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ドッペルゲンガーと人生を交換した話
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131 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 22:03:56.03 ID:EjVEnkhT.net
「どうして……どうしてそんな……」

「どうしてって、許せないからですよ、貴方が柊 京介でいることが、その席に座るべきなのは僕だ」

「そうか……もういいよ……疲れた。勝手にすればいい。どうせ俺はコピーなんだろ。ドッペルゲンガーなんだろ。確かに、消えるべきは俺だ」

もう俺はなにも考えたくなかった。

俺の十五年は。全部決められたコピーだったんだ。そこに俺の意思はなかった。俺に存在する意味はなかったんだ。


132 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 22:04:22.38 ID:EjVEnkhT.net
「そうですか、よかった、思ったより物分かりいいですね。その通り、貴方はコピーなん……」

「そんなことない!」

椿の言葉を遮ったのは七瀬だった。

「あんたは、柊はコピーなんかじゃない。だった、あんたは私を助けてくれた、何回も、何回も。ねぇ、覚えてる? 私の名前。あんたが意味をもたせてくれた、私の名前」

名前……クリスティーナ……


133 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 22:04:41.31 ID:EjVEnkhT.net
七瀬クリスティーナ千由。

これが私の名前。アメリカで生まれた私には、クリスティーナというミドルネームがあった。

両親はどっちも日本人だったけど、アメリカで暮らすのに不自由がないようにと、つけられた名前だった。


134 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 22:05:38.05 ID:EjVEnkhT.net
アメリカではみんな、クリスと私を呼んだ。

この名前は別に嫌いじゃなかった。でも、日本に来てこの名前は枷になった。

日本の学校に転校して、その時も私は、このクリスティーナという名前を特に隠すことはしなかった。

でも、この名前は日本では普通ではないらしく、私はからかわれた。変なの、と。

それから私はこの名前が嫌いになった。




135 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 22:06:02.68 ID:EjVEnkhT.net
その後も、私は学校に馴染めなかった。

それも当然か、名前をからかわれた日から、私はずっとむすっとした顔で、誰とも話さなかった。誰に話しかけられても、先生も、学級委員の子も、私にしつこく話しかけてくる男の子にも。

本当に可愛くない子供だったと思う。


136 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 22:06:56.73 ID:EjVEnkhT.net
ある日、また名前をからかわれることがあった。

確か相手は隣のクラスの子達で、アメリカからきた珍しい私を見に来たとかだった気がする。

それで、その子達に、変な名前と言われた。

私は多分、泣きそうな顔をしてたと思う。

でも、それを必死に隠すように、むすっとした顔をしていたんだろう。

あと少しで本当に泣いてたかもしれない。


でも、私が泣くことはなかった。私が泣く前に、私のヒーローが私を助けてくれた。


137 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 22:07:20.10 ID:EjVEnkhT.net
「変じゃないよ。かっこいいじゃん。クリスティーナ」

彼はそう言った。私にしつこく話しかけ続けてた男の子、柊 京介。

ずっと無視してたのに、それなのに彼は私を助けてくれた。

私の名前をかっこいいと言ってくれた。

この日自分のクリスティーナという名前を、私は大好きになった。

そしてその日から彼が私のヒーローになった。


138 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 22:07:55.34 ID:EjVEnkhT.net
「ねぇ、覚えてるでしょ、私の名前。クリスティーナ。

あの日、私はあんたのおかげで、この名前をまた好きになることができた。

それは、あんただからできたこと、あんたにしかできなかったこと。

だからあんたは、絶対にコピーなんかじゃない」

「七瀬……」

忘れるわけがない。

俺と七瀬をつなげてくれた名前。


139 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 22:08:18.25 ID:EjVEnkhT.net
「いやー面白いですね。クリスティーナ、そんな名前でしたね。僕も呼びますよ、クリスティーナ」

