ブタとチビの話
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105 :名も無き被検体774号+:2012/03/25(日) 12:50:11.45 ID:aHeXaOjq0
いいかーちゃんだな
106 :1 ◆yq3nyLskLY :2012/03/25(日) 13:12:15.79 ID:Omu9vydwO
親が子を思う愛情も、男の人が女の人を愛する気持ちも いまいち分からない。
あの おしっこ事件から一年ぐらい経った時、いつもと違う出来事があった。
相変わらず お見舞いに行く日々は続いていたようだけど、ある日おばさんが迎えに来なかった。
たーくん と一緒にピノを食べながらテレビを見ていたら、インターホンが鳴った。
おじさんですって感じのおじさんが立っていた。
初めて見る たーくん のお父さんだった。
おばさんのいるコンビニに訊ねた後、私の家の名字と簡単な道筋を聞いてここまで来たらしい。
荷物をまとめて出てきた たーくん は、突然現れたお父様を他人のような目で呆然と見た後、照れ笑いをしながら靴に両足をさして飛び込んでいった。
…おおおう、何とも初めて見る 子供デースっていう たーくん の動きに驚いた。
おじさんは笑いながら たーくん の頭を片手で軽く触った。
でも たーくん に比べたら ちょっとあっけないというかなんというか(´・@・`)
そして背中に隠してた もう一方の手を出してお菓子の詰め合わせの入った大きな袋をかざした。
おお!☆ って私が喜んではいけない。
たーくん はクリスマスシーズンの玩具の会社のCMに出てくる子供のように、可愛くはしゃいでいた。
…んー、なんかあれだ。なんだろうかこの違和感は。なぬかがおかすくて、もやっとする。
じゃあねー、 たーくん !とこの頃お別れする時してたハイタッチをして、門の外で二人を送り出した。
おじさんに手を引かれて たーくん が早歩きで少し弾みながら付いていく。
何度も おじさんの顔を見上げている後ろを姿を見送って、家の中に戻った。
たーくん 身長伸びたなーー。
私の体重は増えもせず減りもせず食欲も減らない。
恐ろしいことに期間限定のバイトに味をしめた私は、また働きたくなったらでいいや〜と…
気付けば一年経ってもニートをしていた。
108 :1 ◆yq3nyLskLY :2012/03/25(日) 13:32:08.47 ID:Omu9vydwO
父といえば、我が家の父も定年退職をして日中家にいる事が多くなった。
たーくん のことはあらかじめ話していたので驚きはしなかったが、父には豚以外の人間の子供は未知生物に思えるらしく どう振る舞ってよいのかわからない様子。
たーくん は敏感に相手の気持ちが読める子だった。
ある日 台所の机で新聞を読んでいた父に、 たーくん が絵をプレゼントした。
「お父さん、こう!お礼、こうだから」
ありがとうの手話を たーくん の背後から父に伝えると、微妙に違うが なんとなくそれらしい手話をした。
小走りで居間に戻ってくる たーくん はちょっと誇らしげにニヤついていた。
父が新聞を読んでるふりをしながら じっーと見入ってるその絵には、大きな魚が一匹描かれていた
玄関の脇に置いてある道具を不思議そうに見ていた たーくん に、父が釣りをする道具だよーと教えたことがある。
かんなり前のことだった。たーくん はちゃんと覚えていた。
それから暫くして、父がさすらいの一人旅をして帰ってきた時、「坊やに…」ともみじ饅頭を私に渡してきた。
自分で渡せよ〜〜
あなたのコミュ力は確かに私が引き継いでいる。
いいかーちゃんだな
106 :1 ◆yq3nyLskLY :2012/03/25(日) 13:12:15.79 ID:Omu9vydwO
親が子を思う愛情も、男の人が女の人を愛する気持ちも いまいち分からない。
あの おしっこ事件から一年ぐらい経った時、いつもと違う出来事があった。
相変わらず お見舞いに行く日々は続いていたようだけど、ある日おばさんが迎えに来なかった。
たーくん と一緒にピノを食べながらテレビを見ていたら、インターホンが鳴った。
おじさんですって感じのおじさんが立っていた。
初めて見る たーくん のお父さんだった。
おばさんのいるコンビニに訊ねた後、私の家の名字と簡単な道筋を聞いてここまで来たらしい。
荷物をまとめて出てきた たーくん は、突然現れたお父様を他人のような目で呆然と見た後、照れ笑いをしながら靴に両足をさして飛び込んでいった。
…おおおう、何とも初めて見る 子供デースっていう たーくん の動きに驚いた。
