数年前、自殺しようとしてた俺が未だに生きてる話
(38ページ目) 最初から読む >>
\ シェアする /
506 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/17(木) 03:48:20.39 ID:XaM2as0z.net
どうする?ちゃんとパンクしたか、確かめるか??
俺は迷った。
もう一回同じ通りを通ったら怪しまれるだろうか?いや、誰にも見られなかったんだから、大丈夫か??
俺は散々迷った挙げ句、、、、、
結局もう一度、それを確かめに戻った。
通り過ぎざまに素早くタイヤを触ると、ぐにゃりとした感触が伝わってきた。
やった!!!!
俺は心の中でガッツポーズをした。
507 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/17(木) 03:52:47.66 ID:XaM2as0z.net
よし、よし、よし、よし!!!
計画の第一段階をクリアした俺は ほっとした。よし、これで次はAを・・・・・・
〈なぜ?〉
気が緩んだせいか、レイの声が頭に戻った。
勝利に水を差された気分になり、俺は いらっとした。
508 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/17(木) 04:00:09.11 ID:XaM2as0z.net
〈なぜ?〉
けど、頭の中の声が空気を読むことはなかった。
〈なぜ、あなたはAを殺さなければならないの?〉
もう、うるさいな。
俺は心の中でつぶやきながら、身を潜める予定のゴミ捨て場に向かった。
〈なぜ? 教えて〉
うるさいな。そんなもん決まってるだろ。
〈わからない〉
〈どうして?〉
どうしてもこうしてもないだろ、だってさあ・・・・・・
〈どうして?〉
〈あなたはもう、その必要がないのに〉
必要はあるよ。
〈なぜ?〉
なぜって、だって・・・・・・
〈なぜ?〉
なぜって・・・・・・
どうする?ちゃんとパンクしたか、確かめるか??
俺は迷った。
もう一回同じ通りを通ったら怪しまれるだろうか?いや、誰にも見られなかったんだから、大丈夫か??
俺は散々迷った挙げ句、、、、、
結局もう一度、それを確かめに戻った。
通り過ぎざまに素早くタイヤを触ると、ぐにゃりとした感触が伝わってきた。
やった!!!!
俺は心の中でガッツポーズをした。
507 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/17(木) 03:52:47.66 ID:XaM2as0z.net
よし、よし、よし、よし!!!
計画の第一段階をクリアした俺は ほっとした。よし、これで次はAを・・・・・・
〈なぜ?〉
気が緩んだせいか、レイの声が頭に戻った。
勝利に水を差された気分になり、俺は いらっとした。
508 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/17(木) 04:00:09.11 ID:XaM2as0z.net
〈なぜ?〉
けど、頭の中の声が空気を読むことはなかった。
〈なぜ、あなたはAを殺さなければならないの?〉
もう、うるさいな。
俺は心の中でつぶやきながら、身を潜める予定のゴミ捨て場に向かった。
〈なぜ? 教えて〉
うるさいな。そんなもん決まってるだろ。
〈わからない〉
〈どうして?〉
どうしてもこうしてもないだろ、だってさあ・・・・・・
〈どうして?〉
〈あなたはもう、その必要がないのに〉
必要はあるよ。
〈なぜ?〉
なぜって、だって・・・・・・
〈なぜ?〉
なぜって・・・・・・
509 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/17(木) 04:08:15.97 ID:XaM2as0z.net
しつこい声にいらいらしながら、俺はゴミ捨て場の横に座り込んだ。
ここでAを待ち、あとは この包丁で・・・・・・
カバンを開けると、まだ箱に入ったままの新品の包丁が銀色に光った。
俺はそのプラスチックの包装を解くと、素手でその柄を握った。
白木の柄は思ったよりも しっくり手に馴染んで、俺はこのまま、手袋をせずにAを刺そうと思った。
指紋だのなんだの、そんなことは もうどうでもいい。そのほうが うまくいくような気がしたからだ。
