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死なせてしまった女に贖罪をさせてくれ
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159 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 04:11:42.68ID:COd6JsKY.net
幸せだった頃?
俺の知っている限り、あかねが幸せだった頃などなかったように思うのだが。
あれから、上司とうまく行ったという事なのか?それとも、また別のひとと結婚して幸せだということか?けれども、それであるならば「幸せだった頃」というのもおかしい。
160 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 04:12:27.06ID:COd6JsKY.net
メールでお互いの連絡先を交換したあと、俺は数年前と同じように、また会えないか、と尋ねた。
一週間後なら都合がつくとの事だったので、ならばまた地元で、というと、それよりかは、今、俺の住んでいるところの方が近いというので、とりあえず最寄りの駅でという約束をした。
161 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 04:13:21.79ID:COd6JsKY.net
あかねは、今はもう地元を離れ関西の方にいるらしい。
声は変わらないが言葉は関西弁であった。
162 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 04:17:39.45ID:COd6JsKY.net
一週間後、数年振に会ったあかねは、何というか、別人だった。
髪の毛はだらし無く伸びていたし、白髪も少なからず混ざっていた。
眉毛は伸び放題で、大分痩せたのか、頬は鋭くこけていた。
164 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 04:18:22.96ID:COd6JsKY.net
久しぶりと笑った笑顔には前歯がひとつ欠けていて、言葉は悪いが みすぼらしいというのが正直なところだ。
165 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 04:20:39.39ID:COd6JsKY.net
全体的な印象で言えば、老けて見えた。
歳は少なく見積もっても、俺より、10歳は年上に見える。
幸せだった頃?
俺の知っている限り、あかねが幸せだった頃などなかったように思うのだが。
あれから、上司とうまく行ったという事なのか?それとも、また別のひとと結婚して幸せだということか?けれども、それであるならば「幸せだった頃」というのもおかしい。
160 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 04:12:27.06ID:COd6JsKY.net
メールでお互いの連絡先を交換したあと、俺は数年前と同じように、また会えないか、と尋ねた。
一週間後なら都合がつくとの事だったので、ならばまた地元で、というと、それよりかは、今、俺の住んでいるところの方が近いというので、とりあえず最寄りの駅でという約束をした。
161 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 04:13:21.79ID:COd6JsKY.net
あかねは、今はもう地元を離れ関西の方にいるらしい。
声は変わらないが言葉は関西弁であった。
162 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 04:17:39.45ID:COd6JsKY.net
一週間後、数年振に会ったあかねは、何というか、別人だった。
髪の毛はだらし無く伸びていたし、白髪も少なからず混ざっていた。
眉毛は伸び放題で、大分痩せたのか、頬は鋭くこけていた。
164 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 04:18:22.96ID:COd6JsKY.net
久しぶりと笑った笑顔には前歯がひとつ欠けていて、言葉は悪いが みすぼらしいというのが正直なところだ。
165 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 04:20:39.39ID:COd6JsKY.net
全体的な印象で言えば、老けて見えた。
歳は少なく見積もっても、俺より、10歳は年上に見える。
167 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 04:23:01.91ID:COd6JsKY.net
清潔感と言おうか、清楚と言おうか、あかねの持ったいた全ての良かったところが、完膚なきまでに損なわれていた。
何かで見た、戦争で爆撃を受けて焦土と化した地方都市の白黒写真。
そんなイメージが、目の前のあかねに重なって見えた。
168 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 04:23:49.57ID:COd6JsKY.net
「たかお君は全然変わらへんな」
あかねは はにかみながら言った。
俺とあかねは駅の近くの居酒屋に入った。
そして、おたがい生ビールとつまみ数種類をたのみ、運ばれてきたビールで軽く乾杯をした。
169 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 04:24:34.96ID:COd6JsKY.net
「バンド、まだ頑張ってんねな、ネットで叩いてみたら、名前出てきて びっくりしたわ」
170 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 04:25:32.95ID:COd6JsKY.net
「あれから、」とだけ言って、俺は躊躇した。
あかねの容姿を見たら、その変わり様に、決して幸多き人生を歩んできた訳ではないことは想像に難くない。
聞きたい事は山ほどあったが、その全てが聞いてはいけないことに感じられた。
171 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 04:26:21.22ID:COd6JsKY.net
