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ドッペルゲンガーと人生を交換した話
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97 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 21:39:31.96 ID:EjVEnkhT.net
中学生の頃の僕は本当、酷かったと思うよ。

学校では毎日、ずっと時計を見て、早く時間が過ぎないかなと思ってた。

学校っていうのはさ、友達がいない人のためにできてないんだ。

友達がいない人はどうやったって、不幸になる仕組みなんだよ。



98 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 21:39:51.89 ID:EjVEnkhT.net
そしてそれは、高校生になっても一緒だった。

中学の時点で、僕の性格はほぼ固まってしまったからね。人と話すのが苦手になってたんだ。

それが高校生になった途端、急になおるなんてことはありえなかった。

僕はずっと独りだったよ。

そう、いつでも。



99 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 21:40:38.18 ID:EjVEnkhT.net
さぁ、ここで、一人の女の子の話をしておこうかな。

その子は僕が小学生の時、転校してきたんだけどさ、一目見た瞬間に、僕はその子のことしか考えられなくなるくらい、彼女に惹かれていた。

一目惚れってああいうことを言うんだろうね。



100 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 21:41:04.34 ID:EjVEnkhT.net
その子は、いつまでもクラスに馴染めなかった。

彼女は少しは異質だったからね、小学生の僕達はその異質な少女を、受け入れることができなかったんだ。

それは、僕も例外ではなかった。僕は彼女に話しかけることができなかった。何回かチャンスはあったと思う。でも話せなかった。

小学生の仲間意識って怖いんだよ。僕が彼女に話しかけてたら、僕も異質として扱われてただろうね。

僕はそれを恐れた。彼女と話して、自分も異質になる勇気がなかったんだ。




101 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 21:42:26.95 ID:EjVEnkhT.net
そのまま僕は彼女と一度も話せないまま、僕は小学校を卒業した。

中学校も別々だったから、それから彼女に会うこともなかった。



102 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 21:42:48.60 ID:EjVEnkhT.net
そろそろ話を戻そうか。

えーと、そう高校の話だ。

高校生の僕は相変わらず独りだった。

それで、その高校で僕は運命の再会を果たしたんだ。



103 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 21:43:25.82 ID:EjVEnkhT.net
入学式でその子に再会したんだ。そして驚くことに、彼女は僕のことを覚えててくれたんだ。

それからはたまに彼女に会うと、少し話をするようになった。クラスは違かったから、あんまり会う機会はなかったけどね。

でも、僕にはそれだけで十分だった。クラスでは相変わらず独りだったけど、たまに彼女と話せるのが本当に楽しかったんだ。



104 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 21:44:55.63 ID:EjVEnkhT.net
それなのに僕は、やってはいけないことをやってしまったんだ。

彼女と再会してから一ヶ月たったころかな、下校中同じ制服を着た奴が他校の生徒に絡まれてるなと思ったら、その子だった。

かっこいいヒーローだったら、ここで彼女の手を引いて駆け出すんだろうね、きっと。



105 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 21:46:01.68 ID:EjVEnkhT.net
でも、僕はヒーロにはなれなかった。

逃げたんだ、僕は。走って、独りで逃げた。

去り際彼女と目があったんだ。その目はすごく悲しそうだった。



106 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 21:46:21.04 ID:EjVEnkhT.net
次の日から僕は学校に行かなくなった。

ずっと部屋に引きこもってたんだ。

それで、一ヶ月くらい過ぎたころかな、なんかもう全部がどうでもよくなっちゃってさ、僕は久しぶりに学校に行った。

親は喜んでたよ、笑っちゃうよね、僕が何のために学校に行くかも知らないでさ。



109 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 21:48:34.92 ID:EjVEnkhT.net
学校に着いたら僕はすぐ屋上に行った。なんかさ、決着をつけるならここだ、って思ったんだよね。

ずっと僕を苦しめてきた空間。ここしかないなって思ったんだ。

人生に決着をつけるならさ。

僕は屋上から飛び降りた。

そして死んだ……



110 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 21:49:51.57 ID:EjVEnkhT.net
はずだった。

