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昨日、嫁の墓参りに行ってきた
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228 :名無しさん@おーぷん :2016/07/14(木)22:38:28 ID:n4c(主)
それから2年、うちの母ちゃんがガンになった

治る見込みは充分にあったが、長期の入院、その後も再入院が必要で とても娘を見ていられる状況ではなくなった

今度こそ保育園しかないかと思った時、幼馴染みから電話があった

お母さん大変なんでしょう、うちで娘ちゃんと日中遊んであげるよ、私実家だし在宅の仕事多いからと

有難い話だが いくら何でも悪いと思って何度か断った

でも、うちのお母さんも手伝いたいって言ってるから気にしないで たよんなさいよと言ってくれたのでお世話になることにした


229 :名無しさん@おーぷん :2016/07/14(木)22:40:29 ID:KSK
ええ人ばっかりやのぉ


231 :名無しさん@おーぷん :2016/07/14(木)22:50:45 ID:n4c(主)
嬉しいことに娘は よく幼馴染みとお母さんに懐いた、2人も娘をとても可愛がってくれた

4歳で幼稚園に短時間でも行くようなると迎えもやってくれた

甘えすぎだとは思ったが本当に助かった

休日ぐらいは父親らしい事してやろうと とにかく娘と一緒にいることにしていた、

女の子っぽいところに行く時には幼馴染みも付いてきてくれた


232 :名無しさん@おーぷん :2016/07/14(木)22:51:17 ID:n4c(主)
また中学の同窓会が開かれる事になった

最初は娘のこともあるし行く気が無かったのだが、どこからか聞きつけた幼馴染みの母ちゃんに たまには飲んできなさいと言われたこともあり 出席することにした




233 :名無しさん@おーぷん :2016/07/14(木)22:51:38 ID:n4c(主)
みんな知っているだろうけど不思議なぐらい嫁さんの話には触れなかった、

気を使ってくれていたんだと思う

なんか変な空気だったけど、その雰囲気をぶち壊すかのように幼馴染みが酔っ払った

周りに絡みまくる絡みまくる

俺もバンバン叩かれまくった

そのうち幼馴染みは酔いつぶれた


235 :名無しさん@おーぷん :2016/07/14(木)22:53:03 ID:n4c(主)
その会には中学時代バレーボール部のエースだったイケメン君もいたんだが、彼が俺に突然話しかけてきた

ちょっと酔ってる様子だった

泥酔して寝に入ってる幼馴染みを見ながら彼が語る

「俺が幼馴染みちゃんに振られたこと覚えてるだろ?」

「おう、覚えてるよ」

「あの時は悔しくて言えなかったんだけど、彼女に好きな男がいるって言われたんだよ」


238 :名無しさん@おーぷん :2016/07/14(木)22:55:10 ID:n4c(主)
「初耳だね」

「多分 それお前だよ」

「まさか、あの頃は殆ど喋らなかったんだぞ」

「いいや、あれは絶対にお前だ」

なにをわけわからないことをと考えていると彼はまた続けた

「この子お前がいないと飲み会誘ってもこないしよ、ごめんな変な話しちゃったかな」


241 :名無しさん@おーぷん :2016/07/14(木)22:55:54 ID:n4c(主)
ここまで言うと別の席の女の子に呼ばれたイケメンは俺の横から離れた

飲み会が終わり、泥酔した幼馴染みをおぶりながら幼馴染みの親友と三人での帰り道

親友ちゃんも酔っ払っていたのか いつもより少し饒舌だった

話す内容といえば、中学の頃の話、幼馴染みの話、俺の子供の話ぐらいだったけど親友ちゃんとの分かれ道、ふと彼女は立ち止まると俺を見て呟いた

「この子不器用なんだよ、わかってると思うけど」

「今は無理かもしれないけど、いつかしっかりと見てあげてね」

不器用だけど優しいやつなのはわかってた


243 :名無しさん@おーぷん :2016/07/14(木)22:57:26 ID:n4c(主)
この同窓会の後頃になると うちの母ちゃんは完全復活していた

娘も見てくれるようになり、幼馴染みの家に娘が行くのは たまのお泊まりとかのみになった


245 :名無しさん@おーぷん :2016/07/14(木)22:58:13 ID:n4c(主)
幼馴染みの家でのお泊まりから娘が帰ってきた夜、娘が急に泣き出して止まらなくなる日があった

いつもなら泣き止む手を使っても なかなか泣き止まない、どうしようかと頭を抱えていた時、幼馴染みからの電話がなった

「娘ちゃん、大丈夫?ちゃんと寝れた?」

「これがずっと泣いちゃって、アンパンマンのDVDも効果なしだよ」

「そっか、私明日休みだし今から行こうか」

「流石に悪いしいいよ」

「いいって、とりあえず すぐ行くね」


246 :名無しさん@おーぷん :2016/07/14(木)22:58:22 ID:jfh
この時点で嫁さん亡くなって3年くらい?


