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机の上に予言が書いてあった。

 

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1 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2015/07/16(木) 03:57:56.77 ID:7wm2QxL+0.net
初めに言っておきたい事がある。

これからする話の奇妙な現象は君には理解できないし、理解しようとして欲しくもない。

だって今の僕でも、あの時の事は何一つ分かっちゃいないんだ。


多分、神様の気まぐれなんだろうね。忙しい天国の久しぶりの長期休暇に浮き足立った何処かの神様が、パッと目に留まった僕に悪戯をした。

そして幸いにも、その神様は悪い神様じゃなかったんだ。


僕はそう考える事にした。

いや、そうでも考えなきゃやってられなかったんだよ。

他に納得のいく説明が出来る? 普段使っている教室の机に落書きが書いてあって、その落書きが未来を予言している現象について。


2 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2015/07/16(木) 04:01:10.31 ID:7wm2QxL+0.net
初めてその落書きに気づいたのは高校一年生の十月頃だったかな。

まだ残暑が続く中、唯一冷房が効いている図書室でいつものように本を読んでたんだ。

何を読んでいたんだっけな、昔から小さい文庫本が好きだったから、きっと文庫本。題名までは覚えていない。

帰宅部だった僕は放課後の有り余った時間を毎日図書室で水のように浪費した。


いつものように一九時頃まで本を読んで、そろそろ帰ろうと教室に置いてある鞄を取りに戻った。


3 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2015/07/16(木) 04:03:27.55 ID:7wm2QxL+0.net
机の脇にぶら下がっている重いそれを持ち上げて、ふと机に目をやると僕は驚愕した。

机の上にでかでかと『めがねがわれる』と書いてあったのだ。

書いてあったと言っても鉛筆やボールペンで書かれたものではない。律儀にも消せないように彫刻刀のようなもので彫ってあった。

それを見た僕の頭にはイジメの三文字が浮かんだ。

しかし どんなに必死に考えても、僕をイジメるような人なんていないし、僕自身イジメられるような性格はしていないと思った。

どこかの誰かがひっそりと僕を恨んでいた可能性はある。そいつがこれをした、そう考える事もできたのだが、それを受け止めることはできなかった。

その日は逃げるように家に帰った。


4 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2015/07/16(木) 04:07:54.93 ID:7wm2QxL+0.net
次の日の朝、念の為いつもより早起きして教室へ来てみると机の上の落書きは消えていた。

先生が気づいて机を変えてくれたのだろうか。そうだとすれば後できっと話を聞くために呼び出されるだろうな。


――そんな僕の考えは外れたようで、放課後になっても呼び出しをくらう事はなかった。

そうだとするなら、先生以外の誰かが机を変えてくれたのだろうか?よく分からなかったが、ありがたい事だった。

きっと机は変わっていなかったんだと思う。これも奇妙な話だ。


5 :も無き被検体774号+@\(^o^)/:2015/07/16(木) 04:09:04.47 ID:7wm2QxL+0.net
その日図書訪れた。

手軽に読め庫本が僕のお気に、ハ便ードカバーを毛嫌いしていただったが数少い友人の一人に勧て、珍しく分厚い本読んいた

段は鏡をかけているのだが、を読む時が疲るので外してる。

その時も図書室の長机のに眼鏡いてい





6 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2015/07/16(木) 04:09:38.84 ID:7wm2QxL+0.net
ふとした拍子、机の真ん中に置いていたはずの眼鏡が机から落ちて、それを拾おうとした拍子に本が手から滑り落ち、物の見事にハードカバーを眼鏡に向けて落としてしまった。

加速度運動が働いているファーブル昆虫記程の大きさの本に下敷きにされた眼鏡はフレームだけを残しており、鏡と呼べる部分は見る影もなかった。


これが初めての予言体験だった。

その時の僕は偶然が重なった、面白いこともあるものだと思っただけだったが、その日も机の上の落書きを見つけてしまったんだ。


『きょうかしょをなくす』

もちろん、この予言も当たる事になる。


7 :も無き被検体774号+@\(^o^)/:2015/07/16(木) 04:10:09.28 ID:7wm2QxL+0.net
それから毎、放課後の僕の机の上は予が書かれるこになる

予言にしては、全する事だということだ。それもマイな事。


の眼鏡のように、僕の物が壊れたり、無くなったり。予が書かれた次日にそれる。

して、予言通りになるうわけでもなしい


8 :名も無き被検体774号+@(^o^)/:2015/07/16(木) 04:11:55.05 ID:7wm2QxL+0.net
僕の持ているお気に入のボールペンが。コニで買った八百円の三色ールペンなが、れが壊れると使う予言があっ

