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みんなの大好きな、みどりいろのあいつの話
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107 :名も無き被検体774号+:2013/04/01(月) 23:34:25.61 ID:xHPpuufW0
胸のあたりがきゅんきゅんする
108 :名も無き被検体774号+:2013/04/01(月) 23:44:23.92 ID:GxPuxG5u0
十月の末で、肌寒い夜だった。
「ますたー、きになるひとはいないんですか?」
「いるさ。というか、惚れてる相手がいる」
「……いがいです。どんなひとですか?」
「歌うのが好きで、体の一部が機械で出来てる」
ジュークはスカートの端をぎゅっと掴んだ。
わたしのことだといいな、とジュークは思った。
「まあ、もうこの世に存在しない人だがな。
かつて、一緒にバンドを組んでた相手だ。
俺とその子は、ホワイト・ストライプスみたいに、ギターとドラムの二人だけで活動してたんだ」
109 :名も無き被検体774号+:2013/04/01(月) 23:53:16.08 ID:GxPuxG5u0
「その子も俺たちと同じように、体の一部が機械だった。
でも、その子には機械の体が馴染まなかったんだ。
改造手術から一年で、拒絶反応を起こして死んだ。
どうやら、歌うことによって、寿命をすり減らしてたらしい。
洒落の分かるやつでさ、死に際、『デイジー・ベル』を歌ってたよ」
話を聞いて、ジュークはしょんぼりした。
わたしは、そのひとにはかてないだろうなあ。
「ジュークは、どうなんだ?」とロックが聞いた。
「ジュークは誰かに恋をするようなことはあるのか?」
110 :名も無き被検体774号+:2013/04/02(火) 00:05:57.02 ID:GxPuxG5u0
「ヴォーカロイドは、ひとをすきになったりしません」
ジュークはそっぽを向いて、そう言った。
「かわりに、あいのうたをうたうんです」
「そいつはいい。ロマンチックだな」
ロックがそう言うと、ジュークは立ち上がり、シンセサイザーを用いて、これまた古い歌を歌い始めた。
こーのーせーかーいーじゅーうでー
だーれーよーりーもー
あなたーを
すーきーでーいーいーかなー。
そんな歌詞だった。
胸のあたりがきゅんきゅんする
108 :名も無き被検体774号+:2013/04/01(月) 23:44:23.92 ID:GxPuxG5u0
十月の末で、肌寒い夜だった。
「ますたー、きになるひとはいないんですか?」
「いるさ。というか、惚れてる相手がいる」
「……いがいです。どんなひとですか?」
「歌うのが好きで、体の一部が機械で出来てる」
ジュークはスカートの端をぎゅっと掴んだ。
わたしのことだといいな、とジュークは思った。
「まあ、もうこの世に存在しない人だがな。
かつて、一緒にバンドを組んでた相手だ。
俺とその子は、ホワイト・ストライプスみたいに、ギターとドラムの二人だけで活動してたんだ」
109 :名も無き被検体774号+:2013/04/01(月) 23:53:16.08 ID:GxPuxG5u0
「その子も俺たちと同じように、体の一部が機械だった。
でも、その子には機械の体が馴染まなかったんだ。
改造手術から一年で、拒絶反応を起こして死んだ。
どうやら、歌うことによって、寿命をすり減らしてたらしい。
洒落の分かるやつでさ、死に際、『デイジー・ベル』を歌ってたよ」
話を聞いて、ジュークはしょんぼりした。
わたしは、そのひとにはかてないだろうなあ。
「ジュークは、どうなんだ?」とロックが聞いた。
「ジュークは誰かに恋をするようなことはあるのか?」
110 :名も無き被検体774号+:2013/04/02(火) 00:05:57.02 ID:GxPuxG5u0
「ヴォーカロイドは、ひとをすきになったりしません」
ジュークはそっぽを向いて、そう言った。
「かわりに、あいのうたをうたうんです」
「そいつはいい。ロマンチックだな」
ロックがそう言うと、ジュークは立ち上がり、シンセサイザーを用いて、これまた古い歌を歌い始めた。
こーのーせーかーいーじゅーうでー
だーれーよーりーもー
あなたーを
すーきーでーいーいーかなー。
そんな歌詞だった。
111 :名も無き被検体774号+:2013/04/02(火) 00:15:50.56 ID:JYoA4bYm0
演奏が終わった後で、ロックは言った。
「なあ、ジューク、……まさかとは思うが」
「なんでしょうか」
「お前、俺のことを愛してたりするのか?」
「……え、きづいてなかったんですか?」
ジュークは半ばあきれ顔で答えた。
ロックはかなり混乱してしまったようで、ジュークに背を向けて床に座り込んだ。
ジュークも恥ずかしくて、ロックに背を向けた。
二人は背中合わせに三角座りする格好になった。
