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三十路の喪女に彼氏ができたときのお話
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139 :1@\(^o^)/:2017/01/03(火) 20:51:39.36 ID:LZSY7jKs.net
「気持ちぃぃぃ」
「はい」
「私の気持ちはぁぁぁ」
「うん」
「………別れたくなんかないです。例え共依存と言われても、やっぱりM君が好きです。今の私にわかるのは、それだけみたいです…」
「だったら別に、別れる必要ないんじゃないですか?」
「でも、こんな浅ましい気持ちでM君と付き合っても…絶対にいい方向へなんて行きっこないです…」
「大丈夫ですよ、そんなの。実は男女の関係って、大抵が共依存なしには始まらないそうですよ?
だとしたら、共依存がなかったら、人類絶滅ですよ。
別に特別なものじゃないんです、誰の中にも多少はあるものなんです。
そうと自覚してるかどうかだけで、その後の関係は変わるもんですよ」
140 :1@\(^o^)/:2017/01/03(火) 20:52:17.47 ID:LZSY7jKs.net
「私が頑張れば…なんとかなるでしょうか?」
「んー。喪子さんだけ頑張っても、どーにもならないでしょうねえ」
「………ですよねぇぇぇぇぇ」
「Mさんは、カウンセリングやセラピーでも受けるのがいいんでしょうけど」
「けど?」
「ああいうの、自発的に受けないと効果ないですしねえ」
「ああああぁぁぁ」
「気持ちぃぃぃ」
「はい」
「私の気持ちはぁぁぁ」
「うん」
「………別れたくなんかないです。例え共依存と言われても、やっぱりM君が好きです。今の私にわかるのは、それだけみたいです…」
「だったら別に、別れる必要ないんじゃないですか?」
「でも、こんな浅ましい気持ちでM君と付き合っても…絶対にいい方向へなんて行きっこないです…」
「大丈夫ですよ、そんなの。実は男女の関係って、大抵が共依存なしには始まらないそうですよ?
だとしたら、共依存がなかったら、人類絶滅ですよ。
別に特別なものじゃないんです、誰の中にも多少はあるものなんです。
そうと自覚してるかどうかだけで、その後の関係は変わるもんですよ」
140 :1@\(^o^)/:2017/01/03(火) 20:52:17.47 ID:LZSY7jKs.net
「私が頑張れば…なんとかなるでしょうか?」
「んー。喪子さんだけ頑張っても、どーにもならないでしょうねえ」
「………ですよねぇぇぇぇぇ」
「Mさんは、カウンセリングやセラピーでも受けるのがいいんでしょうけど」
「けど?」
「ああいうの、自発的に受けないと効果ないですしねえ」
「ああああぁぁぁ」
141 :1@\(^o^)/:2017/01/03(火) 20:52:42.10 ID:LZSY7jKs.net
「そもそもですね」
「なんでしょうか」
「Mさんとお付き合いするのに、どうして喪子さんだけが頑張るんですか?」
「えっ?それは………」
「別にいーんじゃないですか?特に頑張らなくても」
「えっ?………いーんでしょうか???」
「うん。頑張れって、誰が言ったんですか?」
「誰がって…………あっ!?」
「はい?」
「…………言ってるのは、私だけですね」
「ですねー」
「そうか………別にいいんだ、頑張らなくても」
Sさんは、すごかった。話していると、自分の脳みその表面に凝り固まっている思い込みだの偏見だのが、ガンガン剥がれ落ちていくみたいだった。
143 :1@\(^o^)/:2017/01/03(火) 20:53:26.79 ID:LZSY7jKs.net
「そんなこと言えば、私なんか思い込みで生きてきた典型例ですよ。
Mさんが何人も彼女作ってきたのだって、たぶんそう。
Mさんは、人間関係の基礎となる親子関係が彼一人だけ見捨てられることで成り立っていました。
だから彼には、人間関係とは相手から見捨てられて一人ぼっちでいることだ、という観念が植えつけられているんだと思います。
でもずっと見捨てられ続けた彼は、もう人から見捨てられることには耐えられない。
自分が見捨てられないために一番いい方法は見捨てられる前に、自分から相手を見捨ててしまえばいい。
それがMさんの一年タイマーの正体だと思います」
144 :1@\(^o^)/:2017/01/03(火) 20:53:59.45 ID:LZSY7jKs.net
「彼には、お付き合いの内容は、あまり重要じゃないのかもしれません。
"自分は見捨てられなかった"という事実だけが、彼に安心感を与えているんでしょう。
そして そうやって別れた結果、親に教え込まれた人間関係である「一人ぼっちでいる」という状態を維持することもできるわけです。
相手に別れる気があるかないかは、彼にとって問題ではないんです。
