学生時代、許嫁みたいな存在の子がいた
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俺の家は田舎の農家
何も楽しみもない地域だったけど、近所同士は相当仲が良かった
当然 隣同士の家なら、自然と家族単位の付き合いになっていた
そして俺の家の隣には、同い年の女の子のA子がいた
A子とは 小さいころからの知り合いだった
ていうのも、俺とA子の両親、祖父母とも凄く仲がよかった
お互いの家に遊びに行ったり、一緒に食事したりしていたから、自然とA子と過ごしていた
A子はスゴク大人しい子だった
基本的に『うん』しか言わないし、何か冗談を言えば すぐに泣いてしまう子だった
それでも子供の自分は特に何も蟠りを感じることもなく、普通に遊んでいた
小学生になっても 二人の関係は変わらなかった
どちらかともなく家に行き、適当に遊んでいた
家族ぐるみの付き合いだったから、頻繁に飯も一緒に食べた
そんな関係だった両家族だったけど、小学3年の時にA子の母親が病気で他界した
それからA子は、前にも増して暗くて泣きやすくなった
両親からも、A子の父親からも『出来るだけA子と遊んでほしい』と言われて、俺も子供ながらに出来る限りA子を遊びに連れてった
最初の方は この世の終わりのような顔をしてたA子も、徐々に元のA子に戻って行った
そっからA子は俺に付いて行くようになった
川に釣りに行けば一緒に行って、釣るわけでもないのに付いてきた
山に行けば体力ないのに息を切らしながらついてきた
俺が一方的に どうでもいい話をして、ただひたすらA子は それを聞いていた
そして小学校6年の時、いつものようにA子とA子の父祖父母が俺の家に来て、一緒にご飯を食べていた
そしたら、俺の父とA子の父が一緒に遊ぶ俺とA子を見て、『俺とA子は仲がいいな。そのまま結婚してしまったらどうだ』とか言ってきた
それを聞いた両祖父母も賛成
俺は何だか すごく恥ずかしくなって全力で拒否したけど、両親がA子に『俺と結婚してくれるか?』と聞いたら、A子は恥ずかしそうにしながらも『俺くんがいいなら』と言ってしまった
そこで俺を放置して、両家族は大盛り上がりして、その日は祝賀会という名の飲み会となった
もちろん、小学生に将来の約束を本気でしてたとは思ってない
そうなれば いいな的な感じだった
それでも俺は凄く恥ずかしかったし、A子も下を向いたまま動かなくなっていた
それから中学に上がると、A子は益々俺の後を付いてくるようになった
性格は変わらず、とても物静かだった
メガネをかけて とても地味な風貌だった
俺も戸惑いながらも、幼馴染ということもあり、A子と普段通りに接していた
中学の時に、何度かA子に聞いてみた
『あの結婚の話、本気にしてないよな?』的なこと
その度にA子は顔を赤くして俯くだけだった
そん時は、もしかして本気にしてる?とは思ったけど、どうせ大きくなったら どうでもよくなるだろと楽観視していた
釣りか本当か分からんが幼馴染か…
羨ましい…
A子が美人ではないってことにリアリティを感じる
ところが、高校になっても、A子は俺と同じ高校に進学してきた
A子は体育以外は とても成績が良かった
それに比べて俺は ろくに勉強もしてなかったから成績は悪く、何とか底辺の県立高校に進学した
A子は格段に上の高校に行けたはずなのに、先生の反対を押し切って俺の行く高校に入学した
でも当時の俺にしてみれば、何だか妙に腹立たしかった
俺が必死に自分なりに勉強して高校にやっと受かったのに、A子は普段通りにしていて合格したことが悔しかった
もちろんそれは普段から勉強してなかった俺のせいだった
本当にしょうもないプライドだった
でも、当時の俺は それがとても気に触っていた
高校でも俺にしょっちゅうついて来てて、時々冷やかされもした
当時の多感な俺には それが耐えられなかった
A子がいるからという理由で誰も女の子が話しかけて来なかった
A子は幼馴染とはいえ、俺だって他の女の子と話したかったし、友達もA子がいるからと色々遠慮しているところもあった
とても窮屈な気分だった
お前が他の女の子に話しかけられなかったのはA子のせいじゃなくね?
別に彼女いようが普通に来たり話したりするだろ