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ドッペルゲンガーと人生を交換した話
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83 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 21:24:58.60 ID:EjVEnkhT.net
「ーーククク、フゥーハハハ」
突然、ずっと黙っていた椿が、今までの椿からは想像もつかないような、笑い声を発した。
「お、おいどうしたんだ」
俺は、椿の豹変ぶりに狼狽えながら、聞いた。
「いやいや、これが笑わずにいられますか?だって、まるっきり的外れだ」
椿は笑い声を挟みながらそう言った。
「的外れ?どういうことだ。いったい何が的外れなんだ?」
俺がそう聞くと、
「何って、僕が命を狙われているとか、いやー本当におかしい。本当に貴方は馬鹿ですね」
椿の豹変と、明らかに悪意を込めた言葉に、俺は言葉を発することができなかった。
84 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 21:25:40.81 ID:EjVEnkhT.net
「そもそも貴方は疑問に思うところを間違っている。
貴方が疑問に思わなきゃいけないところは、僕がどうして入れ替わろうと思ったとかじゃない、僕達がどうしてこんなに似ているかだ」
そんなのに理由があるのか? 偶然じゃないのか?俺は答えがわからなくて、そのまま口に出す。
「そんなの、たまたまじゃ」
「そんなわけないでしょう。こんなに似てるんですよ。たまたまで済むわけがない」
椿は間髪入れずに、ぼくの答えを否定した。
85 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 21:26:42.24 ID:EjVEnkhT.net
「なら、なんで?」
「…………」
また椿が黙り出した。いったいこいつは、何を考えているんだ? どういう意味だ? 俺とこいつが似ている理由、そんなものがあるのか?
「おい、答えろよ」
「…………」
俺が何を言っても、椿は黙ったままだった。
静寂が場を支配する。
「ーーククク、フゥーハハハ」
突然、ずっと黙っていた椿が、今までの椿からは想像もつかないような、笑い声を発した。
「お、おいどうしたんだ」
俺は、椿の豹変ぶりに狼狽えながら、聞いた。
「いやいや、これが笑わずにいられますか?だって、まるっきり的外れだ」
椿は笑い声を挟みながらそう言った。
「的外れ?どういうことだ。いったい何が的外れなんだ?」
俺がそう聞くと、
「何って、僕が命を狙われているとか、いやー本当におかしい。本当に貴方は馬鹿ですね」
椿の豹変と、明らかに悪意を込めた言葉に、俺は言葉を発することができなかった。
84 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 21:25:40.81 ID:EjVEnkhT.net
「そもそも貴方は疑問に思うところを間違っている。
貴方が疑問に思わなきゃいけないところは、僕がどうして入れ替わろうと思ったとかじゃない、僕達がどうしてこんなに似ているかだ」
そんなのに理由があるのか? 偶然じゃないのか?俺は答えがわからなくて、そのまま口に出す。
「そんなの、たまたまじゃ」
「そんなわけないでしょう。こんなに似てるんですよ。たまたまで済むわけがない」
椿は間髪入れずに、ぼくの答えを否定した。
85 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 21:26:42.24 ID:EjVEnkhT.net
「なら、なんで?」
「…………」
また椿が黙り出した。いったいこいつは、何を考えているんだ? どういう意味だ? 俺とこいつが似ている理由、そんなものがあるのか?
「おい、答えろよ」
「…………」
俺が何を言っても、椿は黙ったままだった。
静寂が場を支配する。
86 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 21:27:45.91 ID:EjVEnkhT.net
静寂を崩したのは、俺でも椿でもなかった。
その人の登場に、俺の心はまたざわついた。どうしてあいつがここにいるんだ?
