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友達の親父に喧嘩売った話
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60 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/03/27(水) 23:11:33.883 ID:zFjzs8hM0.net
そのあとちょっとしゃべりながら俺はいつ作戦を言いだすか伺っていた。

実際、親を一緒に殴ろうっていうんだから普通じゃ考えられない相談だ。

しかしなかなか切り出せずにいた俺の空気を察してか坂倉から声をかけてきた。


坂倉「なぁ?何か言いたいことあんの?」

俺「ああ・・・実はさ・・・・」

坂倉「ああ・・・」

俺「あの・・・・さ・・・」

坂倉「なんだよ!お前気持ちわりいな〜!言いたいことあんなら早く言えよ!」

俺「・・・・・・あのさ、お前のオヤジ・・・俺達でぶっ飛ばさねえ?」


切れ長の二重のキツネ目がまるでタヌキのようにまん丸になった。俺が言ったことをまるで理解してないことが一目でわかるリアクション。




61 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/03/27(水) 23:12:17.114 ID:zFjzs8hM0.net
坂倉「はぁ?何言ってんの?」

俺「・・・落ち付いて聞けよ」

俺はそこから本田というやつに相談したこと。

勝手に人に相談したことを謝りつつ本田ってやつが二度とお前に手を出さないように徹底的にぶちのめそうって作戦を立ててること。

本田はどういうつもりか知らないが俺はお前をなんとか助けてやりたいと必死に伝えた。


真ん丸な目をして驚いた表情を浮かべていたが話が進むにつれて目は鋭く上向きに戻ってくる。

しかしその目線は徐々に下に降り 話終える時は俺と視線を合わせず教室の地面を見ていた・・・




64 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/03/27(水) 23:13:36.694 ID:zFjzs8hM0.net
坂倉「・・・・それ・・マジで言ってんの?」

俺「ああ。マジだ。やらなきゃやられる。」

坂倉「・・・お前後先考えてくれたのか・・?」

俺「え・・・・?」

坂倉「もし作戦が成功しても俺は親父と母ちゃんと住み続けるんだぞ!どんなひどい目にあわされるかわかんねえ!俺は一回抵抗してオヤジをツネったことがある!そんとき何されたかわかるか!?俺はな・・俺は・・・・傘の先で・・ 手の平を・・・刺されたんだぞ・・・」

俺「・・・・・・・・・・」

坂倉「そんな目にあってるのに一緒にやれって? 無茶言うなよ!それに・・・成功して・・親父がおとなしくなって・・ いじめられることがなくなっても・・・母ちゃんは・・・ きっと・・あいつの味方を・・する・・・」

徐々に声が小さくなっていく・・・

人間、言葉に力がないときは前向きな発言は出ない・・・



65 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/03/27(水) 23:14:18.066 ID:zFjzs8hM0.net
俺は理解しきれていなかった。

こいつは虐待そのものも辛いが自分と血がつながってる実の母が自分を傷つけるオヤジの味方をするのを見るのが 何よりもきつかったんだ・・・


俺「・・・母ちゃん・・やっぱ好きか?」

坂倉「・・・・ああ・・・あんな母ちゃんだけど・・・ 親父がいなくなってから・・ずっと二人だったし・・・ また・・一緒にさ・・どっか出かけてえよ・・」


この一瞬で様々な事が頭をよぎる。

そして出てきた答えは「やめておいたほうがいい」と出た。

男と女の事はよくわからない。

けど仮に成功した後に母親に今まで以上に辛く当られたらこいつは・・・・







66 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/03/27(水) 23:15:00.703 ID:zFjzs8hM0.net
俺「・・・でも・・このままでいいのか・・?」


坂倉「・・・・・・・」


俺「失敗するかもしれない。母ちゃんにつらく当たられるかもしれない。でも今のまんまでいいのか?」


坂倉「・・・・・・・・・・・」


俺「俺は今のまんまじゃいけないと思う。絶対お前はきついはずだ。 しかも逃げるに逃げられない。だったら誰か大人に相談するか何か行動しようぜ。俺らの作戦じゃなくてもいいから」


坂倉「・・・大人は・・信用できねえ・・・」


俺は修学旅行の夜に聞いていた。


児童相談所っていうのは早々簡単に引き取ってはくれないこと。

度を越し、生命の危機に達するような場合じゃない限り1週間に1度訪問してくるぐらいで役に立たないこと。

先生は話を聞くだけで問題を持ってこられるのが迷惑というのを露骨に表情にだし、何かにつけては「話し合え」しか言ってくれなかったこと。


だから俺は本田に相談したのもあった。




68 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/03/27(水) 23:15:55.375 ID:zFjzs8hM0.net
俺「だったら・・・やってみようぜ!やらなきゃかわんねえよ! 大丈夫だ!徹底的にやりゃ絶対うまくいく! 母ちゃんは・・・目を覚ますって!」

坂倉「・・保障あんのかよ・・」

俺「保証なんてねえよ!でもやるしかねえよ! お前がやんなきゃ意味がねえし!やろうぜ!」


俺はもう考えることをやめた。とりあえず何かしなきゃ!それだけで自分を突き動かしてた。

子供は思慮が浅いから間違いを起こす。今になってわかることだが当時は勢いが大事!というのもあった。なせば成る!俺はそれだけを信じて必死に説得した。


地面に落としていた目線は徐々に上に登ってくる。

なんともいえない悲しいような悩んだようなそんあ目立った。目の奥では不安がみえみえで誰かが横からやめとけ!って止めて欲しそうな目。

しかし俺はもう引き返す術を知らなかった・・・


坂倉「・・・・・・・・わかった・・・やるよ・・」


12歳の少年たちは一歩踏み出すことになった。後退の一歩をたどるとは知らずに・・・




69 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/03/27(水) 23:16:34.243 ID:zFjzs8hM0.net
俺はすぐに本田と坂倉を合わせた。

