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数年前、自殺しようとしてた俺が未だに生きてる話
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332 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/12(土) 12:35:08.19 ID:3y8Xfu8b.net
・・・・・・。

・・・・・・それは・・・・・・たしかに。

ぐうの音も出ず、俺は黙った。

そうだ。

あいつは自転車に乗ってたんだ。。。

ああああ、どうして俺の考えることって、こんなだめなことばっかりなんだ。。。。



333 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/12(土) 13:54:27.37 ID:3y8Xfu8b.net
「落ち込む必要はない」

俺の落胆を見取ったように、レイは言った。


「いまは計画の段階」

「誰も最初から完璧にはできない」

「少しずつ、進めればいい」

「違うと思ったら、引き返せばいいだけのこと」



「そうかもしれないけど・・・・・・」

俺は頭をかきむしった。

間違ったら引き返せばいい、そうは言っても、一度決めたことを変えるのは、嫌だった。

それも、簡単に決めたわけじゃない。

俺が確かな努力の結果、何日もかけて決めたことだ。



334 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/12(土) 14:01:56.07 ID:3y8Xfu8b.net
「引き返すことを恐れる必要なんて、なにもない」

しかし、珍しいことに、レイは俺を説得するように言った。

「例え、何かに失敗したとしても、それは同じ」

「それは決してゲームオーバーじゃない」

「あなたは何度でもやり直せる」



「いまから失敗だなんて言うなよ」

俺は顔をしかめた。

「縁起が悪いだろ」


すると、なぜかレイは少しの間、黙り込んだ。



335 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/12(土) 14:07:05.52 ID:3y8Xfu8b.net
「それは、悪かったわ」

ややあって、レイが口を開いた。

「もう言わない」

「そうしてよ」

なぜ、レイが黙り込んだのか知らず、俺は言った。

「わかってるよ。ちゃんと行動して、観察して、いいやり方を考えるから」

「いってらっしゃい」

いつになく寂しげに、レイが言った。

「行ってきます」

やっぱりなにも感づかずに、俺は夜の散歩に出かけた。



339 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/13(日) 04:01:20.70 ID:uGHuDPhd.net
いつも通りの時間、いつもの道のりではあったが、俺の足はいつもより早かった。

なぜなら、俺は焦っていた。

あと一週間もすれば、学校は春休みに入る。

行動パターンが変わらなければそれでいいが、もし変わってしまったら、決行のチャンスは遠のく。

春休みが過ぎるのを待って、新学期に入ってからまた、調査をし直さなければならない。

それは嫌だった。

俺は一刻でも早く、Aがこの世から消えてなくなることを望んでたんだ。



340 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/13(日) 04:09:00.71 ID:uGHuDPhd.net
暗がりで、ナイフを使う。

目的を達成するためには、手段の変更も必要だということは理解していたが、その方法以外、俺の頭には浮かばなかった。

一時は、Aをどこかに捕らえ、俺の恨みをぶちまけてから殺したい、そんな願望もあったが、現実的に考えれば、そんな機会も場所もあるはずがない。

もしあったとしても、俺よりでかいAを捕らえるのは難しいだろう。

抵抗されて、逆にやられてお終いだ。



341 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/13(日) 04:15:36.97 ID:uGHuDPhd.net
だから、ナイフの一突きで すべてを思い知らせる。それが俺にできる精一杯だと思った。

けど・・・・・・レイの言ったとおり、Aは自転車に乗っている。

と、そのとき、向かいから自転車に乗ったサラリーマンがやって来るのが見えた。

あれをAに見立ててみよう。

俺はうつむき加減で歩道の端に寄り、怪しまれないよう、速度をそのままに歩き続けた。



342 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/13(日) 04:19:55.92 ID:uGHuDPhd.net
サラリーマンが近づいてくる。

急いでいるのか、スピードはAより早いかもしれない。

すれ違った瞬間、ナイフを突き出す。

実際にやるわけにはいかないから、俺は最大限に想像力を使ってシミュレーションした。


すれ違った瞬間だ、すれ違った瞬間・・・・・・

あと1メートル。


俺はタイミングを計り、想像の中でナイフを持った手を突き出した。



343 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/13(日) 04:25:16.61 ID:uGHuDPhd.net
さっと風が俺の横を通り抜けた。

その瞬間、立ち止まった俺を残して、サラリーマンを乗せた自転車が遠ざかっていく。

俺は唇を噛んで、上着のポケットに入れた右手を握りしめた。

・・・・・・無理だ。


実際より、想像の方が簡単だというのに、俺の想像のナイフはサラリーマンを捕らえることはできなかった。

それどころか、いろいろ問題が判明する結果となった。



344 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/13(日) 04:29:40.25 ID:uGHuDPhd.net
まず、自転車の動きが予測できない。

さっきのサラリーマンもそうだったように、俺という歩行者に気づいた自転車は、それを避けるように大きく車道へはみ出した。

これじゃ、物理的に手が届かない。


それから、自転車は意外と速い。

勝負は ほんの一瞬だ。

引きこもりで なまってる上に、元々運動神経がいいとは言えない俺が、その一瞬に急所を狙えるとは思えない。

それに、それらをしのぐ、根本的な問題があった。



345 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/13(日) 04:38:25.87 ID:uGHuDPhd.net
それは、自転車に乗った人間の体勢だ。

両手でハンドルを持ち、サドルに座った状態の人間の体勢。

少し想像して欲しいんだが、殺すために狙わなきゃならないのは当然 腹部や胸部だ。

そうすると、そこはうまく手と足に防御されていて、狙うのが難しいんだ。

特に、Aはスポーツタイプってのかな、身体が前傾するような自転車に乗ってる。

そうすると、さらに防御力はアップする。

俺の突き出したナイフは、太ももか腕をかするだけだろう。



346 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/13(日) 04:43:22.60 ID:uGHuDPhd.net
これは無理だな・・・・・・。

再び、今度は がっくりと歩き出しながら、俺はため息をついた。

これじゃ完全犯罪どころか、Aを殺せもしない。

切りつけられたAはよろめくか、転ぶくらいで・・・・・・。


・・・・・・転ぶ?

俺は はっとひらめいた。



347 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/13(日) 04:45:33.64 ID:uGHuDPhd.net
自転車に乗ってるAは殺せなかった。

けど、転んで地面に倒れたAなら?

興奮が俺の中に戻ってきた。

Aが転ぶ、地面に這いつくばる、そこを一息にぐさっといける・・・・・・か??



>>次のページへ続く
 
カテゴリー:人生・生活  |  タグ:すっきりした話, 修羅場・人間関係, ためになる話, これはすごい, ためになる話, ちょっといい話,
 


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