のペンは書き心すごく好みで、お気にだった。

アルバイトしていない僕にて八百円というのなか大きなものかといってボ百円を出しる親で

そこで家に置い学校へ行くことにした。予言をそうとい


結論から言え、成功であ


9 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2015/07/16(木) 04:13:34.26 ID:7wm2QxL+0.net
僕は僕の手で未来を変えたのだ。

とても小さな一歩だったが、どこかの神様に一泡吹かせてやったという晴れやかな気持ちで僕の心はいっぱいになった。

未来を変えられる事実を知ってから、僕にとっての予言の印象は、まだ若干の恐怖はあるものの、ある種の予報のようなものだった。


天気予報ほど曖昧な予測ではないが、物語の中に出てくる予知ほど正確でもない。書かれる予知は一文だけ、後はそれを僕が読解して、どう対策するかだ。

この時期の僕は輝いていたと思う。新しい玩具を買ってもらった子供みたいにはしゃいでいた筈だからね。


10 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2015/07/16(木) 04:14:16.24 ID:7wm2QxL+0.net
何気ない日常の中で、何も役に立たない予言をただ僕一人だけが知っていて、そんなちょっとの非日常がとても楽しかったんだ。

しかし、ある日を境に事情が変わってくる。


11 :名も無き被検体774号+@(^o^)/:2015/07/16(木) 04:15:31.80 ID:7wm2QxL+0.net
胸騒ぎがした。の知らせと言うのだろうか、僕日にるこ予感していた


日書いてあった予知は『けしごむをなくす』なんていう、いじ他もないものだった

時使ていた宿消しゴはボで、買いが既に置いてあったから、無くなった所で問題は


業のを知らせる鐘がって、机の綺麗に並べていた筆記具戻す時にいてゴムをしまった。

小さまったそれは でこぼこ空きで蹴サッルのうにイギュラー跳ねてこかへ転がっていてしまった。予知通り

くなってしまったゴムを気にすることく、僕次の授業の準備を始た。


12 :も無き被検体774号+@(^o^)/2015/07/16(木) 04:17:14.33 ID:7wm2QxL+0.net
の日の帰りは図書に寄ずにことしたといっ用事あっではない。しいなら気まぐれだ。

確かに僕は本が好きだが、だからとって人生全を本に捧げているわけでも、読んだ本の生の中で番といもなろう、と思


っとと家に帰ってゲームもしようと考いた時に、後ろかをかけれた

「ねぇ、

振り向いたにいたのクラスの女子だった。名前は相良

髪は校則にしたがった黒色で、キリリとしクールさ。どかまだあどけなさを残顔ついかにも高校生とう風貌だ


13 :名も無き被検体774号+@(^o^)/:2015/07/16(木) 04:19:02.00 ID:7wm2QxL+0.net
とんど話したとの無い相手った。まし校生だ。自分のクラスで時代べればその数は圧倒。その大模な団が幾つもだ。

が多ければ隣のクラスや、隣のまた隣のラス人とり合い度にはのだろう、僕いう種類の人間はない。


逸れてまった、そう、の相さん女の子に話しかけられた事も驚くべき事なのが、その子の左手にっと驚くべが秘められいた


失くしたの消しゴを握っていたのである

「これのでしょ? い」

相良さんは顔で そのさなを差し出してきた


14 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2015/07/16(木) 04:19:31.02 ID:7wm2QxL+0.net
忘れていた朝の胸騒ぎを思い出した。また胸の奥がざわざわと蠢いて、少しだけ目眩がした。

予知が告げる今日は、他人の鑑賞であっさりと変わってしまった。


問題はない筈だった。僕にとってマイナスな事ばかりの その予知が変わる事は、むしろ好都合である筈だった。しかし、僕の中には大きな穴ができたような気分になったのだ。

僕にしか知り得ないその予知に、僕だけの秘密にして ひっそりと楽しんでいたその予知に、殆ど面識のない他人によってあっけなく覆されてしまうその予知に、僕は大きく大きく失望してしまった。





15 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2015/07/16(木) 04:23:03.39 ID:7wm2QxL+0.net
相良さんから消しゴムを受け取って、頭を下げてその場から そそくさと離れた。

