
「お前、もしかして、千葉さんの事、好きなん?」
「ぇ? えっと・・・急になに言ってるんだよ」
心臓の鼓動がさらに早くなった。
もしかして小野ちんも千葉さんの事が好きなのかって焦った。
「どうなん?好きなの?」
「い、いや! 確かに可愛いとは思うけど、ただの同僚の一人だよ」
隠す必要は無かったが、なぜか咄嗟に嘘をついた。
今までの経験上、誰かを好きだって話したら笑われる。
小野ちんならそんな事をしないと思ったが、自分の気持ちを隠した。
「そっかぁ〜あぁ〜良かった」
やっぱり、小野ちんも千葉さんの事が好きなのか・・・。
もしかして、小野ちんは俺に探りを入れたのか?
ドキドキしながら、千葉さんに恋をしていない言い訳をする俺。
小野さんはイケメンではないけど、俺に比べたら男前。
小野ちんと張り合っても勝ち目がないし、小野ちんならいいかなって。
それは半分本当で半分嘘だったが、防衛本能が勝った。
「いやぁ〜お前が惚れていたらどうしようかと思ってたよ」
「なんでいきなりそんな事を言い出したんだよ?」
「だってさ、あの子、最悪だからさ」
最悪?
「ど、どういう事?」
「実はさ、先週に飲み会があったろ?お前は来なかったけど」
会社の飲み会があったが、急用があると欠席した。まぁ、急用なんて嘘で、家でvip見ていたけど。
「その時さ、飲んだ後、ボーリング大会をやってさ。最下位の人が罰ゲームをやる事になったんだ」
罰ゲーム。嫌な予感が脳内を駆け巡った。
「最下位になったのが千葉さん。それで罰ゲームをやる事になった」
ごくり。生唾を飲む音ってこんなに大きかったんだ。
「まぁ、みんな酔っていたのもあるんだけど、その罰ゲームってのが・・・」
「お前に言い寄って、お前に告白させる事」
心の奥底で何かが音を立てず崩れ落ちた。