510 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/17(木) 04:15:02.74 ID:XaM2as0z.net
俺は包丁をカバンに戻すと、体育座りでAが来るのを待った。
Aが引いてくるだろう、自転車の音に耳を澄ませた。
その瞬間までは、三十分くらいだと思われた。それまで身動きせずにいようと思った。
けど、背中をつけたコンクリの塀が冷たくて、俺はすぐに身体を前に傾けた。
511 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/17(木) 04:23:22.56 ID:XaM2as0z.net
長かったな。
俺はAを待つ間、感慨深く考えた。
ここまで来るまで、大変だった。
部屋を出て、Aを見つけて、観察をして、計画を練って、筋トレまでして・・・・・・
こんなに ちゃんと努力したのは初めてだ。
俺は ため息に似た息をついた。
勉強だって、運動だって、俺は努力をしたことがなかった。
いや、そのときは努力したって思ってたけど、いま思えば、あんなの全然努力じゃない。
中間テストの範囲を書き出し、復習の予定を立てる、それだけで満足して何もやらない、結果、テストはぼろぼろ。
・・・・・・なんて当たり前だったしなあ。。。
512 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/17(木) 04:32:14.14 ID:XaM2as0z.net
それが、いまやちゃんと計画を立てて、〈努力の可視化〉を続けてる。
学校のノートとは桁違いに、黒く埋まった記録ノートを、俺は思い浮かべた。
あれが努力だ。
間違いない、努力だ。
一つずつは小さくても、〈現実〉を変え、俺を変えてくれた。
俺は変わったんだ。変われたんだ。
〈おめでとう〉
さっきのレイの言葉が、やっと俺の心に染みこんだ。
〈あなたはもう、一人で立ち上がることができたのよ〉
〈おめでとう〉
513 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/17(木) 04:34:49.39 ID:XaM2as0z.net
ありがとう。
俺は その祝福を素直に受け入れた。
ありがとう、全部レイのおかげだ。
レイがいなかったら、俺は何もできないままだった。
だから、ありがとう。
514 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/17(木) 04:39:28.42 ID:XaM2as0z.net
〈さあ、そこから立ち上がって〉
レイは少し優しい調子で言った。
〈あなたはもう大丈夫〉
〈そこから立って、歩き出して〉
〈あなたの〈答え〉を探して〉
〈幸せになって〉
そのとき白い光が差して、俺は本当にレイがここに現れたのかと思った。
天使のように微笑むレイが、綺麗な白い光を その身にまとって。
けど、それは違った。
向こうの角を、一台のバイクが曲がっていっただけだった。
515 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/17(木) 04:48:33.89 ID:XaM2as0z.net
「ありがとう」
「でも・・・・・・俺は、行けない」
バイクの音が遠ざかるのを聞きながら、俺は小さくつぶやいた。
本当に小さく、それは自分の耳にも聞こえないくらい微かな声だった。
「俺は、Aを殺さなきゃ」
〈どうしてなの?〉
レイもつぶやいた。
「どうしても」
俺は答えた。
「Aを殺さなきゃ、俺は前に進めないんだ」
516 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/17(木) 04:55:24.57 ID:XaM2as0z.net
〈そんなことない〉
〈あなたは もう大丈夫〉
〈Aなんかのために、手を汚す必要はない〉
「違う」
「大丈夫とか、そういう問題じゃないんだ」
俺は自分で自分を抱きしめるように、腕に力を入れた。
そのときには、もうどうして自分がこんなにもAを殺すことに固執しているのか、その理由を理解していた。
「ここで逃げたら、俺はまた同じになる」
俺はつぶやいた。
「Aから逃げて、学校から逃げて、部屋にこもって、いままでと何にも変わらなくなっちまうんだ」
それが、俺が計画通りにAを殺そうとしている、たった一つの理由だった。
>>次のページへ続く
\ シェアする /
関連記事
easterEgg記事特集ページ