ガキ同士にちょっとした不良気取りの二人はすぐに打ち解けた。


そして本田が細かく作戦を立てていく・・・


まず坂倉の母親は夜にスナックに勤めていて帰ってくるのは夜中の2時頃だということ。

オヤジはたいがいパチンコに行っているが夜11時にはほぼいることを把握。


そこから、土曜日に全員本田の家に泊まり 準備を整え深夜に抜けだし坂倉の家に出撃し 有無を言わさず襲い掛かるという流れでまとまった。




70 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/03/27(水) 23:17:06.008 ID:zFjzs8hM0.net
本田「でさ・・・悪いな。俺もいろいろ仲間誘ったんだけど誰も引き受けてくれなかったんだよ。3人だけだけど・・まあなんとかなるだろ!」


子供3人対大人1人

俺は自信はあった。喧嘩で負けたことがないし本田も坂倉も同じくらい強い。

俺らが力を合わせれば大人の一人ぐらい楽勝でぶっ倒せると信じて疑わなかった。が・・・・

俺「なぁ?一応さ・・・武器を持っていかね?」

坂倉「ぶ・・武器って!お前・・!それはやりすぎだろ!」




71 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/03/27(水) 23:17:52.877 ID:zFjzs8hM0.net
俺「いや。絶対負けらんねえじゃん。武器使った方が絶対いいって! 何も包丁なんて持っていこうって言ってるわけじゃねえ。 バットとかそんなんさ・・・持っていってさ。」


坂倉「それは絶対だめだ!何よりきたねえ! ただでさえ3対1できたねえのに! 武器使うならこの話はなしだ!」

俺「・・わかった!んじゃ武器はやめよう。」


もしこのとき俺達が武器を使用していたら新聞に載っていたかもしれないと今でも思う。




72 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/03/27(水) 23:18:29.493 ID:zFjzs8hM0.net
作戦が決まり、俺達は一本のタバコを回し吸いした。

これは俺が提案したんだが ろくでないブルースで四天王が敵同士一致団結の証にタバコを回し吸いするシーンがあって俺はそれに憧れていた。


俺「なんかさ・・・かっこよくね?俺達。」


本田「かっけえかも!ぜってえいける!やれるって!」


坂倉「・・・俺もやる気出てきた!やってやろうぜ!」


精神的にも頭脳的にもまだまだ子供な彼らは無鉄砲なことに気付かない。

気付かないまま日々は過ぎていき運命の土曜日を迎える。




73 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/03/27(水) 23:19:09.622 ID:zFjzs8hM0.net
予定通り本田の家に集まる。

夕方の5時に集まったがみな、誰も口を開かなかった。

4日前にバカ騒ぎしていた勢いは 既に冷め、現実に行動を起こすことに みな、恐怖感を覚えていた。


しかし、少年たちは引く術を知らなかった。

一度乗りかけた船。降りることは恥と思っていた。

重苦しい空気の中、予定時刻の11時を迎える・・・


本田「よし・・・行こうぜ!」

俺・坂倉「・・・・うし!いこう!」


本田の部屋は家とは離れたプレハブであり 夜中に抜け出すのは容易だった。

3人自転車にまたがり目的地へとこぎ進めていく・・・







75 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/03/27(水) 23:19:55.678 ID:zFjzs8hM0.net
外は夏を前に蒸し暑かった・・はずだった。

しかし緊張感に包まれ、背中には冷たい汗がまるで生き物のように滑り落ちていくのを感じる・・・


誰もが緊張感に包まれ、心のどこかで「着かないでくれ」と思っていただろう。しかしこぎ進めている限り目的地までの距離は縮まり、ついにアパート前に到着した・・・


本田「・・いいか・・手順通りいくぞ。俺が最初に足に飛びかかって動きを抑える。 そこにお前ら二人が攻撃だ。いいな!」


俺「ああ・・大丈夫だ。」

坂倉「・・・おう。」

本田「1はいい。坂倉!手加減すんなよ!ひるんだらやられるからな!」

坂倉「・・・・ああ・・」

本田「よし!行くぜ!」



76 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/03/27(水) 23:20:31.477 ID:1JxOZEkJ0.net
今気付いたんだが坂倉なのな


79 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/03/27(水) 23:21:36.028 ID:aKdfqnL/0.net
>>76
板倉って読んでたわ


81 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/03/27(水) 23:22:37.153 ID:MGLipG7B0.net
>>79
同じく


96 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/03/27(水) 23:31:51.910 ID:XZJJvsGMa.net
>>76
板倉かと思ってたわ


77 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/03/27(水) 23:20:54.901 ID:zFjzs8hM0.net
階段のアパートをゆっくり登り扉の前に立つ・・・

一瞬時間が止まるのを感じ、全ての物の存在が頭から消える・・


本田「おらああああああ!」


扉を開けて本田が飛びかかった!


オヤジ「な・・なんだてめえ!」


本田「うるせえええええええ!」


親父は布団で横になりテレビを見ていた。

そこに目がけて本田が飛びかかりタックルを決め足を押えこむ!







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カテゴリー:人生・生活  |  タグ:すっきりした話, 面白,
 

 
 
 
 

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