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中学時代の仲間でかけがえのない人が出来た話
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10 :前々スレ846:2005/04/05(火) 00:08:39 ID:zH9U4+GC
「お元気ですか? あなたが日本を出てからミカたちは少し寂しがっているようです。

誰宛でもいいから、たまには手紙でもください。その時はイギリスの写真など添えてもらえるとありがたいです。

イギリスの生活は慣れましたか?きっと食べ物に困ってるだろうなと、考えていました。

高志は「あいつは好き嫌いないから大丈夫だろう」と言ってましたが、大丈夫ですか?

あまり、カロリーの高い物を食べ過ぎて太ったりすることの無いように、食生活には気を付けてね。

また手紙書きます。それでは・・・。


追伸 出発の日と住所くらい教えてください。お姉さん怒ってましたよ。」

(原文ママ)


手紙を貰うということが、あまりなかったから素直に嬉しくて すぐに返事を書いた。

写真は無かったので、衛兵が写っている絵はがきを無理矢理封筒に押し込めた。

手紙だけの交流だと、なんだかみんな普通の状態に戻れたような気がして少し安心した。


それから帰国まで何度か手紙の交換が続いた。

そして、直美ちゃんのことを真剣に考えようとしていた。

つづく



21 :前々スレ846:2005/04/05(火) 23:42:23 ID:nwKDfgWo
仕事を終えてアパートに帰る。そして、郵便受けを必ずチェックするのが習慣になっていた。

