仲間内でみんながみんな片思いしあってた思い出話
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101 :アキ:2013/03/24(日) 01:01:41.16 ID:pmN8elV80
少し街をぶらついて、解散になった。
夏と二人で同じ駅に帰れることが嬉しかった。
でも夏は、電車に乗り込む前に行ってしまった。
雪のところへ。
「俺やっぱ雪ちゃん送ってくわ」って、走って行ってしまった。
一人、満員電車に揺られて、クリスマスで浮き足立ってる街を見下ろしながら帰った。
いやな予感がしていた。
102 :アキ:2013/03/24(日) 01:08:03.57 ID:pmN8elV80
次の日、夏が珍しく電話をかけてきた。
受話器の向こうで夏が興奮していて、もうなんとなく予想はついていた。
雪と上手くいったんだろう。
「雪ちゃんとチューした!!」
夏の言葉は私の予想の一寸先進んでいた。
胸が大きく跳ねた。
「告白したん?」と力なく訊ねる私に、「いや、正式にはまだ」と彼は言った。
好きだと伝えけど、付き合ってくれとは言っていない。
「でも確かにあの瞬間、雪ちゃんと心が通じ合ってチューした!」
受話器の向こうで夏が どんな顔してた容易に想像が付く。
私は「うん、うん、へぇ」を繰り返すロボットになっていた。
103 :名も無き被検体774号+:2013/03/24(日) 01:10:06.19 ID:qef5VNgf0
うわぁーツラい
少し街をぶらついて、解散になった。
夏と二人で同じ駅に帰れることが嬉しかった。
でも夏は、電車に乗り込む前に行ってしまった。
雪のところへ。
「俺やっぱ雪ちゃん送ってくわ」って、走って行ってしまった。
一人、満員電車に揺られて、クリスマスで浮き足立ってる街を見下ろしながら帰った。
いやな予感がしていた。
102 :アキ:2013/03/24(日) 01:08:03.57 ID:pmN8elV80
次の日、夏が珍しく電話をかけてきた。
受話器の向こうで夏が興奮していて、もうなんとなく予想はついていた。
雪と上手くいったんだろう。
「雪ちゃんとチューした!!」
夏の言葉は私の予想の一寸先進んでいた。
胸が大きく跳ねた。
「告白したん?」と力なく訊ねる私に、「いや、正式にはまだ」と彼は言った。
好きだと伝えけど、付き合ってくれとは言っていない。
「でも確かにあの瞬間、雪ちゃんと心が通じ合ってチューした!」
受話器の向こうで夏が どんな顔してた容易に想像が付く。
私は「うん、うん、へぇ」を繰り返すロボットになっていた。
103 :名も無き被検体774号+:2013/03/24(日) 01:10:06.19 ID:qef5VNgf0
うわぁーツラい
104 :名も無き被検体774号+:2013/03/24(日) 01:10:26.87 ID:UpItWECJ0
胸が張り裂けてしまうね
105 :アキ:2013/03/24(日) 01:16:57.36 ID:pmN8elV80
最悪の冬休みだった。
廃人のように横たわる毎日だった。
雪からの連絡は返せなかった。
けれど「話がしたい」、雪からのその文面を見て、話さなきゃ、と思った。
そして私の地元に雪がやってきた。
二人で無言で公園へ向かって、その空気のままベンチに座った。
雪がぶるぶる震えながら「ごめんね」と泣いた。
「雪は、私が夏のことを好きなの、とっくに気付いてたんやね」
私がそう言うと、雪は首を縦に振った。
「でも、雪も夏を好きになっちゃったんやね」
私のその言葉に雪はワッと泣き出した。
106 :名も無き被検体774号+:2013/03/24(日) 01:18:15.89 ID:Jcb8Y3Io0
おいついた
切ないなー泣けてくる
107 :アキ:2013/03/24(日) 01:25:09.35 ID:pmN8elV80
「ハル君のことがあって、毎日泣いてて
でもみんなが心配するから、学校では平気なふりしてて
そんなとき、夏君が毎日メール送ってくれてて
大丈夫?とか、今日ハルの前で頑張ってたね、とか、全部気付いてくれてて
沢山励ましてくれて気遣ってくれて、褒めてくれて
気付いたら、少しずつ夏君の時間が増えてて
でもまだハル君のこと気になってて、
クリスマスの日も本当に辛くて
みんなと別れて泣きそうになりながら帰ってたら、
夏君が追いかけてきてくれた
嬉しくて、ありがとうって思って
ごめん…」
雪は言葉を詰まらせながらそう言った。
私が、気丈に振る舞う雪に気付かず現状に甘えてぬるま湯に浸かってる間に、夏だけは気付いたんだ。
それはそうだろう。
夏は誰よりも雪を見つめていた。
109 :アキ:2013/03/24(日) 01:30:50.08 ID:pmN8elV80
「ごめん」と繰り返す雪に、返事はできなかった。
だって雪は言ったじゃないか。
「断るからね」って。
ほだされないからねってことじゃなかったの?
