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俺を拾った女の話を書く
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42 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 00:51:49.01 ID:AvmYbN9t.net
声を出さないと不味い事になる、と懸命に声を出そうとする。

けれども やはり声が出ない。何故だか後悔の念が湧いてくる。

そうこうしているうちに目が覚めるのだ・・・。


44 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 00:53:16.17 ID:AvmYbN9t.net
「ねえ、ちょっと大丈夫?」

目を覚ますと女の声がした。

汗でシャツも髪の毛も濡れていた。

不意に悪寒が襲った。朦朧とする意識の回復を待って伝えなければならない言葉を探した。


46 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 00:58:55.85 ID:AvmYbN9t.net
「ごめん、鍵を返そうと思ったんだけれど場所が分からなくて・・・」

「ごめんね、店の場所教えてなかったから。それより、うなされてたよ。本当に大丈夫?」


47 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 01:00:29.98 ID:AvmYbN9t.net
大丈夫、よくある事だ、といい、俺は昨日助けてもらった礼を言った。

そして長居を悪く思って帰ろうとしたが、お腹が空いたなぁ、と女が言うので昨日のお礼に食事に誘った。

女は近くにある居酒屋に行きたいというので、2人で行く事にした。


48 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 01:01:15.67 ID:AvmYbN9t.net
生ビールとつまみを数種頼み、運ばれたビールで軽く乾杯をしたあと、お互い自己紹介をした。



49 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 01:01:51.58 ID:AvmYbN9t.net
女の名前は「みどり」と言った。

歳は俺より二つ上で三十路に足を踏み入れるところだと言った。

家から地下鉄でふた駅行ったところのデパートに入っている服屋で雇われ店長をしているとのことだ。

知人に路上で酔い潰れて亡くなったひとがあるしく、放って置けなくて俺を拾ったらしい。


50 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 01:02:39.44 ID:AvmYbN9t.net
「まあ、悪いひとには見えなかったっていうのもあるけどね。」

少なくとも美人局でないことに、俺は安堵した。


52 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 01:03:27.27 ID:AvmYbN9t.net
それから、俺も少しずつ自分の話をした。

人付きあいが下手で今も勉強中である事。

仕事が特殊でひと月に4日しかない事もあれば、数ヶ月休みが取れない事があること。

音楽を聴くのが苦手なのに、バンドマンである矛盾を抱えている事。


53 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 01:04:32.66 ID:AvmYbN9t.net
「えっ?じゃあ何でバンドなんかやってるの?」

みどりは笑いながら聞いた。

「要求が明確だから。」

俺は、答えた。

人付きあいに於いての要求は俺には難解であった。

俺は過去に2人の女の子と交際した事があった。2人とも、性格も容姿も物の好みも全く違っていた。

けれども別れ際に言われた言葉だけは全く同じだった。


54 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 01:05:20.29 ID:AvmYbN9t.net
「たかお君が何を考えているのか全然分からない。」

それが辛い、と。


55 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 01:06:06.65 ID:AvmYbN9t.net
ひとに求められる事が俺にとって、一番大切な事だった。

求められることが存在理由を確認できる唯一だった。

求められれば出来る限りのことで返した。

相手が逢いたくなったなら それが夜中でも必ず逢いに行ったし、話したいときには話すがままに、話をじっと聞いた。

欲しいものがあれば お金が許す限り要求されたものを渡したし、相手が望む理想の人間になれるようひたすら努力した。


56 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 01:07:13.23 ID:AvmYbN9t.net
ただひとつ、致命的に出来なかったこと、

それは自分から、他人に何かを要求する事だった。


57 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 01:07:45.52 ID:AvmYbN9t.net
けれども、音楽は違った。

バンドのメンバーとして、自分のパートを確実にこなせば必要とされるし、間違っていれば努力の目標をくれた。

それに応える事ができる限り、俺は他人から必要とされる。

それが嬉しかった。


58 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 01:08:44.96 ID:AvmYbN9t.net
「ふーん、バンドマンねえ。売れてんの?」