その日は残念ながら手紙は入っていなかった。


直美ちゃんからの手紙を何度も読み返していた。

その時点で直美ちゃんとつき合ってもいいような気になっていた。

しかし、まだ真相を掴んだわけでは無かったから、毎日その気持を押し殺して仕事に行っていた。


そして次の手紙が届いた。

恥ずかしくて ここには書けないような内容が記してあった。

会いたくて会いたくて どうしようもなかったこと、布団の中で泣いてしまったことや、バイクで走れなくなったことが丁寧な字で書かれていた。

そこまで想ってくれているのは有り難かった。手紙ではあるけど、今までそれだけ人に好かれたことがなかった自分は嬉しかっった。

だからといって、OKの旨の返事を書こうとは思わなかった。もう少し時間を取ってじっくり考えてみたかったからだ。

つづく



22 :前々スレ846:2005/04/05(火) 23:45:14 ID:nwKDfgWo
ベッドの中で考えた。

直美ちゃんは大好きだし、直美ちゃんも俺のことを大好きだと言ってくれた。

普通ならそれで相思相愛になり 話は進んでいくのだろうけど、腑に落ちない点があった。


高志のことだ。彼は明るく快く送り出してくれたが、直美ちゃんの事は一つも触れなかった。

だから、彼自身が直美ちゃんを今どう思っているのも分からなければ、俺のことをどう思っているのかも分からなかった。

とにかく、高志に一度手紙を書こうと思った。


疲れていたので そのまま眠った。

外からは、車の走る音や、バイクの走る音が聞こえてくる。バイクのエンジン音を聞いて、一人車種を予想してみたりした。

いつしか、バイクに乗りたくてたまらなかった。

いずれ日本い帰ったら、直美ちゃんとツーリングにでも行きたいな、と考えるようにまでなっていた。

つづく


--------------------


150 :前々スレ846:2005/04/13(水) 23:30:13 ID:ZurQZAdk
>>22からの続き

連休で何もすることもなくテレビを見ているときだった。

ふ、と高志への手紙のことを思い出した。仕事へ逃げてすっかり忘れさせていた。

テレビを消してすぐに近くの、文房具屋へ走り便せんと封筒を買ってきた。


じっくりと、考えてペンを動かす。考えては書いて、考えては書いての繰り返しだ。

近況や、生活のことを書いた。食生活も問題なく、言葉の問題も徐々に解消されてきていることを書いた。

そして、直美ちゃんのことも もちろん書いておいた。

直美ちゃんをどう思っているか、俺が直美ちゃんとつき合うことになったらどう思うか?そんなことを延々と便せん4枚に綴った。

気付くと、すっかり夕方になっていた。

寝てからご飯を食べようと思いベッドに入った。


寝てから何時間かして、電話が鳴った。同僚に晩ご飯を誘われたので、でかけた。

地下鉄に乗っていると、仲の良さそうなカップルが、二人で新聞を読んでいた。

それを見て少しだけ、羨ましくなった。

そのカップルに自分と直美ちゃんを重ねて見ている自分が少し恥ずかしくなり、壁に貼ってある広告を読んでごまかした。

つづく



153 :前々スレ846:2005/04/13(水) 23:44:12 ID:ZurQZAdk
高志から手紙が来た。

破いたノートに汚い字で3枚書いて送って来た。急いで読もうとしたが、インクが滲んでいてなかなか読みにくかった。


「直美のことは、もう終わったことと考えている。

だから、お前が直美とつき合おうとつき合うまいと俺のことは気にしないで欲しい。

俺も直美のことが好きで告白してつき合った。

だけど、振られて別れた。

それは素直に、俺が彼女を引き留められるだけの魅力が無かったからだと思っている。

なんとなくだけど、お前と直美が一緒にくっついたほうが似合うような気がする。

直美と幸せになってくれよ。


ちなみに、俺は新しい彼女とつき合うことになった。

今度こそ振られないようにしたい!!」


(抜粋 読みやすいように編集したもの。プライバシーもあるのでご理解願います))


もう彼女がいる事に少し驚いた。

前半で書いてあることを読む限りでは真摯な気持で書いてあったが、最後に書かれてある部分が引っかかった。

別れた後、すぐに他の女性とつき合えるものだろうか?

そう思うと、なんだか高志の印象が心の中でどんどん悪くなっていった。

嫌になり手紙を、机の中にしまいベッドに潜り込んだ。

つづく



154 :前々スレ846:2005/04/13(水) 23:58:18 ID:ZurQZAdk
寝ていると、ふいに電話が鳴り出して飛び起きた。

「今日はゆっくり休んでくれ。朝まで働かせて悪いな」

それを聞いて安心した。時刻は出勤予定の12時を回っていたからだ。


高志が新しい彼女とつき合うことに関しては、ベッドの中でゆっくりと考えて結論を出していた。

彼自身の事だから余計な詮索はしないことにして、これからも彼と友人としてつき合っていこう。そう思った。


予定にない休みだったから、何をするわけでもなくテレビを呆然と見ているだけだった。

冷蔵庫から、見たこともないような怪しいコーラを取り出して飲んだ。あまり美味くなかった。

飲み慣れた日本のコーラと味が違うからか、それとも高志の事が引っかかって美味しくないのかよく分からなかった。

とにかく、それを全部飲んで、出かけることにした。


文房具屋に立ち寄ってみた。何となく消しゴムを買おうと思い消しゴム2コを手に取り、レジに行こうとしたら、ピーターラビットのしおりが目にとまった。

直美ちゃんに送ろうと思い、違うものを2枚買った。

つづく

ちょっと、商品発送のトラックきたみたいなのでもう少ししたらまた書きます。



155 :774RR:2005/04/14(木) 00:00:19 ID:tGfy5xFv
GJ!


159 :前々スレ846:2005/04/14(木) 00:29:05 ID:jzbQL6Lk
直美ちゃんから手紙が届いた。

内容は、いつも通りに最近の出来事や、面白かった本の話だった。

俺が知らないことを必死になって伝えてくれてるような節がいくつかあった。

俺のことを気に留めていてくれてるんだなぁ、と思い一人で笑ってしまった。


そしてまた、俺も机から筆記用具と封筒と便せんを取り出して手紙を書いた。

もちろんピーターラビットのしおりも同封しておいた。


ミカちゃんや久志からも手紙が数通届くようになった。

返事を返すのが大変だったが、その大変さがまた心地いいものだった。

もちろん高志からも、相変わらず汚い読みづらい文字で手紙が届いていた。

便せんと封筒をいくつも使うので、文房具屋に行く回数も増えた。

文房具屋のお姉さんが、不審そうな顔で

「いつも買ってもらって本当にありがたいんだけど、そんなに何に使うの?」と聞かれるようになってしまった。

いつも買ってもらってるお礼よ、とボールベントノートを一冊もらった。

つづく



>>次のページへ続く
 
カテゴリー:男女・恋愛  |  タグ:青春, すっきりした話,
 


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