死なせてしまった女に贖罪をさせてくれ
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146 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 04:04:11.44ID:COd6JsKY.net
何もない、ただKには黙っていて欲しいとのことだった。
147 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 04:04:48.81ID:COd6JsKY.net
俺は もう何も言わなかった。
言うべき事は あったのかもしれない。
ただ、Kの名前が出てきたことが この会合をお開きにさせる為の、あかねの合図のように思えた。
148 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 04:05:17.16ID:COd6JsKY.net
きっと上司は何を言ったとしても あかねとの事は遊びなのであろう。
あかねにしても上司に対して そこにKを重ねて代用していたにすぎない。
いずれにせよ、俺は このふたりのドラマの脇役ですらなかった。
149 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 04:05:51.46ID:COd6JsKY.net
俺は それ以上立ち入らなかった。
障りのない話をして、何処かで拾ってきたような凡庸な励ましで お茶を濁して別れを告げた。
150 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 04:06:31.55ID:COd6JsKY.net
それから数年、あかねとは会う事は無論の事、風のうわささえ耳に入る事はなかった。
数年後、突然、あかねからメールがやって来た。
152 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 04:07:14.65ID:COd6JsKY.net
「お久しぶりです。あかねです。覚えていますか?」
何もない、ただKには黙っていて欲しいとのことだった。
147 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 04:04:48.81ID:COd6JsKY.net
俺は もう何も言わなかった。
言うべき事は あったのかもしれない。
ただ、Kの名前が出てきたことが この会合をお開きにさせる為の、あかねの合図のように思えた。
148 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 04:05:17.16ID:COd6JsKY.net
きっと上司は何を言ったとしても あかねとの事は遊びなのであろう。
あかねにしても上司に対して そこにKを重ねて代用していたにすぎない。
いずれにせよ、俺は このふたりのドラマの脇役ですらなかった。
149 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 04:05:51.46ID:COd6JsKY.net
俺は それ以上立ち入らなかった。
障りのない話をして、何処かで拾ってきたような凡庸な励ましで お茶を濁して別れを告げた。
150 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 04:06:31.55ID:COd6JsKY.net
それから数年、あかねとは会う事は無論の事、風のうわささえ耳に入る事はなかった。
数年後、突然、あかねからメールがやって来た。
152 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 04:07:14.65ID:COd6JsKY.net
「お久しぶりです。あかねです。覚えていますか?」
153 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 04:07:56.56ID:COd6JsKY.net
当時、俺はフリーターでバンドマンだった。
大学は中退し、新たなバンドを組み、いわゆるインディーズレーベルを立ち上げてバンド活動に忙しかった。
155 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 04:08:52.63ID:COd6JsKY.net
携帯ツールの劇的な変化、ネット社会の黎明期、高校の時は家の電話にかけて親の存在を気にしながら、喋ったもんだぜ、なんて若いやつらに言えば、昭和ですね、のやりとり。そんな時代だった。
156 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 04:09:24.03ID:COd6JsKY.net
何故俺の連絡先を知っているか、理由を聞けば、話は簡単だった。
当時、バンドのホームページを開設していて、その、ホームページの中の俺のブログにコメントを残すと俺のメールに送られてくる仕組みだった。
157 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 04:10:05.58ID:COd6JsKY.net
何故、俺のバンドを知っていたかというのは、検索でなんとなしに、Kの名前を捜してみて、その後、俺の名前を検索してみたらヒットしたというわけだった。
158 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 04:11:05.03ID:COd6JsKY.net
「あたしが幸せだった頃を思い出してね、検索してみたらヒットしてびっくりしたの」
そんな内容のメールだった。
159 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 04:11:42.68ID:COd6JsKY.net
幸せだった頃?