「今の話……どういうこと?」
公園の入り口から七瀬が入ってきた。
「な、なんでここにいるんだ」
「学校に行く途中、駅のホームで柊を見かけた。あんたは学校に行くのに電車は使わないはずなのに。
それに最近の柊なんかおかしかったから、なんかちょっと心配で、それでつけてきたら、この公園に入って、そしたら…… ねぇ、どういうことなの、誰なのその人? 入れ替わりって何?」
「それは……」
87 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 21:28:40.26 ID:EjVEnkhT.net
俺が答えられずにいると、椿が急に話し出した。
「入れ替わってたんですよ、この一週間、そこの人と僕が」
さっきまでの豹変ぶりとうってかわって、その声はいたって冷静だった。
「どういうこと?じゃあ昨日の夜あったのも柊じゃなくて、貴方なの?」
「それは俺だ」
それだけは否定しなくてはならない。昨日七瀬 千由とあったのは、間違いなく俺だ。
「そっか……」
七瀬の顔はよくわからない表情だった。
「昨日の夜ですか、まぁ、僕にはわかりませんが、大方それが入れ替わりをやめようと言った原因でしょうね。まったく、勝手だ」
椿の声には少し、熱がこもっているように感じた。
88 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 21:29:45.71 ID:EjVEnkhT.net
「どうして、なんで入れ替わりなんかしたの?」
七瀬が冷静さを欠いた声で、俺に聞いた。
本当は答えたくない。
でも、俺は答えなくてはいけない。
七瀬に嘘はつきたくない。
89 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 21:30:51.65 ID:EjVEnkhT.net
「嫌だったんだ。変わってしまった自分が。七瀬と昔のように話したいのに、変わってしまった自分を見られるのが怖くて話せない自分が。
そんな時、椿に出会った。椿は、俺に入れ替わりを持ちかけてきた。それで、椿が俺になれば、なんとかしてくれるんじゃないかと思った。
だから入れ替わりを受け入れた。
だけど、多分心のどこかでは、七瀬との問題を椿に任せるのが嫌だったんだろうな。俺は椿に七瀬のことを教えなかった。そんな矛盾をもったまま入れ替わりを続けてたんだ、俺は。
でも昨日七瀬と話して、やっと気づいた。俺は七瀬の力になりたい。
そしてそれは、椿になんとかしてもらった柊 京介じゃなくて、俺が、俺自身がなんとかしたいって……」
俺は全部を話した。自分が思っていること、全部を。
90 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 21:31:19.09 ID:EjVEnkhT.net
「……バカ」
七瀬のその言葉に、棘はなかった。
「そんのことしなくたったって……私は……」
その声はとても優しくて、俺を包み込んでくれるような暖かいものだった。
91 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 21:31:55.97 ID:EjVEnkhT.net
「あのー、甘い雰囲気出すのやめてもらっていいですか?」
椿の言葉で、俺は現実に戻った。
「そろそろ、話を戻しましょうか。何故、貴方と僕が似ているか」
「ああ、教えろ。偶然じゃないのか?」
「何度も言わせないでくださいよ。本当に馬鹿なんですか?」
「いい加減にしろよ。早く話せ」
もう俺の椿に対する感情は、嫌悪感しかなくなっていた。
92 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 21:32:32.49 ID:EjVEnkhT.net
「そうですね、まぁ、その前に貴方さっき、僕が命を狙われていると言いましたね」
「あぁ、俺は、だから俺を身代わりにするために、入れ替わりを持ちかけたと思っていた」
「それですね、まず、それ、さっきも言いましたが、完全に的外れ、見当違いもいいところだ。むしろ命を狙われているのは貴方の方ですよ」
「俺? なんで俺が?」
「昨日のその看板、落とした人は僕ではなく、貴方が柊 京介だと認識した上で、貴方を殺そうとした」
「だからどうして?」
この前も言ったが、俺に命を狙われる心当たりなんて一つも……
「それじゃあ話しましょうか。僕と貴方が似ている理由」
93 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 21:33:06.04 ID:EjVEnkhT.net
こいつは何がしたいんだ?どんどん疑問を増やされる。それでも、俺はただ聞くしかないこいつの話を。
そしてそれは七瀬も同じのようだった。
二つの視線が椿に集まる。
94 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 21:34:06.54 ID:EjVEnkhT.net
「僕は一週目の貴方です」
「は?」
こいつは何を言っているんだ。どういう意味だ。ふざけてるのか?
「はは、冗談ですよ」
「と言うとでも思いました? 冗談じゃないですよ、何度でも言いましょうか? 僕は一週目の貴方です、柊 京介」
95 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 21:35:21.08 ID:EjVEnkhT.net
意味がわからない。話が見えてこない。
「最初に会った時も言ったでしょ、僕は貴方ですって。僕、あんまり嘘つかない方なんですよ」
駄目だやっぱりわからない。何を聞いたらいいかもわからない。一週目ってなんだ。
俺の頭の中は、疑問符で埋め尽くされていた。
それをおかまいなしに椿は話し始めた。
一週目とやらのことを。
96 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 21:38:28.25 ID:EjVEnkhT.net
僕は独りだった。
小学生の頃はまだよかった。たまに、友達と遊んだりした記憶もあるし、少しは社交的だったと思う。
けど中学生になってからは全然駄目だった。
人との喋り方がわからなくなっちゃたんだ。
>>次のページへ続く
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