112 :名も無き被検体774号+:2013/04/02(火) 00:30:25.53 ID:JYoA4bYm0
ロックは両手を床について、天井を見上げた。
「いや、どうも自分が愛されるっていうことが、うまくイメージできないというか、信じられなくて……」
「へんなますたー」
「今まで俺に求婚してきたやつは、皆、俺を盲目的に神様みたいにまつりあげるか、そうでなきゃ財産目当てのろくでなしどもで、……ジュークみたいな普通の子が、俺のことを異性として好きになるってのが、うまく信じられないんだ」
「なりますよ。ばかじゃないですか」
113 :名も無き被検体774号+:2013/04/02(火) 00:41:37.54 ID:JYoA4bYm0
「それにしたって、年齢差があり過ぎるだろ?」
「あの、じゅーく、みためよりふけてますよ?」
「何歳くらいなんだ?」
「わかんないですけど、たぶん、いま30はこえてます」
「……女は見た目じゃ分からないもんだな」
「まあ、からだはかわらないし、きおくもないから、あるいみでは、1さいみたいなものなんですけど」
115 :名も無き被検体774号+:2013/04/02(火) 00:57:57.97 ID:JYoA4bYm0
ロックが困った顔をしているのを見て、ジュークはひざの間に顔を埋め、ため息をついた。
「へんなこといってすみません、ますたー。
さっきのは、ノイズです。わすれてください。
じゅーくも、いまあったことは、わすれます。
きおく、けすのは かんたんなんですよ」
「駄目だ。消すな」とロックは言った。
「悪いが、ジューク。三日、考えさせてくれ」
「みっか」とジュークは繰り返した。ながいみっかになりそうだな、とジュークは思った。でも実際は、そんなに長くはかからなかった。
116 :名も無き被検体774号+:2013/04/02(火) 07:42:38.18 ID:891EcaFdi
どきどき
117 :名も無き被検体774号+:2013/04/02(火) 12:44:36.83 ID:f2nvlV9K0
まだだろうか
122 :名も無き被検体774号+:2013/04/02(火) 15:01:15.09 ID:Lk4laQaoP
>>1
上手いな
125 :名も無き被検体774号+:2013/04/03(水) 02:55:09.64 ID:cvnfnSjf0
まだかなー
127 :名も無き被検体774号+:2013/04/03(水) 20:09:39.69 ID:BXtwSUyf0
かわいい
128 :名も無き被検体774号+:2013/04/03(水) 22:08:36.33 ID:Uw22kycM0
いいスレにであった。
129 :名も無き被検体774号+:2013/04/03(水) 22:50:14.83 ID:cvnfnSjf0
まだかなー
134 :名も無き被検体774号+:2013/04/06(土) 02:05:34.65 ID:tvZeoI9i0
はっ!
まさか三日後の今日投下するんじゃないか?
135 :名も無き被検体774号+:2013/04/06(土) 19:13:27.88 ID:3QSdhF0m0
>>134
そうじゃないかと考えてたとこよ
136 :名も無き被検体774号+:2013/04/07(日) 10:27:17.76 ID:P6q7GFss0
翌日、ロックは朝早くに起きて、ジュークを揺り起した。
ジュークは寝坊したかと思い込み、慌てて寝間着のままキッチンに向かったが、ロックはそれを引きとめて、ジュークに言った。
「今日の午前、ジュークにお使いを頼みたい」
「いえっさー」ジュークは緊張して口調が変になった。
ロックはジュークにリストを渡した。
・ノースリーブの灰色のシャツ
・ハツネグリーンのネクタイとマニキュア
・スカート、ハイソックス、タイピン(すべて黒)
・ハツネグリーンのコーティング剤
137 :名も無き被検体774号+:2013/04/07(日) 10:34:41.74 ID:P6q7GFss0
「はつねのいしょうですか?」とジュークは聞いた。
「今日はハロウィンだ。皆、仮装して街に出るだろ?ジューク、ハツネの格好をして外を歩いてみないか?」
「ええっと……それ、だいじょうぶなんですか?」
「犯罪行為ではあるが、十中八九、大丈夫だ。
この街のハロウィンは、ちょっと特別でな。
どいつもこいつも犯罪すれすれの格好をしてくるから、ハツネの一人や二人、誰も気にしないだろ」
「ますたーは なんのかっこうをするんですか?」
「それは内緒だ。でも、ジュークもよく知ってるやつだ。
ジューク、ハロウィンのパレードに出たことはあるか?」
「ないです。たのしみです……たのしみ!」
「よし、それじゃあお使いにいってこい」
「はい、ますたー」とジュークは微笑んだ。
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