俺の知っている限り、あかねが幸せだった頃などなかったように思うのだが。
あれから、上司とうまく行ったという事なのか?それとも、また別のひとと結婚して幸せだということか?けれども、それであるならば「幸せだった頃」というのもおかしい。
160 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 04:12:27.06ID:COd6JsKY.net
メールでお互いの連絡先を交換したあと、俺は数年前と同じように、また会えないか、と尋ねた。
一週間後なら都合がつくとの事だったので、ならばまた地元で、というと、それよりかは、今、俺の住んでいるところの方が近いというので、とりあえず最寄りの駅でという約束をした。
161 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 04:13:21.79ID:COd6JsKY.net
あかねは、今はもう地元を離れ関西の方にいるらしい。
声は変わらないが言葉は関西弁であった。
162 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 04:17:39.45ID:COd6JsKY.net
一週間後、数年振に会ったあかねは、何というか、別人だった。
髪の毛はだらし無く伸びていたし、白髪も少なからず混ざっていた。
眉毛は伸び放題で、大分痩せたのか、頬は鋭くこけていた。
164 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 04:18:22.96ID:COd6JsKY.net
久しぶりと笑った笑顔には前歯がひとつ欠けていて、言葉は悪いが みすぼらしいというのが正直なところだ。
165 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 04:20:39.39ID:COd6JsKY.net
全体的な印象で言えば、老けて見えた。
歳は少なく見積もっても、俺より、10歳は年上に見える。
167 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 04:23:01.91ID:COd6JsKY.net
清潔感と言おうか、清楚と言おうか、あかねの持ったいた全ての良かったところが、完膚なきまでに損なわれていた。
何かで見た、戦争で爆撃を受けて焦土と化した地方都市の白黒写真。
そんなイメージが、目の前のあかねに重なって見えた。
168 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 04:23:49.57ID:COd6JsKY.net
「たかお君は全然変わらへんな」
あかねは はにかみながら言った。
俺とあかねは駅の近くの居酒屋に入った。
そして、おたがい生ビールとつまみ数種類をたのみ、運ばれてきたビールで軽く乾杯をした。
169 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 04:24:34.96ID:COd6JsKY.net
「バンド、まだ頑張ってんねな、ネットで叩いてみたら、名前出てきて びっくりしたわ」
170 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 04:25:32.95ID:COd6JsKY.net
「あれから、」とだけ言って、俺は躊躇した。
あかねの容姿を見たら、その変わり様に、決して幸多き人生を歩んできた訳ではないことは想像に難くない。
聞きたい事は山ほどあったが、その全てが聞いてはいけないことに感じられた。
171 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 04:26:21.22ID:COd6JsKY.net
あかねは、察して笑った。
「随分変わったやろ?もう、おばさん通り越しておばあさんやわ」
172 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 04:27:01.10ID:COd6JsKY.net
そういうとあかねは「あれから」の事、つまり前回俺たちが会ったときの その後を語り始めた。
173 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 04:27:54.41ID:COd6JsKY.net
予想通り、あかねは上司に捨てられていた。
家出のあと いちど実家にもどり、すぐ部屋を借りてひとり暮らしを始めた。
会社は自主退職した。
上司の奥さんから訴えられそうになったが、お腹に宿した上司との子供を堕胎することで水に流すことになった。
174 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 04:28:34.21ID:COd6JsKY.net
2度と上司と接触しない事を条件に、僅かばかりの手切れ金も手にした。
あかねは上司は離婚して、一緒になると信じて疑っていなかった。
175 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 04:29:17.47ID:COd6JsKY.net
あかねと父親の確執は、不倫そのものが原因ではなく、ずっと昔からあったそうだ。
何かにつけて殴ることがあったそうだ。
あかねが家を出て1年後に他界したらしい。
あかねは葬儀にも通夜にも出なかった。
176 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 04:30:00.26ID:COd6JsKY.net
あかねは上司と別れて独り暮らしをはじめた。
そしてすぐに年下の男と同棲をはじめた。
飲み屋でナンパされた相手に付いていって その日のうちに関係を持ったそうだ。
177 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 04:32:52.93ID:COd6JsKY.net
恐らく自暴自棄になっていたのだろう。
この男は絵に描いたようなヒモだった。
ただ、あかねには淋しさを埋める必要があった。
少しばかりの貯金を切り崩し、お金が底をつくと、あかねはスナックで働くようになる。
働かない男にパチンコ代を渡す為だ。
そんな関係が長続きするわけもなく、2人目の堕胎をきっかけに男とは別れた。
178 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 04:34:12.04ID:COd6JsKY.net
次の男は、店の客だった。
男はバツイチ子持ちで、子供は奥さんが引き取っていた。
店に来ては、子供の話をし、子供には合わせてもらえない事を嘆いていた。
次第に情が移ったのか、そこに かつての上司を重ねたのかはわからない。
>>次のページへ続く
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