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死なせてしまった女に贖罪をさせてくれ
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179 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 04:34:54.76ID:COd6JsKY.net
あかねは まもなく この男とも関係を持った。

男と関係を持ってから、男はあかねの部屋へ入り浸るようになる。



180 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 04:35:33.32ID:COd6JsKY.net
この男は、一緒に暮らし始めると あかねに暴力を振るうようになる。

あかねの歯が欠けたのもこの男の暴力によるものであった。

顔が腫れ、歯が欠けると店からは あからさまに嫌な顔をされる様になり、店を辞めざるを得なくなった。

あかねが3人目を身籠った事がわかると、男は姿をくらませた。



181 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 04:36:18.85ID:COd6JsKY.net
俺は知らなかったのだが、コンパニオンといっても、交渉次第で性サービスもするそうだ。

無論、断ることも出来るらしい。



182 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 04:37:14.41ID:COd6JsKY.net
「この間もな、禿げでデブな親父に5000円で抱かれたんよ」

あかねは自嘲気味に話した。



183 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 04:37:56.31ID:COd6JsKY.net
ひと通り話を聞いた俺は涙を流していた。

同情の涙なのか、後悔の涙なのか、怒りの涙なのかは分からない。

あるいは その全ての涙だったのかもしれない。

この3流ドラマのような下らない女の転落劇。



184 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 04:39:02.12ID:COd6JsKY.net
なぜ あかねが そんな人生をおくらなければならないのか?

一体、あかねは何処で何を間違えたのだろう。

どのタイミングで持ち堪える必要があったのだろう。

俺は何処で助けてあげられる可能性があったのだろう。



185 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 04:39:46.43ID:COd6JsKY.net
俺が好きで好きでたまらなかった女を、下らない男達が寄ってたかって蹂躙し、美しさを奪いとり、生涯を台無しにし、何がどうしたら…。



186 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 04:40:37.54ID:COd6JsKY.net
「選択肢はなかったのか?」

俺はあかねに尋ねた。

「選択肢?」

「俺はあかねが好きだった。好きで好きで たまらなかった。

それはあかねも知っていただろ?

何処かのタイミングで俺に連絡を取ろうとは思わなかったのか?

そんな男達に人生をグチャグチャにされる前に、俺で妥協はできなかったのか?」



187 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 04:41:51.65ID:COd6JsKY.net
「妥協だなんて…」

あかねは言った。

「たかお君はかっこ良かったし、正直、逃した魚は大きかったなぁ〜なんて思うことは、あったんよ。

でも、たかお君はK君の親友やったし、影がちらつくというか、やっぱ考えられへんかった」



188 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 04:42:34.40ID:COd6JsKY.net
あかねは どこまで行ってもKなのだな、と思った。

Kに対する嫉妬心が事あるごとに頭を擡げる。

俺もどこまで行ってもKへのコンプレックスから逃れられないんだな、と自嘲気味に思った。



189 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 04:43:21.51ID:COd6JsKY.net
「実は、たかお君にお願いがあるの」

あかねは言った。

そして これこそが今回の再開の目的であると言わんばかりに。



190 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 04:44:21.70ID:COd6JsKY.net
「実は、今度、子供の入園にお金がいって、制服もまだ買われへんくてな、こんなこと言うのもあれなんやけど、その、お礼にならへんかも知れんけど、何でもするから…」

俺は察した。金の無心だ。



191 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 04:45:10.31ID:COd6JsKY.net
「いくら必要なの?」

あかねを遮り、俺は尋ねた。

「3万円くらいあれば助かるんやけど」



192 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 04:45:55.03ID:COd6JsKY.net
悲しかった。

金の無心をされたからではない。

金の代償として、体を差し出そうとする、あかねのこころの短絡が悲しかった。

あかねの中では他に差し出すものが何もないのだろう。



193 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 04:46:54.71ID:COd6JsKY.net
そして躊躇なく売春に結論を見いだすほど、心は訓練されてしまっていた。

その訓練には相応の数の反復が観てとれた。



194 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 04:47:57.73ID:COd6JsKY.net
「今、そこまで手持ちがないから、振り込むよ。口座番号は今わかる?」


「今は分かれへん」

「じゃあ、分かったらメールして。すぐ振り込むから。」

「それと、お金は返さなくていいから。

借りた負い目や返せない負い目、そんなことで人間関係を壊したくないんだ。

渡せなかった、子供の出産祝いだと思って協力させて」



195 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 04:48:50.61ID:COd6JsKY.net
俺がそういうと あかねは涙声でありがとう、と言った。

かなりの勇気がいっただろう。

穿った見方をすれば、あかねの身の上話も、一回抱かせて5000円のくだりも、全ては金を引き出す為の、お涙頂戴ストーリーなのかも知れない。



196 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 04:49:52.58ID:COd6JsKY.net
でも、あかねは俺に頼ってくれた。

それで充分だった。

正直に言えば、今この場で金を渡せないわけではない。

手持ちは心もとなかったが、近くのコンビニのATMで降ろしてくれば それで事足りる。

けれども、今この場であかねに金を渡せば あかねを抱かないといけない様な気がした。



197 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 04:50:28.64ID:COd6JsKY.net
それは、俺にはとても出来なかった。

この女を抱く男は、この女の人生ごと抱きしめる男でなくてはならないし そうであって欲しかった。

でも、俺がその男になるには、あまりに遅すぎた。



198 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 04:51:03.17ID:COd6JsKY.net
その夜、あかねと別れて、ひとり、酒を飲みに行った。



199 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 04:52:24.56ID:COd6JsKY.net
俺は、5000円であかねを抱いた、禿げデブ親父のことを考えた。

それから、あかねの上司とあかねとのセックスを考えた。

ヒモ男とあかねのセックス、暴力男とあかねのセックス。



200 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 04:53:04.96ID:COd6JsKY.net
俺がどんなに望んでも、触れることすら許されなかった存在に、いとも簡単に触れて人生を凌辱していった男達のことを考えた。



203 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/10(水) 04:55:41.14ID:COd6JsKY.net
そして、Kのことを考えた。

Kは唯一俺の闇に気付いた男だ。

それが為、親友になった男。

俺がいなければ、あかねは いつかKとの思いをとげられたのだろうか。

Kと俺が親友でなければ、俺とあかねは付き合うことがあったのだろうか。

あかねは あかねであることを損なうことはなかったのではないか。



>>次のページへ続く
 
カテゴリー:人生・生活  |  タグ:青春, 修羅場・人間関係,
 


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