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昨日、嫁の墓参りに行ってきた
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251 :名無しさん@おーぷん :2016/07/14(木)23:01:30 ID:n4c(主)
「こうやって、嫁さんと娘の寝顔見ながら晩酌したよ」

「そうか、確かに最高のつまみだわ」

「いつもありがとな、助けてくれて」

「良いよ、私娘ちゃん大好きだし食べちゃいたいくらいだし」

いつも通りの軽口の叩き合いだった


でも、俺のひょんな一言で幼馴染みの雰囲気が変わった



252 :名無しさん@おーぷん :2016/07/14(木)23:02:30 ID:n4c(主)
「娘もすごくお前に懐いてるしな」

「…そうだね」

「どした?」

「懐いてるってさ、なんか他人行儀だよね」

「いや、そんなつもりじゃ」

「親に懐くとか言わないじゃん」



253 :名無しさん@おーぷん :2016/07/14(木)23:04:21 ID:n4c(主)
「私、娘ちゃん本当に大好きなのよ、本当に本当に」

「自信過剰かもしれないけど娘ちゃんも私のこと好きではいてくれてると思う」

「でもさ、やっぱりふと思うのよ」

「私はこの子のママじゃない、ママにはなれないんだって」




254 :名無しさん@おーぷん :2016/07/14(木)23:06:48 ID:n4c(主)
そう言うと幼馴染みは下を向いたまま、涙をボロボロ流して肩を揺らし始めた

俺はそんな彼女に何も声をかけることもできず、部屋の中は静まり返っていた



255 :名無しさん@おーぷん :2016/07/14(木)23:07:03 ID:n4c(主)
不意に幼馴染みが立ち上がった

「わけわかんないよね、ごめん」

そういうと彼女は逃げるように家を出て行った



257 :名無しさん@おーぷん :2016/07/14(木)23:09:27 ID:n4c(主)
そんなことがあった週の土曜日、珍しく親父からすぐに実家に来いとの電話があった

実家に戻りリビングに入ると親父と母ちゃんが真剣な表情で座っていた

一緒にいた娘は すぐに母ちゃんが別の部屋に連れて行った

「なんだよ いきなりどうしたんだよ?」

「お前、幼馴染みちゃんのことどう思ってるんだ?」

「どうって、本当に感謝してるよ」

「付き合ってるのか?」

「まさか、付き合ってないよ」

「そうか、なら結婚する気もないって事だな」



258 :名無しさん@おーぷん :2016/07/14(木)23:13:39 ID:n4c(主)
そう言い終わると、親父はものすごい形相をして俺の顔面を殴った

あまりに いきなりすぎて何が何やら訳がわからなかった

「馬鹿野郎」

自慢じゃないが、生まれて初めて親父に殴られた瞬間だった

幼馴染みが泣いたあの日、どうやら親父はたまたま日課のウォーキング中にうちの前を通り、さらに うちから泣きながら出て来る幼馴染みを見たらしかった



259 :名無しさん@おーぷん :2016/07/14(木)23:14:10 ID:n4c(主)
「あの子には感謝しても感謝しきれない、頭も上がらない。あの子がいなければ娘は本当に寂しい思いをしてたんだぞ」