あかねは、察して笑った。
「随分変わったやろ?もう、おばさん通り越しておばあさんやわ」
172 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 04:27:01.10ID:COd6JsKY.net
そういうとあかねは「あれから」の事、つまり前回俺たちが会ったときの その後を語り始めた。
173 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 04:27:54.41ID:COd6JsKY.net
予想通り、あかねは上司に捨てられていた。
家出のあと いちど実家にもどり、すぐ部屋を借りてひとり暮らしを始めた。
会社は自主退職した。
上司の奥さんから訴えられそうになったが、お腹に宿した上司との子供を堕胎することで水に流すことになった。
174 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 04:28:34.21ID:COd6JsKY.net
2度と上司と接触しない事を条件に、僅かばかりの手切れ金も手にした。
あかねは上司は離婚して、一緒になると信じて疑っていなかった。
175 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 04:29:17.47ID:COd6JsKY.net
あかねと父親の確執は、不倫そのものが原因ではなく、ずっと昔からあったそうだ。
何かにつけて殴ることがあったそうだ。
あかねが家を出て1年後に他界したらしい。
あかねは葬儀にも通夜にも出なかった。
176 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 04:30:00.26ID:COd6JsKY.net
あかねは上司と別れて独り暮らしをはじめた。
そしてすぐに年下の男と同棲をはじめた。
飲み屋でナンパされた相手に付いていって その日のうちに関係を持ったそうだ。
177 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 04:32:52.93ID:COd6JsKY.net
恐らく自暴自棄になっていたのだろう。
この男は絵に描いたようなヒモだった。
ただ、あかねには淋しさを埋める必要があった。
少しばかりの貯金を切り崩し、お金が底をつくと、あかねはスナックで働くようになる。
働かない男にパチンコ代を渡す為だ。
そんな関係が長続きするわけもなく、2人目の堕胎をきっかけに男とは別れた。
178 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 04:34:12.04ID:COd6JsKY.net
次の男は、店の客だった。
男はバツイチ子持ちで、子供は奥さんが引き取っていた。
店に来ては、子供の話をし、子供には合わせてもらえない事を嘆いていた。
次第に情が移ったのか、そこに かつての上司を重ねたのかはわからない。
179 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 04:34:54.76ID:COd6JsKY.net
あかねは まもなく この男とも関係を持った。
男と関係を持ってから、男はあかねの部屋へ入り浸るようになる。
180 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 04:35:33.32ID:COd6JsKY.net
この男は、一緒に暮らし始めると あかねに暴力を振るうようになる。
あかねの歯が欠けたのもこの男の暴力によるものであった。
顔が腫れ、歯が欠けると店からは あからさまに嫌な顔をされる様になり、店を辞めざるを得なくなった。
あかねが3人目を身籠った事がわかると、男は姿をくらませた。
181 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 04:36:18.85ID:COd6JsKY.net
俺は知らなかったのだが、コンパニオンといっても、交渉次第で性サービスもするそうだ。
無論、断ることも出来るらしい。
182 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 04:37:14.41ID:COd6JsKY.net
「この間もな、禿げでデブな親父に5000円で抱かれたんよ」
あかねは自嘲気味に話した。
183 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 04:37:56.31ID:COd6JsKY.net
ひと通り話を聞いた俺は涙を流していた。
同情の涙なのか、後悔の涙なのか、怒りの涙なのかは分からない。
あるいは その全ての涙だったのかもしれない。
この3流ドラマのような下らない女の転落劇。
184 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 04:39:02.12ID:COd6JsKY.net
なぜ あかねが そんな人生をおくらなければならないのか?
一体、あかねは何処で何を間違えたのだろう。
どのタイミングで持ち堪える必要があったのだろう。
俺は何処で助けてあげられる可能性があったのだろう。
185 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 04:39:46.43ID:COd6JsKY.net
俺が好きで好きでたまらなかった女を、下らない男達が寄ってたかって蹂躙し、美しさを奪いとり、生涯を台無しにし、何がどうしたら…。
186 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 04:40:37.54ID:COd6JsKY.net
「選択肢はなかったのか?」
俺はあかねに尋ねた。
「選択肢?」
「俺はあかねが好きだった。好きで好きで たまらなかった。
それはあかねも知っていただろ?
何処かのタイミングで俺に連絡を取ろうとは思わなかったのか?
そんな男達に人生をグチャグチャにされる前に、俺で妥協はできなかったのか?」
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