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十年前から電話がかかってきた
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49 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/05/31(火) 22:29:43.67 ID:9FeM9uJP.net
十分くらいで美咲さんの手はあいたようで、席に案内された。

「今日はどうする?」

席に着くと早々、美咲さんは美容師の定型句を口にした。

どうすると聞かれても、さっき言った通りこだわりなんか持ち合わせてないので「いつも通りで」と答えた。

ちょっと思ったんだけど、『いつも通り』ってなんかこそばゆい感じがしない?

ほら、バーで「いつもの」とか「あの女性に一杯」って言ってるみたいで、恥ずかしいよね。

まぁ、どうでもいいんだけど。


50 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/05/31(火) 22:30:05.76 ID:9FeM9uJP.net
「君、いつも同じこと言うよね。たまには冒険しようよ」

美咲さんは いつも通りに少し不満なのか、どこかで聞いたようなことを言ってきた。

だけど、一日に二回も「冒険しよう」って言われると思わなかったよ。まだ昼過ぎなんだけどね、もしかしたら また別の人に言われるかもしれないな。


51 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/05/31(火) 22:30:41.45 ID:9FeM9uJP.net
「安心とか安全を好むんですよ、俺みたいなのは」

「つまらないなー、まぁ、いいや。お客様の仰せのままに」

少し笑う美咲さんの顔が鏡越しに見えた。

「それでお願いします」


52 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/05/31(火) 22:31:01.77 ID:9FeM9uJP.net
そうして、俺の髪が切られ始めた。

美容師って すごい話しかけてくる人と、あんまり話しかけてこない人がいると思うんだけど、美咲さんは話しかけてくる方のタイプだった。

俺は本来、どっちのタイプも苦手なんだ。

話しかけてくる人は面倒くさいし、かといって話しかけてこないと気まずくて鏡と自問自答したりしちゃうし、要するにすごい面倒くさい人間なんだけど、でも、美咲さんには何故か話しかけられても平気だった。




53 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/05/31(火) 22:31:27.22 ID:9FeM9uJP.net
もちろん初めて切ってもらった時から たくさん話せたわけじゃないけど、それでも他の人よりは全然大丈夫だった。

それで、何回か通っているうちに普通に話せるようになってた。


54 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/05/31(火) 22:31:44.85 ID:9FeM9uJP.net
なんでだろうか? 別に好きとかじゃないんだ。

ただ、一緒にいるとなんか心地いい感じがする。

美容師の究極のテクニックかもしれない。

桐島も同じような能力を持っている気もするけどな。





55 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/05/31(火) 22:32:02.55 ID:9FeM9uJP.net
「いや、それ絶対好きですよね?」

もう何度目だろうか? 彼女の口から同じ言葉が繰り返される。

「だからそういうのじゃないって言ってるだろ」

俺が何度否定しても彼女は引かなかった。

「いや絶対好きでしょ」

「だから……」


56 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/05/31(火) 22:32:27.53 ID:9FeM9uJP.net
とりあえず、なんでこんなことになっているか説明しよっか。

まず、あの後髪を切り終えて家に帰った。

その後は いつも通り適当に過ごして、夜になると約束通り彼女から電話がかかってきた。


58 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/05/31(火) 22:33:04.55 ID:9FeM9uJP.net
最初は過去(未来)につながった電話の謎について割と真剣に話し合ってたんだ。

でも、いくら話しても結局思い当たる節もなくてだんだん話が脱線していき、気づくと今日あったことをお互いにはなしてた。


59 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/05/31(火) 22:33:22.10 ID:9FeM9uJP.net
その流れの中で美咲さんのことを話した結果、俺は彼女に何回も「好きですよね?」と聞かれ続けられてるわけだ。


60 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/05/31(火) 22:33:39.00 ID:9FeM9uJP.net
「好きですよね? 絶対好きですよね?」

「だから違うって。そんなこと言うなら君だって磯崎先輩って人のこと好きだろ?」

磯崎先輩とは、彼女と話している時に何回か出てきた人で、この人のことを話している時の彼女は どことなく嬉しそうだった気がした。

しつこい彼女への俺なりの反撃だ。


61 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/05/31(火) 22:34:00.63 ID:9FeM9uJP.net
「はい、好きですよ。言ってませんでしたっけ?」

何故だろうか?

