長い黒髪の清純派の典型の彼女がヤンキーだった
ちょっとスレの趣旨からそれるかもしれないけれど、暇つぶしに…
今から7年前、俺はある病院の事務職に、何人かの男女と一緒に契約職員として採用された
最初は研修期間で新人同士みんな一緒に行動することもあって、すぐにみんなと仲良くなってったんだけど、その中で一人ずば抜けて美人がいたのね
さやって名前のその人は、長い黒髪の清純派の典型って感じの女性で誰が見ても一目置くような美人
芸能人で言うと国仲涼子っぽい感じだった
さやは俺たち新人同士の中でも一番まじめで、仕事を覚えていくのも一番早かった
それに誰にでも気さくに話しかける優しい人で、俺がそんな彼女に惚れるのにさほどの時間はかからなかった
清純派の美人でまじめで優しくて…
恋愛経験ゼロの当時20歳そこそこの俺にすれば、理想の女性がそのまま表れたって感じだった
ふんわりと優しくて そしてどこか さみしげな笑顔に惚れてしまったんだね
一緒に入った男のスタッフ(彼女持ち)の後押しを得たりしながら、最初はできるだけ仕事を一緒にすること、昼食を一緒にとることなどを通じて何とか彼女と距離を縮めようと必死の努力
そんな俺の気持ちに気付いていたのかいないのか知らないけれど、さやも優しく俺に接してくれて、いつしかお互いの距離は縮まって 仕事のこと以外もいろいろと話すようになってた
特に俺にとってラッキーだったのは、彼女は故郷を出て独り暮らしを職場の近くで始めたばかりだったこともあり、地元の事情とか何も分からないから、病院のそばで生まれてから ずっと住み続けている俺に、色々この町のこととか教えてほしいと頼まれたことだった
女性との会話が苦手な俺だけど、この地元話を通じて彼女といろいろ話ができるようになってた
告白したのはそれから大分経ってから、
病院に入ってから半年ほどしてからのこと
仕事が終わって誰もいなくなった病院の待合ロビーで彼女と二人きりになったのを幸いに、思い切って勢いで告白
彼女は一瞬驚いた表情をしてたけど、
「ありがとう。こちらこそよろしくお願いします」
って頭を下げてくれて、さやは俺の生まれて初めての恋人となってくれた
夢のようだった
付き合うようになると、さやが2つ年上だったこともあって、基本的に俺が彼女に甘えることが多かった
デートなんかも一応は俺がプランを立てるけれど、結局は彼女にうまくリードされる形になってたし、初めてのキス、セックスすべては彼女の手ほどきを受けて行ったものだった
セックスの時なんか、特に優しくリードをしてくれて、本気で気持ちいいのかわからないけれど、
「いいよ、すごく気持ちいいよ」
って何度も俺の耳元で囁いてくれて、終わった後は、
「嬉しい…幸せだよ。ありがとう」
って涙流してた
彼女は処女じゃなかったけれど、そんなの全く気にならなかった
それから半年ほどしたころかな
なんかの話をきっかけに(確かいじめの討論か何かを一緒に見てた時だと思う)、俺は自分がいじめられっ子だったことを彼女に告白したのね
喧嘩が弱くてビビりだった俺が、学校のヤンキー連中にパシリにさせられたり、トイレで全裸にさせられたこととか、結構思い切ったことを話してた
あと そいつらを恨んでて、ヤンキーのような連中が大嫌いなことも
普段誰にも言わないような話だったけれど、さやになら自然に話すことができた
俺の告白に彼女は、「そうなんだ…」って小さくつぶやくと、俺をそっと抱きしめてくれてあとは黙ったままだった
内容が内容だけに返事がしづらかったんだろうと思う
そのあとそのまま彼女に誘われる形でセックスした
この俺の告白以降、彼女との関係が妙にぎくしゃくしたものになってきた
俺の気のせいだったのかもしれないけれど、彼女が俺にどう接したらいいのかわからない、という感じで距離をとるようになってきたのね
(余計なこと言ったかなあ)って、俺の過去を聞いて彼女がどん引きしてると思って後悔し始めてた頃、さやから自宅に招かれた
家に着くと彼女は珍しく深刻な表情をしたまま ややうつむき加減でじっと座ってる
すごく重たい空気が充満してた
(どうなるんだろう…別れたいっていうのかな…)
俺が不安で胸がいっぱいになってきたころ、彼女は口を開いて、言った
「私、あなたにお話しないといけないことがあります」
「ああ、終わった」と思って、もうなんてしゃべったらいいのか分からず茫然としてると、彼女は俺の前にアルバムを持ってきて、そして静かにそれを広げた
そこにはいわゆるレディースのチームなんだろう
特攻服を着た派手な典型のDQNの女たちに、あとヤンキーの男たちも一緒に写りこんでる写真があった
けど俺は放心状態だから内容が頭に入らなくてね
ぼうっとしたままでいると、彼女が思い切ったようにして静かにこう言った
「ここに写ってるの…私です…」
最初意味がわかんなくて俺はきょとんとしてたけど、時間が経ってきて彼女の言葉の意味がようやくのみ込めるようになってきた俺は、慌てて写真を見直す
真ん中に写ってるバイクに乗ったレディースの前で、紫色の特攻服を着て典型のヤンキー座りをしてカメラに向けて左手の中指を立てた、ケバすぎる金髪の女…
一瞬分からなかったがよく見るとそれはさやだった
「え!?」
俺がびっくりして声を上げると、
「ごめんね…」
俺のことをじっと見つ埋めながらさやは涙をぽろぽろとこぼしてた