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中学時代の仲間でかけがえのない人が出来た話
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717 :サボテン:2005/06/11(土) 01:16:50 ID:64GPaWu9
>>646からの続き
とうとう出発の日がやってきた。
待ちに待ったと言うのもおかしいのだが、とにかく直美ちゃんに早く会いたかったから楽しみではあった。
部屋を少し掃除して、寝袋をアタックザックに詰めて荷物を一つにまとめた。
部屋はカーテンも全て取りはらったから、日が差し込んでいた。
その日の差し込み具合と、ガランとした部屋を見るとなんとも虚しい気持に襲われた。
直美ちゃんがくれたシャツに着替えてみる。今の自分はこのシャツを着るのが一番好きだった。
それを鏡で見てひとり満足した。
結局出発まで部屋でぼーっと過ごした。
イギリスでの出来事を、思いだそうとしたが、何だか鬱な気持になりそうだったのでやめた。
ふと、自分のバイクのことが気になった。一応、長期保存に備えた整備をしてきたつもりだが心配だった。
でも、それを直すのもまた楽しみだろうなと思い、自分のバイクを思った。
昼を過ぎた。
やることがなかったので、お隣さんに挨拶してこようと思い、部屋の外に出た。
お隣さんの部屋をノックすると、黒人の女性が出てきた。
「今日、日本に帰ることになりました。お世話になりました」と、とっておきの、ごはんですよをプレゼントした。
「そう、あまりおつき合いは無かったけど気をつけて帰ってね」と握手してくれた。
もう隣に行く、中から出てきたのは普通の学生風の青年だった。何度か見たことはあるけど、話したことはなかった。
「今日、日本に帰ります。お世話になりました」
そう言うと、彼は片言の日本語で話し始めた。
「ニホンに帰りますか?あなた話したかったけど、なかなかむりでした。今度日本行きますから、その時話ましょう」と、笑顔でハグしてくれた。
そして、紙切れに名前と住所を書いた物をお互い交換した。
永谷園のお茶漬けをプレゼントしたら、えらく感激していた。
以前、日本で食べたことがあるらしい。
これもイギリスでの忘れられない思い出だった。
つづく
718 :サボテン:2005/06/11(土) 01:17:10 ID:64GPaWu9
そんなことをしているうちに、時間はもう空港に向かわなければならない時間になっていた。
アタックザックを背負い、トランクを片手に部屋を出た。
そして、鍵を差し込み錠を掛けた。
ふーっと息を吐いて、階段を下りる。
そして、大家さんの部屋に行き、鍵を返した。
「飛行機の中で食べて」とお菓子をもらった。お礼をして、外に出ると暑かった。
チューブに乗り空港に行くと、同僚らが待っていてくれた。
そこで、本当に最後の別れをした。
みんな涙を流しながら、別れを惜しんだ。
イギリスでの期間は短かったけど、みんな親友だ。
「ナオミによろしくね!」と、一人が言った。
俺はそれに、答えてその場を去った。
つづく
719 :サボテン:2005/06/11(土) 01:17:32 ID:64GPaWu9
飛行機に乗ってしばらく外を眺めていた。直美ちゃんのいる日本に向かってるんだなぁ。
そう思うと、元気が少し出てきた。
バッグから、銀河鉄道の夜を取り出して読み始めた。何度も読んだが、この話はとても好きだった。
食事の時、いくらかウィスキーを飲んだせいか、ぽーっと顔がほてっているような気がした。
何か音楽でも、と思い備え付けのヘッドフォンをしてチャンネルを回してみるが、どれもつまらなかったのでバッグからMDを取り出して聴いた。
いつも聴いている曲だったが、飽きもせず聴いた。
オリヴィア・ニュートン-ジョンのフィジカルが流れてくる。
確か直美ちゃんに聴かせたら、とても気に入った曲だった。この曲を聴くとなんだか、エロい気分になると言っいたのを思い出した。
確か、この曲のPVがそれっぽい作りらしくて、とてもエロチックだと言っていたことを思い出した。
