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中学時代の仲間でかけがえのない人が出来た話
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390 :サボテン:2005/05/24(火) 00:28:28 ID:y8/uDIXL
空港に着いて、まだ少し時間があったから喫茶店で少し休んだ。
「来る時はワクワクしながら空港の中歩いてたけど、帰りはやっぱり辛いよね」
直美ちゃんはアイスティー(ミルク?)を飲みながらポツリとつぶやいた。
「だよね。修学旅行で帰るときの雰囲気と似てるよね」
俺が話すと、直ちゃんは「あぁ、分かる分かる!」と元気になった。
それから少し修学旅行の話をしていた。
そして、喫茶店を出た。出たところで直美ちゃんが俺の手を引っ張って言った。
「ねぇ、ここで別れよう。なんか、最後まで二人でいると泣き出しちゃいそうだから・・・」と、もう今にも泣きそうな顔だった。
俺は最後まで見送ろうと思っていたが、俺も涙がこぼれてきそうだった。
「わかった。それじゃ、気を付けて帰ってね。今度は日本で会おう。」
出来るだけ泣かないようにと思ったが、ポロリと流れてしまった。
「泣かないでよ、私も泣いちゃうから」と直美ちゃんは手で目を押さえた。
俺はトランクを床に置いて直美ちゃんを抱きしめた。
そしてキスをした。
人目は気にならなかった。外国だということもあっただろうが、本当に他はどうでも良かった。
「じゃ、日本でね。手紙書くから。バイバイ!」
最後に直美ちゃんは笑顔を見せてくれた。
俺も、笑顔で見送った。
つづく
391 :サボテン:2005/05/24(火) 00:28:50 ID:y8/uDIXL
さっきまで、二人で歩いてきた道を、今度は自分一人で歩いていた。
確かに寂しかったが、日本で会えると思うとそうでもなかった。
外は雨が降っているらしかった。売店で傘を買って外に出ると、結構強く降っていた。
今度は相合い傘もいいかな。と、一人にやけた。にやけながら歩いていると、ふと空しくなった。黙々と歩いた。
むなしさをかき消すように、ばしゃばしゃと水たまりも関係なく歩いた。
途中で、どうでもよくなり傘をゴミ箱に捨てて、濡れながら帰った。
アパートに帰り、ぐしゃぐしゃのまま部屋に入った。やはり、傘を差せば良かったな、と思いシャワー浴びた。
シャワールームの片隅に、見たことのないシャンプーが置いてあった。
直美ちゃんが忘れていったものだった。それを見てまた寂しくなり、やけどをするくらい熱いシャワーを浴びた。
シャワーから出ると、暑くて喉が渇いた。
普段口にすることの無いビールを冷蔵庫から取り出して一気に流し込んだ。
すぐに、脈拍が上がり息が苦しくなる。それもかまわず、また一口飲み込んだ。
苦さに耐えられず、一人顔を歪ませていた。
気付くと、部屋はすっかり真っ暗になっていた。
時計は夜の9時半になっていた。酔い潰れてパンツ一枚で寝転がっていた。
明後日から仕事なのに、俺は何をしているんだろう?そう思いながら、Tシャツを着て机に向かい、日記帳を開いた。
昨日までは楽しいことが書かれていが、その日は寂しさを書かなければならなかった。
それでも、意外にすらすらと書けるもので、ページは3ページになっていた。
日記帳を閉じて、ベットに潜り込んだ。今日の朝まで直美ちゃんが寝ていたベットに入ると、直美ちゃんのぬくもりを感じようと布団を抱きしめてみた。
情けないことに匂いまでかいでしまった。
そして、直美ちゃんのぬくもりを探しながら眠った。
つづく
空港に着いて、まだ少し時間があったから喫茶店で少し休んだ。
「来る時はワクワクしながら空港の中歩いてたけど、帰りはやっぱり辛いよね」
直美ちゃんはアイスティー(ミルク?)を飲みながらポツリとつぶやいた。
「だよね。修学旅行で帰るときの雰囲気と似てるよね」
俺が話すと、直ちゃんは「あぁ、分かる分かる!」と元気になった。
それから少し修学旅行の話をしていた。
そして、喫茶店を出た。出たところで直美ちゃんが俺の手を引っ張って言った。