椿が笑いながら言った。

「違う、貴方じゃない。この名前を好きにさせてくれたのは、貴方じゃない。好きにさせてくれたのは柊 京介よ」

「だから、言ってるでしょ。僕も柊 京介だったんですよ。いや、僕が柊 京介なんだ。そいつはただのコピーだ」

「違う、コピーなんかじゃない。私にとっての柊 京介は貴方じゃない」


140 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 22:09:00.92 ID:EjVEnkhT.net
「そうですか、わかりました。じゃあ、ゲームをしましょうか」


「ゲームだと、この状況でお前はふざけてるのか」

何を言っているんだこいつは、わけがわからなくて、つい聞き返してしまった。


「いえ、真剣ですよ。ふざけるわけがないでしょう。僕は今、ムカついているんですよ。僕の席にお前が座っていることが。許せない。

だからゲームをするんだよ。僕かお前か、どっちが柊 京介かを決めるゲームを」


その声は俺が聞いてきた中で一番真剣で、一番怒りがこもった声だった。


141 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 22:10:02.69 ID:EjVEnkhT.net
「ちょうどいいことに、今、僕と貴方の格好は一緒です。制服のワイシャツもズボンも僕達のは完全に同じだ。だから七瀬さんに決めてもらいましょう。どっちが柊 京介か」

「どうやって?」

椿が何をしたいのかがわからなかった。




142 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 22:10:46.40 ID:EjVEnkhT.net
「簡単なことですよ。今から五回連続、七瀬さんにはどっちが貴方かを当ててもらいます。もちろん一言も喋らずに、見た目だけで。できますよね、こいつが柊 京介だと言うのなら」

そんなのできるわけがない。俺達の見た目は完全に一緒だ。それを見分けるなんて不可能だ。

「いいよ」

七瀬は涼しそうにそう言った。


143 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 22:11:05.75 ID:EjVEnkhT.net
「なっ……」

「じゃあ始めましょうか」

「待て! できるわけがないだろう、そんなこと。無理に決まってる」

「柊、信じて私を。私はわかる、絶対に」

七瀬は俺の目を真っ直ぐ見て、そう言った。

そんな目で見られたら、言い返すことはできない。


144 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 22:11:33.45 ID:EjVEnkhT.net
でも……それでも七瀬にそんなことをさせたくはなかった。だから俺は止めるように声を出した。

「でも……」

「大丈夫だから、ね」

七瀬にそんな顔をされたら、了承するしかなかった。

「わかった」

「決まりですね、じゃあ、少し後ろを向いていてください」

そう言われて、七瀬は後ろを向いた。


145 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 22:11:56.72 ID:EjVEnkhT.net
「じゃあ始めましょうか」

俺達は横並びになった。どっからどう見ても、同じ人間が二人いるようにしか見えないだろう。これを見分けるなんて……

「右」

七瀬は振り向いてすぐにそう言った。正解だった。


146 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 22:12:21.14 ID:EjVEnkhT.net
「当たりですね。まぁ、一回目ですからね。じゃあ、もう一度後ろを向いてください」

椿は飄々とした顔でそう言った。

そうだ、まだ一回目だ。

でも今ので俺の心はもう決まっていた。七瀬が俺に信じてと言ったんだ。それなら俺はただ七瀬を信じるだけだ。たとえ結果がどうなろうと。


147 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 22:12:45.68 ID:EjVEnkhT.net
「じゃあ二回目、どうぞ」

「右」

また即答だった。正解だ。

「当たりです。偶然ってすごいですね。それでは、また後ろを向いてください」

椿の顔にはまだ余裕が感じられた。


148 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 22:13:36.49 ID:EjVEnkhT.net
「三回目、どうぞ」

「左」

「なっ……」

椿の顔に焦りが見え始めていた。

「その反応ってことは、正解みたいね。じゃあ次やりましょう」

七瀬はいつも通りの表情で余裕を持っていた。

「くっ……」

反面、椿にはもう余裕はなさそうだった。



>>次のページへ続く
 
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