ブタとチビの話
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96 :名も無き被検体774号+:2012/03/25(日) 10:58:13.78 ID:fl0ypG6TO
星って☆だよな
角が多いぞ・・・まぁ気持ちだよな。うん。。。
98 :1 ◆yq3nyLskLY :2012/03/25(日) 11:03:51.73 ID:Omu9vydwO
>>96
Oh, Yeah(´・@・`)
星って☆だよな
角が多いぞ・・・まぁ気持ちだよな。うん。。。
98 :1 ◆yq3nyLskLY :2012/03/25(日) 11:03:51.73 ID:Omu9vydwO
>>96
Oh, Yeah(´・@・`)
97 :1 ◆yq3nyLskLY :2012/03/25(日) 11:00:13.30 ID:Omu9vydwO
…いかんいかん、と涙を拭って切った電話をもう一度操作しておばさんに電話を掛けた。
おばさんは ちょうど出掛ける直前だったらしい。駐車場の車の中で電話を取ってくれた。
私がアルバイトで しばらく家にいないことは、事前にコンビニで会った時に おばさんに伝えていた。
たーくん もだから知っていたはずだった。
おばさんの声を聞きながら、私は涙が止まらなかった。
一人で住み込みの寮にいる寂しさもあったのかな。感情がダイレクトに湧き出ていた。
おばさんの話をまとめると、実は たーくん がうちに来たのは昨日だけでは無かった。
私が遠くで頑張ってるとお母さんから聞いていていたはずだけど、どうしても私に会いたい理由があった。
3日前、あのミニ公園の近くの路上の脇に(何故そんな所に〜)四つ葉のクローバーを見つけた たーくん 。
どうしてもどうしても私に伝えたくて、パートが終わって探しにきた
おばさんは私の家の門の辺りに座っていた。
ここにいないことを伝えてもなかなか動こうとしない…。
おばさんは たーくん の手に握られている四つ葉に気づいて、帰った後に小さいメモ帳に挟んで栞にするように教えた。
お姉ちゃんに会えるまで枯れないように、というと すぐに納得してそうしたようだった。
次の日、バスに乗らずにコンビニへも寄らずに また私の家に来たらしい たーくん 。
おばさんも薄々予感していたので、また たーくん を迎えに行った。
そんなことがあって、昨日母と遭遇したらしい。
のーーーん。胸がいてぇ。
またもやたまらないな…
「うーん…分かりました。この後、私メール送るので たーくんに見せてあげてください。」
後ほど私は、豚の笑顔(誰が喜ぶんだい!)と“良かったね”の文字を写メールで送った。
たーくん は次の日、私にもあげたくなったらしく四つ葉をもう一つ探しに行ってた、とのこと。
ブタさんいくつ心臓があっても足りないよ!
ありがとう。 たーくん 。
99 :名も無き被検体774号+:2012/03/25(日) 11:07:34.18 ID:CJ5IZghy0
涙出てきた(ノД`)
100 :1 ◆yq3nyLskLY :2012/03/25(日) 11:29:12.02 ID:Omu9vydwO
時間がどびゅんと飛んで、秋。
アルバイトも終了して小金がサクサク溜まっていた。気持ちにも余裕があった。
この頃から、私は自分からおばさんに言って、病院に行く日は たーくん を家でみてることにした。
なーんにもない自分だから ただ一つでも役に立てるなら嬉しかった。
四つ葉のクローバーは しっかり家の本棚の中にあるらしい。
私に一度見せてくれた後、もっと分厚い本に挟んだ方がエエよーとアドバイスしていた。
何となく胸に引っ掛かっていたことがあった。
たーくん の願いごと。
いつか自然に分かるといいなぁと思った。
だから もう少しお互いを知ろうと思った。
ある日 たーくん に将来の夢をたずねた。
学校に持って行ってるキャラクターのノートに たーくん は1ページいっぱいに絵を描いた。
それは私のと似ても似つかない、星、満天の星空だった。
☆←こういう形でなく、もっとひし形に小さく輝いてるような。プラネタリウムを作る人になりたいらしい。
いいな。と思った。
たーくん にとっていいなという意味と、ちょっと羨ましいという気持ちからだった。
私の中にすうっと風が通るような、一緒にいるだけで何か学んでいるような気がした。