思いだした自分もなんだか、妙な気分になり曲を飛ばした。
ろくな曲も無くヘッドフォンを外したら、隣のイギリス人男性がMDを聴かせて欲しいというので、MDを貸した。
とにかく、やることがない。映画が始まっていたが、これがまたつまらない。せっかく機内上映なんだから、エアポートシリーズとかタービュランスでも、と不謹慎なことを考えていた。
少し寝ていたようで、アテンダントがブラケットを掛けてくれていた。
そのまま寝ようと思ったら、隣のイギリス人男性がMDを返してきた。
お礼にと、ガムと何故かウェットティッシュをくれた。
そのまま、寝ようとしたがイギリス人男性がしきりと話かけて来るので眠れなかった。
そして、彼は勝手に寝てしまった。
高志と最初に会ったら何と言おうか。窓から見える真っ暗な空を見ながら考えた。
また、仲が割れてしまうようなことは絶対に避けたかった。
色々考えたが、結局は高志と会ったときに、状況で判断しようと言うことにした。
直美ちゃんは、俺とつき合うことを快諾してくれたし、高志も手紙では何とも思っていないといった感じで書いてあったが、高志本人を目の前にして話さないと納得できなかった。
結局、色々と考え事をしていて眠れなかった。
そして、日記を書いて取りあえず横になった。
つづく
720 :サボテン:2005/06/11(土) 01:18:16 ID:64GPaWu9
結局 数時間しか眠れないまま成田に到着。午後の3時過ぎでとても暑かった。
色々と面倒な手続きを終えて、国内線ターミナルに向かった。
あと1時間足らずで故郷に帰る。
向こうに着けば、空港では直美ちゃんが待っている。
公衆電話で直美ちゃんに電話することにした。
「もしもし」と、聞き慣れた声が聞こえてくる。この声がとても聞きたかった。
「今、成田に着いたよ。あともう少しで そっちに着くよ。1時間かからないかもしれない」
興奮して、かなり噛んだと思う。とにかく嬉しかった。
「もう、空港で待ってるよ。お姉ちゃんにも電話してあげてね」と言われた。
最近 直美ちゃんのことで頭が一杯で、自分に姉がいることをすっかり忘れていた。
そう言えば、向こうにいるときも手紙を何通か交わして、用があるときだけ数回電話しただけだった。
急ぎ電話した。
姉より直美ちゃん、と思いたかったが唯一の近親者ということを考えると、やはりほっとけなかった。
「今成田着いた」直美ちゃんと電話したとき比べると、素っ気ない自分に気付いた。
「直美ちゃんが迎えに行ってくれるって言ってたから任せちゃった。お寿司とってあるから、直美ちゃんと一緒に家に来て」
と、姉はそれだけ言うとガチャリと電話を切った。
つづく
721 :サボテン:2005/06/11(土) 01:18:39 ID:64GPaWu9
飛行機に揺られ一時間弱。やっと故郷の空港に着いた、懐かしい匂いがするとか、そんな感じはなかったが空から見る、青々とした田んぼや畑を見るとやはり懐かしく思った。
荷物を受け取って、ロビーに向かうと直美ちゃんが待っていた。
あたりをキョロキョロして、俺を探してるようだった。
気付かれないように横から回り込んで、いきなり「ただいま」と声をかけたら、びっくりして こっちを振り向いた。
「驚かさないでよ!もう、お帰り!」元気そのものだった。
明るい笑顔が、以前にも増して明るかったような気がした。
その場で抱き合って再会を喜んだ。
この瞬間をどのれほど待ったか。
会いたくて会いたくて仕方なかった直美ちゃんに、やっと会えた。
そして手を繋ぎ外へと二人は歩き出した。
横では直美ちゃんが笑顔でハンドルを握っていた。
横から見ると、また違った表情が見ることが出来て新鮮だった。
「飛行機は混んでいた?」と直美ちゃんが聞いてきた。
「ヒースロー発は結構混んでたみたいだけど、そんなに ごちゃごちゃ混んでる訳ではなかったよ」
俺は、真っ直ぐ流れる道路を見ながら答えた。
直美ちゃんの顔を見て話したかったが、会ったばかりでちょっと恥ずかしかった。
「いやぁ、でもやっと会えたねぇ〜、本当に会いたかったよ」と直美ちゃんはポツリと答えた。
「俺も会いたくて会いたくて どうしようもなかったよ」