俺の予定では今頃、好きな人を指摘されて慌てふためく彼女の声が聞こえるはずだった。

それなのに、実際に聞こえるのは すましたようにあっさり認める彼女の声で、何故か動揺しているのは俺の方だ。




63 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/05/31(火) 22:37:10.14 ID:+f+v9oqV.net
「それより今、『君だって好きだろ』って言いましたよね。それってつまり、自分も好きってことですよね?」

彼女がさらに追い討ちをかけてきた。

こんなひどいこと人間にできるとは思えないよ。

彼女がこんな風にあっさり認めたのに、俺だけ必死になって否定するのは負けたみたいで嫌だった。

いや、実際こんなこと思わされてる時点で負けてるんだろうけどさ。


64 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/05/31(火) 22:37:30.97 ID:+f+v9oqV.net
「そうだな、普通の人はこの感情を恋と呼ぶのかもな」

「すごい面倒くさい言い回ししますね。というか面倒くさい人ですね」

自分でだって そんなことわかってる。

そもそも、元々誰かを好きとか恥ずかしいことを言わなきゃいけないんだから、言い回しが恥ずかしくたって大して変わらないだろ。


65 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/05/31(火) 22:37:51.56 ID:+f+v9oqV.net
「でも、とりあえず好きってことですよね。そうですか」

多分、彼女はニヤニヤしてるんだろうな。

結局負けた気がするよ。


66 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/05/31(火) 22:38:08.58 ID:+f+v9oqV.net
「それで告白とかしないんですか?」

「なぁ、もういいだろ。この話やめにしようよ」

これ以上話を続けたら本当にいたたまれなくなる。

「えー、いいじゃないですか。女の子は恋バナが好きなんですよ」

「そんなに言うなら、そっちこそどうなんだよ。告白とかしないわけ?」

言い終わってから気づいたけど、これはマズイな。

完全にさっきと同じパターンだ。


67 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/05/31(火) 22:38:25.12 ID:+f+v9oqV.net
「したいですけど……怖いじゃないですか」

彼女の声は急に弱々しくなっていた。

「意外だな。怖いとか思うんだ君でも」

てっきり またさっきみたいにあっさり言われると思っていたので驚いた。

「ひどいですね。なんだと思ってるんですか私のこと」

「人の痛いところをついてくる悪魔?」

「なんですかそれ、むしろ天使でしょ」

「それはないな」

「あー、今のは傷ついたなー」

彼女の声はまた今までの明るい声に戻っていた。


68 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/05/31(火) 22:38:49.71 ID:+f+v9oqV.net
「わかりました。じゃあ、こうしましょう。私は女の子の目線であなたの相談に乗ります。

その代わりあなたは男の子目線で私の相談にのってください。そして二人で告白を成功させましょう」

彼女の声は「いいアイデアでしょ?」とでもいうように自信満々だった。

こんなにコロコロ声の調子が変わるなら、表情はもっとコロコロ変わるんだろうな。

「どうですか、これなら天使でしょ? 恋のキューピッドになってあげますよ」


69 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/05/31(火) 22:39:21.19 ID:+f+v9oqV.net
「なんでそうなるの? 俺、一言も告白したいなんて言ってないんだけど?」

「しないんですか? しないと何も始まりませんけど?」

その言葉に俺は少しドキッとした。

なんでさっきまでふざけてたくせに、急に本質をつくようなことを言うんだろうか?

苦手だ、こういうタイプは。


70 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/05/31(火) 22:39:43.22 ID:+f+v9oqV.net
「わかったよ。よろしくお願いします、天使さん」

少しふざけて言ったのは精一杯の強がりだ。

本当はそんな余裕なんて どこにもないのにさ。

「決まりですね。『さくらんぼ作戦』始動です」

「さくらんぼ? 何それ?」

「知らないんですか? 大塚 愛」

「知ってるけど。古くない?」

「二年くらい前ですかね」

そういえば、彼女は十年前にいるんだったな。くだらない話をしすぎて忘れてた。



>>次のページへ続く
 
カテゴリー:読み物  |  タグ:青春,
 


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