101 :1 ◆yq3nyLskLY :2012/03/25(日) 11:57:46.51 ID:Omu9vydwO
最近 たーくん とおばさんは、週に2回ぐらいのペースで病院に行っていた。
つまり週に2回ぐらい たーくん はうちに遊びに来ていた。
数年前から、私が好きで集めていた絵本がある。
大人でも楽しめるタイプの絵本だった。
なかでも、台湾のジミーさんという方が描いた本が大好きだった。
何冊かある中で、2冊。
目が見えない女の子が地下の世界をさまよう『地下鉄』と、『ブルーストーン』青い石のお話。
地下鉄は私自身が苦しい時に読んでいた。
ブルーストーンは星ではないけど、宇宙や星を連想するようなお話だった。
たーくん とソファでその二つの絵本を一緒に見た。
『地下鉄』の少女は私の心そのものだった。
たーくん に《これは私だよ》と女の子を指差し、《 たーくんはこの綺麗な石だね》とブルーストーンを指差した。
大人しく覗き込んでいた たーくん は、静かに熱意のこもった目で絵本の絵を追いかけていた。
そんな顔を見ながら以前から思っていたことが、自然と頭をよぎる。
私は たーくん の中の、心の影のようなものが気になっていた。
もう聞いても大丈夫だろうか、失礼に当たらないだろうかと躊躇したが、聞こうと思った。
103 :1 ◆yq3nyLskLY :2012/03/25(日) 12:17:13.47 ID:Omu9vydwO
質問を訊ねた相手は おばさんだった。
おばさんの勤務時間が始まる前に、うちに寄って貰った。
何となく いつか私からそういう質問が来るだろう予想していた表情だった。
「どうして、病院に行かれるんでしょうか」
もうちょっと上手な聞き方もあっただろうと思ったけど、ぎこちなくこんな言い方をしてしまった。
少し間を置いてから、おばさんが話してくれた。
「父のお見舞いに行ってるの。最近は特に優れなくて…」
え?と思った。
私はてっきり、 たーくん の体に関することだと勝手に思い込んでいた…。
「それじゃ、いつもお見舞いに行ってたんですか?」
「ええ。あの子も父を慕ってるので…。でも最近行きたがらないんです」
「………」
「たぶん悪くなってるのをあの子なりに感じてるんだと思うんです」
ああ…、
何となく分かった、気がする。
あの小さい胸にどれだけの不安があったのだろう。
「 たーくん は、すごくいい子で…、私も頑張らなきゃっていつも思えて、だからあの」
お祖父さんはまだ元気だし、不謹慎だぞっと思ったけど、涙がぐ〜と込み上げてきた。
笑っていてほしい。だってすごい良い子だから。神様
私にも四つ葉があればいいのに。
私は今、誰か人のために泣いている。誰か人のために。
友達というのはこういうものか。
104 :1 ◆yq3nyLskLY :2012/03/25(日) 12:37:16.75 ID:Omu9vydwO
もう たーくん に確認することは無いと思った。
とにかく一緒にいる間は元気に遊ばせたい。
自らの人生にいまだ緊張感を持っていなかった私は、そうすることで自分の道から目を逸らしていたのかもしれない。
そんな善人じゃない。
何もしてあげられることなんてない。
貰ってるのはいつも私の方だったし。
「チャンネル変えるわよ」
母が言ってポチポチッとリモコンを押す。
わぁわぁ煩いバラエティから、N○Kニュース→教○テレビの手話ニュースに切り替わった。
最近何となく私が手話ニュースを見ているから、母もそうするようになってきた。
「ねぇ、何で私って馬鹿なんだろう?」
「脳に栄養が廻ってないからでしょ。そんなに食べておいて」
「ねぇ、何で私は耳が聞こえるの。そういうのって誰が選んでるのかな…」
と呟いたら思いっきし頭を叩かれた。
「軽々しく言うのはやめなさい。あなたも、他の人も、同じように生きてるのよ」
「…………頭回ってないね、私」
「いいじゃない、うんと悩んで苦しめば。今までそんなこともなかったでしょ!?」
「そうですね。うん」
もやもやもやもやしながら日々は過ぎて行った。
オセロとトランプのスピードで勝負するのが最近の たーくん との流行りだった。
たーくん は3年生になり豚も一つ歳を取った。
>>次のページへ続く
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