童貞と共に人として大切な何かを亡くした話9【完結】
(4ページ目) 最初から読む >>
\ シェアする /
525 :ED ◆WayzE/RKE2 :2011/06/01(水) 22:40:59.86 ID:vYoDa/Eq0
大垣「それより本題なんだけどさ…」
俺「何?」
大垣「ED君さ、プロデューサーになってくれないか?」
俺「はぁ?何言ってんの?ディレクターで手一杯だって」
大垣「そうじゃなくてプロデューサーに専念して欲しい」
俺「言ってる意味がわかんねぇ…」
俺は大したディレクターじゃないが、ディレクターという仕事には俺なりに拘りが有った。
生涯ディレクターで居たいと思っていた。
考えようによっては、ディレクターからプロデューサーは出世とも言えるがディレクターにしか興味の無い俺には死刑宣告にも等しい。
俺「なんで?」
大垣「ディレクターは最近○○(俺の下で働いているAD)も育って来てるし、外部からいくらでも呼べる。Pが俺だけじゃ仕事回らないんだよ」
俺「事情は分かるけど俺はPはやりたくない」
大垣「そこを何とかならないか?」
俺「俺がDとしてしか大垣さんとは仕事しない。どうしてもPと言うなら金輪際仕事しないって言ったら?」
大垣「そしたら仕方ない。残念だけどね…」
この時、俺の中で何かが完全に切れてしまった…
527 :ED ◆WayzE/RKE2 :2011/06/01(水) 22:42:48.49 ID:vYoDa/Eq0
俺は美貴から逃げ出し マネージャーとして捨てられ、結衣とも決別し
最後に唯一残っていたのはディレクターとしての自分だった。
でも、それすらも否定されたと思った。
美貴を散々傷付けてまで守ろうとした物なのに結局、全てを失ってしまった。
俺には何も残っていなかった。
孤独が俺の周りを埋めつくしていた。
その日から俺は全てを投げ出して閉じこもった。
残っていた仕事も全部投げ出した。
色んな人達に迷惑かけるな…とは思ったが もう完全に身体が言う事をきかない。
部屋の隅で何もせず、ただただ壁を見つめる日々が続いた。
全てに絶望していた。
感情がある事が辛かった。
希望なんか無ければ絶望しないのに…
最初は、そばにいる人達をただ守りたいだけだった。
理由なんか無い。それが当然だと思っていた。
大垣が困って居るなら少しでも協力しよう。
結衣や夏の未来の為に、何かしてあげたい。
美貴の為に仕事を頑張ろう。
でも、いつしか手段が目的に変わってしまっていた。
大垣は俺が助けてやらなきゃ潰れる。
結衣は俺に依存している。
美貴は俺が守ってやってる。
誰かの為にやっていた事が、何時の間にか俺の為になっていた。
大垣「それより本題なんだけどさ…」
俺「何?」
大垣「ED君さ、プロデューサーになってくれないか?」
俺「はぁ?何言ってんの?ディレクターで手一杯だって」
大垣「そうじゃなくてプロデューサーに専念して欲しい」
俺「言ってる意味がわかんねぇ…」
俺は大したディレクターじゃないが、ディレクターという仕事には俺なりに拘りが有った。
生涯ディレクターで居たいと思っていた。
考えようによっては、ディレクターからプロデューサーは出世とも言えるがディレクターにしか興味の無い俺には死刑宣告にも等しい。
俺「なんで?」
大垣「ディレクターは最近○○(俺の下で働いているAD)も育って来てるし、外部からいくらでも呼べる。Pが俺だけじゃ仕事回らないんだよ」
俺「事情は分かるけど俺はPはやりたくない」
大垣「そこを何とかならないか?」
俺「俺がDとしてしか大垣さんとは仕事しない。どうしてもPと言うなら金輪際仕事しないって言ったら?」
大垣「そしたら仕方ない。残念だけどね…」
この時、俺の中で何かが完全に切れてしまった…
527 :ED ◆WayzE/RKE2 :2011/06/01(水) 22:42:48.49 ID:vYoDa/Eq0
俺は美貴から逃げ出し マネージャーとして捨てられ、結衣とも決別し
最後に唯一残っていたのはディレクターとしての自分だった。
でも、それすらも否定されたと思った。
美貴を散々傷付けてまで守ろうとした物なのに結局、全てを失ってしまった。
俺には何も残っていなかった。
孤独が俺の周りを埋めつくしていた。