「わかってるよ」

「わかってない、お前は何にもわかってない」

「じゃあ親父は何がわかってるんだよ!」

真昼間、酒が入ったわけでもないのに大の大人が大声張りあげ合う

「向き合え!娘のためにも嫁ちゃんのためにも、幼馴染みちゃんのためにも、男だろ!」

殴られた痛みなんか一瞬だった、本当のパンチは この言葉だった



260 :名無しさん@おーぷん :2016/07/14(木)23:16:36 ID:n4c(主)
その日の夜、幼馴染みが家にやってきた

この前 変な雰囲気で帰ったお詫びだとビール数本とおつまみを持って

娘は幼馴染みが来たことでテンション最高潮、アンパンマンのチョコレートを貰って興奮の坩堝だった

娘が眠り、幼馴染みと二人での晩酌の時間になった時親父の言葉が頭の中に浮かんだ

「なぁ」

「ん、なに?」

「変なこと言うけどさ」

「もしこの子のママになってくれないかって言ったら」

「うん」

「お前なんて答える」




262 :名無しさん@おーぷん :2016/07/14(木)23:27:15 ID:n4c(主)
情けない話だけど この時の俺には精一杯の向き合いだった

「それは…無理な話かな」

「娘ちゃんのママは嫁ちゃんだけなんだよ」「だから私には無理だ」「私にはできない」

「おう、そうか…変なこと言って悪いな」

「酔ってんじゃないのおじさん、らしくないぞ?」


この会話から、幼馴染みと少しの間距離ができた

お互いに気まずさを持っていたんだろうけど、1日2日では修復できなかった、

それでも半月もたつと以前と同じような間柄には戻れていた



264 :名無しさん@おーぷん :2016/07/14(木)23:32:18 ID:n4c(主)
それから さらに少し経ったある日、また幼馴染みがうちに遊びに来た

またもや娘はテンション最高潮だった、

マサイ族並みのジャンプで幼馴染みを歓迎してた

幼馴染みも いつも通り娘にハグして嫁似のほっぺたに頬ずりしてた

「可愛いなぁいつも、パパに似なくて良かったねぇ」とか余計なことも言ってた

しばらく三人で人形遊びをして、娘がハンバーグ食べたいと言ったから夕飯に近くの洋食屋へ出かけた



265 :名無しさん@おーぷん :2016/07/14(木)23:32:33 ID:n4c(主)
娘は幼馴染みがいる上に大好物のハンバーグを食べるという幸福感からか、ハンバーグを一口食べては幼馴染みに抱きつき、また食べては抱きつきを繰り返していた

俺がお行儀悪いからやめなさいと注意しても なかなかやめない

だけど、幼馴染みがダメでしょ!というと一発で言うことを聞いた

あぁ、やっぱり父親として まだまだダメなんだなぁと感傷に浸っていたその時、娘がとんでも無いことを言った

「お母さんごめんなさい」



266 :名無しさん@おーぷん :2016/07/14(木)23:37:53 ID:n4c(主)
その場の空気が一瞬止まった、

言われた幼馴染みは驚いて何も返事が出来ない状態だった

「幼馴染みおねぇちゃんは お母さんじゃないの?」

「違うよ、幼馴染みおねぇちゃんはママじゃないんだ、娘ちゃんのママはお空に行ったんだよ?」

娘が続けて喋る、

俺は娘が私のママはどこにいったのと聞かれた時の言葉で返す

「知ってるよ、ママはお空に行ったんだよね」

「そうだよ、だからね…」

「ママとお母さんは違うんじゃないの?」

「えっと、それはね…」



267 :名無しさん@おーぷん :2016/07/14(木)23:39:53 ID:n4c(主)
俺が答えに窮していると さっきまで動かなくなっていた幼馴染みが急に笑い出した

「そうか、ママとお母さんは違うのか!面白いな娘ちゃんは!」

幼馴染みの急激なテンションの上がり具合に今度は俺と娘が驚いて黙ってしまった

とてもじゃないけど、冗談も返せなかった



268 :名無しさん@おーぷん :2016/07/14(木)23:43:44 ID:n4c(主)
洋食屋からの帰り道、熟睡状態の娘をおぶり三人で歩いている時、幼馴染みが ふとさっきの話に戻った

「ねぇ?」

「ん?」

「面白いよね、ママとお母さんは違うって」

「なんとも子供ならではの発想だよな」

「でもあれでなんか吹っ切れた、あんたさ、私にこの前あの子のママになってって言ったよね」

「うん言ったね」




>>次のページへ続く
 
カテゴリー:人生・生活  |  タグ:泣ける話, 純愛,
 


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