自分の中の、"見捨てられたら どうしよう"という不安に突き動かされて、"教えられたとおり、自分は一人でいるよ"と見てもいない親に証明してるだけ。
それは言ってしまえば、Mさん一人の思い込みによる妄想です。
彼は、自分が作り出した妄想に縛られて、一人で悩んでいるんです」
145 :1@\(^o^)/:2017/01/03(火) 20:55:08.36 ID:LZSY7jKs.net
「喪子さん、人を束縛するのはね、社会とか規則とかよりも圧倒的に、自分自身なことが多いんです。
だけど そうやって自分で自分を束縛しないと、生きられない人生もあるんです。
大げさに聞こえるでしょうけど、それが生きる術になってしまう人もいるんです。
Mさんにとっては、自分を存在価値ナシというレッテルで束縛することが きっとその環境を一人ぼっちで生き抜くための術だったんでしょう。
だから、Mさんのレッテルを無理矢理剥がして変化を迫るのは彼に死ねと言ってるのと同じになる可能性があるんです。
だって彼は、いまだに自ら一人ぼっちになって生きていこうとしてるわけですから。
お二人には酷でしょうけど、Mさんは、誰かと仲良くはなれても共に生きることはできない人なんですよ。
自分の妄想の世界の中で、目の前にいもしない親に忠誠誓って生きてるんです。
だけど、それこそが、お二人が大好きなMさんなんです。
人が人を変えることはできません。
自分しか、自分を変えられる人はいないんです。
できるのは、相手の存在をそのまんま認めることです。付き従うでも、巻き込まれるでもなくて。
私は、そうやって相手を尊重しあうのが、愛なんじゃないかなって」
147 :1@\(^o^)/:2017/01/03(火) 20:56:19.79 ID:LZSY7jKs.net
それから私は本やネットで共依存やアダルトチルドレンのことを夢中で調べまくった。
何度も書いてるので口説いようですが、私はM君の優しさが好きなんです。
だけど いろいろ調べるうちに、そんな彼の優しさも もしかしたら生い立ちに影響を受けてるのかも?とわかってきた。
M君の優しさは、例えば記念日に高価なプレゼントをくれるような目立ったアピール性のあるものじゃあない。むしろそういうのには無頓着なほう。
だけど、ちょっと疲れてたり落ち込んでたりを、こっちが何も言わないのに気づいて、あったかい飲み物を差し出してくれるような そういうほっとするような優しさが、彼にはあるんだ。
でも そんなのも、ものすご〜くイヤな言い方すれば 子どものころから大人に気を遣ってきたせいで、人の顔色を伺ってご機嫌をとるのが上手い、ということになっちゃう。
148 :1@\(^o^)/:2017/01/03(火) 20:56:48.39 ID:LZSY7jKs.net
だから、そこを殊更にありがたがるのは、果たしていいのか悪いのかがわからない。
でもでも、やっぱりそれは彼の長所の一つだし、私には大きな魅力だ。
何に影響を受けてのことであっても、それだけは否定できない。
そんなふうに見ていくと、何が正しいのか間違ってるのか、さっぱりわからなくなってしまった。
Sさんが言った、相手の存在をそのまんま認めるって案外難しいんだな…とぼんやり感じた。
でも、それでやっと気づいた。
どの本にもどのサイトにも、私とM君は出てこないんだ。
やっぱり私は、M君と向き合うことでしか私たちの関係を理解することはできないんだ…。
149 :1@\(^o^)/:2017/01/03(火) 20:57:20.86 ID:LZSY7jKs.net
いろんなことに自覚のないM君と付き合うということはハラスメントを受ける可能性がある、ということだった。
でも、最初のうちは保っていた緊張感も日々の付き合いの中で、だんだんと薄れていった。
私たちは相変わらず、ゲラゲラ笑いながら楽しく過ごすことができていたんだ。
O君宅でのことは、一切話さずにいた。
どう話せばいいのかわからなかったし、何よりも、話すことで今の関係が崩れてしまうのが怖かったんだ。
150 :1@\(^o^)/:2017/01/03(火) 20:58:28.28 ID:LZSY7jKs.net
なんとなくそうやって、何もなかった振りで自分を誤魔化しながらやっていた、ある日。
M君の部屋へ遊びに行くと、レンタル屋さんの袋があるのを発見した。
借りるより買う派の彼にしては珍しい。
何かオススメでも借りてきてくれたのかな?
「ねえ、これ何借りてきたの?」
「あ、それはちょっと」
袋に手を伸ばすと、私より先にM君が袋を押さえた。
「おやおや〜?ひょっとして、肌色率の高い映画ですか〜?」
中身は洋画のDVDだった。
実験的な演出が面白そうだったし、M君もまだ見てないとのことなので一緒に見ようと言ってみたけど、彼はあまり乗り気じゃなかった。
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