部活動をしている生徒の大きな声と、相良さんの迷惑な優しさを背中に感じながら、僕は校舎から出た。

去り際に見た彼女の顔は、とても嬉しそうだった。


16 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2015/07/16(木) 04:28:31.39 ID:7wm2QxL+0.net
次の日、退屈な授業。

教室の一番後ろ、窓際の席に座る僕は顎を手のひらの上にのせて肘を立て、窓の外を眺めていた。


昨日の事を思い出す。

とても簡単に変わってしまう予知、未来。


17 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2015/07/16(木) 04:31:15.53 ID:7wm2QxL+0.net
楽しみであったその具は、相良さんの手によってあけなく粉砕されて

みれば当の事だったの。未来をられるのはじゃない。

未来を知ってるからこ僕は僕自の手で未来をえてように感じていけで、今い誰かが、来るはず未来えているのかもしれない。


こうもに、至軟に未来は変わのだ。もしすると僕が今手をかすけで、未来が変わるのかもし

未来と変わっ未来を知ない僕を測術など無。まさにシュディンガーの猫だ。

ういえば昨日は予言見ていないな。日はどんな事が起こなの何かを失っ、壊したりすう。


それか単にわる来予知に意を見出せず、日課であった予の確認をくなった。


18 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2015/07/16(木) 04:31:38.04 ID:7wm2QxL+0.net
異変に気付く。

予言を初めて見た時から既に一ヶ月近くは経った。あの日から何かを失くしたり壊したりしなかった日はない。


19 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2015/07/16(木) 04:33:29.72 ID:7wm2QxL+0.net
だが、あの相良さんに未来を変えられてから一週間、僕は何も失っていない。

何かを失いそうになったり、壊しそうになると決まって彼女が僕の前に現れるようになった。


もしかして、あの子は僕の予言を見ているのだろうか。

それを見て、僕を不憫に思って助けてくれているのだろうか。


その日 僕は確信を得るために、一週間ぶりに予言を見ることにした。


20 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2015/07/16(木) 04:34:44.03 ID:7wm2QxL+0.net
放課後、図書室に来た。

残暑と同時に冷房は消えて機械音はなく、聞こえてくる音は運動部の掛け声と吹奏楽の管楽器の音色だけ。

うるさすぎることもなく、静かすぎることもないその空間は、本を読むには絶好の場所だった。


元々僕は静かな場所が好きだった。静かな場所といっても閉店後の駅ビルだとか複合商業施設のような相対的に強化された静寂ではなく、こういった自然的な静かが好きなのだ。

心が落ち着いて、少しばかりノスタルジックな気分になる。


この空間だけ、まるで時が止まっているようだった。

創設時から置かれているであろう古本の匂いが鼻を燻った。目に付いた本を棚から引き抜いて、顔に近づけて少しだけ匂いを嗅ぐ。人差し指で本の背を撫でて、がらがらの長机に座って本を開いた。


21 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2015/07/16(木) 04:38:00.02 ID:7wm2QxL+0.net
半分ほど読み進めた頃、校内に下校時刻の放送が流れた。

すっかり本の中の世界に夢中になっていた僕は、意識を現実世界へと引き戻した。司書さんからメモ帳を一枚もらって、本に挟んで棚に戻す。


僕は早足で教室に向かった。

僕のクラスはBクラスだ。図書室がある西棟の二階の奥から二番目にある。


22 :無き被検体774号+@\(^o^)/2015/07/16(木) 04:39:36.80 ID:7wm2QxL+0.net
れな早足に息を切らす間もな尿ぐにが見婿てきた。

口前る。相良さんだ。


やはり僕言を見たのうか? 何やらしそな、恥ずかうなで下がらこちらへ歩くる。

が近づくと、彼女は足を止め顔をあげ僕の見た

そのまま二秒間くらい見つめ合っていた。

どちから話しかけることもなく相良んは困たようたような、そんな顔をしていた


先に口を開いたのは僕の方だった。


23 :き被検774号+@\(^o^)/:2015/07/16(木) 04:41:10.70 ID:7wm2QxL+0.net
予知、見た?」

至極純な質問だった。ただ、力が


の前るこ子が、の楽しみを奪った本だと思うと、立っしま

うなることは予想きて

だか構えてつもりだっ彼女にても、らずに ただ感謝ようと。


だけど、うはかなかっ




>>次のページへ続く


 


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カテゴリー:読み物  |  タグ:青春, すっきりした話, 胸キュン,
 

 
 
 
 
 

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