「ねぇ、ここで別れよう。なんか、最後まで二人でいると泣き出しちゃいそうだから・・・」と、もう今にも泣きそうな顔だった。
俺は最後まで見送ろうと思っていたが、俺も涙がこぼれてきそうだった。
「わかった。それじゃ、気を付けて帰ってね。今度は日本で会おう。」
出来るだけ泣かないようにと思ったが、ポロリと流れてしまった。
「泣かないでよ、私も泣いちゃうから」と直美ちゃんは手で目を押さえた。
俺はトランクを床に置いて直美ちゃんを抱きしめた。
そしてキスをした。
人目は気にならなかった。外国だということもあっただろうが、本当に他はどうでも良かった。
「じゃ、日本でね。手紙書くから。バイバイ!」
最後に直美ちゃんは笑顔を見せてくれた。
俺も、笑顔で見送った。
つづく
391 :サボテン:2005/05/24(火) 00:28:50 ID:y8/uDIXL
さっきまで、二人で歩いてきた道を、今度は自分一人で歩いていた。
確かに寂しかったが、日本で会えると思うとそうでもなかった。
外は雨が降っているらしかった。売店で傘を買って外に出ると、結構強く降っていた。
今度は相合い傘もいいかな。と、一人にやけた。にやけながら歩いていると、ふと空しくなった。黙々と歩いた。
むなしさをかき消すように、ばしゃばしゃと水たまりも関係なく歩いた。
途中で、どうでもよくなり傘をゴミ箱に捨てて、濡れながら帰った。
アパートに帰り、ぐしゃぐしゃのまま部屋に入った。やはり、傘を差せば良かったな、と思いシャワー浴びた。
シャワールームの片隅に、見たことのないシャンプーが置いてあった。
直美ちゃんが忘れていったものだった。それを見てまた寂しくなり、やけどをするくらい熱いシャワーを浴びた。
シャワーから出ると、暑くて喉が渇いた。
普段口にすることの無いビールを冷蔵庫から取り出して一気に流し込んだ。
すぐに、脈拍が上がり息が苦しくなる。それもかまわず、また一口飲み込んだ。
苦さに耐えられず、一人顔を歪ませていた。
気付くと、部屋はすっかり真っ暗になっていた。
時計は夜の9時半になっていた。酔い潰れてパンツ一枚で寝転がっていた。
明後日から仕事なのに、俺は何をしているんだろう?そう思いながら、Tシャツを着て机に向かい、日記帳を開いた。
昨日までは楽しいことが書かれていが、その日は寂しさを書かなければならなかった。
それでも、意外にすらすらと書けるもので、ページは3ページになっていた。
日記帳を閉じて、ベットに潜り込んだ。今日の朝まで直美ちゃんが寝ていたベットに入ると、直美ちゃんのぬくもりを感じようと布団を抱きしめてみた。
情けないことに匂いまでかいでしまった。
そして、直美ちゃんのぬくもりを探しながら眠った。
つづく
392 :サボテン:2005/05/24(火) 00:31:52 ID:y8/uDIXL
こんばんわ。間を空けてしまい申し訳ないです。友人が亡くなったので葬式の準備や色々と忙しかったものでなかなか書けませんでした。
きょうはここまでです。
おやすみなさい。
--------------------
493 :サボテン:2005/06/02(木) 01:09:31 ID:jlIyNW40
>>391からの続き
朝起きると、まだ雨が降っていた。
二日酔いで頭が痛かった。飲めもしないアルコールを無理に煽った結果がこれだ。
二度とビールは口にしないと、心に決めつつシャワーを浴びる。
直美ちゃんの置いていったシャンプーが目にとまり、そのシャンプーを使わせてもらった。
直美ちゃんの風呂上がりの時の、いい香りと同じ香りがした。少しニヤニヤしながら髪をガリガリと洗った。
シャワーを浴びて、喉が渇いた。冷蔵庫を開けると、水しかなかった。取りあえず、それを一気に飲み下した。ふーっと、大きく吐いた息にはため息も少し混じっっていたような気がした。
テレビを付けると、乳幼児の育て方のような番組が流れていた。
いつかは・・・、と妄想が始まった。立派な家に、広い庭。そして、俺と直美ちゃんと、その子供・・・。
そんな妄想をしていたが、プツリとそれは切れてしまった。楽しい妄想の変わりに、直美ちゃんがいないという寂しい現実に戻っていた。