気付いたら僕は体が縮んでーー

いや、ごめん冗談だよ。うん、でもあながち冗談でもないんだ。

気付いたら赤ちゃんになってた




111 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 21:50:16.48 ID:EjVEnkhT.net
本当に驚いたよ、だって赤ちゃんだよ、さっきまで高校生だったのに。

それで親なんだけどさ、変わってたんだ。高校生の時の僕の親じゃなかった。

それに、その後知ることになるんだけど、僕の名前も変わってた。いったい何が起こったのかと思ったよ。

夢かとも思った。でも夢じゃなかった。

いや、もしかしたら夢かもしれないよ。

だけどもうこれだけ時間が経ってるんだ、たとえ夢だとしても僕にとってはこれが現実だ。



112 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 21:50:42.00 ID:EjVEnkhT.net
まぁ、いいや。

それで、最初は驚いたんだけどさ、段々、これはチャンスだと思うようになったんだ。

一から人生をやり直すね。

ほら、よくあるだろ、子供のころに戻って人生をやり直すとかさ。

まぁ、僕の場合は全くの別人になったわけだけど。



113 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 21:50:59.77 ID:EjVEnkhT.net
とにかく僕は人生をやり直すことにした。

それは苦痛を伴うものでもあったけどね、考えても見てよ、高校生が幼稚園とかにかようんだよ。

あんまり突出した天才になるわけにもいかないからね、周りより少しできる程度に抑えなくちゃいけなかった。



114 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 21:51:52.05 ID:EjVEnkhT.net
でも、中学生くらいになるとわりと楽しかったよ。一週目とは違う、とても楽しい学校生活だったからね。

それに一週目の記憶のおかげで、周りよりも優位に立てた。

勉強とかは忘れてしまったものも多かったけど、それでも周りよりはハンデがあった。

加えて、僕は真剣に生きたんだ。

前の記憶があるからってそれに胡座をかいたりせず、真面目に授業も受けたし、真面目にみんなに馴染もうとした。



115 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 21:52:13.22 ID:EjVEnkhT.net
そのおかげで僕は、一週目とは似ても似つかない、絵に描いたような人気者になれた。

まぁ、成長していくうちにわかったことだけど、顔は一週目と同じだったんだけどね。

なんでだろうね、名前も親も住んでる場所も全く違う別人になったのにさ、顔だけは一緒だった。

まぁ、別にそれで困ることもなかったけどね。上京して、高校に入ってからも、それは変わらなかった。



117 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 21:53:25.85 ID:EjVEnkhT.net
そんな感じで楽しく生きてたんだけどさ、一つだけ嫌なことがあった。

たまになんだけどさ、一週目の夢を見るんだ。

あの時、絡まれてる彼女を見捨てた時の夢を。

僕がヒーローになれなかった時の夢を。

あの時の彼女の悲しそうな顔が、脳裏に焼き付いて離れないんだ。

でも、それを除けば本当に楽しく生きてたよ、あの日までは。



118 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 21:54:33.97 ID:EjVEnkhT.net
高校に入って半月くらいしたころかな、僕をみたんだ。正確には僕と同じ顔をした何か。

本当に驚いたよ。やっぱりこの世界は夢なのかなとも思った。

でも、とりあえずこの世界で生きている以上、夢とか夢じゃないとかはどうでもよかった。

それで、そいつを尾行してみた。そしたらまた驚くことにさ、そいつはおぼろげながら残っている、僕の記憶の中の、僕が一週目に住んでいたであろう家に、入っていった



119 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 21:55:00.62 ID:EjVEnkhT.net
次の日もそいつの家の近くで待ち伏せして、つけてみた。

そしてら、今度ははっきり覚えている、一週目、僕が通っていた学校にそいつは通っていた。

あの忌まわしき空間に。

でもさ、正直もうどうでもよかったんだ、一週目の僕のことなんて。僕は今、楽しく暮らしている。それだけ十分だった。だから、特にそれから何かをしようという気にはならなかった。

あれを目撃するまでは。




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カテゴリー:読み物  |  タグ:オカルト・ホラー,
 


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