みどりは酒が回ってきたのか、少しぞんざいな言い方だった。

「だいたい、30歳過ぎてバンドやってるんだったら、もうある程度の結果が出てないとおかしいだろって話」

みどりは吐き捨てる様に言ってすぐに謝った。


59 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 01:09:32.28 ID:AvmYbN9t.net
「ごめん、たかお君のことじゃないから、ごめんね」

「いや、別に構わないよ。俺もそう思うし。彼氏がバンドマンなの?」




60 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 01:10:13.52 ID:AvmYbN9t.net
元彼氏、だけどね。

みどりは言った。

もともと浮気の多い男だったが、今回は本気らしく、突然の別れを告げられたそうだ。

バンドは集客も上がってきていたらしい。


61 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 01:11:24.17 ID:AvmYbN9t.net
「7年だよ、7年!売れないバンドマンを支えた時間が、7年!たかお、分かるか?」

大分酔いが回っているようだった。口調が少し絡むような感じに変わってきた。

そろそろお開きに、と みどりを促し会計を済ませ部屋まで送っていった。


62 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 01:12:14.13 ID:AvmYbN9t.net
部屋に入ると みどりは吐いた。やはり飲み過ぎだったのだ。

みどりの吐しゃ物の始末をしていると、みどりは泊まってゆけ、といった。そして介抱しろと。

「それでこそ、五分と五分だ。」といった。

その男らしい言葉遣いに少し笑ってしまった。


63 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 01:12:59.28 ID:AvmYbN9t.net
俺は近くのコンビニで歯ブラシと替えのパンツ、そしてTシャツを買って部屋に戻ると みどりはローテーブルに突っ伏し眠っていた。

みどりをベッドに移しシャワーを借りて着替えを済ませた。

半日眠っていたせいか少しも眠くならなかった。

みどりは自棄になっているのだろう。


俺は みどりと元彼のことを考えた。

売れないバンドマンか、とひとりごちた。

元彼と俺は歳が違うだけで「売れないバンドマン」であることは同じだった。

彼女は淋しさを埋める必要があるのだろう。

もし彼女が俺で淋しさを埋められるのであれば、必要なだけ側にいよう。


64 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 01:13:33.48 ID:AvmYbN9t.net
よく眠っているみどりの顔を眺めながら、そう考えていた。


65 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 01:14:07.64 ID:AvmYbN9t.net
俺は眠れない時間を埋めるべく、今朝諦めた本を手にとってみどりが起きるまで読みふけっていた。


66 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 01:14:53.09 ID:AvmYbN9t.net
「あ、生きてた」

みどりが目を覚ますと、俺は笑いながら言った。

「特製黒酢ジュース飲む?二日酔いには最適だよ。」

俺は得意げに言った。


67 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 01:15:33.50 ID:AvmYbN9t.net
ありがとう、そう言う代わりに みどりは俺を抱きしめた。

みどりは俺に口づけをし、彼女の求るがままに俺たちは ひとつになった。


俺たちの交際はこうして始まった。


68 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 01:16:20.70 ID:AvmYbN9t.net
それから、俺とみどりは同棲生活を送った。

俺は仕事の少ない時期にかかっていたので退屈な時間を彼女の部屋で過ごした。

必要なものを購入して、食事の準備をして みどりの帰りを待った。

初めて居酒屋に行った時にみどりが注文していた料理から好みを推測し、そこから味を組み立てていった。

時には朝に食べたいものをリクエストしてもらい、少しずつみどりの好きなものの傾向を学んでいった。


69 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2017/05/21(日) 01:16:52.41 ID:AvmYbN9t.net
彼女は いつも喜んでくれた。

調味料が少しずつ増えていった。増えていく調味料を眺めるのが何故だか誇らしく思えた。

食材にかかった費用は頑なに断わった。

俺は彼女に必要とされている事を感じたし、それに応えられる自分が嬉しかった。



>>次のページへ続く
 
カテゴリー:人生・生活  |  タグ:泣ける話, 修羅場・人間関係,
 


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