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ブタとチビの話
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13 :1 ◆yq3nyLskLY :2012/03/23(金) 06:26:14.71 ID:1QAad3dBO
玄関に入るなり咄嗟に「ゴーッ(go)」というが、私の顔を上げてつったったまま動かない。

「あ、カバンは私持ってるから」と手を放してバタバタとランドセルを取ろうとすると、股間から両手を放せないらしく首をプルプル振って泣きそうな形相で私に何かを訴える。

とりあえず靴を脱がしながら、おおそうだ「ごめッ」トイレの場所が分からないんだ。

頭の中で時限爆弾の音が鳴り響いてるなか、もう一度手を取り、半分抱き抱える勢いで一階の廊下の端にあるトイレへ駆け込んだ。

無我夢中で「大丈夫?出来る?」と幼稚園児にいうような言葉まで口走ってしまう。

子供は てきぱきと指を動かしている。

「あ、失礼ッ」と外へ出てドアを閉める直前、洋式便器に向かって無事に水が落ちる音がした。

はぁーーーっと安心した。

間に合ったぁ〜と思っていると、ジャーとトイレを流す音が聞こえる。

ほっとしてトイレから出てくるその子の顔を見ると、ぎこちなさそうに、でも落ち着いた様子だった。

一歩廊下に出てから、急に不安そうに動かなくなった。

あれ、と思ったらどうやら自分の置かれた状況が分かってきて、見知らぬ家の見知らぬ豚にどうしていいか分からない様子。



14 :名も無き被検体774号+:2012/03/23(金) 06:31:49.72 ID:1QAad3dBO
「あー…と、手洗おっか」と声を掛けてみるが無反応。

困ったなぁとため息をつくと、いつの間にか子供に見られていた。

3秒くらいじっと見つめあって、意味なく ははっと笑ってみて気まずい沈黙。

もう一度言ってみる。

「手、洗おう。それでまた公園へ戻ろっか」

子供の前に、ぱっと開いた両手を見せて安心してくれーという思いで笑った。

すると、こくんと小さく頷いてくれたので、ほっとして「じゃ、こっちこっち」と言って洗面所へ案内する。

「そこおいていいよー」というとぽかんとしてるので、ランドセルを降ろすジェスチャーをして床を指差すと、伝わったようですぐにガチャッと音を立ててランドセルを足元に置いた。

困ったことに洗面台の高さが この子にはちょっと高い。我が家は豚も含めて大人3人なので、リフォームした際に腰に負担が掛からないように高めの洗面台にしていた。

よしっと私は屈んで その子の脇に手を入れて後ろから抱き上げた。

ふんぬッ…

さすが脂肪だけのデブ。二の腕が沸騰するように熱くなってぷるぷる。

「………。」

両手を蛇口に近づけたまま、何もしようとしない。

我が家の蛇口はレバー型でクイッと横に捻って下げないと水が出ない。

一度トンと降ろして水を出してから再チャレンジッ!ふんぬ〜今度は無事に手を洗えて、差し出したタオルで拭かせた。




15 :1 ◆yq3nyLskLY :2012/03/23(金) 06:36:58.90 ID:1QAad3dBO
はぁー終わった。わたしの仕事おわったー(´Å`)と微かな充実感を味わった。

置いていたランドセルを背負い直して、来た時が嘘のように今度は たどたどしく、でもちゃんと繋いでくれた。

この間、特に言葉を交わさなかった。

玄関まで連れて行き、靴をはくのを待ってまた一緒に外に出た。

とりあえず公園の辺りに戻れば、この子の通学路に戻れるかなーとトコトコとゆっくり のほほ〜んと歩いていた。


すると、バターンッと車のドアを開け閉めする音が耳に入ると同時に、目の前の軽自動車の辺りから40歳前後に見える女性が走ってくる。

「ああ、あぁ、どこ行って…」と泣きそうな声で近づいて来る女性を見ていると、急に手に軽い衝撃があって、片手が軽くなった。

ばたばたばたッと走って夢中で その女性の腰に抱きつくその子を見て、ああお母様か、と認識した。

なんだ この豚と怪しまれるかな、と思ったけど、顔はよく見えないけど少し泣いてるのかなって感じで覆い被さるようにその子を抱いていた。



16 :1 ◆yq3nyLskLY :2012/03/23(金) 06:47:06.71 ID:1QAad3dBO
心配していたのが全身から伝わってきて 落ち着かなくなり自分も小走りに二人に近づいて

