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三十路の喪女に彼氏ができたときのお話
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125 :1@\(^o^)/:2017/01/03(火) 20:44:36.98 ID:LZSY7jKs.net
「…O君の話で、それが確認できたから…これからはM君を支えてあげられるかな、って」

「どうして喪子さんがMさんを支えてあげなきゃならないんですか?Mさん、これまで喪子さんいなくても、やってこれてるじゃないですか」


「でも!M君の生活がおかしいから、心配なんですよ!」


「その生活を好きこのんで送ってるのは、他ならぬMさんですよね。彼は もういい大人で、親から強制されてるわけでもないんですよ?」


「O君の話でわかりました、M君は普通の生活を知らないんです。

だから ちょっとお節介だけど、私がフォローしてあげれば そのうち、ちゃんとした生活に戻れるかもしれないし…」


「ちゃんとした生活って、誰にとってちゃんとした生活なんですか?喪子さんにとって、ですか?」


「違いますよ!一般的にってことで!」



126 :1@\(^o^)/:2017/01/03(火) 20:45:00.46 ID:LZSY7jKs.net
「Mさんはそれを望んでいるんですか?

もし彼に、今の生活を改善する気がないなら、喪子さんがやろうとしていることは 知人夫婦や両親がMさんにやった"押し付け"と一緒じゃないですか?」


「はい…!?」

たたみかけてくるSさんに、どんどん混乱していく。

自分で何が言いたいのか、何がしたいのか、頭の中が白くなる。


「私は、別に、そうじゃなくて…

……M君がもっと、自分を大事にしてくれればいいなって思ってるんです。

確かにそれは、私が勝手に望んでることです。でも、付き合ってるのに心配もしちゃいけないの?

私は男の人とのお付き合いは、確かに初めてだけど… 相手のためを思って行動することは、そんなに責められることなんでしょうか?

生活能力が低い彼氏の世話を焼いてあげたいって思うのは彼女として、そんなにおかしい行動ですか?」


「全然おかしくないです。当たり前のことだと思います」


「………じゃあなんで!」




127 :1@\(^o^)/:2017/01/03(火) 20:45:27.92 ID:LZSY7jKs.net
「あの、ちょっと待った」

私の不穏な空気を察したのか、O君が口を挟んだ。

「あのさ、Mの友達としてではなくて、喪子の友達として言わせて」

「………なに?」

「あのー、余計なお世話かもわからんのだけど……Mはちょっと、癖があるっつーか……女癖悪いんだよ」


ものすごく言いにくそうにするO君。

考えてみれば、このときのO君は、私とM君の間に立たされて、ついでに私とSさんの間にも立たされて、わりと可哀想なクッション役を果たしてくれていた。

「ああ…知ってるよ。告白したとき、M君が自分から話してくれた」

「え、そうなの?」



128 :1@\(^o^)/:2017/01/03(火) 20:45:54.80 ID:LZSY7jKs.net
「うん。そういう癖を治したいって すごく悩んでて、正直に話してくれた。

私は、最初から知ってて、M君と付き合うことを選んだんだよ。

だからそのことについては問題だと思ってない」


「でもさすがに9人は……心配にならない?」


「ん?9人って何?」


その瞬間、O君が盛大に「あー、やべえ」って顔になった。

「えっ、それってもしかして……M君が付き合った人数…?」

「うん…高校卒業してからの…あ、でもこの二年は、資格の勉強してたから…」


えーっと、てことは………

10年間で、9人………………



130 :1@\(^o^)/:2017/01/03(火) 20:46:20.65 ID:LZSY7jKs.net
「…………なんっじゃそりゃ!?

一年で別れて、ほぼ取っ替え引っ替えしてたってこと!?