そう答えると、直美ちゃんは左手で俺の肩をポンポンと叩いてニヤっと笑った。
つづく
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>>646からの続き
とうとう出発の日がやってきた。
待ちに待ったと言うのもおかしいのだが、とにかく直美ちゃんに早く会いたかったから楽しみではあった。
部屋を少し掃除して、寝袋をアタックザックに詰めて荷物を一つにまとめた。
部屋はカーテンも全て取りはらったから、日が差し込んでいた。
その日の差し込み具合と、ガランとした部屋を見るとなんとも虚しい気持に襲われた。
直美ちゃんがくれたシャツに着替えてみる。今の自分はこのシャツを着るのが一番好きだった。
それを鏡で見てひとり満足した。
結局出発まで部屋でぼーっと過ごした。
イギリスでの出来事を、思いだそうとしたが、何だか鬱な気持になりそうだったのでやめた。
ふと、自分のバイクのことが気になった。一応、長期保存に備えた整備をしてきたつもりだが心配だった。
でも、それを直すのもまた楽しみだろうなと思い、自分のバイクを思った。
昼を過ぎた。
やることがなかったので、お隣さんに挨拶してこようと思い、部屋の外に出た。
お隣さんの部屋をノックすると、黒人の女性が出てきた。
「今日、日本に帰ることになりました。お世話になりました」と、とっておきの、ごはんですよをプレゼントした。
「そう、あまりおつき合いは無かったけど気をつけて帰ってね」と握手してくれた。
もう隣に行く、中から出てきたのは普通の学生風の青年だった。何度か見たことはあるけど、話したことはなかった。
「今日、日本に帰ります。お世話になりました」
そう言うと、彼は片言の日本語で話し始めた。
「ニホンに帰りますか?あなた話したかったけど、なかなかむりでした。今度日本行きますから、その時話ましょう」と、笑顔でハグしてくれた。
そして、紙切れに名前と住所を書いた物をお互い交換した。
永谷園のお茶漬けをプレゼントしたら、えらく感激していた。
以前、日本で食べたことがあるらしい。
これもイギリスでの忘れられない思い出だった。
つづく
718 :サボテン:2005/06/11(土) 01:17:10 ID:64GPaWu9
そんなことをしているうちに、時間はもう空港に向かわなければならない時間になっていた。
アタックザックを背負い、トランクを片手に部屋を出た。
そして、鍵を差し込み錠を掛けた。
ふーっと息を吐いて、階段を下りる。
そして、大家さんの部屋に行き、鍵を返した。
「飛行機の中で食べて」とお菓子をもらった。お礼をして、外に出ると暑かった。
チューブに乗り空港に行くと、同僚らが待っていてくれた。
そこで、本当に最後の別れをした。
みんな涙を流しながら、別れを惜しんだ。
イギリスでの期間は短かったけど、みんな親友だ。
「ナオミによろしくね!」と、一人が言った。
俺はそれに、答えてその場を去った。
つづく
719 :サボテン:2005/06/11(土) 01:17:32 ID:64GPaWu9
飛行機に乗ってしばらく外を眺めていた。直美ちゃんのいる日本に向かってるんだなぁ。
そう思うと、元気が少し出てきた。
バッグから、銀河鉄道の夜を取り出して読み始めた。何度も読んだが、この話はとても好きだった。
食事の時、いくらかウィスキーを飲んだせいか、ぽーっと顔がほてっているような気がした。
何か音楽でも、と思い備え付けのヘッドフォンをしてチャンネルを回してみるが、どれもつまらなかったのでバッグからMDを取り出して聴いた。
いつも聴いている曲だったが、飽きもせず聴いた。
オリヴィア・ニュートン-ジョンのフィジカルが流れてくる。
確か直美ちゃんに聴かせたら、とても気に入った曲だった。この曲を聴くとなんだか、エロい気分になると言っいたのを思い出した。
確か、この曲のPVがそれっぽい作りらしくて、とてもエロチックだと言っていたことを思い出した。
思いだした自分もなんだか、妙な気分になり曲を飛ばした。
ろくな曲も無くヘッドフォンを外したら、隣のイギリス人男性がMDを聴かせて欲しいというので、MDを貸した。
