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数年前、自殺しようとしてた俺が未だに生きてる話
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348 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/13(日) 04:49:39.67 ID:uGHuDPhd.net
・・・・・・いやいや、無理だろ。
俺は かぶりを振った。
何か完璧に転ばせる方法があったとして、Aが地面に這いつくばったとする。
けど、よっぽど打ち所が悪くない限り、そのまま這いつくばってるとは考えにくい。
Aはすぐに起き上がり、すごい形相をして俺に掴みかかってくるだろう・・・・・・
俺がナイフを刺すより先に。
349 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/13(日) 04:53:04.46 ID:uGHuDPhd.net
下手したら、俺のナイフが突き刺さるのは、俺自身かもしれない。
〈ゲームオーバーね〉
レイの声と共に、勝ち誇ったAの顔が頭に浮かんだ。
引きこもりの同級生にあわや殺されそうになりながらも、Aは勝利をを勝ち取ったのだ。
正当防衛。そんな堂々とした理由で俺を殺して。
350 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/13(日) 04:56:29.92 ID:uGHuDPhd.net
だめだ、そんな結末はだめだ。
俺は その想像を必死でかき消した。
俺は なんとかこの計画を成功させて、Aを殺さなきゃいけない。
生き残るのは俺で、ゲームオーバーになるのは、Aだ。
それは絶対条件だ。
・・・・・・いやいや、無理だろ。
俺は かぶりを振った。
何か完璧に転ばせる方法があったとして、Aが地面に這いつくばったとする。
けど、よっぽど打ち所が悪くない限り、そのまま這いつくばってるとは考えにくい。
Aはすぐに起き上がり、すごい形相をして俺に掴みかかってくるだろう・・・・・・
俺がナイフを刺すより先に。
349 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/13(日) 04:53:04.46 ID:uGHuDPhd.net
下手したら、俺のナイフが突き刺さるのは、俺自身かもしれない。
〈ゲームオーバーね〉
レイの声と共に、勝ち誇ったAの顔が頭に浮かんだ。
引きこもりの同級生にあわや殺されそうになりながらも、Aは勝利をを勝ち取ったのだ。
正当防衛。そんな堂々とした理由で俺を殺して。
350 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/13(日) 04:56:29.92 ID:uGHuDPhd.net
だめだ、そんな結末はだめだ。
俺は その想像を必死でかき消した。
俺は なんとかこの計画を成功させて、Aを殺さなきゃいけない。
生き残るのは俺で、ゲームオーバーになるのは、Aだ。
それは絶対条件だ。
351 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/13(日) 05:00:45.97 ID:uGHuDPhd.net
けど、自転車に乗ったAを確実に殺すことのできる妙案は浮かばなかった。
俺はいつものようにAの後ろ姿を見送り、帰途についた。
Aを転ばせる。
Aを自転車から降ろす。
考える方向は それで間違ってないような気はしたが、具体的なこととなると さっぱりだった。
俺は とりあえず記録をつけると、ふて寝するようにベッドに潜り込んだ。
352 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/13(日) 05:12:22.85 ID:uGHuDPhd.net
寝てる間に、何かいい案でも思いつかないかと ひそかに期待していたが、そんな都合のいいことなど起こらないのが〈現実〉というやつのようだった。
俺は部屋のドアを開けると、いつものように用意されてた飯をほおばった。
ここで、普段なら飯が何だったとか、うまかったとか まずかったとかあるんだが、その日に限ってはなにも覚えてない。
その原因は、皿の下に挟み込まれていた一枚の紙だった。
それは、朝刊の切り抜き、新聞のコラムだった。
353 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/13(日) 05:17:39.03 ID:uGHuDPhd.net
内容は、インターネットに依存する青少年的なやつだった。
インターネットが健全な発育を阻害するとか、脳細胞がなんだとか、教育的になんだとか、フィルターが必要だとか、まあ、そういうやつだ。
もし、それを俺が新聞で読んだとしたら、大人が勝手なこと言ってんな、とか思うくらいで特に気にも留めないだろう。
ってか、まあそういう場所が救いになってるやつもいるのに、くらいは思うかもだけど。
354 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/13(日) 05:26:14.39 ID:uGHuDPhd.net
けど、その切り抜きを見た瞬間、俺はかっと頭に血が上るのを感じた。
もちろん、そのどうでもいいようなコラムのせいじゃない。
だって、いいか?新聞だぞ。
それが わざわざ切り抜かれて、飯の下に置かれて、俺の部屋の前に置かれてたんだ。
誰の仕業か?もちろん俺の親だ。
『これを読んで、インターネットなんかやるのをやめなさい』
なんだ?親はそう言いたいのか??
お得意の遠回しで、この切り抜き一枚でそう察せってか??