何をするわけでもなく、何となくテレビをぼーっと見ていた。そんなことをしていると、あっという間に昼になっていた。
取りあえず、外に出てみた。
外はまだ雨が降っていて、歩道のところどころに水たまりが出来ていた。構わずそれを踏んで歩いてみる。
傘を差してはいたが、あっちの方向に傘をさしていたから、あまり役には立たなかった。
でも、日本に帰れば毎日のように会えるんだよな、大好きな直美ちゃんと大好きなバイクで一緒に走れるんだよな。
歩いていると、何となく前向きな考え方ができていて、笑いながら歩いている自分がいた。
そして、ずぶ濡れのままスーパーで買い物をした。
つづく
494 :サボテン:2005/06/02(木) 01:10:11 ID:jlIyNW40
ひとりカートを押しながら、スーパーの中を歩いていると直美ちゃんと買い物をしたときのことを思い出した。
あぁ、日本でもああやって一緒に買い物できるだろうか。
そう思いながら、色々とカートに商品を入れていく。
そう言えば、いつか日本で、高志と直美ちゃんが買い物をしてる時にバッタリ会ってしまったことを思い出した。
それを考えると少し複雑な気分になったが、考えても仕方ないと思い、そのまま、忘れてフリをして買い物を続けた。
スーパーから出ると、雨は少し小降りになっていた。傘を少し横にずらしてさした。ずらした空間には、妄想で生まれた直美ちゃんがいる。
そして、自分の脳内では、相合い傘をしながら二人で話していた。
情けなく思ったが、自分に忠実になろうと、訳の分からない決心をしていた。
そのまま、妄想で生まれた直美ちゃんと歩きながら部屋に戻った。
そして、一気に現実に戻り、また鬱な空気に包まれた。
スーパーの袋から、ジュースを取り出して、コップに注がずそのまま飲んだ。少し、スッキリしたが歩き疲れたのかそのまま寝てしまった。
起きると夕方の5時半。外は雨はやんでいたが曇っていた。よく眠ったおかげでスッキリした。
今度直美ちゃんに手紙でも書こう。そう思いつつ、夕食の準備をした。
準備と言っても、出来合いのものを火にかけて温めるだけだ。それを食べながら、明日から再開する仕事の準備をした。
一通り準備はできた。
机に向い、いつもの日記を書いた。自分の妄想をニヤニヤと書き込んでおいた。
明日に備えて寝ることにした。
スーパーの帰り道と同じように、ベッドの横は少しだけスペースを残しておいた。
直美ちゃんのためのスペースだった。
つづく
495 :サボテン:2005/06/02(木) 01:10:37 ID:jlIyNW40
次の日はカラリと晴れた。
なんだか気分が良くて、自転車を飛ばす。渋滞する遅い車を次々と追い抜いていく。バイクに乗った気分で走る。
店に入り、いつもより でかい声で元気よく挨拶する。みんな、キョトンとしていた。
「休みはどうだったい?日本から友達でも?」と聞かれ、直美ちゃんのことを話した。
「なぜ俺にも知らせなかったんだ?君の恋人なのか?」と聞かれ、恥ずかしながら頷いた。
「お前は、今日残業だ!」
同僚はニヤニヤと笑いながら、俺を小突いた。
それに俺もニヤニヤと笑って答えた。
その日の仕事は、いつもよりスムーズに進んだ。いいアイデアも浮かんだ。なんだか、直美ちゃんが来てから自分が少しだけ変ったような気がした。
昼食を食べていると、同僚達が直美ちゃんのことをもっと聞かせろと俺に詰め寄ってきた。
「写真はもってないの?見せてよ」と言われ、仕方なく財布から一枚取り出して見せると、みんなからポカポカと叩かれた。嬉しかった。
仕事が終り、また自転車をすっ飛ばして帰った。
大家のおばさんに元気よく挨拶して、部屋に入った。
おもむろに、CDをかけた。Room335が流れてくる。やはり明るい気分の時に聞きたい曲だ。以前は、曲と正反対の状況で聞いたが、今回は違った。
ゆっくりとボリュウムを上げる。部屋一杯に音が響いた。
隣の黒人の女性が、「もう少し静かにしてよ」と苦情を言いに来た。素直に謝ったが、心はウキウキ気分のままだった。
しばらくの間、明るくて楽しい、メリハリのある生活が続いた。
つづく
>>次のページへ続く
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