2chの男女恋愛に関わる 復讐話寝取られ話旅スレ に特化した話題を掲載していきます。
easterEgg
 
 
 
 

数年前、自殺しようとしてた俺が未だに生きてる話
(34ページ目)  最初から読む >>

 

\ シェアする /


457 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/16(水) 03:20:06.62 ID:tUla2ho3.net
小さな、カタン、という物音に目を覚ますと、時計の針は、まだ夜の九時過ぎを指していた。

今日、計画を実行するにしろ、日付が変わる前に家を出れば間に合う。

俺は思いきり伸びをして起き上がった。

それから、部屋のドアの方を見た。

さっきの物音は、飯が廊下に置かれた音だろう。

人の気配がないことを確かめてドアを開ける。

すると、そこにはまだ温かい生姜焼きが置かれていた。

皿を覆ったラップが、湯気で曇っている。



458 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/16(水) 03:32:04.07 ID:tUla2ho3.net
それを見て、俺の腹がぐうと鳴った。

考えてみたら、今日はまだ何も食べてない。

昼にひっくり返したサンドイッチを振り返ってから、俺はとりあえず生姜焼きのラップを外した。

それからお盆ごとパソコンの前に移動させると、白飯と共にかっ込んだ。

うまい。

思わず夢中で食べ進むうちに、俺は画面に新しい文章が増えているのに気づいた。

レイだ。

反射的に俺は そう思った。

同時に、俺の顔は嬉しさで ほころんだ。

だから、というべきか、そこに書かれた言葉の意味を理解したのは その後だった。

俺は笑ったような顔のまま、画面の前で固まった。


「計画は中止して」


何度読み返してみても、そこにはこう書いてあったのだ。




459 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/16(水) 03:36:54.34 ID:tUla2ho3.net
計画を、中止する??

どういうことだ?

レイは何を言ってるんだ??

俺は大量の はてなマークに埋もれた。

そうしながら、急激に不安に襲われた。

レイがこんなことを言うなんて、よっぽどのことが起きたに違いない。

殺人道具一式を買い込んだ俺が出て行くのを見計らって、あのレジのおばちゃんが こっそりと警察に電話をする・・・・・・

・・・・・・そんな想像が俺の頭に浮かんだ。



461 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/16(水) 03:43:57.03 ID:tUla2ho3.net
いやいやいやいや。

自分でした想像を打ち払うように、俺は首を振った。

俺はまだ道具を手に入れただけだ。何も事件は起こしていない。たしか、警察は事件が起こらないと動けないんじゃなかったか?

それとも、計画だけで逮捕するなんて、そんなことができるんだろうか・・・・・・!


「どうして????」

「何かあった?????」

俺は急いで打ち込んだ。


「レイ??????」

「大丈夫?????」

不安のまま、俺は呼びかけた。

レイがいなくなったらどうしよう、よくわからないがそんなことを考えていた。



462 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/16(水) 03:50:37.30 ID:tUla2ho3.net
「大丈夫も何も、どうもしてないわ」

「どうかしてるのは、あなた」

するするっと画面がスクロールし、レイが言った。


「よかった・・・・・・」


リアルでも、文字でもつぶやいて、俺はため息をついた。

レイはいた。いつものように、ここにいてくれた。

でも、それなら・・・・・・と、俺は首をかしげた。

計画中止ってなんのことだ?

ここまでやり遂げて、あと一歩ってときに、どうして中止しなくちゃいけないんだ?



463 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/16(水) 03:57:29.47 ID:tUla2ho3.net
「それなら、なんで中止なんだ?」

俺は聞いた。

「道具は揃えたし」

「千枚通しで、自転車もパンクしたし」

「あとは、チャンスをうかがうだけだから、大丈夫だよ」

実験結果もあわせて報告する。


「パンクってなんかすごい音がするかと思ったんだけど、そうでもないんだな」

これなら、誰にも気づかれることがない。俺は自信を深めていた。




464 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/16(水) 04:04:41.34 ID:tUla2ho3.net
〈考えるより、行動〉

〈行動の記録が努力の証〉

俺はレイの言葉を忠実に守ってきた。

そして、その結果、計画もここまでこぎ着けた。

確かに最初の変化は、この部屋から一歩出た、それだけのことだったかもしれない。

けど その一歩は、振り返ると、いまやこんなに遠くまで、想像すらできなかったところまで、俺を押し進めてくれた。

俺は自分が誇らしかった。

いや、これは堂々と誇るべきだろう。

何もできなかった俺が、周囲に当てつけるためだけに自殺しようとしていた俺が、Aの殺害を計画し、あと一歩というところまで進めたのだから。

「何が大丈夫なの?」

だというのに、レイは冷たく言った。

「え?」

俺は思わず聞き返した。

それは、何かが壊れてしまうような、そんな予感に似ていた。



465 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/16(水) 04:08:03.62 ID:tUla2ho3.net
「だって・・・・・・大丈夫だよ」

得体の知れない予感に怯えながら、俺は そう返した。

はっきり言って、レイが何を言ってるのかよくわからなかった。

何か計画に大きな穴があるのか?

俺は本気でそう考えた。

このまま実行すると、俺が捕まってしまうような、そんな穴が。



466 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/16(水) 04:14:46.11 ID:tUla2ho3.net
「なにか俺が見落としてることがあるなら、教えて」

大急ぎで俺は打ち込んだ。

「俺は完璧だと思ってたけど、何かやばいとこがある?

あ、返り血のついた服をどうするか、だけど、指定のゴミ袋を買ってきたから、凶器をくるんで捨てちゃおうと思ってるんだ。

もしかして、それってやばいかな??」


普段なら、俺がこれくらいの分量を書くころには、レイはこの倍のレスをくれているのだが、今日に限って、それがない。

「どうしたの? 調子が悪いの?」

この前、打ち込めなかった台詞を、俺は打ち込んだ。

「大丈夫??」



467 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/16(水) 04:19:29.07 ID:tUla2ho3.net
「私は大丈夫よ」

しばらく待つと、やっとレイの返事が返ってきた。

「なんだ、心配したよ」

俺は ほっとしてそう返した。

それから、中断したままだった飯に手を伸ばした。

あ、そうか、レイも食事中なのかもしれないな。呑気にそんなことを考える。

そのときだった。

「もう一度言うわ」「私は大丈夫」「どうかしてるのは、あなた」

箸を持った手が、宙で止まった。




>>次のページへ続く
 
 


\ シェアする /


関連記事

 
































easterEgg記事特集ページ

 

こちらもどうぞ

 

 

カテゴリー

 

 
 

殿堂入りのおすすめ記事

 
 
 

新着記事

 
 
 

おすすめ記事2

 

 

人気記事(7days)

 

 

新着記事