インターネットをやめろだなんて、大体、この部屋の中で俺が何をしてるのか、あんたらは少しでも知ってるのか??
355 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/13(日) 05:34:46.88 ID:uGHuDPhd.net
まあ、そのとき俺は爆発したね。
そりゃ、大声出したりもの壊したりはしなかったけど(親や他人の介入が嫌だから)、枕に顔押しつけて思い切り叫んで、自分で自分の身体をひっかいたり叩いたりした。
攻撃しやすい太ももなんかは、すぐ青あざとミミズ腫れで血が出たりしたけど、それでも俺はやめなかった。
悔しくて、悲しくて、情けなくて、どうして俺はこんな部屋にこもってんだと思った。
どうして引きこもらなきゃなんないんだって思った。
もちろん、直接の原因は俺をいじめたAにあって、それに正々堂々と打ち勝つ力のなかった自分のせいだったんだけど、俺はこのとき、一番責められるべきは親だと思った。
俺をちゃんと育てずに、こんな負け犬にした親のせいだと思った。
356 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/13(日) 05:43:20.05 ID:uGHuDPhd.net
俺は まだ親に甘えてた。甘えることが許されると思ってたし、それが許されて当然だと思ってた。
だって、俺はまだ中学生だ。
そりゃ、面と向かってガキだなんて言われたら言い返すかもしんないけど、何から何まで親にしてもらって当然の子供だ。
飯も、洗濯も、学費も、何かするときのお膳立ても、全部してもらって当然なんだ。当たり前なんだ。
357 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/13(日) 05:49:00.24 ID:uGHuDPhd.net
すべては、当たり前。
だから、親は引きこもってる俺に気を遣って当然だ。いや、むしろ気を遣うべきなんだ。
毎日食事を用意して、部屋の中でも俺が快適なように はからって、時には「必要なものはない?」と俺に伺いを立てて、俺が欲しいものを言ったら すぐにそれを差し出して、「気づかなくてごめんね」って謝るべきなんだ。
そうだろ?ほかのやつらも、程度の差はあれ、そうしてもらってるんだろ??
358 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/13(日) 05:56:02.37 ID:uGHuDPhd.net
・・・・・・って、そんなわけないよな。
いまの俺ならそう思える。いや、思えるってよりは、〈現実〉を知ってる。
あのときの俺に、いまの俺はこう思う。
いいか、お前は結構幸せだぞ。世間には虐待死する子供もいる・・・・・・だなんて極端な例を出さなくても、お前は十分いい環境にいる。
こんなこと言うと反発するかもしれないが、
「お前は引きこもることができてる」
それだけで、幸せの立派な証明だ。
359 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/13(日) 06:07:42.08 ID:uGHuDPhd.net
親は お前を大切に思ってる。
そりゃ、言うことが遠回しすぎるとか、いろいろ不満はあると思うが、それは そういう人なんだからしょうがない。
親の性格が、お前に少し合わなかったってだけだ。それだけで、「最低な親」だなんて烙印を押す必要はない。
そんなことお前は望んでないって言うかもしれないが、親は お前が引きこもることを許してくれてる。
逃げることを許容してくれてる。
「それは違う」
「だって、親は一生こうしてていいって思ってるわけじゃない」
「早く独立しろとか、学校に行けとか思ってるはず」
「俺は必要ないんだ」
お前はそう言うかもしれない。
でも、まだ来ない何年も先のことを考えてもしょうがないから、「いま」のことだけを考えてみて欲しい。
親はお前を安全な場所にかくまっている。そうだろ?
そうでなきゃ、お前なんか さっさと家から追い出してるさ。
本当にお前を必要ないとか、そんなふうに思ってるならな。
・・・・・・俺は、そう思ってる。
360 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/13(日) 10:22:55.57 ID:uGHuDPhd.net
引きこもれるのは、そこが外よりも居心地のいい場所だからだ。
それだけで、いいか悪いかで言ったら、俺の環境は良かったに違いない。
けど、俺は人知れず暴れまくった。
それこそ、嵐みたいに。
361 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/13(日) 10:33:31.86 ID:uGHuDPhd.net
「ただの新聞の切り抜きでしょう」
いつもの時間に現れたレイは、まだ苛々していた俺にそう言った。
「親は あなたが心配なのよ」
「違うよ」
「親のことは俺が一番知ってる」
「いつもこうなんだ」
「遠回しに、言いたいことも はっきり言わないで」
「新聞の切り抜きだよ? 信じられる?」
「質問の答えなら、イエスね」
気の乗らない調子でレイは答えた。
「信じられるわ」
「違うよ、そういう意味じゃなくて」
「じゃ、どういう意味なの?」
「それは・・・・・・」
親は俺の奴隷でいろ、なんてリアルじゃ言えなくて、俺は黙った。
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