裏切り者。
私の方が夏をずっと好きなのに。
でも、私にそんなこと言う権利ある?
人の気持ちなんて変わるのが当たり前だし、夏は私の私有物じゃない。
ただ私が夏を好きだと言うだけで、人の恋愛を制限していいはずがない。
そして何より、気丈に振る舞う親友に気付いてあげられなかった。
それが全ての原因。
私が気付いてあげられたら、こんなに雪を泣かせてしまうことも、こんなことになって私が泣くこともなかったかもしれない。
そもそも、いつも「私なんか」って自分を卑下して、私はスタートラインにすら立っていなかった。
夏に好きになって貰う努力を、何もしていなかった。
自分の気持ちから逃げて、全て人任せ。
そんなの、私が選ばれないのは当然のことだった。
111 :名も無き被検体774号+:2013/03/24(日) 01:32:25.25 ID:yjd4bIAsO
切ないな
112 :アキ:2013/03/24(日) 01:35:43.78 ID:pmN8elV80
「雪、夏は、初めて雪と会話したあの日から、ずっと雪のことが好きやったんよ
夏の気持ちが報われて良かった」
恥ずかしげもなくぼろぼろ泣きながら、「夏をよろしくね」って言った。
「やだ、私アキの方が大事やもん、夏とは付き合わない」
そう泣きじゃくる雪に、
「夏と雪は好き同士なのに、何言ってるん?そんな気の使われ方嬉しくないし」
でも、でも、と続ける雪に、私は最大級かっこつけて言ったんだ。
「私のことが大事なら、私の大事な夏を大事にしてやってよ」
やっと雪は、うんって言ってくれた。
113 :名も無き被検体774号+:2013/03/24(日) 01:37:33.74 ID:SZ7vCsTx0
アキかっけぇ
114 :アキ:2013/03/24(日) 01:39:04.36 ID:pmN8elV80
こうなったら、私の片思いの終わりを見届けよう。
「雪、夏呼べば?地元やからすぐ来るよ」
私のその申し出に、雪は従った。
すぐに夏は飛んできて、ぼろぼろに泣いてる雪を気遣ってた。
やっぱり私のことは視界に入ってないな。
そう思うと吹っ切れるような気がした。
「今日話したことは、夏には内緒ね」って雪に伝えて、私は一人帰った。
でも、やっぱり往生際の悪い私は傷ついていた。
115 :アキ:2013/03/24(日) 01:48:51.03 ID:pmN8elV80
三学期が始まった。
夏と雪は付き合い始めた。
噂は瞬く間に学年中に広がり、夏は可愛い彼女に ご満悦だった。
クラスメートに「夏はアキと付き合ってるかと思ってた」って突っ込まれて、今度は私が気持ち良く否定する番だった。
でも正直、うまくいってはなかった。
あの日あんなにカッコつけて、上手く話をまとめたつもりになってたのに、私とアキの間には うっすらわだかまりが出来ていた。
>>次のページへ続く
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