おじさんは笑いながら たーくん の頭を片手で軽く触った。
でも たーくん に比べたら ちょっとあっけないというかなんというか(´・@・`)
そして背中に隠してた もう一方の手を出してお菓子の詰め合わせの入った大きな袋をかざした。
おお!☆ って私が喜んではいけない。
たーくん はクリスマスシーズンの玩具の会社のCMに出てくる子供のように、可愛くはしゃいでいた。
…んー、なんかあれだ。なんだろうかこの違和感は。なぬかがおかすくて、もやっとする。
じゃあねー、 たーくん !とこの頃お別れする時してたハイタッチをして、門の外で二人を送り出した。
おじさんに手を引かれて たーくん が早歩きで少し弾みながら付いていく。
何度も おじさんの顔を見上げている後ろを姿を見送って、家の中に戻った。
たーくん 身長伸びたなーー。
私の体重は増えもせず減りもせず食欲も減らない。
恐ろしいことに期間限定のバイトに味をしめた私は、また働きたくなったらでいいや〜と…
気付けば一年経ってもニートをしていた。
108 :1 ◆yq3nyLskLY :2012/03/25(日) 13:32:08.47 ID:Omu9vydwO
父といえば、我が家の父も定年退職をして日中家にいる事が多くなった。
たーくん のことはあらかじめ話していたので驚きはしなかったが、父には豚以外の人間の子供は未知生物に思えるらしく どう振る舞ってよいのかわからない様子。
たーくん は敏感に相手の気持ちが読める子だった。
ある日 台所の机で新聞を読んでいた父に、 たーくん が絵をプレゼントした。
「お父さん、こう!お礼、こうだから」
ありがとうの手話を たーくん の背後から父に伝えると、微妙に違うが なんとなくそれらしい手話をした。
小走りで居間に戻ってくる たーくん はちょっと誇らしげにニヤついていた。
父が新聞を読んでるふりをしながら じっーと見入ってるその絵には、大きな魚が一匹描かれていた
玄関の脇に置いてある道具を不思議そうに見ていた たーくん に、父が釣りをする道具だよーと教えたことがある。
かんなり前のことだった。たーくん はちゃんと覚えていた。
それから暫くして、父がさすらいの一人旅をして帰ってきた時、「坊やに…」ともみじ饅頭を私に渡してきた。
自分で渡せよ〜〜
あなたのコミュ力は確かに私が引き継いでいる。
109 :名も無き被検体774号+:2012/03/25(日) 13:45:25.92 ID:CJ5IZghy0
とうちゃんww
110 :1 ◆yq3nyLskLY :2012/03/25(日) 14:22:53.52 ID:Omu9vydwO
父と娘の関係は付かず 離れず、ベタベタしないのが我が家流だった。たーくん は それが気になるらしい。
三年生になって、遊ぶことより漢字や計算の宿題をやることが増えてきた。遊び足りなくて お姉さんはちょっと寂しい。
私の部屋のテーブルで宿題をしている たーくん の近くで、仕方ないので漫画を読むことにした。
時間を忘れて ときめいていると、いつの間にか たーくん が消えていた。
トイレかなー家の中で誘拐は無いし放っとこう(・@・´)
…と再び読みふけっていると、なぜか私の部屋に父がいた。大人になってから父を部屋に入れたことがない。
たーくん が何事も無かったように机に向かって、その真横に父が教師のようなウムムという顔で座っていた。
な、なんでここにいるの?と聞きたかったけど言えなかった。それぐらい父と娘は遠いのだよ たーくん 。
また別の日には、居間で何をしてたか忘れたけど私がぼーっとソファに座っていたら、台所から父を連れてきた。
そこまではいいが、あろうことか何故か父と私の手とり繋がせようと…した。
…やめんかいッ!とは言えずに ははははーと笑うしかなかった。
2人だけの時にチラシに《お父さんと仲良し。だから心配しないで》と書いて見せた。
しかし たーくん はいまいち納得してないご様子。
《ほんとだよ?》
疑わしげに首を傾げている…。
なんだよもう(´・@・`)
正直 私はハハハと呼んで母派なんだよ。いきなりパパハになるのは無理だよ〜
111 :名も無き被検体774号+:2012/03/25(日) 14:24:48.43 ID:Omu9vydwO
一旦昼寝します。
113 :名も無き被検体774号+:2012/03/25(日) 15:00:51.33 ID:aHeXaOjq0
乙
おやすみ〜
114 :名も無き被検体774号+:2012/03/25(日) 16:21:32.09 ID:BYS+HnwmO
なんつーほっこり話なんだ!続き楽しみにしてるよ!