とにかく、やることがない。映画が始まっていたが、これがまたつまらない。せっかく機内上映なんだから、エアポートシリーズとかタービュランスでも、と不謹慎なことを考えていた。
少し寝ていたようで、アテンダントがブラケットを掛けてくれていた。
そのまま寝ようと思ったら、隣のイギリス人男性がMDを返してきた。
お礼にと、ガムと何故かウェットティッシュをくれた。
そのまま、寝ようとしたがイギリス人男性がしきりと話かけて来るので眠れなかった。
そして、彼は勝手に寝てしまった。
高志と最初に会ったら何と言おうか。窓から見える真っ暗な空を見ながら考えた。
また、仲が割れてしまうようなことは絶対に避けたかった。
色々考えたが、結局は高志と会ったときに、状況で判断しようと言うことにした。
直美ちゃんは、俺とつき合うことを快諾してくれたし、高志も手紙では何とも思っていないといった感じで書いてあったが、高志本人を目の前にして話さないと納得できなかった。
結局、色々と考え事をしていて眠れなかった。
そして、日記を書いて取りあえず横になった。
つづく
720 :サボテン:2005/06/11(土) 01:18:16 ID:64GPaWu9
結局 数時間しか眠れないまま成田に到着。午後の3時過ぎでとても暑かった。
色々と面倒な手続きを終えて、国内線ターミナルに向かった。
あと1時間足らずで故郷に帰る。
向こうに着けば、空港では直美ちゃんが待っている。
公衆電話で直美ちゃんに電話することにした。
「もしもし」と、聞き慣れた声が聞こえてくる。この声がとても聞きたかった。
「今、成田に着いたよ。あともう少しで そっちに着くよ。1時間かからないかもしれない」
興奮して、かなり噛んだと思う。とにかく嬉しかった。
「もう、空港で待ってるよ。お姉ちゃんにも電話してあげてね」と言われた。
最近 直美ちゃんのことで頭が一杯で、自分に姉がいることをすっかり忘れていた。
そう言えば、向こうにいるときも手紙を何通か交わして、用があるときだけ数回電話しただけだった。
急ぎ電話した。
姉より直美ちゃん、と思いたかったが唯一の近親者ということを考えると、やはりほっとけなかった。
「今成田着いた」直美ちゃんと電話したとき比べると、素っ気ない自分に気付いた。
「直美ちゃんが迎えに行ってくれるって言ってたから任せちゃった。お寿司とってあるから、直美ちゃんと一緒に家に来て」
と、姉はそれだけ言うとガチャリと電話を切った。
つづく
721 :サボテン:2005/06/11(土) 01:18:39 ID:64GPaWu9
飛行機に揺られ一時間弱。やっと故郷の空港に着いた、懐かしい匂いがするとか、そんな感じはなかったが空から見る、青々とした田んぼや畑を見るとやはり懐かしく思った。
荷物を受け取って、ロビーに向かうと直美ちゃんが待っていた。
あたりをキョロキョロして、俺を探してるようだった。
気付かれないように横から回り込んで、いきなり「ただいま」と声をかけたら、びっくりして こっちを振り向いた。
「驚かさないでよ!もう、お帰り!」元気そのものだった。
明るい笑顔が、以前にも増して明るかったような気がした。
その場で抱き合って再会を喜んだ。
この瞬間をどのれほど待ったか。
会いたくて会いたくて仕方なかった直美ちゃんに、やっと会えた。
そして手を繋ぎ外へと二人は歩き出した。
横では直美ちゃんが笑顔でハンドルを握っていた。
横から見ると、また違った表情が見ることが出来て新鮮だった。
「飛行機は混んでいた?」と直美ちゃんが聞いてきた。
「ヒースロー発は結構混んでたみたいだけど、そんなに ごちゃごちゃ混んでる訳ではなかったよ」
俺は、真っ直ぐ流れる道路を見ながら答えた。
直美ちゃんの顔を見て話したかったが、会ったばかりでちょっと恥ずかしかった。
「いやぁ、でもやっと会えたねぇ〜、本当に会いたかったよ」と直美ちゃんはポツリと答えた。
「俺も会いたくて会いたくて どうしようもなかったよ」
そう答えると、直美ちゃんは左手で俺の肩をポンポンと叩いてニヤっと笑った。
つづく
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