え、それは、同時進行とかもあったりするんですか!?」

「それは大丈夫。二股はないらしい」

「そっかー、よかったー……とはならないからね!??」

「酔って口が軽くなったときの話だから、盛ってるかもしれないけど…でも、うん、なんか……ごめん」

「いえいえ、滅相もありませんけども…。ごめん、だって私、せいぜい3、4人かと思ってたから…」


そりゃー過去の恋愛話を聞き出そうとすると、口ごもるわけだわ…


「とにかくあいつ、その全員と同じような別れ方してるんだよ」


一年たつと、急に憎悪が湧いて こっぴどく振る。3、4人なら相性の問題かもだけど、9人かあ…



131 :1@\(^o^)/:2017/01/03(火) 20:47:15.00 ID:LZSY7jKs.net
「確かに、ちょっと予想外の人数だったけど…。

でも私は、正直に話してくれたM君を信じるよ。

人に話したのは私が初めてらしいし、これから治していこうとしてるM君を信じる」


「んー…でも逆言えば、本人が治したいと思ってるのに、これまで治せてないってことだからな。

あのさ、落ち着いて、よーく考えてみろよ。

自力で治せるとしたら、9人と同じこと、繰り返すと思うか?」


「…それは、でも…………付き合ってみなけりゃわからないよ」


「あのさ、ちょっとキツいこと言うぞ。喪子がいくらあいつを信じたところで、あいつが治るわけじゃねえと思うよ」




133 :1@\(^o^)/:2017/01/03(火) 20:48:25.58 ID:LZSY7jKs.net
パンっ!と頬を張られたような気がした。でも、そんな私になんかお構いなしに、O君は続けた。

「喪子、今日は何しにうちに来た?

別に肩持つわけじゃないけど、どうしてそんなにSの言葉に噛み付くんだ?

ほしかったのは、Mは虐待されてたっていう、同情できる情報だけか?」


「……………え。なにそれ、違うよ」

なぜか自分の声が、遠くの方に聞こえた。


「じゃあ聞くけどさ。おまえ、Mの何がよくて付き合ってるんだよ?」


「だって、一緒にいて楽しいし…

M君は、優しいし、かっこいいし、面白いし…

私、本当にM君のこと、大好きなんだよ」



134 :1@\(^o^)/:2017/01/03(火) 20:48:54.02 ID:LZSY7jKs.net
「それはわかるよ、俺もあいつのそういうとこは大好きだよ。

でも、あいつはこれまで女を自分都合で一年更新してきたような地雷男だぞ?

しかも、それを正直に明かしたってことは同じことをおまえにやるぞって宣言してるのと一緒だぞ?」


「違うよ!そんな宣言したって、M君にはなんのメリットもないじゃん!」


「あるよ。一年後に別れるときに、俺の欠点は正直に話してある。それでも付き合うって決めたのはお前の方だ。って、責任を全部喪子にかぶせることができるじゃねーか」


「そんなわけないじゃん!なんでO君まで信じてあげないんだ、友達でしょ!?」


「あいつ、自分のことをなんも自覚しようとしないんだぞ?

親からネグレクトされたのは、全部自分が悪いと思ってるんだぞ?

そうやって親を庇い続けて、こっちがなに言っても耳素通りしちまうんだぞ?

あいつはずっと、自分を蔑ろにした親の味方だけしてきてるんだよ。

そんなやつの、何をどう信じるって言うんだよ?」



135 :1@\(^o^)/:2017/01/03(火) 20:49:20.50 ID:LZSY7jKs.net
「それでも私は、信じてるんだよ……信じるしかないじゃん…… 私、ただM君のことが好きなだけなんだよ…」


「それって、Sが暴力男を好きだと思ってたのと、何が違うんだよ?」


今度は、ガンっ!と頭を殴られたような気がした。一瞬、本当にO君から殴られたかと思うようなめまいがした。

ぼーっとしてると、Sさんが私の顔を覗き込みながら「大丈夫ですか?」と声をかけてくれた。

そのSさんの目を見ているうちに、やっと気づいた。




>>次のページへ続く
 
カテゴリー:男女・恋愛  |  タグ:純愛, 相手の過去, メンタル, メンタル,
 


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