247 :名無しさん@おーぷん :2016/07/14(木)22:58:58 ID:n4c(主)
>>246
三年ちょっとくらい




248 :名無しさん@おーぷん :2016/07/14(木)22:59:29 ID:n4c(主)
近所ということもあって2、3分で幼馴染みはやってきた

なんとも複雑なことに幼馴染みがやってきた途端、娘は泣き止んだ

それからすぐに疲れたのか しばらくすると寝てしまった

それを見て早速帰ろうとする幼馴染みに なんだか悪い気持ちになって、寝顔見ながら一杯飲んでけよ最高のつまみだぞ なんて言って引き止めた、幼馴染みも一杯だけね なんて言って付き合ってくれた


251 :名無しさん@おーぷん :2016/07/14(木)23:01:30 ID:n4c(主)
「こうやって、嫁さんと娘の寝顔見ながら晩酌したよ」

「そうか、確かに最高のつまみだわ」

「いつもありがとな、助けてくれて」

「良いよ、私娘ちゃん大好きだし食べちゃいたいくらいだし」

いつも通りの軽口の叩き合いだった


でも、俺のひょんな一言で幼馴染みの雰囲気が変わった


252 :名無しさん@おーぷん :2016/07/14(木)23:02:30 ID:n4c(主)
「娘もすごくお前に懐いてるしな」

「…そうだね」

「どした?」

「懐いてるってさ、なんか他人行儀だよね」

「いや、そんなつもりじゃ」

「親に懐くとか言わないじゃん」


253 :名無しさん@おーぷん :2016/07/14(木)23:04:21 ID:n4c(主)
「私、娘ちゃん本当に大好きなのよ、本当に本当に」

「自信過剰かもしれないけど娘ちゃんも私のこと好きではいてくれてると思う」

「でもさ、やっぱりふと思うのよ」

「私はこの子のママじゃない、ママにはなれないんだって」


254 :名無しさん@おーぷん :2016/07/14(木)23:06:48 ID:n4c(主)
そう言うと幼馴染みは下を向いたまま、涙をボロボロ流して肩を揺らし始めた

俺はそんな彼女に何も声をかけることもできず、部屋の中は静まり返っていた


255 :名無しさん@おーぷん :2016/07/14(木)23:07:03 ID:n4c(主)
不意に幼馴染みが立ち上がった

「わけわかんないよね、ごめん」

そういうと彼女は逃げるように家を出て行った


257 :名無しさん@おーぷん :2016/07/14(木)23:09:27 ID:n4c(主)
そんなことがあった週の土曜日、珍しく親父からすぐに実家に来いとの電話があった

実家に戻りリビングに入ると親父と母ちゃんが真剣な表情で座っていた

一緒にいた娘は すぐに母ちゃんが別の部屋に連れて行った

「なんだよ いきなりどうしたんだよ?」

「お前、幼馴染みちゃんのことどう思ってるんだ?」

「どうって、本当に感謝してるよ」

「付き合ってるのか?」

「まさか、付き合ってないよ」

「そうか、なら結婚する気もないって事だな」


258 :名無しさん@おーぷん :2016/07/14(木)23:13:39 ID:n4c(主)
そう言い終わると、親父はものすごい形相をして俺の顔面を殴った

あまりに いきなりすぎて何が何やら訳がわからなかった

「馬鹿野郎」

自慢じゃないが、生まれて初めて親父に殴られた瞬間だった

幼馴染みが泣いたあの日、どうやら親父はたまたま日課のウォーキング中にうちの前を通り、さらに うちから泣きながら出て来る幼馴染みを見たらしかった



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カテゴリー:人生・生活  |  タグ:泣ける話, 純愛,
 


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