「あの、すみません。トイレで、私の家に連れていきました」と女性に謝った。

ところが予想外に女性は私の姿を見ると、二度頭を下げてきた。

私が「ほんとあの、勝手にごめんなさ…」と言いかけたところで、女性が その子の頭を撫でながら「ありがとうございます。お世話になりました。」と言ってきた。

思わず固まってしまった。

たぶん その一瞬で ちゃんとした方だなーとか、撫でてる手を見てなんとなく苦労してる方なのかなと…勝手に思っていたりした。

「いえぃ、いいんです。時間あったので。おしっこ、間に合ってよかったです」

「…ああ。本当にすいません。ご迷惑をかけて」

「いやあの、私も、お、トイレ行きたかったし」

「…いえ、もし事故に遭っていたらと心配してたので、ほんとにもう。」

なんだか私の目というか胸が熱くなってきた。

泣くのは場違いなので、気を逸らそうと男の子の方を見て少し笑ってみた。よかったねーって気持ちで。



17 :1 ◆yq3nyLskLY :2012/03/23(金) 06:53:28.17 ID:1QAad3dBO
母親の腕の中で その子も私を見ていた。

すると母親の腕をほどくように抜けて、彼女を見上げながら その子が手を…というより指を動かした。

手話だ。

呆然と見ていると、母親が男の子から顔を上げてすぐに私を見て、優しい顔で笑った。

「ありがとう、て。」

え、と思い子供を見ると恥ずかしそうに地面に視線を落としてこっちを見ない。

何ていいか分からず、二人に向かってブンブンッと首を横に振って応えた。

「今度改めて お礼をしますので」

「ややややややや。いいです」

カ○ムーチョ食べたかっただけだし、財布すら忘れるバカだし豚だし。

どきまぎバクバクしていると、男の子が人懐こいけど恥ずかしそうな笑顔でわらって、母親から離れて私の前にやってくる。

おおう可愛いな、おい。

私の片手を掴んで自分の顔の目の前に持っていく、???え?って思ってると、肉厚のある手のひらで小さくて細い指が動いた。



18 :1 ◆yq3nyLskLY :2012/03/23(金) 07:14:19.45 ID:1QAad3dBO
私の手を掴んでいないもう片方の手のベビーウインナーのような人差し指で、私の手のひらに何かを描き始めた。

くすぐったさにこらえながら、子供の頃に友達の背中でやった文字当てクイズを思い出し、集中して文字を読み取ろうとした。

はにかみながらでも笑顔で描いてる姿がたまらなく可愛い。

一文字一文字大きく、片仮名で、

『ア リ ガ ト ウ』

最後にウって描いてる時にすでに私も微笑んでいた。

心がそうしたのか、思わず手を伸ばし、撫でることは出来なかったけど、ふわっと頭の上に手を置いてみた。

ほんの数秒だけど、小さな頭に日差しが当たって髪の毛が暖かかった。

「この子 何年生ですか?」と母親に向かって聞くと、2年ですと優しく笑って教えてくれた。

「…あ、もしかして○○学校ですか?」

この辺りから歩いて20分ぐらいの場所に、特別養護学校みたいなのがあったのを思い出して聞いた。

母親は二回ぐらい頷いてから、

「いつもは先生が引率するバスで帰らせるんですが、今日は夕方に病院へ行く予定でしたので。仕事が終わるまでお店の外で待たせていたんですが、急にいなくなって…」と困ったような子供を見る。


それを見ながら私の中の豚臭覚が働いて、あれ?と思い、そういえば見覚えがある軽の車と女性の顔を改めて見た。

私が唯一外出する場所だから、でも違うかな。

確証は無かったけど聞いた。

「もしかして いつもレジにいませんか?」

はい?という顔でこちらを見てくるので、恥ずかしくなってきて早口で言い直した。



20 :名も無き被検体774号+:2012/03/23(金) 07:28:34.37 ID:1QAad3dBO
「いつも私、お菓子買いに行くんですけど」

今度は逆に豚の全身を見られ、母親は はっとした顔になった。

「あっ… じ○がりこ …」

「え?」

「 じ○がりこ のこ、でしょ?」

と言われて、はーーぁうわと顔が汗が出そうなぐらい熱くなった。

今日はカ○ムーチョの気分だが、いつも当たり前のように その日の気分で選んだお菓子とは別にじゃがりこを添えてレジに出していた。

私の反応に母親も、あ、っという顔をして申し訳なさそうな表情になった。


コンビニの店員の間で、私の愛称= じ○がりこのこが確立していたとは…。

くっそはずかしいったらない

「 じ○がりこ 好きなんです(o^∀^o)」と満面の笑顔でいっておいた。

母親も微妙な顔で笑っていた。

その間、子供は静かに首を傾けて二人の顔を交互に除き込んで様子を見ていた。


21 :1 ◆yq3nyLskLY :2012/03/23(金) 07:34:41.80 ID:1QAad3dBO
色々開き直ってきた私は笑いながら、

「今日はカ○ムーチョ買おうと思ってたら財布忘れちゃって。急いで戻ってる時に、…会って。」

「あ、ごめんなさい、」と母親は今更ながらフルネームで男の子の名前を教えてくれた。

「○○○君って言うんだ?」と何故か慣れてきて笑顔で子供に話しかけた。


すると私に向かって、子供が短い手話で何かを伝えてから母親を見た。

「 たーくん って、呼んでくださいって」

「たー…」

恥ずかしくて呼びにくくって私は照れ隠しにハハーと笑った。

「もしよかったら あなたの名前も教えて」

「ああはい。私は○○○豚○といいます。」

母親は やわらかい顔で笑って頷くと、 たーくん に手話で一文字一文字私の名前らしき言葉を伝達してくれた。

たーくん もその指を見ながら同じ動きをして覚えようとしている。


それを見ながら、急にん?と気づいて慌てた。

「あの、病院に間に合いますか?」

「ええ、間に合うとは思いますけど、うん…そろそろ行こうか」

と母親が言うと たーくん も頷いた。


それでは、という感じで母親が丁寧に頭を下げるので私も返した。

最後に たーくん に笑顔で ばいばいとかしたかったけど、こちらを見ずに あっさりと車に乗り込む たーくん …。

運転席で もう一度頭を下げるお母さんと後部座席でランドセルを開けてる たーくん を見送って、二人にさよなら。


あ、カラムーチョと じ○がりこと思い立って じ○がりこ の申し子のような愛称を思い出してウオ"ーッと叫びたくなった。

そして覚悟を決めてよしっ!とコンビニへ足を向けて、おう財布財布っと家に戻ったのでした。



>>次のページへ続く
 
カテゴリー:いい話  |  タグ:泣ける話, ちょっといい話, ほのぼの,
 


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