部屋の鍵を開けて中に入る
「ウィッグとか帽子、取らないの?」
「え?あ、いやー、はい…」
「それより俺シャワー浴びてきていい?外暑くて汗びっしょりなんだよね」
「あ、どうぞ…」
今ここで脱いでも面白くない、私は私なりにここだ!というタイミングを考えていたので先にシャワーを浴びると言った元彼氏をグッジョブだと思った
数分して元彼氏がシャワーから出てきた
「私も浴びてきますね、ウィッグ被ってると暑くて髪がボサボサなので〜」
と言ってそのまま風呂場に行こうとした
そしたら元彼氏が慌てた様子で
「あ、先にお金渡しておこうか」
と言ってきた
「ゴムつける?つけないなら3万でいいよ、てか、こんな高い部屋でやるのにゴムつけるのも何だか……ね」
とも言ってきた
元彼氏に対する憎悪でだんだんと声が震えてきたが、必死にこらえた
「じゃあ、無しで大丈夫です」
「うん、わかった、ちょっと待って」
元彼氏が財布から3万円を出してきた
「ありがとうございます」
お金を受け取る手は震えていたと思う
もう戻れないんだなと思った
>>30
ゴムありで、っていってもなしで来そうな勢いだなw
ていうかよくゴムなしで出来るよな
円光する女なんて病気ほぼほぼ持ってるだろうし怖くないのか
お金を財布にしまい、ウィッグや帽子、マスクはそのまま脱衣所に向かう
この時が来てしまった
今まで過ごした数年を全て台無しにする日が来てしまった
でも自然と涙は出てこなかった
吹っ切れていたのだろうけど、つくづく自分は冷たい人間なんだなと思った
シャワーを出しっぱなしにしながら脱衣所で立ちすくむこと10分、帽子を脱いでウィッグを取り、マスクを外していつもの私に戻ったことを鏡で確認して部屋に戻る
「お待たせしました〜」
いつもの声で、笑顔で言ってやった
元彼氏と目が合う
ついに私だということに気付いた
「え?○○ちゃん、なんで?」
「なんで?って、なにが?」
ちなみに普段から私のことはちゃん付けで呼び、言葉遣いの荒い私とおっとりした元彼氏という男女逆転のようなカップルでした
「いや、なんで…?は…?」
「いやいや、あんた掲示板で相手募集してたでしょ、だから応募したんだけど」
「いや……」
この辺から楽しくなってた記憶がある
滝のように汗をかいた元彼氏と、ニコニコしながら喋る私の図を皆に見せたかった
「このお金貰っていいんだよね」
「いや、ダメ、っていうか、なにしてんの……マジで……」
「だから、金もらってセックスしようって言ってんの」
彼氏の手はめちゃくちゃ震えてた