その日から俺は全てを投げ出して閉じこもった。
残っていた仕事も全部投げ出した。
色んな人達に迷惑かけるな…とは思ったが もう完全に身体が言う事をきかない。
部屋の隅で何もせず、ただただ壁を見つめる日々が続いた。
全てに絶望していた。
感情がある事が辛かった。
希望なんか無ければ絶望しないのに…
最初は、そばにいる人達をただ守りたいだけだった。
理由なんか無い。それが当然だと思っていた。
大垣が困って居るなら少しでも協力しよう。
結衣や夏の未来の為に、何かしてあげたい。
美貴の為に仕事を頑張ろう。
でも、いつしか手段が目的に変わってしまっていた。
大垣は俺が助けてやらなきゃ潰れる。
結衣は俺に依存している。
美貴は俺が守ってやってる。
誰かの為にやっていた事が、何時の間にか俺の為になっていた。
529 :ED ◆WayzE/RKE2 :2011/06/01(水) 22:44:02.31 ID:vYoDa/Eq0
「アイツらは俺が居ないと」なんてしたり顔でいってたのに気が付いたら、俺が周りに依存される事に依存していた。
周りの奴らに無理矢理Yesと言わせようとしていた。
それに気付いた俺は、俺自身に絶望し続けた。
俺には何も無いんだ。
何も無い事を誤魔化す為に誰かの為に必死になってる自分を演じ続けていただけだ。
吐き気が止まらなかった。
ただ時間だけが過ぎる日々。
何も考えたくないのに、思考は止まらない。
永遠に眠って居たかった。目覚める事が怖かった。
起きるといつも震えていた。
その震えに、これが現実だと教えられた。
どれだけ時間が経っただろうか?
この頃の事は今でもあまり正確に思い出せない。
その日も俺は、部屋の隅で終わる事の無い思考の迷路にはまっていた。
そんな時、家のインターホンが鳴り響いた…
531 :ED ◆WayzE/RKE2 :2011/06/01(水) 22:45:27.10 ID:vYoDa/Eq0
この頃、俺は少しでも人と関わりを持つ事が怖かった。
外へ出るのは勿論、電話もメールも果てはテレビやネットまで…
この世の中に人が居る事を認識するだけで怖かった。
そんな中で部屋に響くインターホンの音。
俺は怖くなって動悸が激しくなる。
布団を被って怯えていた。
暫くすると 家の玄関が開いた音がした。
「あ、居たんだ」
聞き慣れた声…
美貴だった。
534 :ED ◆WayzE/RKE2 :2011/06/01(水) 22:46:42.97 ID:vYoDa/Eq0
美貴「電話もメールも出ないし、インターホン鳴らしても出ないし…死んでるのかと思ったよ」
美貴は笑いながら話す。
俺「何しに来たんだよ?」
美貴「大丈夫?」
俺「放っておいてくれ…」
俺がそう言ってもお構いなしに美貴は話し続ける。
中身なんかない、ただの日常の会話だ。
俺「もう放っておいてくれよ。別れたんだよ俺たち」
美貴「別れてないよ…別れたくないもん」
俺「出てったのはお前じゃん」
美貴「出てったんじゃないよ。少し休んでただけだよ」
美貴は そう言って、また中身もない話しを繰り返しながら掃除や洗濯、家事をしている。
俺「別れてくれないか?」
美貴「嫌!なんで?」
俺「俺が悪いんだ。ワガママなのは知ってるけど、俺が辛いんだ」
美貴「まあ、落ち着いたらゆっくり考えようよ…」
何度こんな会話を繰り返しただろうか…
535 :名も無き被検体774号+:2011/06/01(水) 22:47:04.15 ID:BPDhXMTt0
美貴様キター
536 :ED ◆WayzE/RKE2 :2011/06/01(水) 22:48:23.20 ID:vYoDa/Eq0
美貴はその日から、ずっと俺のそばに居た。
俺「ゴメンな…」
美貴「何の事?気にしないで…」
俺「ごめんな…」
いつしか、俺は美貴に謝る事しか出来なくなっていた。
散々美貴を傷付けたのに、美貴は昔と変わらずに俺に話かける。
その優しさが、かえって辛かった…
俺は部屋の隅で動けないままの日々。
それでも美貴は、いつまでも俺に必死に話しかける。
何で俺なんかの為に…
美貴は俺の事を恨んでも当然だ。
でも美貴はまるで何も無かったかのように、昔のままに俺に接してくる。
>>次のページへ続く
\ シェアする /
関連記事
easterEgg記事特集ページ