117 :1 ◆yq3nyLskLY :2012/03/25(日) 21:52:49.86 ID:Omu9vydwO
秋頃になる。
たーくん が我が家に来る(つまりは お見舞いに行くのが)週に一度になり、二週間に一度になり、減って行った。
たまに来た時も、居間の たーくん がいつも座っていた場所に落ち着くなり、カバンから あのドラミちゃん色のお守りを出して装着していた。
忘れていたわけでないけれど、四つ葉もお守りも。
でも何となく… 必要としていない たーくん を見て安心していた。
当時家で してたと おばさんから聞いたことがあったが、実際にしてるのは あの2年生時以来だった。
実は たーくん は、友達や先生から見えないようなカバンの一番見えにくい所にずっと入れて持ち歩いていたらしい。
私がおばさんからお祖父さんの話を聞いてから、あえて見ないようにしてきた たーくん の不安な心がまた顔を出した。
四次元ブサイクポケットを首から下げたまま大人しく勉強をしている たーくん …。
おばさんの元に連れてく時間になっても、自分から立ち上がってすぐに行こうとしない。駄々をこねるわけではないけど、少しでも時間を遅らせたいようだった。
そんな態度からお祖父さんの具合が良くないのかもしれないと思っていた。でもおばさんには なかなか聞けなかった。
118 :1 ◆yq3nyLskLY :2012/03/25(日) 21:59:05.11 ID:Omu9vydwO
図々しいのだろうか。でも気になって心配でそうしたかった。
おばさんに自分も一緒にお見舞いに行きたいという旨を伝えた。
父と たーくん と大きめなシュークリームを食べながら、 たーくん のおじいちゃんに会っていいかなと台所のメモ用紙に書いた。
驚いたようにぱっと私を見て、少し間を空けて頷いてくれた。父の口の端にカスタードが付いていた。
…そんなこんなで病院の個室で眠っているおじいちゃんに会いに行った。
名俳優の平○満さんを20歳老けさせたような穏やかで少し頑固そうなおじいさんだった。
たーくん のためにプリンとタマゴボー○を用意していた。タマゴボー○懐かしや…。あれ嫌いな人っているのだろうか。
おばさんが私のことを紹介してくれた。
たーくん は首から下げたまま お守りをおじいさんに見せて、おじいさんも朗らかに笑ってお守りを触ってた。
すみません。それ作った犯人はこの豚です。
121 :1 ◆yq3nyLskLY :2012/03/25(日) 23:21:23.99 ID:Omu9vydwO
驚いたことにっと言ったら失礼だけれど、おじいさんは手話が出来た。
たーくん の指の素早さには叶わないけれど、しっかりとキャッチボールになっているようだ。
たーくん もおばさんに話す時より、大きく短めに伝えていた。やだいいこッ
私も図々しく頂いたおやつを二人で食べていると、そういえば おばさんの姿が無い。はて(´・@・)
あとで聞いてわかった話だが、この時 おばさんは電話を掛けに行っていた。たーくん のお父さんに。
私と出会った頃からすでに、病院に来る度に たーくん は お母さんにお願いをした。
お父さんに電話を掛けて、と。いつもそうやって頼むのだそうだ。
でもワガママを言う感じでは無くて、“そういう時のあの子の顔がいつも本気なのよ。だから私も断れない”とおばさんは言う。
先に言っちゃうとね、おじいちゃんは この冬に亡くなるんだよね。
たーちゃんの心に秘めた願いは、この時までに叶えてあげたかった。
それが私とおばさんの願いでもあった。
122 :名も無き被検体774号+:2012/03/25(日) 23:32:07.49 ID:6WJR/jIm0
('A`)ああ
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